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- kamuy
- カムイ §277 くま (1) kamuy (ka-múy)「カむイ」[もと‘神’の義] ⦅北海道、千島⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuy
- カムイ §278 あざらし (3) kamuy (ka-múy)「カむイ」[‘神’] ⦅白浦⦆アザラシの総称 (出典:知里動物編、方言:)
- kamuy
- カムイ §280 トド;キタアシカ (2) kamuy (ka-múy)「カむイ」[‘神’]トドの総称⦅多蘭泊、真岡⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuy 1
- カムイ 【名】①神。 …epunkine kamuy …エプンキネ カムイ (そこ)を守る神。 haru kamuy ハル カムイ 自然の恵みの食糧の神。 kanna kamuy カンナ カムイ 上天の神。 kimun kamuy キムン カムイ [山の・神] 熊(=kimunkamuy キムンカムイ)。 kemram kamuy ケムラム カムイ 飢饉の神。 kotankor kamuy コタンコロ カムイ (1)村の守り神=フクロウ神。 (2)神の村での村おさの神。 mosirkar kamuy モシリカラ カムイ 国づくりの神。 páse kamuy パセ カムイ 尊い神(位の高い神)。 oripak kamuy オリパク カムイ 天然痘の神。 payoka kamuy パヨカ カムイ 流行病の神。 repun kamuy レプン カムイ [沖の・神]シャチ ☞repunkamuy レプンカムイ。 nispa kamuy ニシパ カムイ 神のように尊い方(男性を尊んで言う表現)。 kamuy onisposo カムイ オニシポソ 神が空(雲)を突き抜けて落ちてくる=雷が落ちる。 kamuy cikap(-po) カムイ チカプ/チカッポ ☞kamuycikap カムイチカプ、 kamuycikappo カムイチカッポ。 kamuy cep カムイ チェプ ☞kamuycep カムイチェプ。 kamuy hum カムイ フム ☞kamuyhum カムイフム。 kamuy nis カムイ ニシ ☞kamuynis カムイニシ ②神のように立派な、 非常に立派な…。 {E: ①a god. ②.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy 1
- カムイ 【kamuy】 ①神. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy 2
- カムイ 【名】[< kamuy 1][動物] 熊(=kimunkamuy キムンカムイ)。 kamuy-cáca カムイチャチャ [熊・じいさん] 熊(の呼び名の一つ)。 yuk ne ciki kamuy ne ciki eawnarura ユク ネ チキ カムイ ネ チキ エアウナルラ 鹿でも熊でもとって(家へ運んで)来た(たくさんの民話の中で、 何不自由なく暮らしている主人公の登場の初めにしばしば出て来る表現の一つ)。 {E: a bear.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy 2
- カムイ 【kamuy】 ②熊. キム タ ヤアニ カムイ エン・ライケ ヒ タ カキヒ(ク・アキヒ) アンクスケライポ ク・シクヌ=山で危なく熊に殺されそうになった時,私の弟がいたお陰で私は生きた. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy(-e)
- カムイ §360.産―えな;あとざん;胞衣;胎盤(7)kamuy(-e)〔ka-múǐ カむイ〕[神]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuy(-he)
- カムイ §360.産―えな;あとざん;胞衣;胎盤(6)kamuy(-he)〔ka-múǐ カむイ〕[神]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- a=eoynakamuy
- アエオイナカムイ 【a=e-oyna-kamuy】 オキクルミカムイの別名.それにあやかる神. *オキクルミカムイはアイヌに生活文化を教えた神. (出典:萱野、方言:沙流)
- amamecirikamuy
- アマメチリカムイ §303 スズメ (4) amameciri-kamuy (a-mám-e-či-ri-ka-muy)「アまメチリカムイ」[<粟食鳥・神] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- amitannekamuy
- アミタンネカムイ §206 アシタカグモ(アシダカグモ);メクラグモ;モエギマメザトウムシ;あしながぐも (1) ami-tanne-kamuy (a-mí-tan-ne-ka-muy)「アみタンネカムイ」[<ami(その爪)tanne(長い)kamuy(神)] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- anaysirkamuy
- アナイシリカムイ 【anay-sir kamuy】 死人. (出典:萱野、方言:沙流)
- anpakamuy
- アンパカムイ 【anpa-kamuy】 支える神. アシリ チセ ア・アシ ワ カムイノミアニタ(カムイノミ・アン ヒ タ) アナクネ,"チセパンノキ チセペンノキ アンパカムイ" セコロ カムイレ ア・レアリ プ ネ=新しい家を建てて神を祭る時には,「家の下の方の軒,家の上の方の軒支える神」と神の名を言うものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- Ape-húci kamuy
- アペフチ カムイ 【名】[ape-húci kamuy 火・老婦人・神] 火の女神(=Kamuy-húci カムイフチ)。 (出典:田村、方言:沙流)
- apehucikamuy
- アペフチカムイ 【ape-huci-kamuy】 火の神. エアラキンネ パケトゥナシ ペ アペフチカムイ ネ ヤク ア・イェ クス イラマンテ エキムネ ウシ アペサム タ ソモ ア・イェ プ ネ ナ=とっても告げ口が好きな者が火の神だというので,狩のために山へ行く場所を火の前で言わないものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- apekamuy
- アペカムイ 【ape-kamuy】 火の神. (出典:萱野、方言:沙流)
- apesamtasomoayekamuy
- アペサムタソモアイェカムイ §426 マムシ 蛇神(11) ape-sam-ta-somo-aye-kamuy (a-pé-sam-ta-so-mo-a-ye-ka-muy)「アぺサムタソモアイェカムイ」[<火・のそば・で・言われ・ぬ・神] ⦅名寄⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- apkaskamuy
- アプカシカムイ §277 くま (61) apkas-kamuy (áp-kas-ka-muy)「あプカシカムイ」[<apkas(歩く)kamuy(神)] ⦅足寄、美幌⦆冬が来ても穴に入らずに山野をうろついているクマ (出典:知里動物編、方言:)
- apkaskamuy
- アプカシカムイ §376 (その他の鳥名) apkas-kamuy (áp-kas-ka-muy)「アプカシカムイ」[<‘歩く・神’‘旅行する・神’] ⦅穂別、沙流⦆流行病の神。 (出典:知里動物編、方言:)
- apkaskamuy
- アプカシカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(14)疱瘡神 apkas-kamuy〔áp-kaš-ka-muǐ あプカシカムイ〕[apkas(歩く、遊行する)+kamuy(魔神)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- asitcepkamuy
- アシッチェプカムイ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(6) asit-cep-kamuy(a-sít-čep-ka-muy)「アしッチェプカムイ」[<asir(新しい)cep(魚)kamuy(神さま)]⦅屈斜路⦆走りのサケ。これはまだシロッケ。 (出典:知里動物編、方言:)
- atatkamuy
- アタッカムイ §067 サケ あきあじ、あきやじ 処(12) atat-kamuy (a-tat-ka-muy)「アタッカムイ」C349ピウカI, 3 ciporもhomaも使う。 (出典:知里動物編、方言:)
- atkor(kamuy)
- アッコロ(カムイ) §258 タコ (5) atkor(kamuy) (at-kor)「アッコロ(カムイ)」 ⦅長万部⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- atkorkamuy
- アッコロカムイ 【名】[at-kor-kamuy ひも・を持っている・神][動物] タコの王(舟をひっくりかえすほど大きい)。(S) ☆参考 通常のタコは atuinne アトゥインネ。〔知分類 P132〕 (出典:田村、方言:沙流)
- atkorkamuy
- アッコロカムイ 【at-kor-kamuy】 タコ. レポイラマンテ・アン クス チプ ア・オ ワ アラパアナクス(アラパ・アン アクス) アッコロカムイ シプステクテク ヤニ ア・イ・ライケ=沖漁をすると思って舟に乗って沖へ出ると,タコがさっと浮き上がって来て危なく私は殺されそうになった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- atkorkamuy
- アッコロカムイ §258 タコ (2) at-kor-kamuy (at-kor-ka-muy)「アッコロカムイ」 ⦅穂別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- atkorkamuy
- アッコロカムイ §258 タコ (6) atkor-kamuy (at-kor-ka-muy)「アッコロカムイ」 ⦅虻田⦆舟も沈めるような大きなタコ (出典:知里動物編、方言:)
- atkotkamuy
- アッコロカムイ §258 タコ (8) atkot-kamuy (at-kor-ka-muy)「アッコロカムイ」 ⦅穂別、礼文華(タコの大将)、長万部(タコの大将)⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- atuykorkamuy
- アトゥイコロカムイ §420 カメ (3) atuy-kor-kamuy (a-túy-kor-ka-muy)「アとゥイコロカムイ」[<海を・所有する・神] ⦅穂別⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
- atuykorokamuy
- アトゥイコロカムイ §295 サカマタ;シャチ (5) atuykorokamuy (a-túy-ko-ro-ka-muy)「アとゥイコロカムイ」[<atuy-kor-kamuy(海を・支配する・神)] ⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- atuykunkamuy
- アトゥイクンカムイ §278 あざらし (2) atuykunkamuy (a-túy-kun-ka-muy)「アとゥイクンカムイ」[<atuy(海を)kor(所有する・支配する)kamuy(神)] ⦅白浦⦆アザラシの神名 (出典:知里動物編、方言:)
- awtarakamuy
- サウタラカムイ §413 (その他の鳥名) sawtarakamuy (sáw-ta-ra-ka-muy)「さウタラカムイ」[<sap(群れをなして、浜辺へ出てくる)utar(連中)kamuy(神)?] ⦅美幌⦆[=payekay-kamuy] (出典:知里動物編、方言:)
- ayekaykamuy
- パイェカイカムイ §409 (その他の鳥名) payekay-kamuy (pa-yé-kay-ka-muy)「パいェカイカムイ」 ⦅幌別、東静内、美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- aynusacirkamuy
- アイヌサチリカムイ §326 エゾヤマセミ (3) aynusacir-kamuy (áy-nu-sa-čir-ka-muy)「あイヌサチリカムイ」 ⦅美幌、屈斜路、足寄、高島⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ayokakamuy
- パヨカカムイ §410 (その他の鳥名) payoka-kamuy (pa-yó-ka-ka-muy)「パよカカムイ」 ⦅沙流⦆渡り鳥の一種。流行病の神。[=payeka-kamuy] (出典:知里動物編、方言:)
- ayusnikamuy
- アユシニカムイ 【ay-us-ni-kamuy】 とげつきの神. コタン アパパ タ アユシニ カムイ ア・ニスク ワ ア・アヌ コロ パヨカカムイ カ コタノルン(コタン オルン) アフン ニューケシ=村の入り口の向こう側にとげつきの神を頼んで置くと,病気の神も村へ入ることができない. (出典:萱野、方言:沙流)
- cakcakkamuy
- チャクチャッカムイ 【cak-cak-kamuy】 ミソサザイの神. (出典:萱野、方言:沙流)
- cakcakkamuy
- チャクチャクカムイ §323 ミソサザイ (7) cakcak-kamuy (čák-čak-ka-muy)「ちャクチャクカムイ」[<cak! cak! と鳴く神の義] ⦅様似、美幌、伏古⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
- cepkamuy
- チェプカムイ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(8) cep-kamuy(čép-ka-muy)「ちェプカムイ」[cep(魚)kamuy(神)]⦅屈斜路⦆=asit-cep (出典:知里動物編、方言:)
- ci=sinapkamuy
- チシナプカムイ 【ci=sinap-kamuy】 ヨモギを束にして作った神. ▷チ=私たち シナプ=縛った カムイ=神 *この神の別名はノヤイモシカムイと言うが,両方の手と両方の脚に心臓を入れ,胸にある心臓とともに五つの心臓というか魂を持っている強い神とされている.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- ciptacikapkamuy
- チプタチカプカムイ §329 クマゲラ (2) cip-ta-cikap-kamuy (číp-ta-či-kap-ka-muy)「ちプタチカプカムイ」[<cip(舟)ta(ほる)cikap(鳥)kamuy(神)] ⦅伏古・美幌、屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- cisekorkamuy
- チセコロカムイ 【名】[cise-kor-kamuy 家・を持つ・神] ①家の守り神(木幣の形につくり、 中央部に心臓(sanpehe サンペヘ)として、 木を燃やして消した消し炭の一かけを削り花にくるんだものをつけてある。 家の上座の壁際の北側寄りの所に置いてある)。 ②(=cisekor kamuy チセコロ カムイ) ☞cisekor チセコロ {E: ①protective god of the house. ②…} (出典:田村、方言:沙流)
- cisekorkamuy
- チセコロカムイ 【cise-kor-kamuy】 家の守護神. 図[チセコロカムイ] (出典:萱野、方言:沙流)
- cisepannokianpakamuy
- チセパンノキアンパカムイ 【cise pan noki anpa kamuy】 家の西側の軒を支える神. (出典:萱野、方言:沙流)
- cisepennokianpakamuy
- チセペンノキアンパカムイ 【cise pen noki anpa kamuy】 家の東側の軒を支える神様. (出典:萱野、方言:沙流)
- coruskamuy
- チョルシカムイ §129 ハエ類 ニクバエ科 Sarcoph (5) coruskamuy(čo-rus-ka-muy)「チョルシカムイ」[<ce-or-us-kamuy]⦅樺太、雅語、ピル⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- cupkamuy
- チュプカムイ 【cup-kamuy】 日の神,月の神. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekamuynomi
- エカムイノミ 【他動】[e-kamuynomi …で・神祈とうの儀式をする] …で祈とうの儀式をする。 ne sake a=ekámuynomi ネ サケ アエカムイノミ 私はその酒で神祈とうの儀式をした。(HC民話) ☞kamuynomi カムイノミ {E: to perform a prayer ceremony.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ekaskamuykor
- エカシカムイコロ 【e-kas-kamuy-kor】 (それで)運がよい.▷エ=それで カシカムイ=憑き神 コロ=持つ イキヤクル アナクネ カシカムイェ ユプケ プ ネ クス エカシカムイコロ ワ ネプ カラ ヤッカ ル エトコホ ル オカケヘ チョイランケ ペコロ=あの人は憑き神が強いので運がよくて何をやっても行く先に行く後に物が降るかのようだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekaskamuysak
- エカシカムイサク 【e-kas-kamuy-sak】 (それによって)運が悪い:この場合はいやなものを見たとか,呪われたとかの意味.▷エ=それで カシカムイ=憑き神 サク=ない ソンノ イヌヌカシキ.タプイキクル アナクネ オロチクシ イサム カネ アラパ ヒ エピッタ エカシカムイサク=本当にかわいそうだ.今の人は通る所もないほどに行く先々全部運が悪い. (出典:萱野、方言:沙流)
- Enrum un kamuy
- エンルムンカムイ 【名】襟裳岬の神(陸のは黒稲荷、 沖のは金比羅)。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- esarakamuynomi
- エサラカムイノミ 【e-sara-kamuy-nomi】 (高い声で)祈る.▷エ=それ サラ=開ける カムイ=神 ノミ=祭る (出典:萱野、方言:沙流)
- eyaykamuynere
- エヤイカムイネレ 【他動】[e-yay-kamuy-ne-re …で・自分を・神・になる・させる] …で立派な神になる。 i=okake ta eci=sínnurappa eci=i=nómi wa i=kore yak kamuy or ta a=eyáykamuynere kusu ne na イオカケ タ エチシンヌラッパ エチイノミ ワ イコレ ヤク カムイ オッタ アエヤイカムイネレ クス ネ ナ 私の死後にあなたたちが先祖供養をし私をまつってくれれば私は神の国で立派な神になるのだから。(W民話) a=eyáykamuy/nére kor アエヤイカムイ/ネレ コロ それで私が天に昇って神になったら(a=eyáykamuynere アエヤイカムイネレ が韻文で二行に分けて発音されている)。(Sユーカラ語り) {E: to become a great god.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyekakamuy
- パイェカカムイ §408 (その他の鳥名) peyeka-kamuy (pa-yé-ka-ka-muy)「パいェカカムイ」 ⦅沙流⦆[=payekay-kamuy] (出典:知里動物編、方言:)
- haruekamuynomi
- ハルエカムイノミ 【haru-e-kamuy-nomi】 供物を捧げて祈る. オヤコヤク タ タスム ネ マヌ プ スルルケ オルシペ ア・ヌ イシトマ・アン クス ハル アフプカラ・アシ ワ ハルエカムイノミ・アン ルスイ=あちらこちらで病気が流行したと聞き恐ろしいので供物を貰い病気の神へあげたい. (出典:萱野、方言:沙流)
- hashinaukorokamui
- ハシナウコロカムイ §338 アオバズク (12) hash-inau-koro-kamui (ha-si-naw-kor-ka-muy)「ハシナウコロカムイ」 ⦅B⦆フクロウ The screech owl. (出典:知里動物編、方言:)
- hasinawukkamuy
- ハシナウウッカムイ §335 エゾフクロウ (3) hasinaw-uk-kamuy (ha-sí-naw-uk-ka-muy)「ハしナウウッカムイ」[<(枝幣を・受け取る・神)] ⦅沙流⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
- horopkamuy
- ホロプカムイ §197 マツモムシ (2) horop-kamuy(ho-rop-ka-muy)「ホロプカムイ」⦅屈斜路⦆マツモムシ。水中にあって猛毒あり。 (出典:知里動物編、方言:)
- horunkakkew(-kamuy)
- ホルンカッケウ(カムイ) §322 カワガラス;キタカワガラス (4) horunkakkew(-kamuy) (hó-run-kak-kew(-ka-muy))「ほルンカッケウ(カムイ)」[<hor(水)un(にいる)kakkew(?)] ⦅屈斜路、西別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- horup (-kamuy)
- ホルプカムイ §169 トビケラの類(幼虫) (3) horup (-kamuy)(hó-rup(-kamuy))「ほルプカムイ」[<hor(水)o(の中にいる)-p(者)kamuy(神)]⦅屈斜路⦆トビケラの類(Trichoptera)(幼) (出典:知里動物編、方言:)
- horupkamuy
- ホルプカムイ §196 トビケラの一種(幼) (2) horup-kamuy (ho-rup-ka-muy)「ホルプカムイ」[<hor(水)o(の中にいる)-p(者)kamuy(神)] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- huhumpokamuy
- フフンポカムイ §338 アオバズク (8) huhumpo-kamuy (hú-hum-po-ka-muy)「ふフンポカムイ」 ⦅沙流⦆フクロウ(神典157) (出典:知里動物編、方言:)
- humhumkamuy
- フムフムカムイ §338 アオバズク (9) humhum-kamuy (hum-hum-ka-muy)「フムフムカムイ」 ⦅B⦆フクロウの一種 The eagle owl. (出典:知里動物編、方言:)
- humhumokkaikamuy
- フムフムオッカイカムイ §338 アオバズク (10) humhum-okkai-kamuy (hum-hum-ok-kay-ka-muy)「フムフムオッカイカムイ」 ⦅B⦆シマフクロウ Blakiston’s eagle owl. (出典:知里動物編、方言:)
- humhumsekamuy
- フムフムセカムイ §338 アオバズク (11) humhumse-kamuy (hum-hum-se-ka-muy)「フムフムセカムイ」 ⦅B⦆フクロウ An owl. (出典:知里動物編、方言:)
- hurekakkon kamuy
- フレカッコンカムイ §332 カッコウ (8) hurekakkon kamuy (hú-re-kak-kon-ka-muy)「ふレカッコンカムイ」(コ生) (出典:知里動物編、方言:)
- hurekamuy
- フレカムイ §425 アカヘビ;ジム (1) hure-kamuy (hú-re-ka-muy)「ふレカムイ」[<赤い・神] ⦅千歳⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ikatanpa-kamuy
- イカタンパカムイ 【名】[i-kat-anpa-kamuy 人・あり方・を持つ・神](?) 悪い病気の神。 (出典:田村、方言:沙流)
- ikatorkamuy
- シカトロカムイ §414 (その他の鳥名) sikator-kamuy (si-ká-tor-ka-muy)「シかトロカムイ」 ⦅幌別、美幌、名寄⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ikatorkekamuy
- シカトロケカムイ §415 (その他の鳥名) sikatorke-kamuy (si-ká-tor-ke-ka-muy)「シかトロケカムイ」 ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ikkewkamuykor
- イッケウカムイコロ §323.こしのいたみ;ようつう(腰痛);せんき(疝気)(4)こしのいたみ ikkew-kamuy-kor〔ík-keŭ-ka-mùǐ-kor いッケウカムイコロ〕[ikkew(腰が)+kamuy(魔を)+kor(もつ)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ikkewkamuykor
- イッケウカムイコロ §451.脊髄麻痺ikkew-kamuy-kor〔ík-kéŭ-ka-muǐ-kor いッケウカムイコロ〕[ikkew(背骨が)+kamuy(魔を)+kor(持つ)]⦅アイヌ医事談⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ikoykikamuy
- イコイキカムイ §295 サカマタ;シャチ (19) ikoyki-kamuy (i-koy-ki-ka-muy)「イこイキカムイ」[<i-kóyki-kamuy(それ〔=鯨〕を・いじめる・神) ⦅長万部⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- imutkamuy
- イムッカムイ 【i-mut-kamuy】 首に白い毛のある熊. (出典:萱野、方言:沙流)
- imutkamuy
- イムッカムイ §277 くま (67) imut-kamuy (i-mút-ka-muy)「イむッカムイ」[<i(それを〔玉飾りを指す。〕mut(首からさげている)kamuy(神)) ⦅幌別、白老⦆月の輪のついているクマ (出典:知里動物編、方言:)
- inokakamuy
- イノカカムイ 【i-noka-kamuy】 姿神,その形をした神.イナウで作る.蛇の姿の場合や狐の姿の場合がある.▷イ=それの ノカ=形 カムイ=神 図[イノカカムイ] (出典:萱野、方言:沙流)
- inunkamuy
- イヌンカムイ §335 エゾフクロウ (5) inun-kamuy (i-nún-ka-muy)「イぬンカムイ」[<inun(漁する)kamuy(神)] ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- iresukamuy
- イレスカムイ 【i-resu-kamuy】 火の神.▷イ=それを レス=育てる カムイ=神 イノンチリ ウェンカムイ アナクネ イレスカムイ オロワノ アッテイネモシリ ア・コキル プ ネ ルウェ ネ ワ=人を呪うような思い神は火の神様から奈落へ向けて行かされるものだよ.イレスカムイ イェ プ エ・ヌ ワ アラクワンノ シンリッモシリ エ・コアラパ プ ネ ルウェ ネ ナ=火の神の言うことを聞いて真っ直ぐにあなたは先祖の国へ行くのだよ(引導渡しの言葉に出て来る).ピリカ ヒネ イレスカムイ テクサマ タ ウウェチューサケ エチ・ク ワ ネ クス ネイタ パクノ ピリカ ウウェトゥラシトゥラシ エチ・キ プ ネ ナ アニー=縁あって火の神の目の前で夫婦の契りの酒をあなたたちは飲んだので,いつまでも仲睦まじくするのですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- iripaonnekamuy
- イりパオンネカムイ §278 あざらし (35) iripa-onnekamuy (i-rí-pa-on-ne-ka-muy)「イりパオンネカムイ」 ⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- irkamuy(-e)
- イリカムイ §022.きょうだい(兄弟姉妹)(19)ir-kamuy(-e)〔ír-ka-muǐ いリカムイ〕⦅東シズナイ⦆兄弟の神。(kanna-ka-muy 「雷」とrep-un-kamuy「鯱」とはir-kamuyだなど)。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- isokamuy
- イソカムイ 【名】[iso-kamuy 獲物・神][動物]「言葉はある。 何のことか知らない。」 (S)〔知分類 p.156 クマの一般称、 p.159 アザラシ(千島、 Torii)〕 (出典:田村、方言:沙流)
- isokamuy sapaaraka
- イソカムイ サパアラカ §443.ずつう(頭痛)(10)クマ神の頭痛 iso-kamuy sapa-araka〔i-só-ka-muǐ|sa-pá-a-ra-ka イそカムイ・サぱアラカ〕[iso-ka-muy(クマ・神)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- isosankekamuy
- イソサンケカムイ §335 エゾフクロウ (4) iso-sanke-kamuy (i-só-san-ke-ka-muy)「イそサンケカムイ」[<iso(海幸山幸)sanke(出す)kamuy(神)、獲物を授ける神] ⦅沙流⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
- itahruykamuy
- イタハルイカムイ §183 エゾヤマハギ (7) itahruy-kamuy (i-táh-ruy-ka-muy)「イたハルイカムイ」[<itak-ruy(おしゃべりする、itak物言う、ruy激しい)kamuy(神)] 茎 ⦅鵜城⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- itunapkamuy
- イトゥナプカムイ §123 アリ 蟻 (3) itunap-kamuy(i-tú-nap-ka-muy)「イとゥナプカムイ」⦅足寄、千歳⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- iturenkamuy
- イトゥレンカムイ 【i-turen-kamuy】 憑き神.▷イ=それ トゥレン=憑く カムイ=神 ア・シキヒ アニ ア・ヌカラ エアイカプ コロカ アイヌ アナクネ シネ ンシネン イトゥレンカムイ アン ペ ネ ワ ネ カムイ ピリカ コロ エ・コマウコピリカ プ ネ ルウェ ネ ワ=自分の目で見ることができないけれど.人間はひとりひとりに憑き神がいて,その神がいい神であればそれによって運がよくなるものだ.*人それぞれに必ず憑き神がいるものと信じられている. (出典:萱野、方言:沙流)
- iworkorkamuy
- イウォロコロカムイ §277 くま (68) iwor-kor-kamuy (i-wór-kor-ka-muy)「イうォロコロカムイ」[<iwor(山奥を)kor(所有する)kamuy(神)] ⦅美幌⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
- iyorunukamuy
- イヨルヌカムイ 【iyorunu kamuy】 つきまとう神.疱瘡などがはやって村を捨てて逃げる時に,つきまとって来る病気の神,つまり病原菌. (出典:萱野、方言:沙流)
- iyoski kamuy
- イヨシキ カムイ 【i-hoski-kamuy】 酔っ払い熊,矢毒が体に回り意識もうろうとしている熊. スルクカラワ ライエトッタ イヨシキペコロ テッテレケコロアンカムイ アィェヒ イヨシキカムイ イヨッタアシトマプネ=矢毒が体に回り,死ぬ前に酔っ払ったようにふらふらしている熊を言うのが酔っ払い熊,これが一番恐ろしいものだ.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- kakkonkamuy
- カッコンカムイ §332 カッコウ (6) kakkon-kamuy (ka-kon-ka-muy)「カッコンカムイ」 ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuinkarkur
- カムインカラクル §295 サカマタ;シャチ (12) kamuinkarkur (ka-mú-in-kar-kur)「カむインカラクル」[<kamuy(神)inkar(見る)-kur(神)] ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuy cikappo
- カムイチカッポ §334 シマフクロウ (2) kamuy cikappo (ka-múy-či-kap-po)「カむイチカッポ」[<kamuy-cikap-po;-poは本来は指小辞であるが親愛の情を添えるのにも用いられる;‘敬愛する神鳥’] ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuy ek hum otonnokane
- カムイエクフム オトンノカネ 【kamuy-ek-hum otonnokane】 神が来る音がかすかに聞こえて. ▷カムイ=神 エク=来る フム=音 オトンノ=かすか カネ=に(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy ekasi
- カムイ エカシ/カムイェカシ 【名】[神・老人(男)] ①神である老人(男)。 ②神のように立派な老人(男)。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy katkemat
- カムイ カッケマッ 【名】[神・奥様] ①神である老婦人。 ②神のように立派な老婦人。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy kosonte
- カムイ コソンテ 【名】[神・小袖] 小袖、 龍の形など金メールでも入った立派な着物。(S) kamuy kosonte/a=sikúrkasam/eopirasa カムイ コソンテ/アシクルカサム/エオピラサ [雅] 私は立派な小袖を自分の体に合わせて広げてみた。(Sユーカラ) {E: fine clothing adorned with a dragon design etc in gold mail.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy menoko
- カムイ メノコ 【名】[神・女] 女神。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy mosir
- カムイ モシリ 【名】[神・国] 神の国、 天国。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy moyremat
