「ほとんど仕事がない」50代部下なし管理職の苦悩 "大企業のぬるま湯"と"前進への葛藤"
東洋経済オンライン / 2023年2月27日 7時0分
今の会社にとどまるか、転職や独立で別の世界に飛び込むか。40、50代で自分のキャリアの先行きに悩む人は少なくない。
大手メーカーの研究職、高橋賢一さん(50代後半、仮名)もその1人だ。企業の研究者として技術の製品化に取り組み、実績を上げてきた。しかし40代後半で研究の一線から外れ、今は部下を持たない「部下なし管理職」として工場での監査業務に就いている。
会社で仕事へのやりがいを見出せなくなった高橋さんが、半歩だけ外の世界に踏み出すまでを追った。
「皆さん頑張って部長になってください」
関西出身の高橋さんは、地元の中高一貫校を経て国立大の理系学部に進学。学生時代はバイオエタノールの研究に打ち込み、生物化学の分野で大学教員になることを目指していた。だが、家庭の経済的な理由で、大学院進学は諦めざるをえなかった。
1990年代初め、高橋さんは大手メーカーに研究職として入社する。就職氷河期に入る直前だったこと、理系だったこともあり、就職にはさほど苦労しなかった。中小企業勤めだった父は高橋さんに「上場企業に行けば幸せになれる」とよく言っていたという。
入社式で登壇した社長は、高橋さんら新入社員を前に、「皆さん頑張って部長になってください。頑張ればなれます」と呼び掛けた。
高橋さんは順調にキャリアを重ねた。大学で学んだバイオ分野の基礎研究を行い、開発した技術が製品化された。「自分で言うのもなんですが、企業の研究者としては素敵なストーリーを歩んでいたと思います」と高橋さんは言う。プライベートでは30代で結婚、子どもも生まれた。
だが、10年ほど前から市場環境の変化で、会社の注力事業と高橋さんが得意とする分野はズレが生じていく。
高橋さんは「会社の研究の優先順位が変わっていきました。企業研究者としてはよくあることです」と説明する。
「昔は潤沢な予算が組まれていたのでマイナーな研究でも続けることができた。でも予算が削られ、利益を生み出す道筋が明確でなければ研究ができなくなっていきました」。
高橋さんの研究チームは解散し、50代で品質保証部に異動する。バックオフィスである。「極めて不幸な異動というわけではなく、よくあることです」と高橋さんはたんたんと語る。だが、「努力する仲間と新たなものを生み出すことが好き」という高橋さんに品質保証の仕事は合わなかった。業務改善を提案しても受け入れられないなど、職場のどこか消極的な雰囲気にもなじめなかった。
「転職なんてありえない」という暗示
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