希少な「雌雄型」オオムラサキ 山梨県の昆虫館で確認

岩城興
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 山梨県北杜市にある同市オオムラサキセンターで今月、雌雄の特徴を併せ持つ国蝶(こくちょう)オオムラサキが見つかった。左側の羽が雄で、右側の羽に雌の特徴が出ている「雌雄型」。極めて珍しく、センターは今秋にも標本の公開を予定している。

 センターによると、今夏羽化した1千匹のうちの1匹。左側の羽が雄の鮮やかな青紫色なのに対し、右羽は雌の茶褐色だった。羽を広げると幅約12センチ。一般に雄が雌より小ぶりだが、この個体も、雄型の左羽の方がやや小さい。生殖器は雄だった。

 来館した長野県富士見町の高校生、前嶋野位(のい)さん(15)が18日、センター内の生態観察施設「びばりうむ長坂」で見つけた。連絡を受けたセンター職員が、翌19日から2日がかりで捕獲した。

 前嶋さんは「本で雌雄型のことは知っていたが、自分が見つけるとは」と話す。驚きのあまり、小一時間、スマートフォンで写真を撮りながら観察し続けたという。

 センターによると、雌雄型は、クワガタムシなど甲虫類では報告例が度々ある。しかしオオムラサキはめったになく、センターでも、1995年の開館以来初めて。群馬県桐生市の昆虫館「県立ぐんま昆虫の森」の標本が知られ、15年前に借りて展示したことがある。

 雌雄は、卵が細胞分裂する初期段階で決まる。雌雄型となるのは、分裂の際、性染色体に異常が起きたためらしい。

 センターは現在、標本の作製に取りかかっている。オオムラサキの研究に40年以上携わってきた跡部治賢館長は「極めて少ないうえ、生きた個体を見られたことに、とても感激した」と話している。(岩城興)

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