コロッケに5%配合
この日提供されたのは、一口サイズのカボチャコロッケ。170食を用意した。粉末にした食用コオロギを練り込んだ。生徒からは「香ばしくて、おいしい」と評判だった。
コオロギの給食メニュー化のきっかけは、生徒の誕生日プレゼントだった。調理した食用コオロギを贈られ、皆で分け合って食べていた。食物科長の多田加奈子教諭も、生徒から食べることを勧められた。
多田教諭は「想像以上においしかった。生徒は柔軟でコオロギを受け入れていた」と振り返る。その後、多田教諭が食用コオロギの活用法をグリラスに相談した。今年、同社による講演や調理実習を経て食物科2年生69人の夏休みの課題に採用。「給食に出すコオロギを使った料理」をテーマに案を集めた。
ハンバーグや炊き込みご飯などの案が出たなか、多かったコロッケを料理クラブが試作。ジャガイモやサツマイモなどを試し、カボチャに決めた。コオロギの香ばしさが引き立ち、うま味成分によってカボチャがより甘く感じるという。具にはコオロギのパウダーを5%分練り込む。
レシピ製作を担当した、食物科2年の長尾妃莉さん(16)と同1年生の中村はなさん(15)は「食用コオロギには、パウダーにしたものや液体化したものなどがあり、さまざまな料理に使える。昆虫食に可能性を感じてほしい」と話した。
グリラスのブランドマネジャー・西郷琢也さん(29)は「給食への提供は念願だった。当たり前に食卓に並ぶこと目指し、若い世代などにPRしていきたい」と話した。
<ことば> 食用コオロギ
コオロギは、昆虫では珍しく雑食性で、飼育する際に食品ロスなど未利用資源を餌に活用できる。同じ量のタンパク質を生み出すために必要とする餌や水の量が豚や牛などの家畜に比べて少ないため、食料問題の解決につながると期待されている。