「松坂の奥座敷」へようこそ 1月開店、旬の食材使った食事に宿泊も
三重県松阪市飯高町宮前に、地元の旬の食材を使った食事や飲み物を提供し、宿泊にも対応する店「奥松阪」が来年1月7日に開店する。築120年という2階建ての古民家をリノベーションした店内には、軽音楽が流れ、多様な年代の人が集える場所として期待されている。
奥松阪は、バーカウンターやテーブル席を配した洋風の喫茶・食事スペースと、2間の和室の宿泊スペースからなる。和室には、座卓や座いすが並び、喫茶・食事にも対応する。開業したのは、名古屋市出身のデザイナー高杉亮さん(42)と妻光穂さん(42)。古民家の2階は、高杉さんのアトリエになっている。
高杉さんは、名古屋市内でデザイン会社を経営していた。よりよい住環境を求め、2020年10月に松阪市の地域おこし協力隊員に就任。ウェブデザインや広告の知識を生かし、中山間地である飯南町、飯高町の両地区の活性化と、デザイン会社経営との二足のわらじを履いてきた。
高杉さんは、ケータリングで料理を提供する仕事をした経験もあり、空き家だった古民家を交流の場として街おこしに活用する方法を家主に提案。古民家を譲り受け、店を開業することになった。
桑名市出身の石川絢子さん(28)が店長として仕事を手伝う。高杉さんは、石川さんが働いていた飲食店のウェブサイト制作も手がけている。高杉さんの構想に共感した石川さんが「街が変わっていく仕事を手伝いたい」と申し出て、9月に移住した。
高杉さんが店名を奥松阪としたのは理由がある。飯南町、飯高町の人たちが中心市街地に行くときに「松阪に行く」と言うのを耳にしたからだ。「合併前の旧自治体の枠を超えてほしい」と願い、「飯南、飯高と言っても県外の人は分からない。豊かな自然がある『松阪の奥座敷』という意味を込めました」。
高杉さんは「魅力ある仕掛けをつくれば人は来る」と話す。奥松阪と、地元でカヌーやトレッキングなどの自然体験を提供するNPO法人や大台町の酒蔵などとの連携も視野に入れているという。(菊地洋行)
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