- カムイ モイレマッ 【名】[kamuy moyre-mat 神・ゆったりとしている・女] 女神様、 女神のような立派な尊い女性。 hunakke kusu/iresu sápo/kamuy moyremat/cikaspaotte/i=ekarkar pe フナッケ クス/イレス サポ/カムイ モイレマッ/チカシパオッテ/イエカラカラ ペ [雅]せっかく育ての姉の女神様に言いつけられたのに。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy ne an
- カムイ ネ アン §389.しぬ(死ぬ)(14)kamuy ne an〔ka-múǐ-ne-ánカむイ・ネ・あン〕[神・になって・いる]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuy ne okere
- カムイ ネ オケレ §389.しぬ(死ぬ)(13)kamuy ne okere〔ka-múǐ-ne|o-ké-re カむイ・ネ・オけレ〕[神・になって・しまった]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuy oro oarpa cep
- カムイオロオアラパチェプ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(11) kamuy oro o-arpa cep(ka-múy-o-ro-o-ár-pa-čep)「カむイ・オろ・オあラパ・チェプ」[kamuy(神)oro(のもと)o-(へ)arpa(行く)cep(魚)]⦅厚真⦆川で最初にとれたサケ。 (出典:知里動物編、方言:)
- kamuy ratusne
- カムイ ラトゥシネ §241.傷つく(7)山でクマなどに襲われて負傷する kamuy ratusne〔ka-múǐ-ra-tuš-ne カむイ・ラトゥシネ〕⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuy sasimi
- カムイ サシミ 【kamuy sasimi】 授かり子. カムイ サシミ アナクネ ノオカ ポニ(ポン ヒ) ワノ ピリカ カ ソモ プ ネ チマウシ ネヤ ネユンネユン ア・エシシ ノ オカイペ ネ クス ア・エヤム ペ ネ=神の授かり子というものは,それほど小さい時からいい格好でもなく,かさぶただらけとか人が避けるような姿をしているものなので大切にするものだ.*ユカラとかウウェペケレとかの中にカムイサシミの話はしばしば出て来るものであり,例えば病気を撤き散らす神がアイヌの家の屋根の上で休み,家の中の娘を見て,この器量このいい精神の娘が神の国の女であれば妻にしたいものだ,と思ったことで娘は懐妊するというものである. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy sirika koro
- カムイ シリカ コロ §426.しろなまず;尋常性白斑kamuy sirika koro〔ka-múǐ-ši-rí-ka-ko-róカむイ・シ哩カ・コろ〕[神・面・持つ]⦅タラントマリ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuy sirine an
- カムイ シリネ アン 【kamuy sirine an】 立派だ:神の如き. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy'ikor
- カムイイコロ 【kamuy-ikor】 神の宝刀. クナウ ペ トゥム ワ ア・プス アーペコロ アン カムイ イコロ ア・エウンケライ.イナウ ア・ケ ア ア・ケ ア イナウ トゥンプ ア・カラ ワ スウォプ アサム ア・オランラニ ルウェ ネ=フクジュソウの花の雫の中から掘り出したような神の宝刀を私は貰った.イナウをたくさん削ってイナウの寝床を作り宝箱の底へ詰め込んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy'imeru
- カムイイメル 【kamuy-imeru】 稲妻,雷光. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy'ipirma
- カムイイピリマ 【kamuy-i-pirma】 神のお告げ,神がこっそり教える. ヌマン ケイワンケ(ク・エイワンケ) ムカラ ネヤ ア・チャッチャリ ワ アン.タンペ アナクネ カムイ イピリマ ネ ナンコロ=昨日私が使ったマサカリなどが散らかされている.これは危険なことがあるよと神がこっそりと私に耳打ちしてくれたに違いない.チ・コロ ニプタニ タ アナクネ ペウレプ オッカ ウン チノミシリ カンカン レレケヘ チノミシリ オケネウシウン チノミシリ エレプ アン オロウン カムイイピリマ ハウ ア・ヌ コロ コタン エウン ウタラ ヤイトゥパレ パ プ ネ=私どもの二風谷では熊の姿岩のチノミシリ(我ら祭る所),カンカン向かいのチノミシリ,オケネウシのチノミシリ,3か所あって,そこへ神のお告げが聞こえたら村人全部が気をつけるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy'iwakte
- カムイイワクテ 【kamuy iwakte】 神を神の国へ帰す. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy'opoysion
- カムイオポイシオン 【kamuy-o-poysion】 神の子供,子熊.▷カムイ=神 オポイシオン=子供 →神の子=小さい熊 (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy'oroitak
- カムイオロイタク 【kamuy-or-o-itak】 祝詞:神に祈るときに唱える古い言葉. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy'otopus
- カムイオトプシ 【kamuy-otop-us】 ポンヤウンペというユカラの主人公を育てた人.▷カムイ=神 オトプ=髪 ウシ=生える (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuy(-e
- カムイ(エ §481.たましい;霊魂(4)「死者の」霊魂 kamuy(-e〔H.〕;-he〔S.〕)〔ka-muǐ カむイ〕⦅H. S.⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuy-cikappo/kamuycikappo
- カムイチカッポ 【名】[kamuycikap-po フクロウ・(指小辞)][動物](図鑑によれば)フクロウ、 ミミズク(コノハズク、 オオコノハズク) (S)〔知分類 p.196 ((ホロベツ)) シマフクロオ〕 {E: a horned owl.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Kamuy-húci
- カムイフチ 【名】[< kamuy-húci 神・おばあさま][固有名] 火の女神(呼び名)。 ☆参考 沙流川下流のワテケさんは Kamuyuci カムユチ と発音する。 ☆参考 Ape-húci kamuy アペフチ カムイ [火・おばあさま・神]火の女神。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy-ranke-tam
- カムイランケタム 【名】[神(が)・下ろした・刀][雅]神から下されたような立派な刀。 kamuy-ranke-tam/a=kutpokeciw カムイランケタム/アクッポケチウ [雅]私は神から下されたような立派な刀を腰にさした。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy-sasini
- カムイサシニ 【名】[神・の子孫(?)]神の子、 神の世継ぎ。 (出典:田村、方言:沙流)
- kamuyamam
- カムイアマム §383 ネマガリダケ (7) kamuy-amam (ka-múy-a-mam)「カむイアマム」[→§381(7)] 種実 ⦅幌別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuycaca
- カムイチャチャ 【名】(=kamuy cáca カムイ チャチャ[熊・じいさん])[動物]熊(熊の一つの呼び名)。 {E: a bear.} (出典:田村、方言:沙流)
- kamuycaca
- カムイチャチャ 【kamuy-caca】 熊. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuycaca
- カムイチャチャ §277 くま (3) kamuy-caca (ka-múy-ča-ča)「カむイチャチャ」[<kamuy(神)caca(じじい)] ⦅屈斜路、広尾⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyceh
- カムイチェヘ §015 ギンボ (9) kamuy-ceh (ka-muy-ceh)「カムイチェヘ」 ⦅白浦、富内⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycep
- カムイチェプ 【名】[kamuy-cep 神・魚][動物]サケ(鮭)(「アキアジ」)。 〔知分類 p.36 サケ、 あきあじ、 あきやじ〕 {E: salmon.} (出典:田村、方言:沙流)
- kamuycep
- カムイチェプ 【kamuy-cep】 サケ,あきあじ. カムイチェプ ネ ホクレ マ ヤン=サケは焼くとなおさら味があるものだ.早く焼きなさい.クポニタ(ク・ポン ヒ タ) アナクネ チュク アン コロ コナハ(ク・オナハ) エン・トゥラ ケスクラン カムイチェプ コイキ クス ペトルン(ペッオロウン) ラプ・アシ ペ ネ ア ワ=私が小さい頃は秋になると父が私を連れて,毎晩あきあじを獲るのに川へ下りて行ったものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuycep
- カムイチェプ §014 ハリフグ(ハリセンボン) (4) kamuy-cep (ka-múy-čep)「カむイチェプ」[神・魚] ⦅白糠⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycep
- カムイチェプ §067 サケ あきあじ、あきやじ (9) kamuy-cep (ka-múy-čep)「カむイチェプ」[kamuy(神)cep(魚)] ⦅長万部、虻田、幌別、様似、浦河、東静内、旭川、その他各地⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycep
- カムイチェプ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(10) kamuy-cep(ka-muy-čep)「カムイチェプ」⦅各地⦆川へ最初に入ってきたサケ。 (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycep
- カムイチェプ §099 ウナギ (4) kamuy-cep(ka-muy-čep)「カムイチェプ」[kamuy(神)cep(魚)]⦅虻田⦆ウナギ。 (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycep pasekur
- カムイチェプ パセクル §073 マスノスケ;オオスケ;クチグロマス;フキマス (5) kamuy-cep pase-kur(ka-múy-cep pa-se-kur)「カむイチェプ パセクル」⦅美幌⦆普通の鮭よりも一回り大きく鱗の光り方も模様も違う。網走川や常呂川では普通の鮭に混じって毎年一尾ぐらいとれる。マスノスケKamuycepのsapa-ne-kurである。これがとれると、下あごの骨をとって生のまま切り刻んで火神(ape-huci)にあげる。 (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycep(h)oma
- カムイチェポマ §480.たまご(卵)(6)鮭の卵 kamuy-cep-(h)oma〔ka-múǐ-čep-ho-ma カむイチェプホマ〕[鮭・卵]⦅チオブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuycepmarewrew
- カムイチェプマレウレウ §145 キアゲハ(成);アゲハ(成) (5) kamuycep-marewrew(ka-múy-čep-ma-rew-rew)「カむイチェプマレウレウ」⦅高島⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycikap
- カムイチカプ 【名】[kamuy-cikap 神・鳥][動物] フクロウ。 〔知分類 p.196 ((ホロベツ)) シマフクロウ〕 {E: an owl (Blakiston's eagle owl (B.)).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuycikap
- カムイチカプ §334 シマフクロウ (1) kamuycikap (ka-múy-či-kap)「カむイチカプ」[<kamuy-cikap(神・鳥)、‘神である鳥’] ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycikappo
- カムイチカッポ 【kamuy-cikappo】 フクロウ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuycikoykip
- カムイチコイキプ §277 くま (2) kamuycikoykip (ka-múy-či-koy-kip)「カむイチコイキプ」[<kamuy(神、クマ)cikoykip(えもの、けもの):<ci(われらが)koyki(とる)-p(もの)] ⦅北海道⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycis
- カムイチシ §295 サカマタ;シャチ (8) kamuycis (ka-muy-cis)「カむイチシ」[<kamuy-cip(神・舟)] ⦅樺太⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuycise
- カムイチセ 【kamuy-cise】 熊の穴. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyciye
- カムイチイェ §107.陰部―男性の性器(6)クマの陰茎 kamuy-ciye〔ka-múǐ-či-je カむイチイェ〕[神・の陰茎]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuyekasi
- カムイエカシ §277 くま (4) kamuy-ekasi (ka-múy-e-ka-si)「カむイエカシ」[<kamuy(神)ekasi(じじい)] ⦅余市⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyekasi
- カムイエカシ §334 シマフクロウ (3) kamuy-ekasi (ka-múy-e-ka-si)「カむイエカシ」[<kamuy(神)ekasi(翁)] ⦅幌別、沙流⦆【雅語】 (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyekasi
- カムイェカシ §013.先祖;祖先(9)kamuy-ekasi〔ka-múǐ-e-ka-ši カむイエカシ〕⦅H.⦆神祖。例えば動物祖先―ビホロのK家のkamuy-ekasiはクマであると。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- kamuyemawri
- カムイエマウリ 【kamuy-emawri】 黒イチゴ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyemawri
- カムイェマウリ §217 クロイチゴ (3) kamuy-emawri (ka-mú-ye-maw-ri)「カむイェマウリ」[神(山の神、熊を指す。)・いちご] 果実 ⦅A千歳⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuyemawri
- カムイェマウリ §220 ウラジロイチゴ (1) kamuy-emawri (ka-mú-ye-maw-ri)「カむイェマウリ」[神(=山の神、熊)・いちご] 果実 ⦅A千歳⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuyepi
- カムイェピ §036 同定未詳のもの (2) kamuy-epi (ka-múy-e-pi)「カむイェピ」[kamuy(神)epi(の食物)] 成魚 ⦅白糠⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyerekus
- カムイエレクシ §093 スケトウダラ (3) kamuy-erekus(ka-múy-e-re-kus)「カむイエレクシ」⦅白糠⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyetomte
- カムイエトムテ 【kamuy-e-tomte】 イヨマンテ(熊送り)の時に熊の頭に飾る宝物のこと.雌熊にはタマサイ(首飾り),雄熊にはエムシ(刀)を飾る. ▷カムイ=熊神 エ=それ トムテ=飾る(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyeweihrah
- カムイエウェイヒラハ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(7) kamuy-eweihrah(ka-múy-e-wé-ih-rah)「カむイエうェイヒラハ」[<kamuy(神)e(に対して)uwe(皆で)ikra(贈る)-p(もの)]⦅多蘭泊⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyhahkasapaaraka
- カムイハハカサパアラカ §443.ずつう(頭痛)(17)海綿の頭痛 kamuy-hahka-sapa-araka〔ka-múǐ-hah-ka-sa-pa-a-ra-ka カむイハハカ・サパアラカ〕[ka-muy-hahka「神・帽」の義、海綿の一種]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuyharu
- カムイハル 【kamuy-haru】 熊の穀物.熊の肉だけを言う.鹿の肉はユクカムと言う.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyharu
- カムイハル §554.にく(肉)(10)クマの肉 kamuy-haru〔ka-múǐ-ha-ru カむイハル〕[kamuy(神)+haru(食糧)]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuyhokuhu
- カムイホクフ 【名】[所](概は未出。 hokuhu ホクフ の概は hoku ホク)[kamuy-hoku-hu 神・ 夫・(所属語尾)] …の神である夫、 …の神のように立派な夫。 a=kamúyhokuhu アカムイホクフ 私の神なる夫=神である私の夫。(W民話) {E: a god-like man.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuyhopunire
- カムイホプニレ 【kamuy-ho-puni-re】 神を神の国へ帰す.▷カムイ=神 ホ=尻 プニ=起こす レ=させる (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyhuci
- カムイフチ 【kamuy-huci】 火の神. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyhum
- カムイフム 【名】[kamuy-hum 神・音] 雷。 kamuyhum as カムイフム アシ 雷が鳴る。 ☆参考 雷が落ちることは kamuy onisposo カムイ オニ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuyhum
- カムイフム 【kamuy-hum】 雷,雷の音. カムイフム アシ ヒ タ アナクネ イルイケ カ ムンヌウェ カ ケメイキ カ ソモ ア・キ ノ オリパク・アン ペ ネ ナ アニー=雷の音のする時には.研ぎものも,ほうきを使うことも,縫い物もしてはならない.謹慎しているものだぞ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyhum as
- カムイフム アシ 【kamuy-hum as】 雷が鳴る. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyhumpe
- カムイフンペ §295 サカマタ;シャチ (9) kamuyhumpe (ka-muy-hum-pe)「カむイフンペ」[<kamuy-humpe(神・クジラ)] ⦅胆振、日高⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyhup
- カムイフプ §413 ハイマツ (3) kamuy-hup (ka-múy-hup)「カむイ・フプ」[神・松] 茎 ⦅長万部⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuyhurep
- カムイフレプ §214 タチイチゴ (4) kamuy-hurep (ka-múy-hu-rep)「カむイフレプ」[神の・いちご] 果実 ⦅荻伏・様似・美幌⦆⦅A十勝川筋・石狩川下流⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuyikoni
- カムイコニ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(5)kamuy-ikoni〔ka-múǐ-i-ko-ni カむイイコニ〕[kamuy(魔神)+ikoni(病)]⦅ニイカップ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuyinotu
- カムイノトゥ §481.たましい;霊魂(11)死者の霊魂 kamuy-inotu〔ka-múǐ-i-no-tu カむイ・イノトゥ〕[kamuy(神、霊)+inotu(死霊)]⦅サル⦆【雅―ユ研Ⅱ, p.330】 (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuyiruska
- カムイルシカ §600.ばち(罰)[が当る](2)kamuy-iruska〔ka-múǐ-i-ruš-ka カむイ・イルシカ〕[kamuy(神が)+i(それ)+ruska(を怒る)]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuyitun(n)ap
- カムイイトゥンナプ §123 アリ 蟻 (20) kamuy-itun(n)ap(ka-múy-i-tun-nap)「カむイイトゥンナプ」⦅足寄⦆ムネアカオオアリ Campontus herculeanus obscuripes MAYR. 足寄I, 48 (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyitunnap
- カムイイトゥンナプ §123 アリ 蟻 (16) kamuy-itunnap(ka-muy-i-tun-nap)「カムイイトゥンナプ」⦅本別⦆大形ののクロアリ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuykamarusa
- カムイカマルサ §006 イワヨモギ カムイヨモギ (3) kamuy-kamarusa (ka-múy-ka-ma-ru-sa)「カむイカマルサ」[神(の)・ヨモギ] 葉 ⦅大泊⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuykampinuyep
- カムイカンピヌイェプ §329 ヒオウギアヤメ (3) kamuy-kampinuyep (ka-múy-kam-pi-nu-yep)「カむイ・カンピヌイェプ」[kamuy(神)kampinuyep(筆)] 花 ⦅幌別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuykarus
- カムイカルシ 【kamuy-karus】 マツタケ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuykem(-i)
- カムイケム §491.血まみれになる(4)kamuy-kem(-i)〔ka-múǐ-kem カむイケム〕〔kamuy(神、=山の神、=クマ)+kem(血)]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuykene
- カムイケネ §307 ミヤマハンノキ (3) kamuy-kene (ka-múy-ke-ne)「カむイケネ」[“神の・ハンノキ”] 茎 ⦅A天塩・上川⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuyketunci
- カムイケトゥンチ 【kamuy-ketunci】 熊の皮. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuykewkina
- カムイケウキナ §057 エゾノカワジサ (2) kamuykew-kina (ka-múy-kew-ki-na)「カむイケウキナ」[kamúy(病魔を)kewé(追う)kiná(草)] 茎葉 ⦅白浦⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuykewkina
- カムイケウキナ §067 エゾハッカ (1) kamuykew-kina (ka-múy-kew-ki-na)「カむイケウキナ」[kamuy(魔)kewe(追う)kina(草)] 茎葉 ⦅名寄⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuyki
- カムイキ §111 クワガタムシ;鍬形虫 (1) kamuy-ki(ka-múy-ki)「カむイキ」クワガタムシの成虫(♂)⦅雪裡⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyki
- カムイキ §112 カミキリムシ (2) kamuy-ki(ka-muy-ki)「カムイキ」⦅屈斜路、雪裡⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuykina
- カムイキナ §367 ザゼンソウ (2) kamuy-kina (ka-múy-ki-na)「カむイ・キナ」[神・草] 葉 ⦅荻伏⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuykina
- カムイキナ §372 オオカサスゲ (5) kamuy-kina (ka-múy-ki-na)「カむイキナ」[kamuy(神[=熊?]kina(草)] 稈 ⦅荻伏⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuykirsam
- カムイキリサム 【kamuy-kir-sam】 神の膝元,神の前. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuykocikasinukar
- カムイコチカシヌカラ 【kamuy-ko-ci-kasinukar】 神からの授かり事,幸運.▷カムイ=神 コ=それ カシ=上 ヌカラ=見る ソンノ オンネプ カシ ア・オイキ コロ アイヌ パテク エヤイコプンテク ペ ソモ ネ ワ カムイコチカシヌカラ アン ペ ネ ナ ヌ ワ オカ ヤン アニー=本当に年寄りの面倒を見ると人間だけが喜ぶものではないものだ,神からの授かり事があるものだから聞いておきなさいよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuykoipuni
- カムイコイプニ 【kamuy-ko-i-puni】 熊送りの時に熊神に食べ物を出す.▷カムイ=神(熊) コ=〜に対して イプニ=配る,出す,食べ物を出す (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuykotan
- カムイコタン 【kamuy-kotan】 神の村:天の上にあると考えられていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuykotan orun oman
- カムイコタン オルン オマン §389.しぬ(死ぬ)(15)死ぬ kamuy-kotan orun oman〔ka-múǐ-ko-tan|o-rún|omán カむイコタン・オるン・オまン〕[神の国へ・行く]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuykoupsorkorpe
- カムイコウプソロコロペ §099.陰部-女性性器の種類(15)黒い長い陰毛がふさふさと生えているもの kamuy-ko-upsor-korpe〔ka-múǐ-ko-ùp-sor-kor-pe カむイコウプソロコロペ〕[神・と同じ・陰部を・もつ・もの]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuykoyayirayke/kamuykoyayrayke
- カムイコヤイライケ 【自動】[kamuy-ko-yayirayke 神・に・感謝する] 神に感謝する。 ☞koyayirayke コヤイライケ、 yayirayke ヤイライケ {E: to be grateful, thankful to the gods.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuykoypak
- カムイコイパク 【kamuy-koypak】 天罰. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuykoytak
- カムイコイタク 【自動】[kamuy-ko-itak 神・に・話す] 神に話す、 祈る。 ☆参考 kamuynomi カムイノミ はおみき(神酒)をあげ、 決まった作法にのっとって祈る儀式をすること、 inonnoytak イノンノイタク はそのようにして祈ること、 kamuykoytak カムイコイタク は神に向かって言葉を言うこと。 「ご健闘を祈ります」のような挨拶や単に「祈念する」という意味には使わない。 ☞koytak コイタク、 itak イタク {E: to pray.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuykoyukar
- カムイコユカラ 【kamuy-ko-yukar】 熊神に聞かせる叙事詩.*熊送りに聞かせるが途中でやめる.続きを聞きに熊神が来てくれることを期待してである. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuykutci
- カムイクッチ §137 マタタビ (5) kamuy-kutci (ka-múy-kut-ci)「カむイクッチ」[kamuy(悪魔)kutci(サルナシ)] 果実 ⦅様似⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuykutcipunkar
- カムイクッチプンカラ §137 マタタビ (9) kamuykutci-punkar (ka-múy-kut-ci-pun-kar)「カむイクッチプンカラ」[マタタビの生える蔓] 茎 ⦅様似⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuymarapto
- カムイマラプト §052.あたま(頭)(16)kamuy-marapto〔ka-múǐ-ma-ràp-to カむイマラプト〕[kamuy(神)+ma-rapto(↑)]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuymaw
- カムイマウ 【名】[kamuy-maw 神・空気/いぶき] 神風。 {E: divine wind.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuymawpunpa
- カムイマウプンパ 【自動】[kamuy-maw-punpa 神・風(が)・…を持ち上げる] 神風に吹き上げられて上がってくる。 kamuy kosonte/kamuymawpunpa/sánasanke カムイ コソンテ/カムイマウプンパ/サナサンケ [雅]立派な小袖が神風に吹き上げられ、 (姉)はそれを取り出した。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuymosir
- カムイモシリ 【kamuy-mosir】 神の国. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuynis/kamuy nis
- カムイニシ 【名】[kamuy-nis 神・空] 神のいる天、 上天。 {E: the heaven; the place where the gods live.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuynisuk
- カムイニスク 【kamuy-nisuk】 神頼みをする.▷カムイ=神 ニスク=頼む *病人がいると神をこしらえて病気を治すようにお願いする. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuynomi
- カムイノミ 【自動】[kamuy-nomi 神・をまつる] カムイノミする(神々におみき(神酒)をあげて祈とうの儀式をする)。 {E: to celebrate the gods with sacred sake.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuynomi
- カムイノミ 【kamuy-nomi】 祈る,神への祈り(をする),祭る,祝詞. テエータ オカ アイヌ アナクネ ポンノ カ サケ コロパ コロ カムイノミ パ プ ネ ア コロカ タネ アナクネ ネノアン イキ カ ア・パンテ ワ イサム=ずうっと前のアイヌは少しでも酒を持つと神への祈りをしたものだが,今はそのようなことも薄められてしまった.図[カムイノミ] (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuynomipa
- カムイノミパ 【自動】[複](kamuynomi カムイノミ は単複の区別なし) (二人以上が皆)神祈とうの儀式をする。 {E: to celebrate the gods with sacred sake (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuynoya
- カムイノヤ §004 オトコヨモギ (2) kamuy-noya (ka-múy-no-ya)「カむイノヤ」[神(の)・もみ草] 葉 ⦅千歳⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuynoya
