日本大百科全書(ニッポニカ)「放精」の解説
放精
ほうせい
水生動物の雄が、媒精(授精)のために精子を水中に放出することをいう。同様に、雌が卵を水中に放つのが放卵である。放精によって行われる受精は体外受精であり、交尾などによって受精が雌の体内で行われるのが体内受精である。放精の引き金となる刺激には多様な要素がある。たとえば、自然的な刺激としては、潮の干満、塩分濃度、温度差などのほかに、波などによる機械的刺激があり、また、実験的に放精をおこさせるものとしては、電気刺激や、塩化カリウムなどの塩類溶液の注射が知られている。体内で放精をコントロールする物質としては、カエルや魚類におけるゴナドトロピンや、ヒトデにおける生殖巣刺激物質(GSS)のような、生殖腺刺激ホルモン(せいしょくせんしげきほるもん)の働きが知られている。パロロなどゴカイのなかのある種や、ニッポンウミシダやガンガゼなど棘皮(きょくひ)動物の一部では、満月や新月のような月の満ち欠けに関連した、1年のうちの特定の日の決まった時間に、一斉に放精が行われることがよく知られている。
[雨宮昭南]