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露の「強制移送」を非難 ウクライナ副首相、北方領土で日本支持

産経ニュース / 2023年3月2日 17時6分

インタビューに応じるウクライナのイリーナ・ベレシチュク副首相=キーウ市内の再統合省、2月27日(遠藤良介撮影)

産経新聞のインタビューに応じたウクライナのイリーナ・ベレシチュク副首相兼再統合相は、ロシアの侵略によって避難生活を余儀なくされているウクライナ人は国内で約700万人、国外で約500万人にのぼると説明した。また、ロシアが東部や南部の占領地からウクライナ国民を強制的にロシアへ移送しているとして強く非難した。

ベレシチュク氏は国内避難民について、書類上の手続きを行った人だけで約500万人だとした。手続きをしていない人も含めると約700万人と推計される。国内避難民には、2014年のウクライナ東部紛争で家を追われた約150万人も含まれるという。

ロシアも「住民の避難」と称して占領地のウクライナ人を自国に移送している。ベレシチュク氏はこれについて、「ロシアはウクライナ側に避難するための『人道回廊』を設けず、住民に選択の余地を与えてこなかった。ロシアがしていることは強制移送にほかならない」と指弾した。

ロシアは移送した人々を国内各地に分散させており、国際機関はロシアでの調査を行えていない。このため実数の把握は困難だという。米国のブリンケン国務長官は昨年7月、「ロシアが90万~160万人のウクライナ国民を拘束し、ロシアに強制移送した」とする推計結果を公表した。

ベレシチュク氏は、ロシアによる子供の強制移送をとりわけ問題視している。ウクライナ当局が居場所を突き止めただけで1万6千人の子供がロシア領に連れ去られたといい、「実際にははるかに多いはずだ」と語る。子供の強制移送は「ジェノサイド」に該当するとの見解も示した。

ロシアはウクライナの孤児院から連れ去った子供を勝手に養子縁組させたり、氏名を改変したりしている。ロシアにこうした行為をやめさせるため、「良心を持つ全ての人」が声を上げてほしいとベレシチュク氏は訴えた。

ウクライナの東部ドンバス地域(ドネツク、ルガンスク両州)や南部クリミア半島ではロシア語使用者が多く、従来、これらの地域は「親露的」と評された。ロシアは、東部・南部のロシア語使用者が「迫害されている」などとして侵攻の正当化を図ってきた。

ベレシチュク氏はこの点について、「ウクライナの西部と東部、南部と北部で地域性はあるが、それが問題や衝突の原因となったことはない。ましてやロシアが独立国家ウクライナを侵略してよいという理由にはならない」と指摘した。

「国境に近い東部がロシアのプロパガンダ(政治宣伝)に感化されやすく、人々がロシア語を話しているのは確かだが、彼らも同じウクライナ人だ。ロシア語が迫害されているなどというのも真っ赤な噓だ」と断じた。

「ロシアが国際法や条約を唾棄することを決して許してはならない。国際社会は弱腰で何もできないと思われれば、世界の独裁者が同じことをしても許されると考える。国際秩序は崩壊し、世界はカオスになる」

ベレシチュク氏はこう述べ、ウクライナが1991年に独立した際の国境線を回復することが不可欠だと指摘した。日本の北方領土問題にも触れ、「われわれは日本の領土保全と主権を支持する。ロシアは侵略者だ」との立場を確認した。

(キーウ 遠藤良介)

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