- カムイノヤ §006 イワヨモギ カムイヨモギ (1) kamuy-noya (ka-múy-no-ya)「カむイノヤ」[神(の)・もみ草] 葉 ⦅E樺太⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuynoya
- カムイノヤ §008 シロヨモギ (6) kamuy-noya (ka-múy-no-ya)「カむイノヤ」[神・もみ草] 葉 ⦅千歳⦆⦅A沙流⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- Kamuynupuri 1
- カムイヌプリ 【名】[< kamuy-nupuri 神・山][地名](山の名)神の山(同名のいくつかの山の一つ、ワテケさんとサダモさんの会話や伝承の中で、沙流川上流の幌尻岳を指す)。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Kamuynupuri 2
- カムイヌプリ 【名】[< kamuy-nupuri 神・山][地名](山の名)神の山 (屈斜路湖の湖畔にあり、 屈斜路コタンの背後を守る神のいる山。 サダモさんによれば現在サツポ山という)。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuypa
- カムイパ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(7)kamuy-pa〔ka-múǐ-pa カむイパ〕[kamuy(魔神)+pa(疱瘡)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuypappuri
- カムイパップリ 【kamuy-pap-puri】 悪癖:神から罰を受けるような悪行をする癖. イッカ アナクネ ネプ アッカリ カムイパププリ ネ ナ.イテキ イッカ・アン ペ ネ ナ.ヌ ワ オカ ヤン=盗みというものは何よりも神に罰せられるものなのだ.絶対に盗みをしてはならないものだ.聞いておきなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyparaki
- カムイパラキ §204 ダニ (3) kamuy-paraki (ka-múy-pa-ra-ki)「カむイパラキ」[<kamuy(熊)paraki(ノミ)] ⦅美幌⦆堅いような、赤く、小さく、丸い(美幌IX, 74) (出典:知里動物編、方言:)
- kamuypir(-i)
- カムイピリ §215.かまいたち(鎌鼬)kamuy-pir(-i)〔ka-múǐ-pir カむイ・ピリ〕[神・傷]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuypirma
- カムイピリマ 【kamuy-pirma】 神の耳うち,神がそっと教えてくれる. →カムイイピリマ (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuypunkar
- カムイプンカラ §160 ツルマサキ (1) kamuy-punkar (ka-múy-pun-kar)「カむイ・プンカラ」[kamuy(神)punkar(蔓)] 茎 ⦅B⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuypunki
- カムイプンキ 【kamuy-punki】 神の守護. タパン ネプキ アムピリ パクノ カ イユニン サクノ シペッテク クニ カムイプンキ アン ペ ネ ナ=この仕事中に爪傷ほどの怪我もなく終わりますように神のご守護があるでありましょう.→カムイノミ (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyrakkip
- カムイラッキプ §107.陰部―男性の性器(3)クマの陰部 kamuy-rakkip〔ka-múǐ-rak-kip カむイラッキプ〕[kamuy(神)+rakki(<ra-ki ぶら下っている)+p(もの)]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuyramaci
- カムイラマチ 【名】[所](概は未出。 ramaci ラマチ の概は ramat ラマッ)[kamuy-ramat-i 神・魂・(所属語尾)] …の神の魂、 …の神のように立派な魂。 {E: a god-like spirit of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuyrametok
- カムイラメトク 【kamuy-ram-etok】 (神のような)度胸. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyrametok
- カムイラメトク §295 サカマタ;シャチ (14) kamuyrametok (ka-múy-ra-me-tok)「カむイラメトク」[<kamuy-rametok(神なる・勇者)] (出典:知里動物編、方言:)
- kamuyranketam
- カムイランケタム 【kamuy-ranke-tam】 神授の刀,神から授かった刀[ユ].▷カムイ=神 ランケ=降ろす タム=刀 (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuyrus
- カムイルシ 【kamuy-rus】 熊の毛皮. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuysake
- カムイサケ 【名】[kamuy-sake 神・酒]上等の酒、 清酒。 ☆参考 焼酎やビールは含まない。 (出典:田村、方言:沙流)
- kamuysapaunni
- カムイサパウンニ 【名】[kamuy-sapa-un-ni 熊・頭・そこにある・木] クマの頭をのせる木(熊送りしたあと、 家の東側にある祭壇に、 クマの頭蓋骨を木の枝にのせておく、 その木を言う)。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuysasi
- カムイサシ §021.子(32)kamuy-sasi〔ka-múǐ-sa-ši カむイサシ〕⦅ホロべツ⦆混血児。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- kamuysasimi
- カムイサシミ 【kamuy-sasimi】 神の落とし子,落胤. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuysis
- カムイシシ §112 カミキリムシ (3) kamuy-sis(ka-muy-sis)「カムイシシ」⦅美幌⦆カミキリ科 Cerambycidae spp. (出典:知里動物編、方言:)
- kamuysiwpe
- カムイシウペ §485.たんのお(胆嚢)(4)クマの胆嚢 kamuy-siwpe〔ka-múǐ-siŭ-pe カむイ・シウペ〕[神の・胆嚢]⦅ナヨロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuysiyeye
- カムイシイェイェ §598.はしか(麻疹)(1)kamuy-siyeye〔ka-múǐ-ši-je-je カむイ・シイェイェ〕[kamuy(神、魔)+siyeye(病)]⦅ハルトリ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuysiyeye
- カムイシイェイェ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(4)kamuy-siyeye〔ka-múǐ-ši-je-je カむイシイェイェ〕[kamuy(魔神)+siyeye(病気)]⦅チカブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuysopki
- カムイソプキ 【kamuy-sopki】 神の寝床:囲炉裏の中. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuysorma
- カムイソロマ §425 ゼンマイ (2) kamuy-sorma (ka-múy-sor-ma)「カむイ・ソロマ」 葉 ⦅屈斜路、名寄⦆⦅A千歳・鵡川・上川⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuysowa
- カムイソワ §122 スズメバチ (11) kamuy-sowa(ka-muy-so-wa)「カムイソワ」⦅足寄⦆伝説中の大バチ、大きなクマもとるハチ (出典:知里動物編、方言:)
- kamuysupki
- カムイスプキ §377 エゾアブラガヤ (1) kamuy-supki (ka-múy-sup-ki)「カむイ・スプキ」[神・ヨシ] 茎葉 ⦅幌別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuytasum(-i)
- カムイタスム §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(2)kamuy-tasum(-i)〔ka-múǐ-ta-sum カむイタスム〕[kamuy(魔神)+tasum(病)]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuytat
- カムイタッ 【kamuy-tat】 エゾノダケカンバ,ダケカンバ. (出典:萱野、方言:沙流)
- Kamuytat
- カムイタッ §308 エゾノダケカンバ (1) Kamuy-tat (ka-múy-tat)「カむイ・タッ」[神の・樺皮] 樹皮 ⦅美幌、屈斜路、足寄⦆⦅A十勝・沙流・鵡川・千歳、など⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuytatni
- カムイタッニ §308 エゾノダケカンバ (2) kamuy-tat-ni (ka-múy-tat-ni)「カむイ・タッニ」[同上樹皮のとれる木] 茎 ⦅美幌、屈斜路、足寄⦆⦅A十勝・沙流・鵡川・千歳、など⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- kamuytekkot
- カムイテッコッ 【kamuy-tek-kot】 蒙古斑.▷カムイ=神 テク=手 コッ=跡 →生まれる時に神が押した手の跡 *蒙古斑のない子供は神が汚がって手をつけなかったので長生きしないと言う. (出典:萱野、方言:沙流)
- Kamuyto
- カムイト 【名】[< kamuy-to 神・湖沼][地名] 摩周湖(ましゅうこ)。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuytupir(-i)
- カムイトゥピリ §063.あばた(痘痕)(1)kamuy-tupir(-i)〔ka-múǐ-tu-pír カむイ・トゥピリ〕[kamuy(神)+tupir(きずあと)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kamuyyukar
- カムイユカラ 【名】[kamuy-yukar 神・叙事詩] 神謡(神または動物が主人公で、 その自叙になっている、 歌われる叙事詩)。 ☆参考 主人公は動物神が多い。 一行ごとまたは数行に一度、 一定の折り返し(リフレイン)が入る。 これを sákehe サケヘ という。 ☞sákehe サケヘ ☆発音 沙流川下流のワテケさん、 サダモさんの方言ではしばしば kamuy カムイ と yukar ユカラ が融合して y が一つ落ち、 kamuyukar カムユカラ と発音される。 上流の奥の上田としさんは kamuy-yúkar カムイユカラ と、 二語のように発音する。 ☆参考 沙流川中流の二風谷の人々はこれを menoko-yúkar メノコユカラ と呼ぶ。 ☞menoko-yúkar メノコユカラ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuyyukar
- カムイユカラ 【kamuy-yukar】 神謡:神が自らのことを語る話.*サケへという繰り返し言葉がついている.(萱野茂『カムイユカラと昔話』小学館) (出典:萱野、方言:沙流)
- kannakamuy
- カンナカムイ 【kanna-kamuy】 雷神,龍.▷カンナ=上 カムイ=神 *アイヌは雷のことを龍と呼んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kannakamuy
- カンナカムイ §426 マムシ 蛇神(1) kanna-kamuy (kán-na-ka-muy)「かンナカムイ」[<kanna(上方の)kamuy(神)] ⦅北海道・樺太一般⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kannakamuy onisposo
- カンナカムイ オニシポソ 【kanna-kamuy o-nis-poso】 落雷(する).▷カンナカムイ=雷 オ=それへ ニシ=雲 ポソ=潜る (出典:萱野、方言:沙流)
- kantorikamuy
- カントリカムイ 【kanto-ri-kamuy】 雨と雪を作る神[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- kapatcirkamuy
- カパッチリカムイ §339 オオワシ (2) kapatcir-kamuy (ka-pát-čir-ka-muy)「カぱッチリカムイ」[kapatcir(ワシ)kamuy(神)] ⦅美幌⦆(北IV, 67) (出典:知里動物編、方言:)
- kasikamuy/kasikamuye(he)
- カシカムイ/カシカムイェ(ヘ) 【kasi-kamuy/-kamuye(he)】 憑き神. カシカムイ ピリカ=憑き神がよい.カシカムイユプケ=憑き神が強い. (出典:萱野、方言:沙流)
- kasikamuyeyupke
- カシカムイエユプケ 【kasi-kamuy e-yupke】 運が強い. (出典:萱野、方言:沙流)
- kaskamuy
- カシカムイ 【名】[概](所は kaskamuye カシカムイェ) [kasi-kamuy その上・神] 憑き神。 ☆参考 kasikamuy カシカムイ の i イ が落ちた形。 {E: a possessive spirit.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kaskamuy(-e)
- カシカムイ §481.たましい;霊魂(23)霊魂;憑神 kaskamuy(-e)〔káš-ka-muǐ かシカムイ〕[kas(表面の?)+kamuy(神、魂)]⦅ホロべツ、クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kaskamuye(he)
- カシカムイェ(ヘ) 【名】[所](概は kaskamuy カシカムイ) …の憑き神(個人の)。 kaskamuye wen/pon cikisani カシカムイェ ウェン/ポン チキサニ 憑き神がよくない小さいハルニレの木。(Sユーカラ) {E: a possessive spirit of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kasoyakamuy
- カソヤカムイ §122 スズメバチ (16) ka-soya-kamuy(ka-só-ya-ka-muy)「カそヤカムイ」[<ka(糸)soya(蜂)kamuy(神)]⦅本別⦆モンスズメバチ(井上8)si-s.を♂、ka-s.を♀と思っている。 (出典:知里動物編、方言:)
- ke(y)sasi-koro-kamuy
- ケイサシコロカムイ §270 キタキツネ、きつね (13) ke(y)sasi-koro-kamuy (ké(y)-sa-si-ko-ro-ka-muy)「けイサシコロカムイ」[<keysasi(?)koro(もつ)kamuy(神)] ⦅樺太⦆【雅】Kindaichi, KKI, pp. 12, 113 (出典:知里動物編、方言:)
- kemakosnekamuy
- ケマコシネカムイ 【kema-kosne-kamuy】 狐.▷ケマ=脚 コシネ=軽い カムイ=神 (出典:萱野、方言:沙流)
- kemramkamuy
- ケムラムカムイ 【kemram-kamuy】 飢饉を司る神:村が飢饉になるのは,飢饉を司る神が村へ来るからと考えていた. ケムラムカムイ アナクネ ポロ ワ オケレ クンネ チカプ ネ プ ネ シコロ ウウェベケレ オッタ(オロ タ) ア・ポロセ プ ネ=飢饉を司る神というものは大きい大きい黒い鳥の姿をしているものだと昔話の中では描写されているものだ.*飢饉になるのは飢饉を司る神がいて,川からは魚を消してしまい山からは獲物をなくするものとアイヌは考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- kenasiorunkamuy
- ケナシオルンカムイ §277 くま (70) kenasi-orun-kamuy (ke-ná-si-o-run-ka-muy)「ケなシオルンカムイ」[<kenasi(川岸の原)or(の中)un(に出て来た)kamuy(神)] ⦅屈斜路⦆川岸の木原に出てきたクマ (出典:知里動物編、方言:)
- kenrupa ta horari kamuy
- ケンルパ タ ホラリ カムイ 【kenru-pa ta ho-rari kamuy】 家の東に鎮座する神:丁寧に言う場合の言い方.▷ケンル=家 パ=頭=上の方 タ=に ホ=自ら ラリ=詰める=鎮座 カムイ=神 ケンルパタ ホラリ カムイ チセコロカムイ ク・ノミ ナー=家の頭(上座)の方に鎮座する神,家の守護神を私は祭るよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kimotpe kamuy
- キモッペ カムイ 【名】[動物][kim-ot-pe-kamuy 山・についている・もの・神] キツネ(「イナリ」、 神として呼ぶときに言う)。(S)〔知分類 p.144 kimotpe キタキツネ;きつね((クッチャロ))〕 {E: a fox.} (出典:田村、方言:沙流)
- kimunkamuy
- キムンカムイ 【名】[動物][kim-un-kamuy 山・にいる・神](=kimun-kamuy キムン カムイ) 山の神=熊。 ☆参考 最も正式な呼び名。 通常簡単に言うときは kamuy カムイ と言う。 ほかに kamuy-caca カムイチャチャ《神/熊・じいさん》のような呼び方もある。 ☆参考 合成語の要素としては yuk ユク が熊を表すことがある。 ☆参考 kucan クチャン 雌熊、 síyuk シユク 雄熊、 heper ヘペレ 子熊、 pewrep 同(呼び名)、 wenkamuy ウェンカムイ ばけもの(悪い熊を悪く言う呼び名)、 nupurikesun cáca ヌプリケスン チャチャ 山すそのじじい(最もたちの悪い熊の呼び名)、 そのほか、 昔は熊の年齢・性別・性質・それに対する話者の気持ちなどによっていろいろな名称が使い分けられていたらしい。 〔知分類 p.151〕 {E: a mountain god; a bear.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kimunkamuy
- キムンカムイ 【kim-un-kamuy】 熊,ヒグマ.▷キム=山に ウン=住む カムイ=神 (出典:萱野、方言:沙流)
- kimunkamuy
- キムンカムイ §277 くま (6) kimun-kamuy (ki-mún-ka-muy)「キむンカムイ」[‘山の神’;<kim(山)un(にいる)kamuy(神)] ⦅北海道、多蘭泊⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kimunkamuy toho
- キムンカムイ トホ §494.ちち(乳);乳房(12)山の神の乳房 kimun-kamuy toho〔キむンカムイ・とホ〕[kim(山)+un(の)+kamuy(神)+toho(の乳房)]→前項注。 (出典:知里人間編I、方言:)
- kimunkamuykoupsorkorpe
- キムンカムイコウプソロコロペ §099.陰部-女性性器の種類(14)黒い長い陰毛がふさふさと生えているもの kimunkamuy-ko-upsor-kor-pe〔ki-múŋ-ka-muǐ-ko-ùp-sor-kor-pe キむンカムイコうプソロコロペ〕[kimunkamuy(山の神、=熊)+ko(と同じ)+upsor(陰部を)+kor(持つ)+pe(もの)]⦅ホべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kimunkamuypohurayep
- キムンカムイポフライェプ 【kim-un-kamuy-po huraye-p】 2月に降る雨.*山の神熊の子供を洗う雨. (出典:萱野、方言:沙流)
- kinasutkamuy
- キナスッカムイ 【kina-sut-kamuy】 蛇.▷キナ=草 スッ=根元 カムイ=神 (出典:萱野、方言:沙流)
- kinasutkamuy
- キナスッカムイ §422 アオダイショウ (8) kinasut-kamuy (ki-ná-sut-ka-muy)「キなスッカムイ」[<草の根もとの・神]] ⦅沙流⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kopetturasi kamuy isam
- コペットゥラシカムイイサム 【ko-pet-turasi kamuy-isam】 かなう神はいない,勝つことのできる神はいない. ▷コペットゥラシ=かなわない,勝てない カムイ=神 イサム=いない *コペットゥラシを,勝つ,負けるに使う場合は前後の言葉が必要である.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- korokorokamuy
- コロコロカムイ §177 コオロギ類 (4) korokoro-kamuy(ko-ró-ko-ro-ka-muy)「コろコロカムイ」[コロコロと鳴く神]⦅本別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kosnekamuy
- コシネカムイ 【kosne-kamuy】 位の低い神. コシネカムイ ネ コロカ エイタサ アンオホロ イワク ルスイ ノイネ ク・ウェンタラプ ナ ニサッタ ア・イワクテ ロー=位の低い神ではあるけれどあまり永くいすぎて帰りたいらしい夢を私は見たので,明日帰すことにしよう(アイヌが自分の手で作った神を神の国へ送り帰すと称して解体することを,カムイイワクテあるいはカムイホプニレという). (出典:萱野、方言:沙流)
- kotankarkamuy
- コタンカラカムイ 【kotan-kar-kamuy】 アイヌの国土を作った神様. (出典:萱野、方言:沙流)
- kotankorkamuy
- コタンコロカムイ 【kotan-kor-kamuy】 シマフクロウ,フクロウ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kotankorkamuy
- コタンコロカムイ §334 シマフクロウ (7) kotan-kor-kamuy (ko-tán-kor-kamuy)「コたンコロカムイ」[<kotan(村)kor(所有する)kamuy(神)、村を守護する神] ⦅幌別、沙流、屈斜路、美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kunnecupkamuy
- クンネチュプカムイ 【kunne-cup-kamuy】 月. (出典:萱野、方言:沙流)
- kunnekamuy
- クンネカムイ §424 カラスヘビ(方言);シマヘビの変種 (4) kunne-kamuy (kún-ne-ka-muy)「くンネカムイ」[<黒い・神] ⦅千歳、美幌、屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kunnerekkamuy
- クンネレッカムイ §335 エゾフクロウ (1) kunne-rek-kamuy (kún-ne-rek-ka-muy)「くンネレッカムイ」[kunne(夜)rek(鳴く)kamuy(神)] ⦅美幌、屈斜路、塘路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kutkorkamuy
- クッコロカムイ 【kut-kor-kamuy】 断崖の神.*昔話の中に,息子を呪う父親が断崖へ息子を突き落とすがクッコロカムイがそれを助けるという話が出て来る. (出典:萱野、方言:沙流)
- mekamuykor
- メカムイコロ §833.リウマチ(5)リウマチにかかる me-kamuy-kor〔mé-ka-muǐ-kor め・カムイ・コロ〕[me(寒さ〔の〕)+kamuy(神〔を〕)+kor(もつ)]⦅アイヌ医事談, p.104⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- metoskamuy
- メトシカムイ §277 くま (10) metos-kamuy (me-tós-ka-muy)「メとシカムイ」[<metot-us-kamuy] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- metotkamuy
- メトッカムイ §277 くま (11) metot-kamuy (me-tót-ka-muy)「メとッカムイ」 ⦅春採⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- metotuskamuy
- メトトゥシカムイ 【metot-us-kamuy】 熊神,奥山の神.▷メトッ=奥山 ウシ=いる カムイ=神 (出典:萱野、方言:沙流)
- metotuskamuy
- メトトゥシカムイ §277 くま (9) metotus-kamuy (me-tó-tus-ka-muy)「メとトゥシカムイ」[‘山の奥にいる神’<metot(奥山)us(におられる)kamuy(神)] ⦅北海道⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- mintarkorkamuy
- ミンタラコロカムイ 【mintar-kor-kamuy】 外庭をあずかる神様.*物を洗った水を外へ持って出て捨てる時に,シクチュプ(目を瞑って)と声をかけてから捨てるもの.そう言わないとミンタラコロカムイの目に入っては神さまに申し訳がないので必ず声をかけることにしている. (出典:萱野、方言:沙流)
- mkekamuy
- オムケカムイ §404 (その他の鳥名) omke-kamuy (óm-ke-ma-muy)「おムケカムイ」[<omke(ゴホンゴホンという、咳をする、しわぶく)kamuy(神)] ⦅名寄⦆風邪の神。流行病の神。 (出典:知里動物編、方言:)
- mokorokamuy ki
- モコロカムイ キ §389.しぬ(死ぬ)(17)死ぬ mokoro-kamuy ki〔mo-kó-ro-ka-mùǐ|kíǐ モこロカムイ・きー〕[眠り神を・する]⦅S.⦆【雅―PIL, p.236】 (出典:知里人間編I、方言:)
- mosecepkamuy
- モセチェプカムイ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(36) mose-cep-kamuy(mó-se-čep-ka-muy)「もセチェプカムイ」[<mose(草刈る)cep(魚)kamuy(神)、‘草を刈る魚神さま’]⦅東静内⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- mosir-kar-kamuy
- モシリカラカムイ 【名】[mosir-kar-kamuy 国/地・をつくる・神] 国づくりの神。 {E: the god who makes the land.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- mosirkorkamuy
- モシリコロカムイ §334 シマフクロウ (8) mosir-kor-kamuy (mo-sír-kor-ka-muy)「モしリコロカムイ」[<mosir(国土)kor(を所有する)kamuy(神)] ⦅幌別⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
- munnoskeunkamuy
- ムンノシケウンカムイ §422 アオダイショウ (9) munnoskeunkamuy (mún-nos-ke-un-kamuy)「むンノシケウンカムイ」[<mun-noske-un-kamuy(草むら・の中・にいる・神)] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- munoskunkamuy
- ムノシクンカムイ §422 アオダイショウ (10) munoskunkamuy (mú-nos-kun-ka-muy)「むノシクンカムイ」[<mun-noske-un-kamuy] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- muntumoinkarkamuy
- ムントゥモインカラカムイ §422 アオダイショウ (11) muntum-oinkarkamuy (mún-tum o-in-kar-ka-muy)「むントゥモインカラカムイ」[<mun(草)tum(中)o(で)inkar(見る)kamuy(神)] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- newsarkamuy
- ネウサラカムイ 【newsar-kamuy】 話し相手の神:熊を獲った時に夕方などで解体できない場合,明朝まで熊神の話し相手になってくださいと頼む神. 図[ネウサラカムイ] (出典:萱野、方言:沙流)
- niknekamuy
- ニクネカムイ 【nikne-kamuy】 鬼.*想像上の生き物ではあるがその大きさは桁外れに大きく,鯨1頭を右手の指先へひっかけ,人間の大人3人を小脇に抱えて岩山をすたすた登って行くという具合である(萱野茂『カムイユカラと昔話』62頁). (出典:萱野、方言:沙流)
- nininkepkamuy
- ニニンケプカムイ §115 ヘイケボタル (3) nininkep-kamuy(ni-nin-kep-ka-muy)「ニニンケプカムイ」⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- nininkepkamuy
- ニニンケプカムイ §115 ヘイケボタル (6) nininkep-kamuy(ní-nin-kep-ka-muy)「にニンケプカムイ」⦅美幌⦆ビIX, 76 (出典:知里動物編、方言:)
- ninninkekamuy
- ニンニンケカムイ §115 ヘイケボタル (1) ninninke-kamuy(nín-nin-ke-ka-muy)「にンニンケカムイ」⦅足寄⦆ホタル (出典:知里動物編、方言:)
- nitatorunnitnekamuy
- ニタトルンニッネカムイ §426 マムシ 蛇神(4) nitatorun-nitnekamuy (ni-tá-to-run-nit-ne-ka-muy)「ニたトルンニッネカムイ」[<nitat-or-un-nitne-kamuy(湿原・内・にいる・悪い・神) ⦅幌別⦆【雅】湿地の魔神、竜蛇、蛇体の魔神(アイヌ神謡集, p. 66) (出典:知里動物編、方言:)
- nitnekamuy
- ニッネカムイ ☞nitne ニッネ ② (出典:田村、方言:沙流)
- niyaskorkamuy
- ニヤシコロカムイ §334 シマフクロウ (10) niyas-kor-kamuy (ni-yás-kor-ka-muy)「ニやシコロカムイ」[<ni-has-kor-kamuy(木・条・もつ・神)]シマフクロウ(コ160, B説327) (出典:知里動物編、方言:)
- numauskamuy
- ヌマウシカムイ §157 毛虫 (4) numa-us-kamuy(nu-má-us-ka-muy)「ヌまウシカムイ」[numa(毛)us(多生している)kamuy(神)] ⦅千歳⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- nupurikamuy
- ヌプリカムイ §277 くま (13) nupuri-kamuy (nu-pú-ri-ka-muy)「ヌぷリカムイ」 (出典:知里動物編、方言:)
- nupurikesunkamuy
- ヌプリケスンカムイ §277 くま (16) nupuri-kes-un-kamuy (nu-pú-ri-kes-un-ka-muy)「ヌぷリケスンカムイ」[<nupuri(山)kes(しもて)un(にいる)kamuy(神)] ⦅北海道⦆‘あらグマ’(方言:ひぐま)の神名 (出典:知里動物編、方言:)
- nupurikor-kamuy
- ヌプリコロカムイ 【名】[山を持つ・神] 山の神、 山を領有し守っている神(頂上に住む、 人には見えない、 立派な家に住む)。(S) {E: the mountain god.} (出典:田村、方言:沙流)
- nupurikorkamuy
- ヌプリコロカムイ §277 くま (12) nupuri-kor-kamuy (nu-pú-ri-kor-ka-muy)「ヌぷリコロカムイ」[‘山を支配する神’;<nupuri(山)kor(もつ)kamuy(神)] ⦅北海道⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- nupurinoskiunkamuy
- ヌプリノシキウンカムイ §277 くま (14) nupuri-noski-un-kamuy (nu-pú-ri-nos-ki-un-ka-muy)「ヌぷリノシキウンカムイ」[<nupuri(山)noski(まん中)un(にいる)kamuy(神)] ⦅北海道⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- nupuripakorkamuy
- ヌプリパコロカムイ §269 オオカミ (8) nupuripakorkamuy (nu-pú-ri-pa-kor-ka-muy)「ヌぷリパコロカムイ」[<nupuri(山)pa(かみて)kor(支配する)kamuy(神)] ⦅幌別⦆オオカミの神としての名 (出典:知里動物編、方言:)
- nusakorkamuy
- ヌサコロカムイ §426 マムシ 蛇神(3) nusa-kor-kamuy (nu-sá-kor-ka-muy)「ヌさコロカムイ」[<nusa-kor-kamuy(幣場を・所有する・神)] ⦅幌別⦆上座の窓の外にある弊場を支配する神[=nusa-kor-huci.] (出典:知里動物編、方言:)
- oanraykamuy
- オアンライカムイ §481.たましい;霊魂(16)永久によみががえらぬ霊魂 oan-ray-kamuy〔o-án-raǐ-ka-muǐ オあン・ライカムイ〕[<oar(全く)+ray(死んだ)+kamuy(霊魂)]⦅サル⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- okaskamuysak
- オカシカムイサク 【o-kas-kamuy-sak】 運がない.▷オ=それに カシカムイ=憑き神 サク=ない (出典:萱野、方言:沙流)
- okikurmikamuy
- オキクルミカムイ 【okikurmi kamuy】 オキクルミ神:アイヌに生活文化を教えた神の名.*沙流川に降臨したということでオキクルミの砦伝説などがある. (出典:萱野、方言:沙流)
- onnekamuy
