コオロギの養殖、デジタル化 クリケットファーム(茅野市)、 人員抑えコスト減

ケースでの養殖用に開発した自走式ロボットのイメージ(クリケットファーム提供)

■ロボットが餌やり AIが出荷可否識別

 食用コオロギ養殖・加工のクリケットファーム(茅野市)は、自走式ロボットや人工知能(AI)などのデジタル技術を活用した養殖システムを開発した。AIによる画像認識で出荷可能なコオロギを選別するなどして、養殖作業に携わる人員を抑える。人件費などのコストを削減することで、東南アジア各国などの安価な海外製品に対抗する競争力を高める。

 自走式ロボットは高さ約1・9メートル。棚に置いた養殖用のケースの高さに合わせてアームが上下し、先端からケース内にいるコオロギに水や餌を与える。搭載のカメラで撮影した写真を基に、AIがケースごとにコオロギの成育状況を識別し、出荷の可否を知らせる。5月ごろをめどに、現在は従業員3人が勤務する茅野市内の養殖施設に導入する。

 飼育日数や日々の作業内容について、QRコードを用いて記録するアプリも開発。養殖施設の温湿度計測や、従業員の勤務管理に必要な機能なども組み込んだ。

 開発した一連のシステムの外販事業も展開する。今春には養殖事業参入を目指す県外メーカーに設備を納め、夏頃に稼働を始める計画。システムに関する問い合わせは既に多数寄せられているといい、クリケットファームの坪井大輔社長は「食用コオロギなどを扱う事業者を増やすことで、市場の拡大と認知度の向上を図っていきたい」とする。

 同社は2021年に設立。コオロギの養殖に加え、食品に加えるコオロギ粉末や自社のオリジナル食品を生産している。昨年夏に稼働開始した茅野市の養殖施設は、23年内に年間2200万匹の生産が可能な体制整備を進めており、デジタル化による生産性の向上を急ぐ。

 坪井社長は「加工や商品の品質の水準は(海外に比べて)日本の方が高い。デジタル化と大量生産を進め、海外産の中でも安い1キロ3千円台の価格水準にしたい」と強調。24年度には数千万円規模の黒字を目指すとした。

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