技術士と相性の良いダブルライセンスのひとつが、中小企業診断士です。
技術士のなかには、中小企業診断士や労働安全コンサルタントといったさまざまな資格を取得し活躍している人も多くいます。
本コラムでは、技術士と中小企業診断士のダブルライセンスを持つことによるメリットや各試験における資格取得の難易度について解説します。
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目次
技術士と中小企業診断士のダブルライセンスを目指すメリット
1.免除制度を使って受験できる
技術士試験と中小企業診断士試験は、相互に免除制度があります。どちらかの試験に合格している場合、もう一方の試験で免除制度を利用できることも。
技術士が中小企業診断士試験を受験する場合の免除制度
技術士(情報工学部門)試験合格者は、中小企業診断士1次試験の経営情報システムが科目免除となります。
免除制度が適用されるのは、情報工学部門の技術士試験合格者に限られるという点にだけ注意してください。
中小企業診断士が技術士試験を受験する場合の免除制度
中小企業診断士試験の合格者は、技術士第一次試験の専門科目(経営工学部門)が免除されます。
免除制度が適用されるのは、受験する技術部門が経営工学部門の場合のみです。
2.他の専門家と差別化できる
技術と経営診断、両方に関する専門知識を持っていることで独立の際にも役立ちます。同業者との差別化ポイントになるため、自社の強み・魅力をアピールしやすくなるのではないでしょうか。
3.活躍の場が広がる
技術士と中小企業診断士のダブルライセンスを取得すれば、「技術士が参加する日本技術士会」「中小企業診断士が参加する中小企業診断協会」の両方に入会することが可能。
いずれも入会することで、クライアント紹介を受けられたり研修会&研究会に通常よりもリーズナブルな価格で参加できたりさまざまなメリットがあります。
自分以外の技術士がどういった業務に携わっているのか、どういった業種・職種で活躍をしているのかなどを知るきっかけにもなるのではないでしょうか。
技術士試験の難易度は?
技術士は、科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者の国家資格です。技術士資格を取得するには、一次試験と二次試験の両方に合格しなければなりません。
技術士第一次試験と合格率
技術士第一次試験は、技術士となるために必要な科学技術全般の基礎知識、専門分野の知識などを判定するための試験です。
試験科目は基礎科目、適正科目、選択科目の3科目。マークシート方式による多肢選択方式で行われ、すべての科目で配点の50%以上を取れば合格となります。
関連コラム:技術士とはどんな資格?受験資格・仕事内容・技術士になるまでの流れを解説
過去5年間における、第一次試験の平均合格率は42.6%です。第一次試験に合格するには、専門とする技術部門の知識だけでなく科学技術全般の基礎知識や技術士法に関する理解が必要となります。
大学その他の教育機関で第一次試験の合格と同等の過程を終了している場合(JABEE認定課程修了者)は、第一次試験が免除となります。
| 年度 | 合格率 |
| 平成29年 | 48.8% |
| 平成30年 | 37.8% |
| 令和元年 | 51.4% |
| 令和2年 | 43.7% |
| 令和3年 | 31.3% |
| 合計平均 | 42.6% |
技術士第二次試験と合格率
技術士第二次試験を受けるには、技術部門における実務経験が必須です。
試験は必須科目と選択科目でそれぞれ論文を記述する筆記試験、それから技術士としての実務能力と適格性を問う面接形式の口頭試験があります。筆記試験と口頭試験は配点の60%以上で合格です。
過去5年間における第二次試験の平均合格率は12.1%となっており、難易度が高いことがわかります。
一概には言えませんが、合格点に達する論文を作成できるようになるまでに少なくとも1年以上の準備期間が必要かもしれません。
| 年度 | 合格率 |
| 平成28年 | 14.6% |
| 平成29年 | 13.3% |
| 平成30年 | 9.1% |
| 令和元年 | 11.6% |
| 令和2年 | 11.9% |
| 合計平均 | 12.1% |
中小企業診断士試験の難易度は?
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・アドバイスを行う国家資格です。中小企業診断士の資格を取得するには、一次試験と二次試験に合格する必要があります。
※関連コラム:中小企業診断士とはどんな仕事?年収も含めて詳しく解説
中小企業診断士第一次試験と合格率
中小企業診断士第一次試験は、マークシート形式で出題されます。主な試験内容は下記の通りです。
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
第一次試験の平均合格率は30.9%となっています。技術者が中小企業診断士試験を受験する場合は、経済や会計といった経営に関する知識の勉強が必要になるでしょう。
| 年度 | 合格率 |
| 平成29年 | 21.7% |
| 平成30年 | 23.5% |
| 令和元年 | 30.2% |
| 令和2年 | 42.5% |
| 令和3年 | 36.4% |
| 合計平均 | 30.9% |
中小企業診断士第二次試験と合格率
第二次試験の受験資格には有効期限があり、一次試験合格年度を含む2年間とっています。
中小企業診断士資格を取得する方法のひとつが、一次試験合格後に二次試験を受ける代わりに中小企業基盤整備機構等が実施する養成課程を修了すること。
ちなみに、養成課程での研修期間は約6ヶ月です。
| 年度 | 合格率 |
| 平成28年 | 19.2% |
| 平成29年 | 19.4% |
| 平成30年 | 18.8% |
| 令和元年 | 18.3% |
| 令和2年 | 18.4% |
| 合計平均 | 18.7% |
まとめ
業界・業種を問わず、ビジネスを行うえで欠かせないのが、会社を大きくするために必要な経営ノウハウと経験、そして技術です。
技術の専門家である技術士と経営診断のスペシャリストである中小企業診断士は、あらゆる業界においてニーズの高い国家資格の組み合わせといえるでしょう。
技術士と中小企業診断士、いずれも合格率が決して高いとはいえず資格取得は一筋縄ではいかないかもしれません。だからこそ、ダブルライセンスを取得している技術士は貴重な人材として重宝されます。
ダブルライセンスの取得は簡単なことではありませんが、理想の働き方を目指しましょう。