- オンネカムイ §277 くま (75) onne-kamuy (ón-ne-ka-muy)「おンネカムイ」[<onne(老いている)kamuy(神)] ⦅美幌⦆親グマ(pon-kamuy子グマに対して言う) (出典:知里動物編、方言:)
- onnekamuy
- オンネカムイ §278 あざらし (32) onne-kamuy (ón-ne-ka-muy)「おンネカムイ」[‘老大な・神’] ⦅白浦⦆フイリアザラシの成体 (出典:知里動物編、方言:)
- onnemamuy
- オンネカムイ §281 オットセイ (1) onne-mamuy (ón-ne-ka-muy)「おンネカムイ」[<onne(老大な)kamuy(神)] ⦅多来加⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- onneyakorkamuy
- オンネヤコロカムイ §205 クモの類 (13) onne-yakorkamuy (ón-ne-ya-kor-kamuy)「おンネヤコロカムイ」[<onne(大きい)ya(網)kor(持つ)kamuy(神)] ⦅美幌⦆クモの一種(美幌VII, 15) (出典:知里動物編、方言:)
- onrupuskamuy
- オンルプシカムイ §269 オオカミ (4) onrupus-kamuy (ón-ru-pus-kamuy)「おンルプシカムイ」[onrupus(狩をする)kamuy(神)] ⦅美幌、屈斜路、春採、白糠、伏古⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- oraunkur kamuy
- オラウンクルカムイ §324 ヨタカ (2) oraunkur kamuy (o-rá-un-kur-ka-muy)「オらウンクルカムイ」[<o-ra-un-kur(地下界から来る神;あの世の神;-kurは今‘ひと’‘おかた’などの意になっているので、さらにていねいに-kamuyをつけてよぶ) ⦅屈斜路、美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- oripakkamuy
- オリパッカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(13)疱瘡神 oripak-kamuy〔o-rí-pak-ka-muǐ オりパクカムイ〕[oripak(恐しい)+kamuy(魔神)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- orirokamuy
- オりロカムイ §423 シマヘビ (2) orirokamuy (o-rí-ro-ka-muy)「オりロカムイ」[<o-rir-o-kamuy(背面に・波・ついている・神)] ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- otottouskamuy
- オトットウシカムイ §277 くま (43) otottous-kamuy (o-tót-to-us-ka-muy)「オとットウシカムイ」[<o-totto-us-kamuy(ちぶさのついている神)] ⦅幌別⦆めグマ (出典:知里動物編、方言:)
- oyakamuykara
- オヤカムイカラ §184.顔つきがぼおとしている(2)顔つきがキツネなどに憑かれたようにぼおとしている oya-kamuy-kara〔o-já-ka-muǐ-ka-ra オや・カムイ・カラ〕[異・神・憑く]⦅マオカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- paketunaskamuy
- パケトゥナシカムイ 【pake-tunas-kamuy】 火の神:口の早い神. アペフチカムイ アナクネ シンナ レヘ パケトゥナシカムイ シコロ カ ア・イェ プ ネ=火の神を別の呼び名を口の早い神ともいう. (出典:萱野、方言:沙流)
- pákorkamuy
- パコロカムイ 【名】[pa-kor-kamuy 伝染病の気・を持つ・神] 天然痘の神、 疱瘡(ほうそう)神。 {E: the god of smallpox.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- pakorkamuy
- パコロカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(11)疱瘡神 pa-kor-kamuy〔pá-kor-ka-muǐ ぱコロカムイ〕[pa(年を)+kor(支配する)+kamuy(魔神)]⦅H.⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- parkewcikapkamuy
- パラケウチカプカムイ §300 かけす、ミヤマカケス (5) parkew-cikap-kamuy (pár-kew-či-kap-ka-muy)「ぱラケウチカプカムイ」 ⦅屈斜路⦆(コ172<par-kewsut) (出典:知里動物編、方言:)
- parkewkamuy
- パラケウカムイ →パラケウ (出典:萱野、方言:沙流)
- pasekamuy
- パセカムイ 【pase kamuy】 位の高い神. (出典:萱野、方言:沙流)
- paskurkamuy
- パシクルカムイ §424 カラスヘビ(方言);シマヘビの変種 (1) paskur-kamuy (pas-kur-ka-muy)「ぱシクルカムイ」[<からす・神] ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- patumkamuy
- パトゥムカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(12)疱瘡神 patum-kamuy〔pá-tum-ka-muǐ ぱトゥムカムイ〕[patum(疱瘡)+kamuy(魔神)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- Pawci-kamuy
- パウチカムイ 【名】「人を気違いにする」神(天の susuranpeci ススランペチ に住む)。(S) {E: a god.} (出典:田村、方言:沙流)
- payekaykamuy
- パイェカイカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(15)疱瘡神 payekay-kamuy〔pa-jé-kaǐ-ka-muǐ パいぇカイカムイ〕[payekay(旅行する)+kamuy(魔神)]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- paykarkamuy
- パイカラカムイ §277 くま (76) paykar-kamuy (páy-kar-ka-muy)「ぱイカラカムイ」[<paykar(春)kamuy(神)] ⦅美幌⦆春先にとったクマ (出典:知里動物編、方言:)
- payokakamuy
- パヨカカムイ 【payoka-kamuy】 病気の神様,流行病,天然痘,疱瘡. コタン アパパ タ アユシニカムイ ア・ニスク ワ ア・アヌ コロ パヨカカムイ カ コタノルン(コタン オルン) アフン ニューケシ=村の入り口の向こう側にとげつきの神を頼んで置くと病気の神も村へ入ることができない. (出典:萱野、方言:沙流)
- payokakamuy
- パヨカカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(16)疱瘡神 payoka-kamuy〔pa-jó-ka-ka-muǐ パよカカムイ〕[payoka(旅行する)+kamuy(魔神)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- peker-kamuy
- ペケレ カムイ 【名】善い神。 ☆参考 『音声資料』では「明神」と直訳した。 ☆参考 nitne-kamuy ニッネ カムイ 悪い/凶暴な神。 wenkamuy ウェンカムイ は一般に悪い神、 ばけもの。 (出典:田村、方言:沙流)
- ponasketanne repunkamuy
- ポナシケタンネ レプンカムイ 【pon-aske-tanne rep-un-kamuy】 シャチ[ユ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- poncici (kamuy)
- ポンチチ (カムイ) 【poncici】 ネコヤナギ.▷ポン=小さい チュチュ=犬 →ポンチチになる →小さい犬の神 *手のひらにのせて握ったりゆるめたりするとネコヤナギは動くものである. (出典:萱野、方言:沙流)
- ponmururunkamuy
- ポンムルルンカムイ §304 アオジ (2) pon-mururun-kamuy (pón-mu-ru-run-ka-muy)「ぽンムルルンカムイ」[<pon-murur-un-kamuy(小さい・ハマニンニクのやぶ・にいる・神)] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- poysirariwakkamuy
- ポイシラリワクカムイ §299 ハシボソガラス (7) poysirariwak-kamuy (póy-si-ra-ri-wak-ka-muy)「ぽイシラリワクカムイ」[<pon-sirariwak-kamuy] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- poysoya-kamuy
- ポイソヤカムイ 【名】[pon-soya-kamuy 小さい・ハチ・神][動物] ミツバチ。 poysoya-kamuy suy kapocá nonno ka pokusó nonno ka suy kotuk wa oka, tópen uske uyna rusuy kusu he ポイソヤカムイ スイ カポチャ ノンノ カ ポクソ ノンノ カ スイ コトゥク ワ オカ、 トペン ウシケ ウイナ ルスイ クス ヘ ミツバチがまたカボチャの花やクローバーの花にまた止まっている、 甘いところ(蜜)がほしいからか。(S) ☆参考 利口なもんだ、 神のうちに入る、 葬式の日には頭に白い鉢巻をして悔やみに来る。(S)〔知分類 p.87 póy-soyay ((ホロベツ))小形のハチ〕 {E: a honeybee.} (出典:田村、方言:沙流)
- ramutunaskamuy
- ラムトゥナシカムイ 【ramu-tunas-kamuy】 便所の神.▷ラム=思い トゥナシ=早い カムイ=神 (出典:萱野、方言:沙流)
- rankekantokorkamuy
- ランケカントコロカムイ 【ranke-kanto-kor-kamuy】 下の方の天を司る神. (出典:萱野、方言:沙流)
- rapuskamuy
- ラプシカムイ §426 マムシ 蛇神(10) rap-us-kamuy (rá-pus-ka-muy)「らプシカムイ」[<羽・生えている・神] ⦅名寄⦆竜蛇 (出典:知里動物編、方言:)
- raykamuy
- ライカムイ 【名】[ray-kamuy 死ぬ/死んだ・神]死者の魂(「人の死んだ魂、 行くとこ行かれなくているもの、 ムネンボトケとかいうの」)。(S) raykamuy arkare ライカムイ アラカレ 行くところに行かれない死者の魂が「やまして」(=痛めつけて)いるんだ。(S) ☆参考 「ゆうれい(幽霊)」の訳語として出た。 {E: the spirit, soul of a dead person.} (出典:田村、方言:沙流)
- raykamuy
- ライカムイ 【ray-kamuy】 幽霊. (出典:萱野、方言:沙流)
- raykamuy(-e)
- ライカムイ §481.たましい;霊魂(3)「死者の」霊魂 ray-kamuy(-e)〔ráǐ-ka-muǐ らイカムイ〕[ray(死んだ)+kamuy(神、霊)]⦅H. S.⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- raykamuyiruskatasum(-i)
- ライカムイルシカタスム §505.ちゅうぶう(中風)(5)中風 raykamuy-iruska-tasum(-i)〔ráǐ-ka-muǐ|i-rúš-ka|ta-súm らイカムイ・イるシカ・タすム〕[死霊が・怒った・病気]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- raykamuykar
- ライカムイカラ §505.ちゅうぶう(中風)(2)中風で倒れる;半身不随になる raykamuykar〔ráǐ-ka-muǐ-kar らイカムイ・カラ〕[ray-kamuy(死者の霊)+kar(に当る+にぶつかる)]⦅クッシャロ⦆→(1)注。 (出典:知里人間編I、方言:)
- raykamuykina
- ライカムイキナ §337 キジカクシ (6) raykamuy-kina (ráy-ka-muy-ki-na)「らイカムイキナ」[死神(幽霊)・草] 茎葉 ⦅穂別⦆⦅A千歳・鵡川・沙流⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- rekutumpekorkamuy
- レクトゥンペコロカムイ §277 くま (80) rekutumpe-kor-kamuy (re-kú-tum-pe-kor-ka-muy)「レくトゥンペコロカムイ」[<rekutumpe(首輪)kor(もつ)kamuy(神)] ⦅美幌⦆月の輪を持っているクマ (出典:知里動物編、方言:)
- repariyaonnekamuy
- レパリヤオンネカムイ §278 あざらし (37) repa-riya-onnekamuy (re-pá-ri-ya-on-ne-ka-muy)「レぱリヤオンネカムイ」 ⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- reporunkamuy
- レポルンカムイ §295 サカマタ;シャチ (3) reporunkamuy (re-pó-run-ka-muy)「レぽルンカムイ」[<rep-or-un-kamuy(沖・中・にいる・神)] ⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- reporuntakamuy
- レポルンタカムイ §295 サカマタ;シャチ (4) reporuntakamuy (ro-pó-run-ta-ka-muy)「レぽルンタカムイ」[<rep-or-un-ta-kamuy(沖にいる神)] ⦅多蘭泊⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- reptakamuy
- レプタカムイ §295 サカマタ;シャチ (2) reptakamuy (rép-ta-kamuy)「れプタカムイ」[<rep(沖)ta(の)kamuy(神)]⦅藻汐草⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- repunkamuy
- レプンカムイ 【名】[rep-un-kamuy 沖・にいる・神][動物] シャチ。 ☆参考 「サジ。 沖の王。 五、 六尺。 鯨でもシャチにかかってぶっとばされる。 どんなことあっても手つけない。 」 (S) {E: a killer whale.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- repunkamuy
- レプンカムイ 【repun kamuy】 シャチ. (出典:萱野、方言:沙流)
- repunkamuy
- レプンカムイ §295 サカマタ;シャチ (1) repunkamuy (re-pún-ka-muy)「レぷンカムイ」[<rep(沖)un(にいる)kamuy(神)] ⦅北海道、樺太⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- repunkamuy totto
- レプンカムイ トット §494.ちち(乳);乳房(13)沖の神の乳房 repun-kamuy totto〔レぷンカムイ・とット〕[rep(沖)+un(の)+kamuy(神)+totto(乳房)]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- repunkamuykoupsorkorpe
- レプンカムイコウプソロコロペ §099.陰部-女性性器の種類(10)白い陰毛の生えている陰部 repunkamuy-ko-upsor-kor-pe〔re-púŋ-ka-muǐ-ko-ùp-sor-kor-pe レぷンカムイコウプソロコロペ〕〔repun-kamuy(沖の神、=鮫)+ko(と同じ)+upsor(陰部を)+kor(もつ)+pe(もの)〕⦅ホべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- retarkakkonkamuy
- レタラカッコンカムイ §332 カッコウ (7) retarkakkon-kamuy (re-tár-kak-kon-ka-muy)「レたラカッコンカムイ」[<白い・カッコウ・神] ⦅屈斜路⦆白いカッコウ(コ176) (出典:知里動物編、方言:)
- rikinkamuy
- リキンカムイ §291 ジャコウジカ (2) rikin-kamuy (ri-kín-ka-muy)「リきンカムイ」[<rikun 高所(天国)にいる、kamuy 神]神名⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- rikunkamuy
- リクンカムイ §284 うさぎ (10) rikunkamuy (ri-kún-ka-muy)「リくンカムイ」[<rik(上)un(にいる)kamuy(神)] ⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- rikunkamuy
- リクンカムイ §291 ジャコウジカ (3) rikun-kamuy (ri-kún-ka-muy)「リくンカムイ」[<rik-un-kamuy(高み・にいる・神)] ⦅富内⦆【神名】 (出典:知里動物編、方言:)
- ripakkamuy
- オりパクカムイ §405 (その他の鳥名) oripak-kamuy (o-rí-pak-ka-muy)「オりパクカムイ」[おそれおおい・神] ⦅穂別、沙流⦆[=apkas-kamuy] (出典:知里動物編、方言:)
- riwakkamuyne
- リワッカムイネ 【riwak-kamuy-ne】 鎮座する神. リワッカムイネ リワッピトネ=鎮座する神,鎮座する人(神) *ユカラでは,ピトシリネ カムイシリネ(神のように,神である人のように)と描写されているが,神々のことを言う[ユ].(補遺編) リワッカムイネ リワッピトネ=鎮座する神,鎮座する人(神).*ユカラでは,ピトシリネ カムイシリネ(神のように,神である人のように)と描写されているが,神々のことを言う〔ユ〕. (出典:萱野、方言:沙流)
- riyaonnekamuy
- リヤオンネカムイ §278 あざらし (36) riya-onnekamuy (ri-yá-on-ne-ka-muy)「リやオンネカムイ」 ⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- rpakamuy
- アラパカムイ §377 (その他の鳥名) arpa-kamuy (ár-pa-ka-muy)「あラパカムイ」[<‘行く・神’‘旅行する・神’] ⦅穂別⦆[=apkas-kamuy] (出典:知里動物編、方言:)
- rukorkamuy
- ルコロカムイ 【ru-kor-kamuy】 便所の神.▷ル=便所 コロ=持つ カムイ=神 ネプカ ア・キマテク ペ アン ヒ タ アナクネ アシンル コロ カムイ ア・コアスラニ プ ネ ルコロ カムイ イヨッタ ラムトゥナシ ペ ネ ルウェ ネ ナ=何か急病人など出た場合は便所の神へ救いを求めるものだ.便所の神が一番動きが速いので助けてもらえるんだよ.*普通はアシンルコロカムイと言わずにルコロカムイだけで便所の神と言うことになる.ルコロカムイにお願いをする時に立てるチェホロカケプは頭の方を平らにするものである.このイナウはめったに立てないが,私の父が立てていたのを何回も見たことがある. (出典:萱野、方言:沙流)
- ruokamuy
- ルオカムイ §423 シマヘビ (1) ru-o-kamuy (ru-ó-kamuy)「ルおカムイ」[<縞・ついている・神] ⦅千歳⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ruwesankasiko pasekamuy
- ルウェサンカシコ パセカムイ 【ruwe-san-ka-sik-o pase-kamuy】 水の神の名前. (出典:萱野、方言:沙流)
- ruykamuy
- ルイカムイ §113 ネキリムシ(根切虫);ジムシ(地虫)、コガネムシ類の幼虫 (2) ruy-kamuy(rúy-ka-muy)「るイカムイ」⦅屈斜路、本別⦆コガネムシ類 唱言(井上9) (出典:知里動物編、方言:)
- sacirkamuy
- サチリカムイ §326 エゾヤマセミ (4) sacir-kamuy (sa-čír-ka-muy)「サちリカムイ」[<?] ⦅足寄⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- sarakamuy
- サラカムイ §277 くま (54) sara-kamuy (sa-rá-ka-muy)「サらカムイ」 ⦅白浦⦆叙事詩háwkiの中でクマを言う (出典:知里動物編、方言:)
- sarakkamuy
- サラッカムイ 【sarak-kamuy】 水死人. サラクカムイ ネ オカ ヒ タ メノコ アナクネ クットコ ノ アン オッカヨ アナクネ ウプシ ノ アン ペ ネ=水死した者は,女は仰向けになっているし男はうつ伏せになっているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- sarorunkamuy
- サロルンカムイ 【sar-or-un-kamuy】 ツル〔鳥〕.▷サラ=湿地 オロ=所 ウン=住む カムイ=神 →サロルンカムイ (出典:萱野、方言:沙流)
- sarorunkamuy
- サロルンカムイ §367 ツル(鶴);タンチョウ (2) sarorun-kamuy (sa-ró-run-ka-muy)「サろルンカムイ」[<sar-or-un-kamuy(葦原・内・にいる・神)] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- sawtarakamuy
- サウタラカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(20)疱瘡神 sawtara-kamuy〔sáŭ-ta-ra-ka-muǐ さウタラカムイ〕⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sekumasarkeswaacanekamuy
- セクマサラケシワアチャネカムイ §270 キタキツネ、きつね (11) sekuma-sarkes-wa-aca-ne-kamuy (se-kú-ma-sar-kes-wa-a-ča-ne-ka-muy)「セくマサラケシワアチャネカムイ」[<sekuma(山の)sarkes(はし)wa(で)aca(長老)ne(になっている)kamuy(神)] ⦅樺太⦆キツネ神の首領 (出典:知里動物編、方言:)
- seykamuy
- セイカムイ §218 カワシンジュガイ (17) sey-kamuy (séy-ka-muy)「せイカムイ」[sey(貝)kamuy(神)] ⦅美幌⦆【雅】カワシンジュガイ、ヌマガイ、カラスガイ (出典:知里動物編、方言:)
- siankamuy
- シアンカムイ §426 マムシ (6) sian-kamuy (si-án-ka-muy)「シあンカムイ」[<真の・神] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- sianraykamuy
- シアンライカムイ §481.たましい;霊魂(15)永久によみがえらぬ霊魂 sian-ray-kamuy〔ši-an-raǐ-ka-muǐ シあン・ライカムイ〕[sian(<si-ar 本当に・全く)+ray-kamuy(死霊)]⦅サル⦆【雅―ユ研Ⅱ, p.296】 (出典:知里人間編I、方言:)
- sikatorkamuy
- シカトロカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(18)疱瘡神 sikator-kamuy〔ši-ká-tor-ka-muǐ シかトロカムイ〕[糞形のついた魔神;si(糞)+kat(形)+or(所)+kamuy(魔神)]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sikatorkekamuy
- シカトロケカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(19)疱瘡神 sikatorke-kamuy〔ši-ká-tor-ke-ka-muǐ シかトロケカムイ〕[sikatorke(糞形のついた)+kamuy(魔神)]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sikekamuy
- シケカムイ §277 くま (19) sike-kamuy (si-ké-ka-muy)「シけカムイ」[<sike(荷物を背負う)kamuy(神)] ⦅屈斜路⦆太ったクマ (出典:知里動物編、方言:)
- sikumakesunkamuy
- シクマケスンカムイ §270 キタキツネ、きつね (12) sikuma-kes-unkamuy (si-kú-ma-kes-un-ka-muy)「シくマケスンカムイ」[<sikuma(山)kes(はし)un(の)kamuy(神)] ⦅樺太⦆【雅】Kindaichi, KKI, p. 146 (出典:知里動物編、方言:)
- sikumanoskiunkamuy
- シクマノシキカムイ §277 くま (59) sikuma-noski-un-kamuy (si-kú-ma-nos-ki-ka-muy)「シくマノシキカムイ」[<sikuma(山)noski(のまん中)un(にいる)kamuy(神)] ⦅白浦⦆叙事詩háwkiの中でクマを言う (出典:知里動物編、方言:)
- sikumapauskamuy
- シクマパウシカムイ §277 くま (60) sikuma-pa-us-kamuy (si-kú-ma-pa-us-ka-muy)「シくマパウシカムイ」[<sikuma(山)pa(のかみて)un(にいらっしゃる)kamuy(神)] ⦅白浦⦆叙事詩の中でクマを言う (出典:知里動物編、方言:)
- sínis kor kamuy
- シニシ コロ カムイ 【名】[天・を持つ・神]天の神。 teeta kane/sínis kor kamuy/síkanna kamuy/uirwakikor テエタ カネ/シニシ コロ カムイ/シカンナ カムイ/ウイリワキコロ [雅]昔むかし天空の神上天の神の兄弟がいました。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sinkehkamuy
- シンケヘカムイ §183 エゾヤマハギ (6) sinkeh-kamuy (sín-keh-ka-muy)「しンケヘカムイ」[萩・神] 茎 ⦅鵜城⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- sipekamuy
- シペカムイ §067 サケ あきあじ、あきやじ (5) sipe-kamuy (sí-pe-ka-muy)「しペカムイ」 ⦅白糠⦆サケ。 (出典:知里動物編、方言:)
- siranpakamuy
- シランパカムイ 【sir-anpa-kamuy】 樹木の神.▷シリ=大地 アンパ=持つ カムイ=神 →大地を支え持っている神が樹木だと考えている. (出典:萱野、方言:沙流)
- sirariwakkamuy
- シラリワクカムイ §299 ハシボソガラス (6) sirariwak-kamuy (si-rá-ri-wak-ka-muy)「シらリワクカムイ」 ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- siratkikamuy
- シラッキカムイ 【siratki-kamuy】 家の中に置いてある神.*狐の頭はキムンシラッキ,アホウドリの頭はレプンシラッキ. (出典:萱野、方言:沙流)
- siratkikamuy
- シラッキカムイ §356 アホウドリ;しかべ (4) siratki-kamuy (si-rát-ki-ka-muy)「シらッキカムイ」[<‘卜占する・神’] ⦅沙流⦆【雅】(北文IV, 36) (出典:知里動物編、方言:)
- siriwenkamuy
- シリウェンカムイ §328 ヤマゲラ;おおげら(方言) (6) siri-wen-kamuy (si-ri-wen-ka-muy)「シリウェンカムイ」[<sir(天気)wen(悪くなる)kamuy(鳥)] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- sirkorkamuy
- シリコロカムイ 【sir-kor-kamuy】 樹木の神. (出典:萱野、方言:沙流)
- sisoyakamuy
- シソヤカムイ §122 スズメバチ (2) si-soyakamuy(sí-so-ya-ka-muy)「しソヤカムイ」⦅本別⦆スズメバチ(井上7) (出典:知里動物編、方言:)
- siyokkamuy
- シヨッカムイ §481.たましい;霊魂(17)永久によみがえらぬ霊魂 siyok-kamuy〔ši-yók-ka-muǐ シよクカムイ〕[<si(真に)+ok(悲しむ、欺く)+kamuy(霊魂)]⦅サル⦆【雅―聖典, p.81】 (出典:知里人間編I、方言:)
- sokaykamuy
- ソカイカムイ §325 カワセミ (2) sokay-kamuy (so-káy-ka-muy)「ソかイカムイ」 ⦅屈斜路⦆(コ184) (出典:知里動物編、方言:)
- sopaunkamuy
- ソパウンカムイ 【sopa-un-kamuy】 家の守護神.*チセコロカムイともいう. (出典:萱野、方言:沙流)
- sopokampakamuy
- ソポカンパカムイ §124 ヒトノミ;蚤 (2) so-pok-ampa-kamuy(só-po-kam-pa-ka-muy)「そポカンパカムイ」⦅雅語―美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- suyokamuy
- スヨカムイ §277 くま (44) suyo-kamuy (su-yó-ka-muy)「スよカムイ」[<suy-o-kamuy(穴・にいる・神)] ⦅幌別⦆穴ごもりをしているクマ (出典:知里動物編、方言:)
- suyorunkamuy
- スイオルンカムイ §277 くま (81) suy-orun-kamuy (súy-or-un-ka-muy)「すイオルンカムイ」[<suy(穴)or(中)un(にいる)kamuy(神)] ⦅屈斜路⦆穴ごもりしているクマ (出典:知里動物編、方言:)
- tannekamuy
- タンネカムイ 【名】[tanne-kamuy 長い・神]ヘビ。 ☆参考 kinasut キナスッ ヘビ。 tokkoni トッコニ マムシ。 これらの語をさけて言うのにこの語を使う。 ほかに munpokunpe ムンポクンペ とも言う。 {E: a snake.} (出典:田村、方言:沙流)
- tannekamuy
- タンネカムイ §421 ヘビ(蛇) (10) tanne-kamuy (tán-ne-ka-muy)「たンネカムイ」[<長い・神] ⦅幌別、沙流、音更、屈斜路、美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- tannekamuy
- タンネカムイ §422 アオダイショウ (1) tanne-kamuy (tán-ne-ka-muy)「たンネカムイ」[<長い・神] ⦅幌別、屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- tarkorkamuy
- ウタラコロカムイ §417 (その他の鳥名) utar-kor-kamuy (u-tár-kor-ka-muy)「ウたラコロカムイ」 ⦅沙流⦆渡り鳥の一種 (出典:知里動物編、方言:)
- tokapcupkamuy
- トカプチュプカムイ 【tokap-cup-kamuy】 太陽. (出典:萱野、方言:沙流)
- tokitokamuy
- トキトカムイ §337 コノハズク (2) tokito-kamuy (tó-ki-to-ka-muy)「とキトカムイ」[<] ⦅浦河、屈斜路⦆(コ178伝説) (出典:知里動物編、方言:)
- tókor-kamuy
- トコロカムイ 【名】[to-kor-kamuy 湖沼・を持つ・神] 沼の主(竜とか魚とか)。(S) {E: the guardian gods of a swamp.} (出典:田村、方言:沙流)
- tomarikorokamuy
- トマリコロカムイ §295 サカマタ;シャチ (6) tomarikorokamuy (to-má-ri-ko-ro-ka-muy)「トまリコロカムイ」[<tomari-kor-kamuy(入江を・支配する・神)] ⦅多蘭泊⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- tosirpokun kamuy
- トシリポクンカムイ §323 ミソサザイ (1) tosirpokun kamuy (to-sír-po-kun-ka-muy)「トしリポクンカムイ」[<tosir-pok-un-kamuy(川岸の下の穴・の下・に入る・神)] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- tukamuynisne
- トゥカムイニシネ 【tu-kamuy-nis-ne】 ふたつの神雲. アカラワアンペ トゥカムイニシネ レカミニシネ ウカエプンパ=私の刺繍物,ふたつの神雲,三つの神雲,重なり湧き起こる[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- turenkamuy
- トゥレンカムイ 【turen-kamuy】 憑き神.*憑いている神によってその人の運.不運が決まるという. (出典:萱野、方言:沙流)
- tusakamuy
- トゥサカムイ §481.たましい;霊魂(12)よみがえるべき霊魂 tusa-kamuy〔tu-sá-ka-muǐ トゥさ・カムイ〕[tusa(よみがえる)+kamuy(霊)]⦅サル⦆【聖典, p.148】 (出典:知里人間編I、方言:)
- tusaraykamuy
- トゥサライカムイ §481.たましい;霊魂(13)よみがえるべき霊魂 tusa-ray-kamuy〔tu-sá-raǐ-ka-muǐ トゥさ・ライカムイ〕[tusa(よみがえる)+ray-kamuy(死霊)]⦅サル⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- urikamuy
- フリカムイ §387 (その他の鳥名) huri-kamuy (hú-ri-ka-muy)「ふリカムイ」[<フリ神]⦅沙流⦆[=huri] (出典:知里動物編、方言:)
- usarunkamuy
- ウサルンカムイ 【usar-un-kamuy】 下座の方の神. ウヌワプテ・アン ヒ タ アナクネ ウサルンカムイ セコロ ア・イェ ワ アペ ウサッタ(ウサラ タ) ポンアペ ア・アリ ワ ヌワプ テクサム ア・コプンキネレ プ ネ=お産の時には下座の神といって火の下座に小さい火を燃やしお産を見守る神とするものだ.ウサルンカムイ ウワリカムイ タヌクラン ウヌワプテ ウワリ アン ナ ピリカノ ウネプンキネ(ウン・エプンキネ) ワ ウン・コレ ヤン=下座の神,お産を司る神,今夜はお産が,産むことがあるのでよく私どもを守ってください.*囲炉裏の中に普通に火をたいてあるのとは別に,もうひとつ入口に近い方に火をたく.それは本当の火よりも一段位の低い神でお産を司る神とされている. (出典:萱野、方言:沙流)
- utarkorkamuy
- ウタラコロカムイ §697.ほうそう(疱瘡);てんねんとう(天然痘)(17)疱瘡神 utar-kor-kamuy〔u-tár-kor-ka-muǐ ウたラコロカムイ〕[utar(なかま)+kor(もつ)+kamuy(魔神)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- uturakamuy
- ウトゥラカムイ §277 くま (82) u-tura-kamuy (u-tú-ra-ka-muy)「ウとゥラカムイ」[<u-(おたがい)tura(連れる)kamuy(神)] ⦅美幌⦆二匹連れのクマ(いつも雄と雌とが連れ立っている) (出典:知里動物編、方言:)
- wakkauskamuy
- ワッカウシカムイ 【wakka-us-kamuy】 水の神. (出典:萱野、方言:沙流)
- wakkauskamuy
- ワッカウシカムイ §197 マツモムシ (3) wakka-us-kamuy(wák-ka-us-ka-muy)「わッカウシカムイ」⦅屈斜路⦆トビケラの一種(幼)、マツモムシ、ハリガネムシ Gordius aquaticus LINNE.(コ98、足寄II, 3, 10、足寄II, 20) (出典:知里動物編、方言:)
- watekkamuy
- ワテッカムイ §205 クモの類 (10) watek-kamuy (wa-tek-ka-muy)「ワテッカムイ」 ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- watottakamuy
- ワトッタカムイ §344 トビ とんび (3) watotta-kamuy (wá-tot-ta-ka-muy)「わトッタカムイ」[<とび・神] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- wenkamuy
- ウェンカムイ 【名】[wen-kamuy 悪い・神] 悪神、 たちの悪い神、 化けもの。 ☆参考 沙流川筋の古老はしばしば「魔もの」と訳した。 {E: an evil god.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wenkamuy
- ウェンカムイ §277 くま (18) wen-kamuy (wén-ka-muy)「うェンカムイ」[<wen(悪い)kamuy(神)] ⦅美幌⦆‘あらグマ’‘人喰いグマ’ (出典:知里動物編、方言:)
- wenkamuy 1
- ウェンカムイ 【wen-kamuy】 ①悪い神,化け物. ウェンカムイ カ カムイ ネ ア・イェ.ラム ア・クットコレ コロ イピリカレ カ キプ ネ=悪い神も神という.その思いを反対にすると人間を守ることもあるものだ.ク・ポホ ウタラ トゥイマ ノ ネプキ エアラパ コロ ウェンカムイ イラメパカリ コラチ ケポタラパ(ク・エポタラパ)=息子たちが遠くへ働きに行くと悪い神が想像するかのように私は案じている.*子供たちが仕事に出た後,あのように怪我はしないかこのように病気にならないかと悪いことばかり想像する,これは悪魔の想像そのものであったと,母が述懐していたものだったが,母の年齢に近づいた私もそのようになってきた.シロヌマン パクノ ソイ タ シノッ・アン コロ ウェンカムイ アン ペ ネ ナ.ホクレ チセ オルン アフプ アフプ=夕暮れになるまで外で遊ぶと化け物がいるものだ.早く家へ入れ入れ. (出典:萱野、方言:沙流)
- wenkamuy 2
- ウェンカムイ 【wen-kamuy】 ②陰核〔隠語〕. メノコ コロ ウェンカムイ アナクネ ネ ワ アン ペ エペカ メノコ カ オッカヨ カ ウコシットゥライヌ プ ネ.クス ネ ヤ ウェンカムイ シコロ カ ア・イェ プ ネ ワ=女性の陰核というものはそれによって女も男も道に迷うものだ.それでだろうか.悪い神とも言うものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- wenkamuy-emawri
- ウェンカムイエマウリ 【名】[wenkamuy-emawri 悪神・いちご] [植物]ヘビイチゴ。 ☆参考 surkuemawri スルクエマウリ《毒イチゴ》とも言う。〔知分類になし〕 {E: an Indian strawberry.} (出典:田村、方言:沙流)
- worunkamuy
- ウォルンカムイ §169 トビケラの類(幼虫) (1) worunkamuy(wó-run-kamuy)「うォルンカムイ」[<wor(水)un(にいる)kamuy(神)]⦅本別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- wosekamuy
- ウォセカムイ §269 オオカミ (5) wose-kamuy (wó-se-kamuy)「うォセカムイ」[<wo(イヌまたはオオカミのほえごえ)、wo-se(ウォーとほえる)kamuy(神)] ⦅北海道各地、落帆⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yakorkamuy
- ヤコロカムイ §205 クモの類 (12) ya-kor-kamuy (yá-kor-kamuy)「やコロカムイ」[<ya(網)kor(所有する)kamuy(神)] ⦅美幌、屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yatekkorkamuy
- ヤテッコロカムイ §205 クモの類 (9) yatek-kor-kamuy (yá-tek-kor-kamuy)「やテッコロカムイ」 ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yattepkamuy
- ヤッテプカムイ §205 クモの類 (8) yattep-kamuy (yát-tep-ka-muy)「やッテプカムイ」[<ya(網)atte(しかける)-p(者)kamuy(神)、網かける神] ⦅足寄⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yauskepkamuy
- ヤウシケプカムイ §205 クモの類 (3) yauskepkamuy (yá-us-kep-ka-muy)「やウシけプカムイ」 ⦅千歳⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yayankamuy
- ヤヤンカムイ §422 アオダイショウ (2) yayan-kamuy (ya-yán-ka-muy)「ヤやンカムイ」[<ただの(普通の)・神)] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yaymatkamuy
- ヤイマッカムイ §277 くま (83) yaymat-kamuy (yay-mat-ka-muy)「ヤイマッカムイ」 ⦅美幌⦆五歳のクマ (出典:知里動物編、方言:)
- ‘kim kamui’
- キムカムイ §277 くま (7) ‘kim kamui’ (kim ka-muy)「キムカムイ」 ⦅K.⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- -po 3
- ポ 【接尾】[指小辞] ①(名詞に接尾して小さい、 年若い…という意味の名詞をつくる。 決まった語に現れる。) cep チェプ 魚;ceppo チェッポ 小魚。 cikap チカプ 鳥;cikappo チカッポ 小鳥。 menoko メノコ 女性;menokopo メノコポ 若い女性。 okkayo オッカヨ 男性;okkaypo オッカイポ 若い男性 (okkayopo オッカヨポ は息子)。 ②(愛着/親愛を表す。 決まった語に現れる。) a=kor petpo アコロ ペッポ [雅] わが川(家のそばを流れる川)。 kamuycikappo カムイチカッポ フクロウの神様。 ③(名詞や副詞について、 ほんとうに小さいこと、 わずかであることを表し、 またちょっと、 ちょっとでも、 といった気持ちを表す。 ある種の強調にもなる。) pon numapo us ポン ヌマポ ウシ 僅かな毛がちょこっと生えている。(S) neppo ipe us wa an? ネッポ イペ ウシ ワ アン? なんぼか実がなっているか。(S) tan tepo ta タン テポ タ ついここに。(S) mákpo é=iki híne マクポ エイキ ヒネ 一体どうやって。(S) hoskinopo op eaciw ホシキノポ オペアチウ 先に槍を投げた。(S会話) (出典:田村、方言:沙流)
- a= 10
- ア 【人接】[不定人称主格他動詞型] ①[一般称]一般に人は/人が、 (特定の人ではなく)だれかが/だれでもが。 sekor a=ye セコロ アイェ …と(一般に人が)言う=言われる。 húresisam mosir sekor a=ye p ne wa フレシサム モシリ セコロ アイェプ ネ ワ (外国のことは)赤毛の異民族の国と(一般に人は)言うのだわ。(W) ②[受身]…される。 a=en=kopisi アエンコピシ (不定の)人が私にたずねる=私がたずねられる。 a=en=kopisi p anakne opitta ku=ye wa アエンコピシプ アナクネ オピッタ クイェ ワ 私がたずねられることはすべて私は言って(=答えて)。(S会話) kamuy opitta oro wa a=i=koypak カムイ オピッタ オロ ワ アイコイパク 私たちはすべての神々からとがめられる(罰を受ける)。(W民話) kotan a=arústekka コタン アアルシテッカ 村が全滅させられた。(NK民話) ③[包括的一人称複数]相手を含む私たちが/の。 tanto a=ewkoytak pe anak a=ewéraman hawe ne タント アエウコイタク ペ アナク アエウェラマン ハウェ ネ きょう私たち(あなたと私)が話し合ったことはお互いに(あなたと私が)わかり合った。(W会話) a=sikíhi un アシキヒ ウン 私たち(あなたも私もみんな)の目よ。(W会話) ④[引用文中の自称] 自分(たち)が/の、 私(たち)が/の。 “…a=e=ráyke kusu ne” sekor hawean 「…アエライケ クス ネ」セコロ ハウェアン 「…私はあなたを殺す」と彼は言った。(HK民話) ⑤[敬意の二人称] あなた様が/の。 mak yaynu=an kuni a=ramú kusu マク ヤイヌアン クニ アラム クス 私がどんな気持ちになるとあなたはお思いになって…。(NK民話) ☆参考 他動詞・デアル動詞 ne ネ《である》・名詞などに接頭する。 自動詞にはこれがつかず、 =an アン が接尾する。 ☞=an アン ☆参考 ユーカラ(英雄叙事詩)を歌うときには、 母音で始まる動詞語幹の前で、 しばしば a= ア の代わりに an= アン の形が使われる。 北海道南部以外では、 日常語でも an= アン がたくさん使われる。 ☞an= アン {E: ①… ②passive. ③first person plural inclusive. ④… ⑤second person honorific.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- a=ar'ustekka
- アアラウシテッカ 【a=ar-us-tek-ka】 死に絶える,全滅する.▷ア=それ アラ=全く ウシテッカ=完全に消す(=ア・アルシテッカ)→人が全く姿を消す→全く消される→全滅する キムンコタン パ コヤン ワ ア・アラウシテッカ ヤク ア・イェ=山の村は、病気が流行って、死に絶えたそうだ.パ コオヤン ワ ア・アルシテッカ コタン エウン アナクネ トゥナシ ソモ ア・カランケプ ネ.イヨルヌカムイ アン ペ ネ ナ=病気がはやって、全滅した村へは、すぐには近づくものではない.後をつける神(細菌)がいるものだから.*疱瘡とか流行感冒とかのことをアイヌたちはパヨカカムイ(歩く神)という言い方をする.目には見えない歩く神がいて村々に病気をまき散らすと考えていた.→アラウシテッカ (出典:萱野、方言:沙流)
- a=catcari
- アチャッチャリ 【a=cat-cari】 散らかされる.▷ア=人(が) チャッチャリ=ぱっぱとまき散らす →散らかされる ヌマン ケイワンケ(ク・エイワンケ) ムカラ ネ ヤ ア・チャッチャリ ワ アン.タンペ アナクネ カムイ イピリマ ネ ナンコロ=昨日私が使ったマサカリなどが散らかされている.これは危険なことがあるよと神がこっそりと私に耳打ちしてくれたに違いない. (出典:萱野、方言:沙流)
- a=eyampe
- アエヤンペ 【a=eyam-pe】 大切にされる物(者),大事な物(者). カムイ オッタ(オロ タ) カ アイヌ オッタ(オロ タ) カ ア・エヤムペ ヘカッタラ メノコ ネ=神の国でもアイヌの国でも大切にされる者は子供と女である. (出典:萱野、方言:沙流)
- a=kiyannerep
- アキヤンネレプ 【a=kiyanne-re-p】 最も上席に位置するもの.▷ア=人(が) キヤンネ=年長に レ=〜させる プ=もの アイヌモシリ モシリソ カ タ ア・キヤンネレプ ノヤ ネ クス ノヤオプ アニ ノヤ エムシ アニ ア・オッケ プ ア・トゥイェ プ アナクネ エフイネ ウェンカムイ ネ ヤッカ ヤイカッチピ エアイカプ ペ ネ=人間の国土,国土上に最も上席に位置するものがヨモギなので,ヨモギの槍で突かれた者ヨモギの刀で斬られた者は,どんな悪い神も蘇生することができないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- a=koenempa
- アコエネムパ 【a=ko-enempa】 比べる,較べる,比較する. チノミカムイ トイカオラン アコエネムパ=祭っている神が地上へ降臨したら,このような姿かと比較できる神が,ポンヤウンペである[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- a=kosiratkip
- アコシラッキプ 【a=ko-siratki-p】 大切にされている神. ネイワ アイヌコタン タ アン ペ ネ ヤカ ケランペウテク(ク・エランペウテク) コロカ チカプ サパ アン ワ ア・コシラッキプ ネ ルウェ ネ ワー=どのような経路でアイヌの村にあるものなのか私は知らないけれども,アホウドリの頭があって,大切な神とされているものですよ. *アホウドリの頭骨はレプンシラッキ(沖の大切な神)といい,病魔を避ける神とされている.狐の頭骨はキムンシラッキ(山の大切な神)といって猟運を司る神とされていた.シラッキカムイ=守護神 (出典:萱野、方言:沙流)
- a=maketaro
- アマケタロ 【a=maketaro】 負ける. イヨマンテ オッタ(オロ タ) メノコ オッカヨ ウコトゥシエタイェ メノコ ア・マケタロ コロ イマカケタ オッカヨ カムイ ア・ウク ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊送りの時に男と女が綱引きをして女が負けると次に牡熊が獲れるそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- a=opentari
- アオペンタリ 【a=opentari】 神々の名前を呼び並べる. トゥ カムイ シンリッ レ カムイ シンリッ ア・オペンタリ=ふたつの神の先祖,三つの神の先祖.呼び並べ…[ユ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- a=porse
- アポロセ 【a=porse】 表現(する). アイヌ オッタ(オロ タ) チクニ レ ア・ポロセ ヒ カムイ オッタ(オロ タ) ア・ポロセ ヒ シンナ プ カ アン ペ ネ=人間の所で言う木の名前の表現と,神の国での表現が違うものもあるものだ.チ・コロ コタン タ アナクネ "イセポ" セコロ ア・イェ プ ネ コロカ,ムカ ホントモ タ アン コタン タ アナクネ "カイクマ" セコロ ア・ポロセ プ ネ=私たちの村ではウサギを「イセポ」と言うけれど,鵡川という川の中ほどの村では「カイクマ」と言う(表現する)のだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- a=rayke
- アライケ 【a=rayke】 殺される. エネ ウェンプリコロ ハウェ ネ ヤカナクネ(ヤク アナクネ) カムイ オロワ ア・ライケ エアシリ キ ナンコロ ワ=そのような悪事をしたのであれば,神の方から殺されるでありましょうよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ahupkar
- アフプカラ 【ahupkar】 貰う,貰いに行く. トイタ シサム オッタ(オロ タ) ア・アフプカラ ポン マッカチ アン ペ ケシト ア・コロエウェン シリ ク・ヌカラ ケランポクウェン(ク・エランポクウェン)=畑をしている和人の家に貰われた女の子がいるのに,毎日いじめられているのを見て私は哀れに思っている.オヤコヤクタ タスム ネ マヌ プ スルルケ オルシペ ア・ヌ イシトマ・アン クス ハル アフプカラ・アシ ワ ハルエカムイノミ・アン ルスイ=あちらこちらで病気が流行したと聞き,恐ろしいので供物を貰い病気の神へあげたい.イヨーハイ シトマレ エ・ヌ アー? アッチェウン オルシペ ネ コロカ アフプカラ ワ レス ヤク ア・イェ ポンペ キクキク ワ ライケ ヤク ア・イェ=本当にたまげたことだが聞いたかい?よその話だが,貰って育てていた子供を叩いて殺したということだよ.*昭和10年頃には乞食が来るとアイヌたちはイヤフプカラペ(物を貰いたがる者)と言った.こちらから欲しがることをアフプカラという. (出典:萱野、方言:沙流)
- amanenpok
- アマネンポク 【aman-enpok】 行き桁,アイヌ家屋の東から西の方へ伸びている行き桁. *ユカラの中に,アマネンポク アンパカムイィェラナクル シコマレワ(行き桁を支える神が,私を下へ睨みつけて……)とある[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- amitannekur
- アミタンネクル 【ami-tanne-kur】 ▷アミ=爪 タンネ=長い クル=人、神 ワッカウシカムイ イタクアンヤッカ チューラッペマク カムイカッケマッ コトゥキアニクキルスイナ アミタンネクル カムイエカシ タパントゥキ コトゥキライェ=水の神と申しましても,瀬を司る神の淑女にこの杯を贈りたいので,川ガニの神,神の翁がこの杯を取り次ぎ……と続けるものであり,川ガニは水の神の取り次ぎ役と思っている.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- amkir 2
- アムキリ 【amkir】 ②〜したものだ. テエータ,ナ ク・ポン ラポク タ アナクネ セタ ウォセ コロ "パヨカカムイ ホトゥイパ シリ ネ" セコロ ネ ワ イシムケト タ ア・イワクテパ シリ ク・ヌカラ アムキリ=ず一っと昔,私が少年時代は犬が遠吠えをすると,「病気の神を呼んでいる」といって,翌日神の国へ送るために殺していたのを私は見たものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- ampir
- アンピリ 【am-pir】 爪傷. タパン ネプキ アンピリ パクノ カ イユニン サクノ シペッテク クニ カムイプンキ アン ペ ネ ナ=この仕事中に爪傷ほどの怪我もなく終わりますように神のご守護があるのでありましょう[カムイノミ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- an'ohor 1
- アンオホロ 【an-ohor】 ①長居する.▷アン=いる オホロ=遅い ウトゥルン(ウトゥル ウン) アチャポ エク コロ オラーノ アンオホロ ペ ネ クス ア・エイヌピタラ=道路のあちら(西側)のおじさんは来ると長居するのでいやがられる.コシネ カムイ ネ コロカ エイタサ アンオホロ イワク ルスイ ノイネ ク・ウェンタラプ ナ ニサッタ ア・イワクテ ロー=位の低い神ではあるけれどあまり長くいすぎて帰りたいらしい夢を私はみたので,明日帰すことにしよう. (出典:萱野、方言:沙流)
- ankusukeraypo
- アンクスケライポ 【an kusu keraypo】 (〜の)お陰で. キム タ ヤアニ カムイ エン・ライケ ヒ タ カキヒ(ク・アキヒ) アンクスケライポ ク・シクヌ=山で危なく熊に殺されそうになった時,私の弟がいたお陰で私は生きた. (出典:萱野、方言:沙流)
- anna hóre hóre hóre
- アンナ ホレ ホレ ホレ 【間投】(kanna-kamuy カンナカムイ《上天の神》の神謡の折り返し)。(KM神謡) ☆参考 最後の hore ホレ を hoːre ホーレ のようにのばして歌う。 (出典:田村、方言:沙流)
- annoyekar
- アンノイェカラ 【自動(?)】[雅]…が現れている(?)/…を表している(?)、 (次のような慣用表現で)(神の顔つき)をしている。 keray kamuy ne/kamuy ipor/annoyekar ケライ カムイ ネ/カムイ イポロ/アンノイェカラ [雅]さも神らしく顔つきもいかにも神の顔つきらしい。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- apapa
- アパパ 【apapa】 入り口の向こう側. コタン アパパ タ アユシニカムイ ア・ニスク ワ ア・アヌ コロ パヨカカムイ カ コタノルン(コタン オルン) アフン ニューケシ=村の入り日の向こう側にとげつきの神を頼んで置くと,病気の神も村へ入ることができない. (出典:萱野、方言:沙流)
- apemeru koyan koyan
- アペメル コヤン コヤン 【間投】[火の粉・(が)上がる・上がる](Apehuci-kamuy アペフチカムイ《火の女神》の神謡の折り返し。) (W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
- apesam
- アペサム 【ape-sam】 火の前,炉端. エアラキンネ パケトゥナシ ペ アペフチカムイ ネ ヤク ア・イェ クス イラマンテ エキムネ ウシ アペサム タ ソモ ア・イェ プ ネ ナ=とっても告げ口が好きな者が火の神だというので,狩のために山へ行く場所を火の前で言わないものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- apiskatu apiska
- アピシカトゥ アピシカ 【間投】(kamuy-cikap カムイチカプ《フクロウ》の神謡の折り返し。 意味不明。) (W神謡K) ☆参考 知里幸恵『アイヌ神謡集』の「銀のしずく降る降るまわりに」で知られる神謡の類歌である。 したがって piska ピシカ の部分は piskan ピシカン《そのまわり》の転化かもしれない。 (出典:田村、方言:沙流)
- ar
- アラ 【ar】 全く. ソンノ アラ ウェン カムイ ネ ハウェ ネ ナ イテキ エカランケ ヤン=本当に全く悪い神だと言うことだから,近寄らないようにしなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
- arkuwanno
- アラクワンノ 【副】[ar-kuwanno 全く・まっすぐに]まっすぐに、 真正面に。 arkuwanno/kamuy nis kotor/koyaytunaska アラクワンノ/カムイ ニシ コトロ/コヤイトゥナシカ [雅]まっすぐに天の神の国へ行ってしまう。(Sユーカラ) ☆発音 歌うときは、 時によって arkuanno アラクアンノ とも発音する。 ☞kuwan クワン、 kuwanno クワンノ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- arkuwanno
- アラクワンノ 【ar kuwan no】 真っ直ぐに. イレスカムイ イェ プ エ・ヌ ワ アラクワンノ シンリッモシリ エ・コアラパ プ ネ ルウェ ネ ナ=火の神の言うことを聞いて,真っ直ぐにあなたは先祖の国へ行くのだよ(引導渡しの言葉に出て来る). (出典:萱野、方言:沙流)
- arokamkinno
- アロカムキンノ 【副】[ar-okamkir-no 全く・わざと・(副詞接頭辞)] 全く意図的に、 わざと。 arokamkinno/asinuma/a=renkayne/repuyso ka wa/kamuy menoko/a=ekte wa アロカムキンノ/アシヌマ/アレンカイネ/レプイソ カ ワ/カムイ メノコ/アエクテ ワ [雅]わざと私の考えで沖の海原から女神をよこして。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- aronuman
- アロヌマン 【ar-onuman】 日暮れ,夕方. へカッタラー アロヌマン パクノ ソイ タ シノッ・アン コロ ウェンカムイ エク ワ ア・シトマ プ ネ ナ ホクレ エチ・ウニ ウン ホシッパ ホシッパ=子供たちよ,日暮れまで外で遊ぶと化け物が来て恐ろしいものだから,早くお前たちの家へ戻れ戻れ. (出典:萱野、方言:沙流)
- arwentukap
- アラウェントゥカプ 【ar-wen-tukap】 悪魔,化け物.▷アラ=全く ウェン=悪い トゥカプ=化け物 カムイ シクトゥル(シク ウトゥル) アイヌ シクトゥル トゥシマク ワ アラウェントゥカプ カリ ハウェ=神の目や人間の目,その隙間をかいくぐって化け物が徘徊しているのかい. (出典:萱野、方言:沙流)
- as 2
- アシ 【自動】(音が、 声が)する、 (雨が)降る、 (風が)吹く、 (うわさが)たつ。 hawe as ハウェ アシ …の声がする、 (笛やバイオリンなどの)音がする、 …と言っている話が聞こえる。 top rekte hawe as トプ レクテ ハウェ アシ 竹(尺八)を鳴らす音がする。 humi as …フミ アシ …の音がする、 …する/しているような感じがする。 apto as アプト アシ 雨が降る。 upas as ウパシ アシ 雪が降る。 réra as レラ アシ 風が吹く。 kamuyhum as カムイフム アシ 雷が鳴る。 {E: to sound; to make a sound; to rain; for the wind to blow.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- asinru
- アシンル 【asin-ru】 便所.▷アシン=(戸外へ)出る ル=路 ネプカ ア・キマテク ペ アン ヒ タ アナクネ アシンル コロ カムイ ア・コアスラニ プ ネ.ルコロ カムイ イヨッタ ラムトゥナシ ペ ネ ルウェ ネ ナ=何か急病人など出た場合は便所神へ救いを求めるものだ.便所の神が一番動きが速いので助けてもらえるんだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- asir'upas
- アシリウパシ 【asir-upas】 初雪,新雪.▷アシリ=新しい ウパシ=雪 "ウクラン アシ アシリ ウパシ カ タ ポーロ カムイ ルウェヘ アン ク・イシトマ クス ク・キラ ワ ク・イワク" セコロ ハラキソ ウン ウナラペ ハウェアン=「昨夜降った新しい雪の上に大きい熊の足跡があり,私は恐ろしくなって逃げ帰って来た」と左隣のおばさんが言っていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- aske uyna
- アシケ ウイナ 【連他動】[複](単は aske uk アシケ ウク)[手・を取る(複)](二人以上)を招待する。 kamuy opitta han cikiki/aske c=uyna han cikiki カムイ オピッタ ハン チキキ/アシケ チュイナ ハン チキキ 神である私は神々をみんな招待した(han cikiki ハン チキキ は折り返し)。(HC神謡) {E: to invite…(pl.)} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- aspe
- アシペ 【名】[概](所は未出)[as-pe 立っている・もの] 「repunkamuy レプンカムイ《シャチ》の頭の上の少し背中に寄ったところについているもの、 左右のまん中から上に向かって出ており、 2枚に分かれて左右に広がってから上に向かって立っている。 」 (S) repunkamuy aworun/aspe kasi aworun/a=kor ponpe aworun/oma kane wa aworun レプンカムイ アウォルン/アシペ カシ アウォルン/アコロ ポンペ アウォルン/オマ カネ ワ アウォルン シャチの頭の上のアシペの上に私の赤ちゃんがのって…。(W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
- asunankarun
- アスナンカルン 【他動】…をだいて寝る(男女間)。 katkemat kamuy ukuran ne, a=akíhi asunankarun カッケマッ カムイ ウクラン ネ、 アアキヒ アスナンカルン お嬢様をゆうべに私の弟がだいて寝ました。(NK民話) ☆参考 親が子をだいて寝るなど一般的にだいて寝ることは tumam トゥマム 。 {E: to rock, cradle…to sleep.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- aswanpe
- アシワンペ 【as-wa-an-pe】 陰核.▷アシ=立つ ワ=て アン=いる ぺ=もの メノコ ポキシッタ(ポキシリ タ) ホラリ ワ アン アシワンペ アナクネ ネプカ ケレ コロ ウヌフ トゥクンネレ シンナ レ アナク "ウェンカムイ" セコロ ア・イェプ ネ=女性の陰部に鎮座している陰核は何か触れると母をしびれさせる,別名「化け物」というものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- atteynemosir
- アッテイネモシリ 【ar-teyne-mosir】 奈落.▷アラ=全く テイネ=濡れた モシリ=大地 イノンチリ ウェンカムイ アナクネ イレスカムイ オロワノ アッテイネモシリ ア・コキル プ ネ ルウェ ネ ワ=人を呪うような悪い神は,火の神様から奈落へ向けて行かされるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- attomsama
- アットムサマ 【ar-tom-sama】 〜まで,〜ヘ.▷アラ=全く トム=方 サマ=〜の側 →まっただなかに,真っ直ぐに,ひたむきに〜をめざして キマテク カ タ ラムトゥナシ カムイ ルコロ カムイ アットムサマ ア・イタクエチュー=危急の時は,気の早い神,便所の神まで言葉を押しいれる. (出典:萱野、方言:沙流)
- attomsama tomo kokanu
- アットムサマ トモ コカヌ 【連他動】[ar-tom-sama tomo kokanu 全く・まっすぐ当たる正面のまん中・の側(所属形)・まっすぐ当たる正面のまん中(所属形)・を傾聴する] よく言うことを聞いて言われたとおりにする。 i=attomsama tomo kokanu kamuy patek ta uwekarpa ruwe ne イアットムサマ トモ コカヌ カムイ パテク タ ウウェカラパ ルウェ ネ 私の言うことをよく聞いてそのとおりにする神ばかりがここに集まっているのだ。(W神謡語り) {E: to do without question; to do faithfully.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- aynu/aynu(hu) 1
- アイヌ/アイヌ(フ) 【aynu/aynu(hu)】 ①人間,人(神に対しての人間). トアンクル アナクネ アイヌ ソモ ネ カムイ ネ ナンコロ=あの人は人間ではなく,神だろう. (出典:萱野、方言:沙流)
- aynumosir 1
- アイヌモシリ 【aynu mo-sir】 ①人間の国.▷アイヌ=人間 モ=静かな シリ=土地 オキクルミ カムイ アナクネ カムイモシリ ワ アイヌモシルン(アイヌモシリ ウン) エク カムイ ネ ワ=オキクルミカムイは神の国から人間の国へ来た神様だよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- aynurakkur
- アイヌラックル 【aynu-rak-kur】 オキクルミカムイの別名.▷アイヌ=人間(の) ラク=味(がする) クル=人→人間の味がする人 (出典:萱野、方言:沙流)
- aynusitcir
- アイヌシッチリ 【名】[aynu-sir-cir 人間・様子・鳥][動物]「鳥の名、 何どりか不明。」aynusitcir kamuy アイヌシッチリ カムイ 「kamuyukar カムユカラ《神謡》に出てくる。」 (S)〔知分類になし〕 {E: the name of a bird (unknown).} (出典:田村、方言:沙流)
- c- 1
- チ 【接頭】[中相形形成][ci- チ 4 が母音の前で i を落とした形] ①(他動詞に接頭して中相の表現となる。 日本語に訳すと通常三人称を主語とする自動詞に、 または受け身に訳せる。) …される、 された。 cúkopoyepoye uske チュコポイェポイェ ウシケ グルグルとうずを巻いている所。(ukopoyepoye ウコポイェポイェ …をグルグルかきまぜる。) cópirasa チョピラサ …に広がる。(opirasa オピラサ …を…に広げる。) heynu nan kurkasi/heynu kor wenpuri/heynu cópirasa ヘイヌ ナン クルカシ/ヘイヌ コロ ウェンプリ/ヘイヌ チョピラサ 彼の顔一面に怒りの色が広がった。(HC神謡) ②(自動詞または他動詞に使役語尾または他動詞化語尾がつくと同時にこの c- チ が接頭して、 美文的なニュアンスを伴った別の表現になる。) c-éosmare チェオシマレ [c-e-osma-re される・(中相)それで・…に突進する・させる(使役)] それで…に突入する。 weysakayo céosmare ウェイサカヨ チェオシマレ それでひどい大げんかが起こった。 ③(人に対する行為を表す他動詞に接頭し、 後に ekarkar エカラカラ《する》の人称形が置かれて韻文調・美文調の表現になる。) kamuy nis ka wa/c-épunkine/a=e=ékarkar kus ne na カムイ ニシ カ ワ/チェプンキネ/アエエカラカラ クシ ネ ナ 私は天の神の国からあなたを守ってあげますからね。(Sユーカラ語り) cikimatekka a=i=ékarkar チキマテッカ アイエカラカラ 私たちはみんな本当にびっくりした。(W会話) ☆参考 よりくわしくは ☞ci- チ 4 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- c=opentari
- チョペンタリ 【c=opentari】 神々の名前を呼び並べる. トゥ カムイ シンリッ レ カムイ シンリッ チョペンタリ=ふたつの神の名,三つの神の名,呼び並べ[ユ] (出典:萱野、方言:沙流)
- ca 3
- チャ 【名】[動物] 雄の鮭。 ☆参考 雌の鮭は os オシ。 ☞kamuycep カムイチェプ〔知分類 P.42〕 {E: a male salmon.} (出典:田村、方言:沙流)
- cáca 2
- チャチャ 【名】(お)じいさん、 年配の男性。 cáca ka an rupnemat ka an チャチャ カ アン ルプネマッ カ アン (そこには)おじいさんもいた、 おばあさんもいた。(S民話) kamuy cáca カムイ チャチャ (直訳すると)神・じいさん(熊を指す一表現)。 ☆参考 親族名称ではない。 敬意を含まない。 呼びかけには使わない。 ekasi エカシ は親族名称にも使われ、 敬意を含み、 呼びかけにも使われる。 ☆対語 rupnemat ルプネマッ。 {E: an old man.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cannoyekar
- チャンノイェカラ 【他動】[中相][c(i)-annoyekar された・(神の顔つきを)持つ](次の慣用句で)kamuy ipor cannoyekar カムイ イポロ チャンノイェカラ 神の面差しそのままである。 kamuy menoko ne noyne kamuy ipor cannoyekar pirka menoko カムイ メノコ ネ ノイネ カムイ イポロ チャンノイェカラ ピリカ メノコ 女神であるらしく神の面差し(顔つき)そのままである美しい女性。(W民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- céhorkakep
- チェホロカケプ 【名】[c(i)-e-horka-ke-p された・その頭・逆向きに・削る・もの]木幣(inaw イナウ)の一種で、 他の木幣とは逆に、 上から下へ向かって削ったもの。 したがって削り花もちょうど髪の毛が逆立ったような形になっている。(S) céhorkakep sekor a=ye kamuy anak sonkokor kamuy ne ruwe ne チェホロカケプ セコライェ カムイ アナク ソンココロ カムイ ネ ルウェ ネ 逆削り木幣という神は伝言を伝える神です。(W) ☞inaw イナウ (出典:田村、方言:沙流)
- cep
- チェプ 【名】[< c(i)-e-p 我々が・食べる・もの][動物] ①魚。 cep koyki チェプ コイキ 魚をとる。 sat cep サッ チェプ 干し魚。 cep atkoci チェプ アッコチ 魚の尾。 kamuy cep カムイ チェプ [神・魚] 鮭。 ②(狭義に) 鮭(「あきあじ」)。 cep hemespa チェプ ヘメシパ 魚(鮭)が川を上る ☆参考 cékunip チェクニプ《食べるべきもの、 真》とも言う。 ipe イペ《食べ物》の語で魚を表すこともある。 {E: ①a fish. ②a salmon.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- césonere
- チェソネレ 【他動】[中相][ci-e-sóne-re される・…について・本当である・させる]…がわかる。 cikoykip kamuy/ranma katu/césonere チコイキプ カムイ/ランマ カトゥ/チェソネレ [雅]けものというものはいつもこういうものなのだなあとわかった。(Sユーカラ語り) ☆参考 語るときの形。 歌うときは ciesonere チエソネレ と言う。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ci- 4
- チ 【接頭】[中相形形成] ①[中相](他動詞に接頭して中相の表現となる。 日本語に訳すと三人称を主語とする自動詞にまたは受け身に訳せる。)…される、 された。 cari チャリ 散らす;cicari チチャリ 散らされた、 散らばった。 kemihi cicari uskehe ケミヒ チチャリ ウシケヘ その血が散らばった所。(S会話) ②[使役中相](自動詞または他動詞に使役語尾または他動詞化語尾がつくと同時にこの ci- チ が接頭して、 美文的なニュアンスを伴った別の表現になる。) hopuni ホプニ 起き上がる、 飛ぶ;cihopunire チホプニレ [ci-hopuni-re された(中相)・起こる・させる(使役)] 起こった、 勃発した。 kamuy tumi ne ya tono tumi ne ya cihopunire カムイ トゥミ ネ ヤ トノ トゥミ ネヤ チホプニレ 神戦だか聖戦だかが起こった。(W会話) ③[中相動名詞](人に対する行為を表す他動詞に接頭し、 後に ekarkar エカラカラ《する》の人称形が置かれて、 韻文調・美文調の表現になる。)horkarutu ホロカルトゥ 後ろへ押しもどす;cihorkarutu チホロカルトゥ 後ろへ押しもどされること。 iteki eytasa cihorkarutu a=eci=ekárkar kunine イテキ エイタサ チホロカルトゥ アエチエカラカラ クニネ あなたたちはあまり後ろへ押しもどされる(差別されて後へ押されて理屈をとられる)ことのないように。(S言い伝え)☆参考 ②③は叙事詩の中、 ことにユーカラ(英雄叙事詩)の中で多く使われる。 そういった叙事詩の表現を日常語の中で使うと、 美文調・古風・荘重・重大といったようなニュアンスを伴う。 ①②③とも、 人称形ではないのに、 人称形と同じように、 接頭辞はほとんどつかず、 人称接辞がついて人称形になったりすることもない。 「分詞」と呼ぶのはそのためである。 ☆参考 日常語では、 人称接辞とは違って、 ほとんど決まった語、 決まった言い回しに現れる。 化石化した語も多い。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ci=kasnukarpe
- チカシヌカラペ 【ci=kas-nukar-pe】 授かり物.▷チ=私たち カシ=上 ヌカラ=見る ぺ=物 ヌマン ク・ホク シントコ アナクネ カムイ オロ ワ ア・エン・チカシヌカラペ ネ=昨日私が買ったシントコは神から私への授かり物だ.*人間には便われずあくまで物についての語. (出典:萱野、方言:沙流)
- ci=kupeni
- チクペニ 【ci=ku-pe-ni】 エンジュ.▷チ=我ら ク=飲む ぺ=雫 ニ=木 *民話やカムイユカラの中では「広い広い山の中,奥山の山懐で立ち木の神は数多いが雄弁と度胸を兼ね備えた神の中の神」と表現している. (出典:萱野、方言:沙流)
- ci=nomisir
- チノミシリ 【ci=nomi-sir】 我ら祭る所. チ・コロ ニプタニ タ アナクネ ペウレプ オッカ(オロカ) ウン チノミシリ カンカン レレケヘ チノミシリ オケネウシ ウン チノミシリ エレプアン オロウン カムイイピリマ ハウ ア・ヌ コロ コタン エウン ウタラ ヤイトゥパレ パ プ ネ=私どもの二風谷では熊の姿岩のチノミシリ(我ら祭る所),カンカン向かいのチノミシリ,オケネウシのチノミシリ,3か所あって,そこへ神のお告げが聞こえたら村人全部が気をつけるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- cicikew
- チチケウ 【cicikew】 化け物:想像上の化け物.幽霊であったり,化け物のような鹿(鬼鹿)であったりする.鬼のような鹿とか鹿のような鬼とか語部の考え方も違う. ウェンカムイ レヘ ネ ソンノ アン ペ カ ソモ ネ ラメパカリ アニ ア・レコ プ ネ コロカ ウウェペケレ オッタ(オロ タ) カ ウカットゥイマノ チチケウ レヘ アン ペ ネ=化け物の名前.本当にいるものではなく,想像上で名前をつけられ昔話にはたまにだがこの名前が出て来る. (出典:萱野、方言:沙流)
- ciesonere
- チエソネレ 【他動】[中相][ci-e-sóne-re される・…について・本当である・させる]…がわかる。 cikoykip kamuy/ranma katuhu/ciesonere チコイキプ カムイ/ランマ カトゥフ/チエソネレ [雅]けものというものはいつもこういうものだなあとわかった。(Sユーカラ) ☆参考 歌うときの形。 語るときは césonere チェソネレ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cihetukpare
- チヘトゥクパレ 【他動】[中相][ci-hetukpa-re された・出てくる[複]・させる](次の文脈で)たくさん出てくる。 kamuyniskur/kamuykur cihetukpare カムイニシクル/カムイクル チヘトゥクパレ 雷雲がモクモクと出てきた。(W) (出典:田村、方言:沙流)
- cihomap
- チホマプ 【名】恐ろしいもの、 おばけ。 ☆参考 「他方言だがここでも真似して使う。 沙流・鵡川では kamiasi カミアシ、 wenkamuy ウェンカムイ、 arwenkamuy アラウェンカムイ 等と言う。」 (S) {E: a ghost.} (出典:田村、方言:沙流)
- cihopunire
- チホプニレ 【他動】[自動使役][中相][ci-hopuni-re される・起きる・させる] ①起こる、 勃発する。 kamuy tumi ne ya tono tumi ne ya cihopunire カムイ トゥミ ネ ヤ トノ トゥミ ネ ヤ チホプニレ 神戦だか聖戦だかが勃発した。 ②☞enankurkasi cinopunire エナンクルカシ チホプニレ {E: to occur; happen; break out.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cikappo
- チカッポ 【名】[cikap-po 鳥・(指小辞)] 小鳥。 ☆参考 通常はスズメやヒバリのような小さい鳥を指す。 『音声資料2』にはフクロウをも kamuy cikappo カムイ チカッポ と呼んでいる所があるが、 これについて知里『分類アイヌ語辞典動物篇』 p.196 では「親愛の情を添える」と説明され、 「敬愛する神鳥」と訳されている。 {E: a small bird.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cipayokayre
- チパヨカイレ 【他動】[自動使役][中相][ci-payokay-re される/された・出歩く・させる][雅] 出歩く、 歩き回る、 旅する。 makanan ne kor oripak kamuy cipayokayre マカナン ネ コロ オリパク カムイ チパヨカイレ どうやらすると(=ときどき)流行病の神が歩き回る(=伝染病がはやる)。(W神謡K) ☞payoka パヨカ (出典:田村、方言:沙流)
- ciranaranke
- チラナランケ 【他動】[中相][ci-ra-na-ranke される・下・の方へ・下ろす][雅] 下りる。 nupuri tapka wa kamuy maw ne a p yupke mawe ciranaranke ヌプリ タプカ ワ カムイ マウ ネ アプ ユプケ マウェ チラナランケ 山の上から神風であったのか強い風が吹き下りて来た。(W民話) {E: to go down, descend…} (出典:田村、方言:沙流)
- cirikipuni
- チリキプニ 【他動】[中相][ci-riki-puni される・上へ・上げる][雅](風が)上へ上がる。 ru an toy ka wa/tapan kamuy maw/cirikipuni ル アン トイ カ ワ/タパン カムイ マウ/チリキプニ [雅]地面の上から神風が吹き上がってきた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cisanasapte
- チサナサプテ 【他動】[中相][ci-sanasapte …される・…を出す][雅]出てくる。 kamuy maw sika/kamuy kosonte/cisanasapte カムイ マウ シカ/カムイ コソンテ/チサナサプテ [雅]神風にのって立派な小袖が出てきた。(Sユーカラ) ☞sánasapte サナサプテ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cisekor
- チセコロ 【自動】[cise-kor 家・を持つ] 家を所有する、 家のあるじである。 cisekor kur チセコロ クル 家の主人。 cisekor katkemat チセコロ カッケマッ 家の奥様(主婦)。 cisekor kamuy チセコロ カムイ (1)(神々の村での話の中で)その家の主人である神。(2) ☞cisekorkamuy チセコロカムイ。 cisekor kur チセコロ クル 家の主人。 cisekor nispa チセコンニシパ 家の主人。 cisekor tono チセコットノ 身分の高い和人(さむらい)の家の主人。 {E: to own, be the master of a house; be a householder.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cisekouhuyka
- チセコウフイカ 【cise-ko-uhuyka】 家とともに燃やす. イレス エカシ オロオヤチキ キムンカムイ ネ アアン ヒクス ア・コアパセシケ ア・チセコウフイカ=私を育てたおじいさんは,知らなかったが熊であったので家の中に閉じ込めて家とともに焼いてしまった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- cisekoyki
- チセコイキ 【cise-koyki】 熊の穴へ行って熊を獲ること. ▷チセ=家,熊の穴 コイキ=いじめる *アイヌは熊の穴をスイ(穴)とは言わずに,カムイチセ(神の家)という.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- compa
- チョンパ 【compa】 升,升(しょう). エシリ イユタプ オロ ワ ピヤパ ピリケプ ク・ヤンケ ワ セモッタ(セム オロ タ) アン ナ チョンパ アニ パカリ ワ ウパクセレケ コロ ワ アラパ=朝,私がパッタリからヒエの精白を上げて入り口の所にあるので,升で量って半分持って行け.オッコー ピリケプ エ・コロ チキ シネ チョンパ エン・コソウクテ ク・ヤイモンニシカ ワ イユタ カ ケアイカプ(ク・エアイカプ) ナ=姉よ,精白したものあったら1升私に貸して,私は忙しくて搗くこともできないので.チョンパ アニ アマム パカリ ワ セ ワ アラパ エイタサ パセ コロ エ・シンキ ナ トゥペサン チョンパ パクノ ヘネ コロ ワ アラパ アニ=升で米を計って背負って行け,あまり重いとお前が疲れるので8升ほどでも持って行けよ.キムンカムイ クヨイェヘ アナクネ ワッカ ア・オマレ ワ ア・ポロレ ヤッカ シネ チョンパ パクノ ア・オマレ エアシカイ プタ クヨイ アナクネ レ チョンパ カ ア・オマレ パクノ ポロ プ ネ=熊の膀胱は水を入れて大きくしても1升ぐらいしか入らない,豚の膀胱は3升も入れられるぐらい大きいものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- cotca
- チョッチャ 【cotca】 刺す,射る.(弾丸・矢を)当てる. ソヤ エン・チョッチャ=蜂が私を刺した.アヨー ソヤ エン・チョッチャ ナ ヌカラ ワ エン・コレ=あー痛い,蜂に刺されたよ,見てくれ.トアン チクニ イクシ タ キムンカムイ アン ナ アラパ チョッチャ ワ エク=あそこの立ち木の向こう側に熊がいるから,行って射って来い. (出典:萱野、方言:沙流)
- cotcapa
- チョッチャパ 【他動】[複](cotca チョッチャ は単複区別なし) (二人以上が皆で) …を射る、 …を撃つ(撃って当てる)。 kasi oyoko wa an wen kamuy cotcapa híne raykepa カシ オヨコ ワ アン ウェン カムイ チョッチャパ ヒネ ライケパ 彼らは様子をうかがっている性悪熊を弓で射当てて殺した。(KK民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cuhkamuyaraka
- チュフカムヤラカ §665.皮膚病(5)cuh-kamuy-araka〔čúh-ka-muǐ-a-ra-ka ちゅフカムイ・アラカ〕⦅ウソロ⦆→前々項注、参照。 (出典:知里人間編I、方言:)
- cup 1
- チュプ 【名】月、 太陽。 kunne cup クンネ チュプ [夜(の)・月]月。 tókap cup トカプ チュプ [昼(の)・月]太陽。 cup kamuy チュプ カムイ 月/日の神、 お月様、 お日様。 kunne cup (kamuy) クンネ チュプ (カムイ) 月の神、 お月様。 tókap cup (kamuy) トカプ チュプ (カムイ) 日の神、 お日様。 cup ahun チュプ アフン 月/日が沈む。 cup etuk チュプ エトゥク 月/日がほんの少し出かかる。 cup hetuku チュプ ヘトゥク 月/日が出る(丸い全体が出る)。 cup nin sirara チュプ ニン シララ[月が・減る・潮] 小潮。 cup a=rukí チュプ アルキ 月/日が飲み込まれる=月蝕/日蝕でだんだん消えていく。 cup ran チュプ ラン [日が・下りる]日が傾く。 cup ray チュプ ライ [月/日が・死ぬ]月蝕/日蝕になる(皆既日食の場合)。 ruyno tane cup ran ルイノ タネ チュプ ラン ずうっともう日が傾いた。(S) cup ri チュプ リ [日・高い]日が昇る、 日が高い。 cup sikari sirara チュプ シカリ シララ [月が・丸くなる・潮]大潮。 {E: the moon.} {E: the sun.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cupka
- チュプカ 【名】[cup-ka 太陽・の上] 日の出る方角、 東。 cupka wa/kamuy ran チュプカ ワ/カムイ ラン 東の方から神が下りて来た。 二風谷ウポポ。 ☆対語 cuppok チュッポク 日の沈む方角、 西。 ☆参考 koyka コイカ 波の上=静内・釧路の方角(東南の方)、 またその地方。 日常語の中で東の方向を言うのには通常 koyka コイカ が使われる。 {E: east.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ean 1
- エアン 【他動】[e-an …に・ある][雅] …にある。 tan inne kotan/kamuy kotan/to teksama/ean ruwe ne タニンネ コタン/カムイ コタン/ト テクサマ/エアン ルウェ ネ [雅]村人の多い村、 神の村が湖のほとりにあった。(W神謡語り) {E: to exist; is; are.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eappiseyar
- エアッピセヤラ 【他動】[e-ap-pise-yar そこに・(?)・ふくらむ袋・人にさせる]はらませる(妊娠させる)。 kamuy rametok/eappiseyar pe/ne wa ne yakun カムイ ラメトク/エアッピセヤラ ペ/ネ ワ ネ ヤクン [雅]神の勇者がはらませたものであるならば。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- easirki
- エアシリキ 【e-asir ki】 〜するほかはない. タパン ハワシ アナクネ ハウケ オルシペ ソモ ネ クス カムイ ア・エコシ エアシリキ ペ ネ ハウェ ネ ワ=この話はちょっとやそっとのものではない.神様に任せるほかないことだろうね.エネ ウェンプリコロ ハウェ ネ ヤカナクネ(ヤク アナクネ) カムイ オロ ワ ア・ライケ エアシリキ ナンコロ ワ=そのような悪事をしたのであれば神の方から殺されるでありましょうよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- eawnarura
- エアウナルラ 【他動】[e-aw-na-rura …で・家の中・の方へ・運ぶ](狩猟で熊や鹿)をとって来る。 yuk ne ciki kamuy ne ciki a=eáwnarura ユク ネ チキ カムイ ネ チキ アエアウナルラ (引用文中で)私は鹿でも熊でもとって来た。(NKほか民話) {E: to bring back (bear, deer as game).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eawnarurapa
- エアウナルラパ 【他動】[複](eawnarura エアウナルラ は単複の区別なし)(二人以上が皆で)(熊や鹿を)とって来る。 yuk ne ciki kamuy ne ciki a=eáwnarurapa ユク ネ チキ カムイ ネ チキ アエアウナルラパ 私たちは鹿でも熊でもとって来た。(NK民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eaykap
- エアイカプ 【e-aykap】 下手だ,〜ができない. ク・ケメイキ エアイカプ ペ ネ クス ク・ハンケヨム パ ク・トゥイマヨム パ ア・エミナ ノイネ=私は針仕事が下手なので,近くへ針を刺し遠くへ針を刺し,笑われそうだ.アッペネプ アナクネ ネプ ア・カレ ヤッカ エアイカプ=不器用者は何をやらせても下手だ.アイヌモシリ モシリ ソ カ タ ア・キヤンネレ プ ノヤ ネ クス ノヤ オプ アニ ノヤ エムシ アニ ア・オッケ プ ア・トゥイェ プ アナクネ エフイネ ウェンカムイ ネ ヤッカ ヤイカッチピ エアイカプ ペ ネ=人間の国土,国土上に最も上席に位置するのがヨモギなので,ヨモギの槍で突かれた者,ヨモギの刀で斬られた者は,どんな悪い神も蘇生することができないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ecatke
- エチャッケ 【ecatke】 汚ながる,汚ない,よごれている. フシコ トゥシリ トゥム ア・クシ ヒ タ アナクネ ノヤ ア・エテテ ワ ホック カネ アナン(アン・アン) ワ ア・クシ ペ ネ.ウェンカムイ カ オンネプ ネ クナク ラム パ ワ エチャッケ ソモ ソイェネ プ ネ シコロ=古い墓地の中を通る場合はヨモギを杖にして腰を曲げて通るものだ.悪い化け物も年寄りたと思って汚ながって出て来ないものだそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ehorari
- エホラリ 【ehorari】 鎮座する:神にお祈りをする場合に多く用いられる言葉. ポロシリ セコロ イタカナッカ(イタク・アン ヤッカ) ル ペシ シトゥ ペンタプカシ エホラリ カムイ ク ランケ マッ カムイ カッケマッ=幌尻岳と申しましても,道たどる峰,東の肩に鎮座する神,弓降ろしの女神.神の淑女. (出典:萱野、方言:沙流)
- ehuyne
- エフイネ 【ehuyne】 どんな,いつまで. アイヌモシリ モシリ ソ カ タ ア・キヤンネレ プ ノヤ ネ クス ノヤ オプ アニ ノヤ エムシ アニ ア・オッケ プ ア・トゥイェ プ アナクネ エフイネ ウェンカムイ ネ ヤッカ ヤイカッチピ エアイカプ ペ ネ=人間の国土,国土上に最も上席に位置するのがヨモギなので,ヨモギの槍で突かれた者,ヨモギの刀で斬られた者はどんな悪い神も蘇生することができないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- eirwakkor
- エイリワッコロ 【他動】[e-irwak-kor …で・兄弟・を持つ] …と兄弟である/になる。 hunna ene cip turano a=arémko yakun ne tumunci kamuy eirwakkor pe ne hawe ne nankor wa フンナ エネ チプ トゥラノ アアレムコ ヤクン ネ トゥムンチ カムイ エイリワッコロ ペ ネ ハウェ ネ ナンコロ ワ だれかそのように舟もろともに死んだのならその鬼神の兄弟分になっているんでしょうねえ。(W会話) ☆発音 エイルワッコロ。 {E: to have brothers; to be brothers with…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eisokor
- エイソコロ 【e-isokor】 〜を信じる,真に受ける. ユタラクル エク ワ カムイ スマウ ネ ハウェ ク・ヌ ア コロカ ア・エイソコロ ハワシ ネ ワ=使いの者が来て熊を獲ったというのを私は聞いたが,信じていい話だよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- eiwanke
- エイワンケ 【e-iwanke】 〜を使う,〜を使用する,〜を用いる. イヨクペ エイワンケ=鎌を使う.タアン ムカラ エイワンケ ワ チプタ アニ=このマサカリを使って舟を掘れよ.ユク ルシ ウコセセク ワ ア・エイワンケ ウシケ カ イサム=鹿の皮が蒸れてしまって使う所もない.ヌマン ケイワンケ(ク・エイワンケ) ムカラ ネ ヤ ア・チャッチャリ ワ アン.タンペ アナクネ カムイ イピリマ ネ ナンコロ=昨日私が使ったマサカリなどが散らかされている.これは危険なことがあるよと神がこっそりと私に耳打ちしてくれたに違いない.メノコ アナクネ ケム ヌイト エイワンケ オカヘ イランマカカ シッチャシヌレ ワ ネプ ネ ヤッカ ウコカラカリ ワ ウカオ プ ネ ナ=女というものは針と糸を使った後もきれいに掃除をしてなんでもまとめて包んでしまうものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- eiyok
- エイヨク 【e-iyok】 売る. ピリカ イコロ ア・コロ ワ アナナプ(アン・アン アプ) シネアンタ コイカウン クル エク ヒネ イ・コホク ルスイ.イコロシリエシニューカ ヒ ネ クニ ア・ラム クス ア・エイヨク ルウェ ネ=いい宝物を私は持っていたが,ある日東の方の人が来て私からそれを買いたい(と言う).宝物がここの土地にあきたのであろうと私は考えたのでその宝を売ったのだ.ウルオカタ ウルオカタ チコシンニヌ カムイイコロ エイヨク パ ヤク ア・イェ ソモ オウェヌシパ ペ ヘ アン シコロ ク・ヤイヌ=子々孫々に秘宝として伝えられた神の宝を売ったということだが,それによって不運にならないものかと私は思っている.ポオン イチェン カ エネオチシチシレ オイケシネ ア・エ クス アン ポオン アントゥキ カ エイヨク ルスイ=少しの銭も使ってしまって,しまいに食べるためにある少しの小豆も売りたいの?テエタ キム タ カルシ ア・ウク コロ ワンペ ランケ ア・ニヌ ヒネ シネ サイ ランケ ア・エイヨク ペ ネ=昔,山でシイタケを採ると10粒ずつ糸で繋ぎ一連ずつ売ったものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekaranke
- エカランケ 【e-karanke】 (〜に)近づく. ソンノ アラ ウェンカムイ ネ ハウェ ネ ナ.イテキ エカランケ ヤン=本当に全く悪い神と言うことだ,近寄らないようにしなさい.ク・ポホー タパン ハワシ エウン イカ エカランケ ナ.ア・シトマ オルシペ ネ ナ=息子よ,この話へは絶対近づくではないぞ.恐ろしい噂だよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekasnukar
- エカシヌカラ 【他動】[e-kas-nukar …で・(人)の上・を見る] (人)に(もの)を授ける。 to kor kamuy pekanpe haru i=ekasnukar wa kusu a=kotánuhu siknu p ne a kusu ト コロ カムイ ペカンペ ハル イエカシヌカラ ワ クス アコタヌフ シクヌプ ネ ア クス 湖の神が菱の実という食料を授けてくれたおかげで私たちの村が行きのびられたのだったから。(S会話) {E: to grant…to someone } ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ekatki
- エカッキ 【ekatki】 かかわる. タパン オルシペ アナクネ サウレ・アン ペ ソモ ネ ナ カムイ ア・エコシ プ ネ ナ.イテキ エカッキ アニ=この事はやさしいことではないので神に任せることにしよう.それにかかわるでないぞ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekosi
- エコシ 【e-kosi】 (〜に)任す,任せる,委任する. ペウレクル ネ コロカ ラメトコロケ(ラメトク オロケ) パウェトク トゥラ ア・オトゥワシ ナ エコシ ワ アヌ ヤン=若い人ではあるけれど度胸も雄弁もともに頼れるから任せておきなさい.タパン オルシペ アナクネ サウレアンペ ソモ ネ ナ カムイ ア・エコシ プ ネ ナ.イテキ エカッキ アニ=この事はやさしいことではないので神に任せることにしよう.それにかかわるでないぞ.タパン ハワシ アナクネ ハウケ オルシペ ソモ ネ クス カムイ ア・エコシ エアシリキ ペ ネ ハウェ ネ ワ=この話はちょっとやそっとのものではないので神様に任せるほかないことだろうね. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekupa
- エクパ 【e-kupa】 くわえる. ク・ケリヒ テタ ウウェトゥレンノ カヌ(ク・アヌ) アプ アラケヘ イサム.ネンカネ セタ ヘネ エクパ ルウェ ソモ ネ ヤー=私の履物をここへ対にして置いたのに片方がない.もしや犬がくわえたのではないだろうか.*昔の履物は鹿の皮などで作られていたため,しばしば犬に持って行かれた.キムンカムイ アイヌ ケセアンパ ヒ タ アナクネ コイスム タク エクパ アーペコロ アン ワ ホユププ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊が人間を追いかける時には泡のかたまりをくわえたような格好で走るものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- emakkakur
- エマッカクル 【e-mak-ka-kur】 照らす.*「ホタルの婿選び」というカムイユカラに出て来る言葉.普通はマッカクル=照らすというふうには用いない.▷エ=それで マク=奥の方 カ=上 クル=影 (出典:萱野、方言:沙流)
- eniwcinne
- エニウチンネ 【eniwcinne】 追放する,追い出す. シノ ウェンカムイ アナクネ ニタイ サク モシリ チカプ サク モシリ ア・コエニューチンネ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=本当に悪い神は樹木のない国,鳥もいない国へ追い出すものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- enucisiske
- エヌチシシケ 【enucisiske】 にらむ,にらみつける,見つめる. チュワン オカケタ トイ アンクラ タ ポンノ モコロアナクス(モコロ・アン アクス) イ・カトイクシ ペコロ ネ ヒネ モイモイケ・アン カ ア・エアイカプ エウン アイヌ ハウ アシ クスケライ モシ・アン ネプカ ウェンカムイ イイェヌチシシケ(イ・エヌチシシケ) ワ ネ ア ナンコロ=お昼ご飯の後,畑の畔で少し眠ると,体の上を土でおおわれたようなかったるい気持ちになり動くこともできない,そこへ人声がしたお陰で目が覚めた,何か化け物が私をにらみつけていたのであろう.ネプ ワ アン ペ イェヌチシシケ(イ・エヌチシシケ) フミ ネ ヤ ア・コンラム カ オライオライ キピプキピプ=何が私をにらんでいるのか心がざわざわと殺気を感じた. (出典:萱野、方言:沙流)
- enupur
- エヌプル 【他動】[e-nupur (そこ)で・霊力を持つ](直訳すると)(そこ)に霊力をもつ=(神が)…を守る。 Kotan-sermak-enupur-kamuy コタンセレマクエヌプルカムイ 村の背後を守る神(屈斜路湖畔の山の昔の呼び名、 別名 Kamuy nupuri カムイ ヌプリ 神山)。 ☆参考 神が(そこ)を守ることを表す語の一つ。 ほかに enukor エヌコロ、 epunkine エプンキネ とも言う。 ☞nupur ヌプル {E: to have spiritual power over…; (for god)to rule over…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eomuken
- エオムケン 【他動】[e-omuken …に関して・獲物がとれない] 獲物がとれない。 sine yuk póka sine kamuy póka eomuken no kucasanke=an シネ ユク ポカ シネ カムイ ポカ エオムケン ノ クチャサンケアン 私はただ一頭の鹿も一頭の熊もとれずに狩小屋の猟を終えて村に帰った。(HC民話) ☞omuken オムケン ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eopirasa
- エオピラサ 【複他動】[e-o-pirasa …で・(そこ)で・…を広げる](次のような文脈で)sikurkasam eopirasa シクルカサム エオピラサ [雅](小袖)を自分の体に合わせて広げる。 kamuy kosonte/a=sikúrkasam/eopirasa カムイ コソンテ/アシクルカサム/エオピラサ [雅]立派な小袖を私は自分の体に合わせて広げてみた。(Sユーカラ) ☆参考 ふしをつけずに語っている中では、 e- エ をつけず sikurkasam opirasa シクルカサム オピラサ とも言っている。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eoripak
- エオリパク 【e-oripak】 (〜を)尊敬する,うやまう,(〜に)遠慮する. エアラキンネ カムイ ネノ アン クル ネ クス ア・エオリパク=とても神のような人なので私たちはその人を尊敬する. (出典:萱野、方言:沙流)
- epacikoan
- エパチコアン 【e-paci-ko-an】 罰があたる. テエータ ワノ ウェンプリ コロ ペ サニケヘ アナクネ カムイコイパク エパチコアン ワ オウェヌシ パ シリ=ずうっと昔から悪いことをした者の血統は神からも罰を受け罰があたり運の悪いことよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- epeka 1
- エペカ 【他動】[e-peka …で・受けとめる] …に(くじで)当たる、 ちょうど(正面に)当たる、 該当する。 a=epéka p ene wen ruwe an hi an? アエペカプ エネ ウェン ルウェ アニ アン? (S) あなたが(くじで)当たったものはこんな悪いのだったんですね? (S) epeka no móno a エペカ ノ モノ ア (この人に)向き合って座りなさい。(S) kamuy rorunpe epeka kusu カムイ ロルンペ エペカ クス (直訳すると)神の襲撃が当たったために=伝染病にやられて。 {E: to win in a lottery draw.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- epokor
- エポコロ 【他動】[e-pokor で・子を産む] …を産む。 ne ene a=ye hi ka a=erámpewtek no an hemanta wenkamuy sani ne noyne an pe epokor ネ エネ アイェ ヒ カ アエランペウテク ノ アン ヘマンタ ウェンカムイ サニ ネ ノイネ アン ペ エポコロ (彼女は)いったいどう言ったらいいかもわからないような変な悪神の子みたいなものを産んだ。 ☆参考 当り前でないものを産んだというような話のときに言う。 普通に子どもを「産んだ」というときは、 kor コロ《持った、 産んだ》、 an アン《生まれた》と言う。(S) ☆参考 enuwap エヌワプ …を分娩する。 yaykosanke ヤイコサンケ 出産する(雅語的、 よい言葉)。 {E: to give birth to…} (出典:田村、方言:沙流)
- epunkine
- エプンキネ 【他動】[e-punki-ne …で・守護者・である] …を守る、 (国)を治める、 …の番をする、 …を看護する。 mosir/kotan epunkine kamuy モシリ/コタン エプンキネ カムイ 国/村を守る神。 yaynuwen wa epunkine wa an ヤイヌウェン ワ エプンキネ ワ アン 具合いが悪いので看護している。(S) {E: to protect, guard, govern…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- erampokiwen
- エランポキウェン 【他動】[e-ram-poki-wen …で・心・その下・悪い] …を憐れむ、 …をかわいそうに思う。 …sekor kesto ci=ye a ci=ye a kor, os k=érampokiwen …セコロ ケシト チイェ ア チイェ ア コロ、 オシ ケランポキウェン …と毎日私たちは言っていて、 その後になって私は(坊やが)かわいそうになった。(W独話) pirka kewtum kor pon weysisam anakne kamuy erampokiwen wa nispa ne ピリカ ケウトゥム コロ ポン ウェイシサム アナクネ カムイ エランポキウェン マ ニシパ ネ 気だてのよい小さな貧乏和人は神が憐れんでくれて裕福になった。(S民話) ☆参考 erampokwen エランポクウェン とも言う。 {E: to pity, feel sorry for…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- erampokwen
- エランポクウェン 【他動】[e-ram-pok-wen …で・心・の下・悪い] …を憐れむ。 kamuy erampokwen pe ne kusu カムイ エランポクウェン ペ ネ クス 神が憐れんでくれたので。(W民話) ☆参考 erampokiwen エランポキウェン とも言う。 目的格人称接辞がつくときは erampokwen エランポクウェン が使われている。 目的格人称接辞がつかないとき、 つまりどの人称接辞もつかないかまたは主格の人称接辞だけがつくときは、 erampokiwen エランポキウェン のほうが多く使われているが、 また erampokwen エランポクウェン の例もある。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eramuoka
- エラムオカ 【他動】[複](単は eraman エラマン/eramuan エラムアン)[e-ramu-oka …について・その心[所]・ある[複]](二人以上が)…を知っている、 …がわかる。 orowano easir oka=an katu kamuy ka aynu ka eramuoka オロワノ エアシリ オカアン カトゥ カムイ カ アイヌ カ エラムオカ その時から、 私たちの存在が神にも人にも知られるようになった。(W民話) {E: to know, understand…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- erayap
- エラヤプ 【erayap】 感心する. ウヌヌケ パクノ ア・エラヤプペ イサムペ ウトゥルン メノコポ ウヌヌケ シリ=孝行ほど感心されることはないものだが,西隣の娘の親孝行なこと!スイ ネイタカ アクプ アン セコロ ク・イヌ エアラキンネ ケラヤプ=またどこかで屋根葺きをすると聞いて私は本当に感心した.ソンノ エアシリ アヌン ニシパ イタクコシパシヌ ハウェ ア・エラヤプ=本当によそから来られた方.言葉が際立っている様子の感心なことだ.ケライ カッケマッ ネ クス レララ カシ イカ カネ イムッ シリ ア・エラヤプ=さすが淑女であるだけに胸の上が溢れるほどに首飾りをし,感心なことよ.アイヌ オッタ(オロ タ) カ カムイ オッタ カ ア・ウコエヤムペ オンネプ ヘカッタラ ネ ヒケ オンネプ ヌヌケ エ・キ ソンノ ア・エラヤプ=人間の所でも神の所でもともに大切にされるものが年寄りと子供たちなのに年寄りを大切にして本当に感心だ. (出典:萱野、方言:沙流)
- eren
- エレン 【接頭+数名】[e-ran …で・三人]…で三人、 …を含めて三人。 kamuy moyremat/eren eci=n氏^tapan cási/a=eci=kohóppa na カムイ モイレマッ/エレン エチネ/タパン チャシ/アエチコホッパ ナ [雅]女神様たちとあなたとの三人に私はこの城を残して行きますからね。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- erespa
- エレシパ 【複他動】[複](単は未出。 respa レシパ の単は resu レス)[e-respa (それ)で・育てる[複]](二人以上)を…で育てる。 yuk ne ciki kamuy ne ciki nuwe koan wa i=erespa ユク ネ チキ カムイ ネ チキ ヌウェ コアン ワ イエレシパ (父は狩りをして)鹿でも熊でもたくさんとって来て、 それで私を育ててくれた。(S民話) {E: to bring up, raise…on… (pl.).} (出典:田村、方言:沙流)
- erok
- エロク 【他動】[e-rok (そこ)に・座る[複]](神が)(そこ)に住む。 Nupursar kotan petetok kasi erok kamuy ヌプルサラ コタン ペテトク カシ エロク カムイ この沙流地域の川の水源地にまします神。(W神謡語り) ☆参考 erokrok エロクロク という重複形でも言う。 ほかにも神が住むことを表す語はいろいろある。 ☞ewak エワク、 urokte ウロクテ、 horari ホラリ、 horarpa ホララパ、 enukor エヌコロ {E: the place where the gods live.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- erokroki
- エロクロキ 【erokroki】 ヨタカ〔鳥〕:馬追い鳥ともいう.*ヨタカの体の白黒の横縞はアイヌの墓標に巻くウトキアッという紐に似ている.それで墓標に巻いた紐が朽ちて大地に落ち.それを見たオキクルミカムイがヨタカとして魂を与えたと言われる.夜,ヨタカに追われたらその素姓を暴くと追うのを止めると言う. (出典:萱野、方言:沙流)
- erum
- エルム 【erum】 ネズミ. エルム ネプカ タタ コロ コナハ(ク・オナハ) エネ ハワニ エルムカムイ ノ トノケヘ エルム ノットゥタ アン ペ ネ ナ エチ・コヨンヌッパ ナ シコロ ハワニ ク・ヌ アムキリ ペ ネ=ネズミが何か物をかじったら私の父が言ったのは,ネズミの神の最も偉い神は襟裳の岬にいるものだ,お前をそこへ訴えるぞ,と言っていたのを聞いたものだ.*事実,襟裳岬へ行ってみると波の具合によってはたくさんのネズミが沖へ向かって走っているかのように見えるのには驚いた.アイヌは地形をよく見ているんだなあと思っている. (出典:萱野、方言:沙流)
- erumnottu
- エルムノットゥ 【erum-nottu】 襟裳岬. エルム ネプカ タタ コロ コナハ(ク・オナハ) エネ ハワニ エルムカムイ ノ トノケヘ エルムノットゥ タ アン ペ ネ ナ エチ・コヨンヌッパ ナ シコロ ハワニ ク・ヌ アムキリ ペ ネ=ネズミが何か物をかじったら私の父が言ったのは,ネズミの神の最も偉い神は襟裳の岬にいるものだ,お前をそこへ訴えるぞ,と言っていたのを聞いたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- érusuy
- エルスイ 【他動】[e-rusuy …を食べる・…したい](食べ物)を好む、 …が好きだ。 kamuy erusuy pe カムイ エルスイ ペ 神の好物(この場合、 酒のことを言っている)。 ☆参考 おつゆ(みそ汁など)でも。 用例では酒のことも。 ☆参考 モノや人を好むのは eramasu エラマス。 {E: to like (food).} (出典:田村、方言:沙流)
- esiniwka
- エシニウカ 【esiniwka】 (〜に)飽きる. ヌカラ エシニューカ=見飽きる.イコロ カムイ シリ エシニューカ ワ ネ ノイネ ア・ホクイタク キ アクス ネノネノ ニシパ イ・コエイヨク=宝物の神がその士地に飽きたらしく私が買いたいと言ったら言う通り持ち主が売ってくれた.ネンカ アヌン ア・コロ イコロ ホク ルスイ コロ シリ エシニューカ ワ ネ ナンコロ クス ア・エイヨク ペ ネ シコロ オンネクル ウタラ ハウェオカ ヒ ク・ヌ プ ネ=誰か他人が私が持っている宝物を買いたいという.このことは宝物がこの土地に飽きたからであろうから売るものだと,老人たちが言っていたのを聞いたことがある.*このことによってどのぐらいの民具が持ち去られたものか.この言葉だけは信じないことにしている. (出典:萱野、方言:沙流)
- esitayki
- エシタイキ 【e-sitayki】 投げつける,叩きつける,殴りつける. ソナピ アラケ ア・イ・コルッルトゥ クス アパサムシペ ア・エシタイキ=(いやな男が)山盛飯の半分を私の方へ押し寄こしたので入口の柱に投げつけた.ポロ カムイ ピューキ ワ エク クス カンニ アニ ア・エシタイキ=大きな熊が襲って来たので棒で殴りつけた. (出典:萱野、方言:沙流)
- etete
- エテテ 【etete】 杖にする. フシコ トゥシリ トゥム ア・クシ ヒ タ アナクネ ノヤ ア・エテテ ワ ホック カネ アナン(アン・アン) ワ ア・クシ ペ ネ ウェンカムイ カ オンネプ ネ クナク ラム パ ワ エチャッケ ソモ ソイェネ プ ネ シコロ=古い墓地の中を通る場合はヨモギを杖にして腰を曲げて通るものだ.悪い化け物も年寄りだと思って汚ながって出て来ないものだそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- etoko orke
- エトコ オロケ 【位名】[雅]その前に。 makan katkor pe/sapte kuni/etoko orke/tapan kamuy maw/ketusi upsor wa マカン カッコロ ペ/サプテ クニ/エトコ オロケ/タパン カムイ マウ/ケトゥシ ウプソロ ワ [雅]どのようなものを出すのか、 出す前に神風がながもちの中から…。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- etokous
- エトコウシ 【etoko-us】 待ち伏せる. キムンカムイ アナクネ ア・シトマ プ ネ.ア・クイラ ヒ パシテ コロ ヤイルカ エホシピ ニ セムピリ タ イェトコウシ(イ・エトコウシ) ペ ネ=熊は恐ろしいものだ.後をつけられたことに気づくと自分の足跡を迂回して木の陰で待ち伏せをするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- etursere
- エトゥルセレ 【複他動】[e-turse-re …で・落ちる・させる] …で…をとばす、 …で…を切り落とす。 ure etursere ウレ エトゥルセレ 足で(それを)けとばす。(W) a=sitómusi a p a=sikóetaye híne néa kimunkamuy a=tawki hi ta kamuy renkayne penrekuci a=etúrsere ruwe ne アシトムシ アプ アシコエタイェ ヒネ ネア キムンカムイ アタウキ ヒ タ カムイ レンカイネ ペンレクチ アエトゥルセレ ルウェ ネ 私が腰に差していた山刀を引き抜いて熊に切りつけとき、 神のおかげでその首を切り落とした。(HK民話) {E: to cut off…; cut away…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- etusnatki
- エトゥシナッキ 【e-tus-natki】 香りたなびく,酒の香りが家懐にたなびいている. カムイイクルスイペ ソネクス トゥッコレレコ ネコロチセオンナイ サケフラ エトゥシナッキ=神が飲みたい物であるが故に,二日か三日すると家懐を酒の香りがたなびいている[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- eunkeray
- エウンケライ 【eunkeray】 貰う:自分からは要求しなかったのに相手がくれた場合. ソンノ ケカンパッコ(ク・エカンパッコ) ペンチャイ コヤン コラーチ ネプネプ ケウンケライ(ク・エウンケライ) ケヤイコプンテク(ク・エヤイコプンテク) ルウェ ネ ワー=本当に予期もしないのに帆掛け舟が私の所へ来たと同じようにいろいろ私は貰い物をして喜んでいる.クナウ ペ トゥム ワ ア・プス アーペコロ アン カムイ イコロ ア・エウンケライ.イナウ ア・ケ ア ア・ケ ア イナウ トゥンプ ア・カラ ワ スウォプ アサム ア・オランラニ ルウェ ネ=フクジュソウの花の雫の中から掘り出したような神の宝刀を私は貰った.イナウをたくさん削ってイナウの寝床を作り宝箱の底へ詰め込んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- eupiraspa
- エウピラシパ 【他動】[e-upiraspa …によって・皆で広がる]そうやって子孫をふやす。 …/kamuy menoko/ponmat ne e=kor/eupiraspa カムイ メノコ/ポンマッ ネ エコロ/エウピラシパ …/女神を第二の妻としてめとり、 そうやって子孫をふやしなさい。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eweraman
- エウェラマン 【他動】[e-u-e-raman …について・互い・と共に・わかる] …が皆/二人とも一致してわかる。 sinrit oruspe, kamuy oruspe, ney ta pakno sineatkino a=ewéraman kuni sekor ku=yaynu kor k=an シンリッ オルシペ、 カムイ オルシペ、 ネイ タ パクノ シネアッキノ アエウェラマン クニ セコロ クヤイヌ コロ カン 先祖のこと、 神のことが、 いつまでも混乱しないできちんと皆にわかるのだと私は思っている。(W会話) ☆参考 接頭辞がつかないとき、 およびアクセント核の位置を変えない接頭辞(a= または eci=)のみがついたときは、 この形をとることが多い。 アクセント核(声の高さの上がるところ)は、 第二音節(この場合 we )に置かれる。 その他の接頭辞がついて、 語頭の e が高く発音されるときの語幹には euweraman/ewweraman エウウェラマン の形が使われることが多いと予想される。 ☞eraman エラマン {E: to mutually know…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ewkonumne
- エウコヌムネ 【他動】[e-u-ko-num-ne …のことで・互い・に・粒・である](?) …に目をつけて互いに相談する(?)。 kamuy oro wanopo a=ewkonumne p a=ne wa カムイ オロ ワノポ アエウコヌムネプ アネ ワ 私は熊の神々からも目をつけられて互いに相談されているので。(HK民話) {E: to mutually consult over…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ewkoramkor
- エウコラムコロ 【他動】[e-u-ko-ram-kor …について・互い・に・心を・持つ] …について相談する。 hetopo suy a=kor mosir ne a=kar kunihi kamuy tono tutanu sapane utar opitta ewkoramkor kor síran ヘトポ スイ アコロ モシリ ネ アカラ クニヒ カムイ トノ トゥタヌ サパネ ウタラ オピッタ エウコラムコロ コロ シラン (北方領土を)また再び私たちの国土に取りもどすことを、 天皇の次の高い位の方々が皆で相談している。(S) {E: to consult with someone about…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ewkoramkur-turpa
- エウコラムクルトゥルパ/エウコラムクットゥルパ 【他動】(韻文では分離)[e-u-ko-ram-kur-turpa …について・互い・と共に・心・有様・を伸ばす[複]] …について皆で一緒にいろいろとよく考えて相談し合う。 sekor okay pe/kamuy opitta/ewkoramkur/turpa kane セコロカイ ペ/カムイ オピッタ/エウコラムクル/トゥルパ カネ [雅]ということを神々はみな一緒に考えて先のことを案じていました。(Sユーカラ) ☆発音 日常語で話すときは全体を続けて ewkoramkutturpa エウコラムクットゥルパ と発音する。 しかしアクセントは二語のアクセント。 ☆参考 韻文で歌うときは2行に分かれる。 ☆参考 『音声資料3』に ewkoramkotturpa エウコラムコットゥルパ とあるのは誤り。 {E: to seriously talk over…with someone} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ewkoysoytak
- エウコイソイタク 【他動】[e-uko-isoytak …について・互いに・話をする] …について互いにいろいろと話を(おしゃべりを)し合う。 nep ka kamuy oruspe hene teeta aynu oruspe hene a=ewkoysoytak wa ネプ カ カムイ オルシペ ヘネ テエタ アイヌ オルシペ ヘネ アエウコイソイタク ワ 何か神のことでも昔のアイヌのことでもお互いにいろいろ話をし合って。(S会話) {E: to mutually discuss…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyayeysoytak
- エヤイェイソイタク 【他動】[e-yay-e-isoytak …で・自分・について・話をする] …を自分の身の上話として話す。 páoyan uske ta kemran kamuy i=resu hi ne aan hi a=eyáyeysoytak パオヤン ウシケ タ ケムラン カムイ イレス ヒ ネ アアニ アエヤイェイソイタク 伝染病が上陸して来たときに、 飢饉の神が私を育ててくれたのだったと言うことを私は自分の身の上話として話した。(W民話) ☞yayeysoytak ヤイェイソイタク、 isoytak イソイタク {E: to talk about oneself to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyaykurkasam-pirasa
- エヤイクルカサムピラサ 【他動】[e-yay-kuruka-sam-pirasa …で・自分・の上一面・(< のそば)・…を広げる][雅](小袖)を自分の体に合わせて広げる。 kamuy kosonte/a=eyáykurkasam/pirasa kane カムイ コソンテ/アエヤイクルカサム/ピラサ カネ [雅]私は立派な小袖を自分の体の上に広げて身につけ…。(Sユーカラ語り) ☆参考 韻文で2行に分かれる。 ☆参考 別の箇所で sikurkasam-opirasa シクムカサムオピラサ と言っている。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyaynunuke
- エヤイヌヌケ 【他動】[e-yay-nunuke …で・自分・を好遇する(?)] …(するの)が「もったいない」=おそれ多い、 …するわけにはいかない。 …sekor kamuy yaynu hi toy ka osma eyaynunuke kusu …セコロ カムイ ヤイヌ ヒ トイ カ オシマ エヤイヌヌケ クス …と神が思ったことが地に落ちてしまうのはおそれ多いので。(W神謡語り) néa kupka páse kamuy eywanke p ne a p heru toykomunin ka eyaynunuke kusu ネア クプカ パセ カムイ エイワンケプ ネ アプ ヘル トイコムニン カ エヤイヌヌケ クス そのくわ(鍬)は尊い神が使ったものだったので地に朽ち果てるのはおそれ多いから。(S言い伝え) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyayrikikur-kosnepuni
- エヤイリキクルコシネプニ 【他動】[e-yay-riki-kur-kosne-puni …で・自分・高く・(< 影/姿)・軽く・…を持ち上げる][雅](そこ)で空中に浮かび上がる。 iresu sápo/kamuy maw etok/eyayrikikur/kosnepuni イレス サポ/カムイ マウェトク/エヤイリキクル/コシネプニ [雅]育ての姉は神風の前方で軽々と浮かび上がって行き。(Sユーカラ) ☆参考 韻文で2行に分かれる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyayureka-karkar
- エヤユレカカラカラ 【他動】[e-yay-ure-ka-karkar …で・自分・足・の上・を整える][雅](靴)を足に合わせる。(S) kamuy kar sutu/káne sutuker/a=eyáyureka/karkar kane カムイ カラ ストゥ/カネ ストゥケレ/アエヤユレカ/カラカラ カネ [雅]神がつくったような立派な金(かね)の靴を私は自分の足に合わせて。(Sユーカラ) ☆参考 韻文で2行に分かれる。 ☆参考 実際には靴をはいたことを言っているが、 歌い手自身は「自分の足に合わせた」と説明した。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eymekkarpa
- エイメッカラパ 【他動】[複](eymekkar エイメッカラ は単複の区別なし)…を(二人以上の人皆)に配る。 kamuy opitta néa usa sito usa sake a=emárattokor inaw ka a=eymekkarpa カムイ オピッタ ネア ウサ シト ウサ サケ アエマラットコロ イナウ カ アエイメッカラパ 私は神々全員にその団子だの酒だのをごちそうしてもてなしイナウ(木幣)も皆に配った。(W民話) {E: to hand out, distribute…to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyoko
- エヨコ 【他動】[e-yoko …に関して・待ちかまえる]…を待ち伏せする、 (獲物)を来たらとろうと待ちかまえる。 kamuy san kuni ramu wa eyoko wa an カムイ サン クニ ラム ワ エヨコ ワ アン 熊が来ると思って待ちかまえている。 ☞yoko ヨコ {E: to wait around for game, hunt.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eypottumma kosinna
- エイポットゥンマ コシンナ 【慣用句】[e-ipor-tum-wa ko-sinna …で・顔つき・の中・から・(雅語で叙述を導く)…が・違う][雅]…で顔つきからして違っている。 kamuy ne kusu/kamuy ipor/eypottumma/kosinna kane カムイ ネ クス/カムイ イポロ/エイポットゥンマ/コシンナ カネ [雅]神だから神の顔つきが人間の顔とは違っている。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eywanke
- エイワンケ 【他動】(もの)を使う。 ipe=an kor pisno a=eywanke p イペアン コロ ピシノ アエイワンケプ 私たちが食事するたびごとに使うもの(箸)。(W) páse kamuy eywanke p パセ カムイ エイワンケプ 尊い神が使ったもの。(S言い伝え) ☆参考 útek ウテク (使い走りの使用人として)(人)を使う。 {E: to use…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hámuki
- ハムキ 【自動】[hamu-ki ねんね・をする][幼] ねんねする。(眠ることを表す幼児語。 二、 三歳の幼児に言う言葉。 居眠りしている子どもをだいて行きながら、 子守歌の中で、 等)。 hámuki hani! ハムキ ハニ! おねんねしなさいよ。(S) huna hámuki フナ ハムキ ねんねしなさい。(=huna hamu iki フナ ハム イキ) (S子守歌) hamuki wa ne yak/iresu sinta/sinta kurka/kamuy oran na ハムキ ワ ネ ヤク/イレス シンタ/シンタ クルカ/カムイ オラン ナ ねんねすればゆりかごの上に神がおりるよ。(S子守歌) ☆参考 人称形にはならないらしい。 最後の用例で、 mokor モコロ を使えば e=mokor エモコロ と人称形になるところだが、 hamuki ハムキ は e= エ がつかずそのままの形で出ている。 ☆参考 大人の言葉では mokor モコロ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- harucarpa
- ハルチャラパ 【haru-carpa】 病気に対するおまじない. オヤコヤク タ レラ アッ カトゥ ア・オヤモクテ ヤク ア・イェ クス ハルエカムイノミ・アシ ルスイ クス ハルアフプカラ クス ケク(ク・エク) ヒ ネ ワー=あちらこちらで風向きが(流行病に対しての別の言い方)不審というので,穀物を持って神を祭りたいと思い穀物を貰いに私は来た.*昭和40年代までは貝澤なつさんというおばさんが上記のような言い方で歩いていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- harukor
- ハルコロ 【haru-kor】 肥えている,太っている.▷ハル=豆やヒエ・アワなど穀物の総称 コロ=持つ ソンノ ハルコロ カムイ ネ ワ カム トゥーカ サクノ キリプウシ ヨヨヨ ヨヨヨ=本当に肥えた熊だ,肉の端もなく脂身ばかりだ,よかったよかった.*鹿とか熊のことをいう場合にこの言い方.人間が太っているのをいうのはミムシ. (出典:萱野、方言:沙流)
- hawke 2
- ハウケ 【hawke】 ②簡単だ. タパン ハワシ アナクネ ハウケ オルシペ ソモ ネ クス カムイ ア・エコシ エアシリキ ペ ネ ハウェ ネ ワ=この話はちょっとやそっとのものではない.神様に任せるほかないことだろうね. (出典:萱野、方言:沙流)
- hayoksaknopo
- ハヨクサクノポ 【副】[hayok-sak-no-po よろい(武装する)・を持たない・(副詞形成)・(指小辞)][雅]「よろいをつけずに」(武装せずに)。 kamuy rametok/a=paskuma kus ne kor/hayoksaknopo/somo an kuni p/upaskuma ne kus カムイ ラメトク/アパシクマ クシ ネ コロ/ハヨクサクノポ/ソモ アン クニプ/ウパシクマ ネ クシ [雅]神のような勇者に先祖の話をして聞かせようとするときにはよろいをつけないで(武装しないで)話し伝えるものではありませんから。(Sユーカラ) ☆参考 サダモさんによれば、 そういうときにはいつ切りかかられてもいいようによろいをつけるのだとのこと。 しかしこの女神は、 六枚の小袖を着て帯をしめ、 六枚の小袖を羽織り、 玉飾りを首にかけ耳環を耳につけ(つまり天に昇る身支度の正装をし)、 ねじれ木の杖の上にあごをのせてから、 このように言い、 そして「だからよろいをつけた」と言っている。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hemesu-eaykap
- ヘメスエアイカプ 【自動】[hemesu-eaykap のぼる・できない](=hemesu eaykap ヘメス エアイカプ) 登れない。 ruyapto ne ya kamuymaw ne ya ani hemesu-eaykap=an noyne húmas wa kusu ルヤプト ネ ヤ カムイマウ ネ ヤ アニ ヘメスエアイカプアン ノイネ フマシ ワ クス 激しい雨やら神風やらで私は(山に)登ることができないように感じられたので。(W民話) {E: to be unable to climb.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- henoye
- ヘノイェ 【he-noye】 寄る.▷へ=自ら ノイェ=ねじる ヘノイェ ワ シニ ヤン=寄って休みなさい.ヘノイェ ワ アラパ=寄って行け.ネイタカ パトゥム ネ マヌ プ スルルケ ヒ ア・ヌ コロ ウクリペ ア・ウク ワ アパ オッタ(オロ タ) プヤラ オッタ ア・エウシ ワ ア・アヌ コロ パヨカカムイ ソモ ヘノイェ プ ネ=どこかで流行病が蔓延したと聞いたらヤツメウナギを獲って来て戸とか窓に差しておくと病気の神が寄らないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- hetap
- ヘタプ 【hetap】 だろうか. アイヌ ヘタプ カムイ ヘタプ=人間だろうか神だろうか.アイヌ ヘタプ エネ カトゥアン ワ イ・サム エ・ソンコクシテ ワ ウェンカムイ ネ ソモ ア・イ・カラ=人間だろうかあなたの様子は,私の前に言葉を通らせ私は悪い神にされずにすんだ[ウ](間違いを起こした神を助けるために神々ヘアイヌのほうからお願いをした). (出典:萱野、方言:沙流)
- hetkehetke
- ヘッケヘッケ 【hetke-hetke】 刀が中間まで抜け抜けする. オロワ ワッカ チク アンキ アン カムイ イペタム ノシキ パクノ ヘッケヘッケ=刀身から水が滴りそうな神の人食い刀が中程まで抜け抜けしている[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- hi 2
- ヒ 【形名】[名詞化辞](動詞/動詞句に終わる節の後に置かれてこれを名詞化する。) ①…する/したこと honkor=an hi ka a=erámpewtek ホンコラニ カ アエランペウテク 私は妊娠していたのも知らなかった。 noyporo poro suy a=omáre hi ruska kusu ノイポロ ポロ スイ アオマレ ヒ ルシカ クス ひたいに大きな穴を開けられたことに腹が立ったので。(S民話) kamuy yaynu hi toy ka osma eyaynunuke kusu カムイ ヤイヌ ヒ トイ カ オシマ エヤイヌヌケ クス 神が思った事が地面に落ちるのは畏れ多いので。(S言い伝え) ene…hi エネ…ヒ …する仕方、 どのように…する/したかということ。 ene iki hi ka isam エネ イキ ヒ カ イサム どうしようもない。 ene hawean hi エネ ハウェアニ (直訳すると)このように言ったことは=次のように言った。 hi néno ヒ ネノ …したまま。 ene an a hi néno (kane) エネ アナ ヒ ネノ (カネ) もとあったとおりに。 sike=an hi néno シケアニ ネノ 私は荷物を背負ったまま。(W神謡語り) hi nani ヒ ナニ …するとすぐ。 soyne hi nani ソイネ ヒ ナニ 外へ出てすぐ。 hi kusu ヒ クス …する/したから、 だから。 ②(文頭に置かれ、 前の文の内容を受けてその全体を名詞化する。) hi ne ヒ ネ そうだよ。 ③とき。 kéman hi ta ケマニ タ 飢饉だったときに。(W会話) tekehe turiri hi ta テケヘ トゥリリ ヒ タ 手をのばしたときに。(HK民話) poro=an hi wano ポロアニ ワノ (引用文中)私が大きくなってから。 hi ora(no)/hi oraun ヒ オラ (ノ)/ヒ オラウン …してから。 ne hi pakno ネ ヒ パクノ そのときまで。 ④ところ(所)。 tun ehotke hi トゥン エホッケ ヒ 二人が寝る所。(NK民話) ☆発音 ☞hi ヒ 1 {E: ①to; in; that. ②(is to be placed at the beginning of a sentence to make what was previously said a noun form. ③time. ④place.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hikusu
- ヒクス 【hikusu】 〜ので,そこで,そして. カムイ オッタ(オロ タ) ア・ヤイコトムカ プ ア・フナラ ヤッカ イサム ヒクス アイヌ オルン インカラアナクス(インカラ・アン アクス) エアニ パテク ア・ヤイコトムカ=神の所で私に似合う者を探したがいないので人間の方を見ると,お前ばかりが私に似合う.セタ ミク コロ エン・ケサンパ ヒクス スマ アニ ア・ピイェカラ アクス キラ ワ アラパ=犬が吠えながら私を追いかけてきたので石をぶつけると逃げて行った. (出典:萱野、方言:沙流)
- hńta 1
- フンタ 【疑名】[hemanta ヘマンタ 1 の縮約形] ①(質問)何。 hńta an? フンタ アン? なんだい/なんですか? (hńta ne? フンタ ネ? 《何だ?》とも言う)。 hńta ekuskonna poro haw e=sanke wa k=éramutuy a na フンタ エクシコンナ ポロ ハウ エサンケ ワ ケラムトゥイ ア ナ なんだそれ突然大きな声を出してびっくりしたよ。(S) ②何か(できごとだけわかっていてその主または対象が何だかわからないときに使う)。 to, to, hńta moymoyke kor an ト、 ト、 フンタ モイモイケ コラン ほらあそこ、 あそこに何か動いている。(S) a, hńta kor wa ek kor an na ア、 フンタ コロ ワ エク コラン ナ あ、 何か持って来ているよ。(S) (注 「何か食べたい」のようなときの「何でもいいから何か」は nep ka ネプ カ。) ③hńta kusu フンタ クス [何・のため/故に] なぜ。 hńta kusu ene e=okasura hi an? フンタ クス エネ エオカスラ ヒ アン? なぜこんなときに行かせるの。(S) hńta ne フンタ ネ 何のために(「なにしに」)。 hńta un, kamuy ye a wa フンタ ウン、 カムイ イェ ア ワ なあに(ほかでもない)、 神が言ったのだわ(だから、 そのとおりになるんだ)。 ☆参考 日常の早い会話では hemanta ヘマンタ よりもこのほうが普通に使われる。 沙流川の下流でも中流でも言うがペナコリの川上まつ子さんは hinta ヒンタ と言う。 {E: ①what. ②something. ③…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ho
- ホ 【ho】 陰部,陰門,腰. キム タ キムンカムイ ア・ヌカラ ヒ タ ア・コホパルパル コロ ラッチターラ エソシナ ワ アラパ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ) ワ=山で熊に出会ったら,それに陰部を出してばたばたさせると,静かに向きを変えて行くものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- hokampaitak
- ホカンパイタク 【hokampa-itak】 難しい言葉. アイヌ イタク アナクネ ユカラ ア・イェ ヒ タ ウウェペケレ ア・イェ ヒ タ カムイユカラ ア・イェ ヒ タ ネプネプ ホカンパ イタク アン ペ ネ=アイヌの言葉は,叙事詩を言う時,昔話を言う時,神が自らの話を言う時,いろいろと難しい言薬があるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- homekayaynu
- ホメカヤイヌ 【他動】気絶させる。(受け身の形、 つまり不定人称形で) a=homékayaynu アホメカヤイヌ 気絶する。 kamuy sirosma ruwe ne akusu ne wenkur umurek a=homékayaynu híne ruray ruwe ne カムイ シロシマ ルウェ ネ アクス ネ ウェンクル ウムレク アホメカヤイヌ ヒネ ルライ ルウェ ネ 雷が落ちると、 その貧しい夫婦は気絶して意識不明になった。(HK民話) ☆参考 語末の部分、 yanu ヤヌ とも yaynu ヤイヌ とも yayno ヤイノ とも聞こえる。 〔知分類になし〕 {E: to faint; to make…faint.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- horari
- ホラリ 【自動】[ho-rari 尻・を押える][単](複は horarpa ホララパ)(神やえらい人が)住む。 kamuy horari wa an カムイ ホラリ ワ アン 神様が住んでいる。 ☆参考 神が住む(いる、 守っている)ことを表す語はいろいろある。 ☞ewak エワク、 oriwak オリワク、 erok エロク、 erokrok エロクロク、 urokte ウロクテ、 enupur エヌプル、 enukor エヌコロ、 epunkine エプンキネ {E: to live; reside.} (出典:田村、方言:沙流)
- horari
- ホラリ 【ho-rari】 鎮座する.▷ホ=自ら ラリ=詰める チセ ソパ タ ホラリ カムイ チセコロカムイ ネ ルウェ タパン=家の上座に鎮座する神,家を持つ神なのですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- horarpa
- ホララパ 【自動】[複](単は horari ホラリ)(二人以上の神やえらい人が)住む。 kamuy sirine horarpa wa oka カムイ シリネ ホララパ ワ オカ (彼らは)神様のように住んでいる。 kamuy horarpa hi カムイ ホララパ ヒ 神が住むところ。(S) {E: to live; reside.(pl.)} (出典:田村、方言:沙流)
- horawociwe
- ホラウォチウェ 【自動】[ho-ra-w-o-ciw-e 尻・下・(母音の連続ををさけて挿入された音)・に・刺さる・(他動詞化)](=horaociwe ホラオチウェ) ①(雨や雪が)ザアーと落ちて(=降って)くる。 aptoruyanpe horawociwe アプトルヤンペ ホラウォチウェ ものすごい雨が落ちて(=降って)きた。(S) upasruyanpe horawociwe ウパシルヤンペ ホラウォチウェ ものすごい雪が落ちて(=降って)きた。(S) ②(飛んで来た神などが)空から地上にサッと下りる。 kamuy menoko/cikarkar konci/anpa kane/pet tuyka ta/horawociwe カムイ メノコ/チカラカラ コンチ/アンパ カネ/ペッ トゥイカ タ/ホラウォチウェ 女神がししゅうした頭巾を手に持って川の岸辺にサッと下りて来た。(Sユーカラ語り) ☆発音 時により horaociwe ホラオチウェ とも horawociwe ホラウォチウェ とも発音される。 {E: ①to rain, snow heavily. ②(for a god etc.) to suddenly descend to earth from the skies.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hóre hóre
- ホレ ホレ 【間投】(Okikurmi kamuy オキクルミ カムイ《オキクルミ神》の神謡の折り返し。) ☆参考 hóre hóːre ホレ ホーレ と、 二つ目の ホ をのばして歌っている。 anna hóre hóre hóre アンナ ホレ ホレ ホーレ という折り返しを持つ神謡もある。 (出典:田村、方言:沙流)
- horikirayean
- ホリキライェアン 【ho-riki-raye an】 私は着物の裾をたくしあげた. ポンニペシケプ アンクス ハンケノ エキムネアナクス エクスコンナ ポーロキンカムイ トモアオッ ラムトゥイアナコロカ ホリキライェアンワ パシクルパッペ ヌカラヌカラ シコロハワナンアクス アプンノ ヘキルワアラパ=小さいシナ皮を剝ぎに近くの山へ入ると,急に大きい熊に出合った.びっくりしたが着物の裾をたくしあげて,カラスほどの物を見てくれ見てくれと私が言うと,静かに熊は向きをかえて行った. *女性が山で熊に会い,そうしたら熊の方が恥ずかしそうに目をそらして行ってしまうとか.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- horkew
- ホロケウ 【horkew】 狼.*狼が鹿を殺してあったとしたらその鹿を人間が持って来てもいいが、熊の食べ物を横取りをしてはいけない.必ずそれを取り戻しに来るので恐ろしいものと教えられた.狼のことをホロケウカムイ(狼神)とアイヌは言っていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- hotku
- ホック 【hotku】 かがむ. ヘマンタ フナラ プ エネ トイ アンクラ タ ホック カネ ワ アプカシ コロ アン ルウェ アン=何を探すのにあのように畑の畔で腰をかがめて歩いているものだ.フシコ トゥシリ トゥム ア・クシ ヒ タ アナクネ ノヤ ア・エテテ ワ ホック カネ アナン(アン・アン) ワ ア・クシ ペ ネ.ウェンカムイ カ オンネプ ネ クナク ラム パ ワ エチャッケ ソモ ソイェネ プ ネ シコロ=古い墓地の中を通る場合はヨモギを杖にして腰を曲げて通るものだ.悪い化け物も年寄りだと思って汚ながって出て来ないものだそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- hotuypa
- ホトゥイパ 【hotuypa】 呼ぶ,大声で叫ぶ. ライホトゥイパ=大声で叫ぶ.テエータ ナ ク・ポン ラポク タ アナクネ セタ ウォセ コロ パヨカカムイ ホトゥイェカラ パ シリ ネ セコロ ネ ワ イシムケト タ ア・イワクテ パ シリ ク・ヌカラ アムキリ=ずーっと昔,私が少年時代は犬が遠吠えをすると病気の神を呼んでいるといって翌日神の国へ送るために殺していたのを見たものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- húci
- フチ 【名】おばあさん、 ①祖母 (「まごばあちゃん」)、 先祖の女性。 kor húci コロ フチ の祖母。 ku=kor húci クコロ フチ 私の祖母。 húci! フチ! おばあちゃん!(呼びかけ) ②老媼、 年輩の女性。 kamuy ne noyne an húci カムイ ネ ノイネ アン フチ 神様のように立派な老婦人。 Kamuy-húci カムイフチ [神・おばあさま]=火の女神。 ☆発音 u を高く、 はっきり発音する。 hci フチ にならないように注意。 ☆対語 ekasi エカシ {E: ①a grandmother. ②an old woman.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hum pakpak pakpak
- フム パクパク パクパク 【間投】[< 擬音](kanna-kamuy カンナ カムイ《上天の神》の神謡の中で神が怒って火の雨を降らす場面の折り返し。) (KM神謡) (出典:田村、方言:沙流)
- humsep
- フムセプ 【名】[hum- se-p (擬声)・という・もの][動物](=kamuycikap カムイチカプ) フクロウ(?)/ミミズク(?)「hm: フムー と大きな地響きするような声で鳴く、 部落の変事を教える。」 (S)〔知分類になし〕 {E: an owl.} (出典:田村、方言:沙流)
- huskotoywano
- フシコトイワノ 【husko toy wa no】 昔から,古くから,以前から. タアン ピパウシコタン アナクネ フシコ トイ ワノ アイヌ オカ.ペトッタ(ペッ オロ タ) アナクネ チェプ ネプ パクノ カ オカ.キム タ アナクネ イセポ チロンヌプ ユク キムンカムイ ポロンノ オカ ワ アエプ ア・エイシラムネ カ ソモ=この二風谷村は昔からアイヌが暮らしていた.川には魚がたくさんいた,山にはウサギ,狐,鹿,熊がたくさんいて食べ物に不自由しなかった. (出典:萱野、方言:沙流)
- i=katoykuspekor
- イカトイクシペコロ 【i=ka toy kus pekor】 (私が)かったるい〔比喩〕.▷イ=私 カ=上 トイ=土 クシ=通る ペコロ=ような →体の上を土でおおわれたような チュワン オカケ タ トイ アンクラ タ ポンノ モコロアナクス(モコロ・アン アクス) イ・カトイクシ ペコロ ネ ヒネ モイモイケ・アン カ ア・エアイカプ エウン アイヌ ハウ アシ クスケライ モシ・アン.ネプ カ ウェンカムイ イイェヌチシシケ(イ・エヌチシシケ) ワ ネ ア ナンコロ=お昼ご飯の後,畑の畔で少し眠ると,体の上を土でおおわれたようなかったるい気持になり動くこともできない.そこへ人声がしたお陰で目が覚めた,何か化け物が私をにらみつけていたのであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
- icakkere
- イチャッケレ 【自動】[i-cak-ke-re 人を・(不快にする(?)ことを表す語根)・(自動詞形成)・させる] 汚い、 よごれる。 kú=icakkere wa kamuy or un k=onkami ka eoripak クイチャッケレ ワ カムイ オルン コンカミ カ エオリパク 私はよごれているので神様に拝むのも「もったいない」(=おそれ多い)。(S) icakkere hawas hi ne a! イチャッケレ ハワシ ネ ア! (直訳すると)きたならしい話だなあ=そんなこと聞きたくもない。(S) {E: to be, get dirty.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- icari
- イチャリ 【icari】 ざる. トゥッコ カ レレコ カ アプト ルイ ワ ポロ ワッカ アン ノイネ シリキ ナ.イチャリ コロ ワ ソイェネ ワ クマ オロ ワ ラチッケレ カントコロカムイ エウン "ホクレ タパン イチャリ シクテ" セコロ コラムコロ=二日も三日も雨が強いので洪水になりそうだ.ざるを持って外へ出て干し棹から下げ,天の神様へ,「さあ早くこのざるをいっぱいにせよ」と相談してみろ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikare
- イカレ 【ika-re】 越えさせる.▷イカ=越える レ=させる ポロ トッタ ア・プイカレ=特大の袋を倉から出す.シトゥ イマク タ ポロ カムイ スマウェヘ ア・コロ オトゥ スイ レ スイ カム ア・セ ヒネ シトゥ イカレ・アン=峰の向こう側に大きい熊を私は獲って,2回3回と肉を背負って峰を越えた[ユ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikeske
- イケシケ 【i-keske】 憎む,妬む,羨む.▷イ=それ ケシケ=妬む イケシケ プ アナクネ カムイ オッタ(オロ タ) カ アイヌ オッタ(オロ タ) カ アン ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ).クス ヤヤプテ ヤイトゥパレ・アン ペ ネ ナ=人を憎む者は神の所にも人間の所にもいるものだそうだ,だによって自重し自分自身を大切にするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- iki
- イキ 【自動】[i-ki ものごとを・する] ①する、 ふるまう、 行なう。 iki ayne イキ アイネ (苦心して/がんばりつづけて)ようやく。 …siri iki … シリ イキ …している様子である。 ene iki hi エネ イキ ヒ どうするかということ、 しかた。 ene iki hi ka isam エネ イキ ヒ カ イサム どうしようもない。 ②(名詞として使われて)行い。 ene an iki patek kipa エネアニキ パテク キパ そのような行いばかりする。(S会話) … péka iki …ペカ イキ …を歩く、 …を旅する。 ihokusi péka ikuusi péka é=iki ayne e=ek ruwe somo ne ya? イホクシ ペカ イクウシ ペカ エイキ アイネ エエク ルウェ ソモ ネ ヤ? マーケットや飲み屋をあなた歩いてきたのではないのか。(S) ③[熟語]… hawe iki wa/…humi iki wa …ハウェ イキ ワ/…フミ イキ ワ (あきれた言い方の一つで、 反語的に用いられる。)こともあろうに…なんていうことを言ってる、 こともあろうに…なんてことをして音をたてている、 よくも…言う/…音を出すもんだね。 kasusne hawe iki wa! カスシネ ハウェ イキ ワ! まあ、 たいしたことを言ってきた(=ひどい話だなあ)(kasusne カスシネ は《大したことはない》) (☞wa ワ 3)。 pe/p iki ペ/プ イキ …している(いぶかって言う言い方)。 hńta kohehewpa wa nukar pe iki? フンタ コヘヘウパ ワ ヌカラ ペ イキ? 何をのぞいて見てるんだろう。 hńta ewkopinupinu p ikipa? フンタ エウコピヌピヌプ イキパ? 何をコソコソ話し合っているんだろう。(S) ④[雅](韻文の中で、 また会話でも美文調で話すとき、 ときおり ne ネ《である》の代わりに使われる。 用例では korka/korkayki コロカ/コロカイキ《けれども》、 yakka/yakkayki ヤッカ/ヤッカイキ《…しても》の前に置かれている。 ne ネ を使った表現とは多少ニュアンスが違う。) onne p iki korka オンネプ イキ コロカ 年老いた者ではあるけれど。(onne p ne korka オンネプ ネ コロカ 年老いた者だけれど。) (W神謡語り) pon cikisani/pon menoko/iki korkayki/kamuy moyremat ポン チキサニ/ポン メノコ/イキ コロカイキ/カムイ モイレマッ [雅]小さいハルニレの若い女性ではあるが、 まるで女神様のように…。(Sユーカラ) iki yakkayki イキ ヤッカイキ [雅]…も。 inan henpara/iki yakkayki イナン ヘンパラ/イキ ヤッカイキ [雅]いつどんなときでも。(Sユーカラ) {E: ①to do; conduct; behaviour (v.). ②conduct, behaviour, action (n.). ③… ④… } ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ikir_ tumu ta
- イキットゥムタ 【ikir-tumu-ta】 その中で,列の中で,多くの中で. ▷イキリ=列 トゥム=中 タ=に キムンイゥォロソ イゥォロソカタ シランパカムイ ウインネヤッカ イキットゥムタ パワシヌオロケ サクサトゥラ アノトゥワシ……=山の狩場の上に樹木の神が大勢いるが,その中で雄弁からその香りまで頼りになる……. *イキリトゥムタが,声に出す時はイキットゥムタになる.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- ikka
- イッカ 【ikka】 盗む,盗み. "アイヌ オッタ(オロ タ) イッカ パクノ ア・エヤイシトマプ イサム ペ ネ ナ イテキ イッカ アニー" セコロ クヌフ(ク・ウヌフ) エン・カシパオッテ=「人間の所で盗みほど恥ずかしいものはない,絶対に盗みをするな」と母は私に教えた.テエータ アナクネ イッカ ネ ヤ メノコ エパコアッ ネ ヤ ア・コラムヌ プ オカ コロ ウサイモンキレ カ アン ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ) コロカ カニ アナクネ ク・ヌ カ ク・ヌカラ カ エラムシカリ=大昔は盗っ人とか女性関係とか疑いがかけられると拷問もあったそうだが,私は聞いたことも見たこともない.イッカ アナクネ ネプ アッカリ カムイパププリ ネ ナ.イテキ イッカ・アン ペ ネ ナ.ヌ ワ オカ ヤン=盗みというものは何よりも神に罰せられるものなのだ.絶対に盗みをしてはならないものだ.聞いておきなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikkew/ikkewe
- イッケウ/イッケウェ 【ikkew/ikkewe】 一番,最も,最高. イッケウェ タ エチ・エニシテ=君を一番信頼している.ポロ マラプト オッタ(オロ タ) サケイユシクル アナクネ シンナトイネ ア・プマコレ プ ネ ナ.チ・ヌカラ アイヌ パテク ソモ ネ イッケウェ タ ニシパ カシカムイ ア・コオリパク クス ネ ルウェ タパン ナ=大きな宴会の場合に,祭司の方には別に改めて報酬をあげるものだよ.目に見える人間ばかりでなしに,一番に偉い方の憑き神に対して遠慮と感謝をしなければならないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikkew/ikkewe(he) 1
- イッケウ/イッケウェ(ヘ) 【ikkew/ikkewe(he)】 ①腰(全体). カムイ イコロ ア・コレ アクス イッケウ ノシキ コムコサンパ イ・コオンカミ=神の宝を私がくれてやる(与える)と,腰の芯をぎくりと曲げ私に礼拝をした. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikum
- イクム 【ikum】 土,砂.これはカムイユカラに出て来る言葉で,熊が冬越しした穴から出る時に,フシコイクム ソイオマレ(古い土を外へ出せ)と言うが,普通はオタ,あるいはトイトイ,火山灰はピヨタ(ピ=粒,種 オタ=土:声に出す時はピヨタという).(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- ikupasuy
- イクパスイ 【iku-pasuy】 捧酒著:お祈りの時に神へアイヌの願いを伝えてくれる著.▷イク=酒を飲む パスイ=箸 アイヌ イタク アナクネ ウハイタ ウシケ ポロンノ オカ.ネ イタク オウペカレ ワ カムイ オルン ソンコ アンパ プ イクパスイ ネ ルウェ タパン ナ=人間の言葉は至らない所がたくさんあるものだ.その言葉を真っ直ぐにして神へ伝言を持って行くのが捧酒箸なのですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- imakaketa
- イマカケタ 【imakake ta】 あとで,今後は,次に. イヨマンテ オッタ(オロ タ) メノコ オッカヨ ウコトゥシエタイェ メノコ ア・マケタロ コロ イマカケタ オッカヨ カムイ ア・ウク ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊送りの時に男と女が綱引きをして女が負けると,次に牡熊が獲れるそうだよ.タプ アイヌ アン ナ イマカケタ エク アニ=今人がいるので,のちほど来てね.ソンノ へー へマンタ エ・イッカ ハウェー? ネンカネ エラムシ ワ スイ ネノ イキ ヤク ウェン ナ イマカケタ ソモ ネノ イキ クニネ ピリカ ノ イェ ワ ヌレ=本当かい.何を盗んだの? もしも癖になって再びそうしたらいけないので,今後はそうしないようによく言って聞かせて.タンペ オッタ(オロ タ) アナクネ ルイノ ルイノ ア・ヨムネレ ソモ ヤクネ イマカケタ スイ ウェンプリコロ ナ=今の場合は,強く強く懲らしめないと,次に再び悪いことをするであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
- imeruat
- イメルアッ 【imeru at】 後光がさす,光る. クチャチセ オッタ(オロ タ) シネンネ アナナクス(アン・アン アクス) イメル アッ カネ イキ シネ メノコ エク.オヤチキ カムイ メノコ ネ アアン=狩小屋でひとりでいると,後光がさすような女が来た.知らなかったがそれは神の女であった. (出典:萱野、方言:沙流)
- inawetaye
- イナウエタィェ 【inaw-etaye】 イナウを抜く. ▷イナウ=御幣 エタィェ=抜く タネチセノミ カムイノミカ アオケレ イナウエタィェアンナ オンカミヤン=これで新築祝いのお祈りも終わったから,イナウを抜くので礼拝をしなさい. *数々のお祈りの後に,炉の角に立ててあったチェホロカケプというイナウを抜いて火に燃やし,これが閉会式に相当する.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- inawkotaktak
- イナウコタクタク 【inaw-ko-tak-tak】 イナウでくるむ. ▷イナウ=御幣 コ=それ タクタク=くるむ クナゥペトゥムワ アプスアーペコロアン カムイイコロ アェウンケライヒクス アイナウコタクタク ヒネアウカオ=フクジュソウの花の滴の中から掘り起こしたような神の宝刀を,私がもらったので,それをイナウにくるみ,そして私はしまった.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- inehuykotan
- イネフイコタン 【inehuy-kotan】 どこかの村,見知らぬ村, ▷イネフイ=どこ コタン=村 イネフイモシリ イネフイコタン プシコサヌ ヤシコサヌ カムイエッフム トゥリミムセ=どこの国か、どこの村かで,爆発音,破裂の音,神が来る音がひびき渡った……. *これはユカラに出てくる常套語[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- inkar
- インカラ 【inkar】 見る,見える. エアラキンネ イカラカラ エアシカイ ウナラペ ネ ナ エ・ミ クニ チカラカラペ アサ ワ インカラ=とっても刺繍の上手なおばさんだからお前が着る刺繍の着物を注文して見なさい.オッコー エク ワ インカラ.テタ アハラ ピリカ ナ ア・タ ワ インカラ・アン ロー=お姉さん,来て見てよ.ここの土豆の葉がいいから,掘ってみようよ.カムイ オッタ(オロ タ) ア・ヤイコトムカ プ ア・フナラ ヤッカ イサム ヒクス アイヌ オルン(オロ ウン) インカラアナクス(インカラ・アン アクス) エアニ パテク ア・ヤイコトムカ=神の所で私に似合う者を探したがいないので,人間のほうを見ると,お前ばかりが私に似合う.ホワーラ ネユナン イトゥルプク インカラ ポカ ク・キ プ ネ アプ ネプカ ソモ ク・ヌカラ=あーあ,どうにかかすかに見るだけでも私はできていたのに,何も見えない(私の祖母のテカッテは100歳近くなってからは年老いた自分の目のことをそのように言って嘆いていたものだ). (出典:萱野、方言:沙流)
- inki
- インキ 【連体】[雅]どの。 inki kamuy/e=resu kuni p/sinen ka isam インキ カムイ/エレス クニプ/シネン カ イサム [雅]どの神もあなたを育てようとするものは一人もいませんでした。(Sユーカラ) inki pito/inki kamuy/iki yakka インキ ピト/インキ カムイ/イキ ヤッカ [雅]どの御方もどの神であっても。(Sユーカラ語り) ☆参考 日常語では inan イナン。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- inokoske
- イノコシケ 【i-nokoske】 嫉妬(する). カンナカムイ アナクネ エタカスレ イノコシケ ルイ ペ ネ プ ネ クス カムイ フム アシ ラポク タ イテキ ウコオモイヌ.アン ペ ネ ナー=龍神は特別に嫉妬深いものなので,雷の音がする時に男女の交わりをするものではないよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- inoma
- イノマ 【名】宝物の中で、 主に宝刀・槍・弓矢。(S) epa=kor cási/kamuy inoma/a=sitúrare エパコッ チャシ/カムイ イノマ/アシトゥラレ [雅]私は私の城や神の所で持っていたものをすべて持って来ました。(Sユーカラ) ☆参考 inoma イノマ と発音しているが、 後に歌い手のサダモさん自身が inuma イヌマ が正しいと言って訂正した。 ☞inuma イヌマ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- inoncir 2
- イノンチリ 【i-noncir】 ②人を呪う,(他人に取り憑いて)悪さをする. イノンチリ ウェンカムイ アナクネ イレスカムイ オロワノ アッテイネモシリ ア・コキル プ ネ ルウェ ネ ワ=人を呪うような悪い神は火の神様から奈落へ向けて行かされるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- inonnoitak
- イノンノイタク 【inonno-itak】 祝詞(のりと).祈りの言葉. ネプネプ イノンノイタク アン ヤッカ ペウレクル イェ イタク エタカスレ カムイ コホサリ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=いろいろと祝詞をあげる場合があるが,若者が言う言葉に特別神が向いてくれるものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- inuma
- イヌマ 【名】宝物の中で、 主に宝刀・槍・弓矢。 tapan cási/kamuy inuma/koeun ki na タパン チャシ/カムイ イヌマ/コエウン キ ナ [雅]この城も神の宝刀類も神の宝器もみんなそろえて。(Sユーカラ) ☆参考 テープでは inoma イノマ と発音している。 しかし後日歌い手が kamuy inuma カムイ イヌマ だと言い、 またその後に kamuy iyoype カムイ イヨイペ と言うところだと言って訂正した。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- inunukaski
- イヌヌカシキ 【i-nunukas ki】 かわいそうだ. ソンノ イヌヌカシキ! タプ イキクル アナクネ オロチクシ イサム カネ アラパ ヒ エピッタ エカシカムイサク=本当にかわいそうだ,今の人は通る所もないほどに,行く先々全部運が悪い. (出典:萱野、方言:沙流)
- ipirma
- イピリマ 【i-pirma】 こっそり教える. ウクラン "ペウレプオッカ" ウン カムイイピリマ ハウ ク・ヌ ア ナ ホクレ イワク ヤン アニー=昨夜「熊の姿岩」の上へ神が私に危険なことが起こるとこっそり教えてくれたから,早く帰って来なさいよ.参考:ペウレプオッカ=二風谷にある地名 (出典:萱野、方言:沙流)
- ipus'itak
- イプシイタク 【<i-pusu-itak】 最初の言葉,枕言葉.▷イ=それを プス=掘り起こす イタク=言葉 *以下の言葉は死んだ人に対する引導渡しの言葉の枕言葉の一節であるが,この言葉を聞き覚えたのは昭和25年頃に母方の叔父門別勝元に私の父がイプシイタクの例として教えていたのをさりげなく聞いて小耳に挟んであった言葉.「ク・コロ ク・ユポ ク・コロ ヌペポ ウヌカラヘタプ ア・キ カトゥアン タネ アナクネ カムイ カラ シリカ=私の兄よ,私の仏よ,相まみえる私たちする様子,今すでに神が作った体…」 (出典:萱野、方言:沙流)
- iramante
- イラマンテ 【i ramante】 狩・猟・漁(をする).▷イ=それ ラマンテ=狙う トゥッコ レレコ アン コロ イラマンテ クス ケキムネ(ク・エキムネ) ナ イユタ ワ ピリケプ カラ ワ エン・コレ アニー=二日か三日したら狩のために私は山へ入るから,搗き物をして精白をこしらえてくれ.ウトゥラ・アン ワ イラマンテ・アン クス エキムネ・アン ア・ユピヒ ニセンピリ ワ イ・テクパラパル アプンノ サマ タ アラパ・アン.ナイ イクスン(イクシ ウン) ヤカカ クス インカラアナクス(インカラ・アン アクス) ポロ カムイ アン ルウェ ネ=一緒に狩のために山に入った私の兄が木の陰から私に手招きをするので,静かに側へ行った.沢の向かい側を指さしたので見てみると大きい熊がいた. (出典:萱野、方言:沙流)
- iramepakari
- イラメパカリ 【i-ram-e-pakari】 想像する,予想する,予測する. ウェンカムイ イラメパカリ エカプネ=悪い神が想像するかのように.*昭和30年頃,私が山仕事をしている間.危険な仕事をしている息子の事を心配ばかりすることは,悪い神が想像をしているみたいなものだと母は言っていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- iruyke
- イルイケ 【i-ruyke】 研ぐ,研ぎ物をする. イルイケ エアシカイ クル ネプキ エアシカイ ペ ネ=研ぎ物の上手な者は仕事も上手なものだ.カムイフム アシ ヒ タ アナクネ イルイケ カ ムンヌイェ カ ケメイキ カ ソモ ア・キ ノ オリパク・アン ペ ネ ナ アニー=雷の音のする時には,研ぎ物もほうきを使うことも縫い物もしてはならない.謹慎しているものだぞ. (出典:萱野、方言:沙流)
- iruykewakka
- イルイケワッカ 【iruyke wakka】 研ぎ水. シネ アイヌ カムイフム アシ ヒ タ イルイケ ワッカ カムイ コチャリ カムイ イルシカ=ひとりの人間が雷の音がする時に研ぎ水を神に投げ散らし,神が怒った[カムイユカラ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- isampesiyuk
- イサンペシユク 【isam-pe-siyuk】 死装束. シネアンタ ア・ウナラペヘ エウン アラパアナクス(アラパ・アン アクス) ウナラペ ウムレク マッネポホ トゥラノ イサムペシユク キ ワ オカ ルウェ ネ エアラキンネ ア・エラムトゥイ マッネポホ ア・トゥラ ワ キラ・アン=ある日のこと,おばさんの所へ行くとおばさん夫婦と娘とが一緒に死装束をしていたので,私は本当に驚いて娘を連れて逃げた(萱野茂『カムイユカラと昔話』238頁「淫乱の群れ」より). (出典:萱野、方言:沙流)
- isepokirpu
- イセポキリプ 【isepo-kirpu】 ウサギの脂. ▷イセポ=ウサギ キリプ=脂 フーンイセポカムイ エキリプコロルウェー=あーあウサギの神,たくさんの脂味だよー. *ウサギは脂味のないが故に,いつも他の動物に対して引け目を感じている.それを知っているアイヌたちは,ウサギの神に恥をかかせないために,前足の付け根にある大人の小指の指先ほどのわずかな脂味を,両方の手で捧げ持ってお礼を言う.それを聞いたウサギの神は,恥をかかせないアイヌの所へ,何回も客として来てくれるという.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- isermak'us
- イセレマクウシ 【i-sermak-us】 無事であるように神に念ずる.▷イ=それ(=人) セレマク=魂 ウシ=つける ア・ポホ シサム トゥミ オルン ア・アラパレ.エアシリカ トゥ カムイ シンリッ レ カムイ シンリッ ア・オペンタリ アプンノ イワク クニ イセレマクウシ・アン ルウェ ネ=私の息子が和人の戦争に行かされた.本当にふたつの神の先祖三つの神の先祖を説き明かし,無事に帰れるように無事であるように念じた. (出典:萱野、方言:沙流)
- isermakus
- イセレマクシ 【自動】[i-sermak-us もの・の蔭・につく](神が)蔭で守護する(用例では名詞として使われている) kamuy isermakus an カムイ イセレマクシ アン 神の守護がある。 ☆参考 sisermakuste シセレマクシテ (神)に守護を願う。 {E: (for a god) to protect from behind.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- isimne to
- イシムネ ト 【isimne to】 翌日. テエータ ナ ク・ポン ラポク タ アナクネ セタ ウォセ コロ "パヨカカムイ ホトゥイパ シリ ネ" セコロ ネ ワ イシムネ ト タ ア・イワクテ パ シリ ク・ヌカラ アムキリ=ずーっと昔,私が少年時代は犬が遠吠えをすると「病気の神を呼んでいる」といって,翌日神の国へ送るために殺していたのを見たものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- isitoma
- イシトマ 【i-sitoma】 恐ろしい(と思う).怖がる,脅える. ウクラン アシ アシリ ウパシ カ タ ポーロ カムイ ルウェヘ アン ク・イシトマ クス ク・キラ ワ ク・イワク セコロ ハラキソ ウン ウナラペ ハウェアン=「昨夜降った新しい雪の上で大きい熊の足跡があり,私は恐ろしくなって逃げ帰ってきた」と左隣のおばさんが言っていた.オヤコヤク タ タスム ネ マヌ プ スルルケ オルシペ ア・ヌ イシトマ・アン クス ハル アフプカラ・アシ ワ ハルエカムイノミ・アン ルスイ=あちらこちらで病気が流行したと聞き,恐ろしいので,供物を貰い病気の神へあげたい.シサム アナクネ トゥミ エラマシパ プ ネ ハウ ソモ ネ ウン.スイ アトゥイ イクシ タ ウコトゥミコロ パ ヤク ア・イェ.ク・イシトマ=日本人というのは戦争が好きな人たちではないのかな.またしても海の向こうで戦争を始めたそうだ.私は恐ろしい. (出典:萱野、方言:沙流)
- isonkur
- イソンクル 【ison-kur】 狩の名人. ア・オナハ アナクネ シノ イソンクル ネ プ ネ クス ケシト ユク ネ チキ カムイ ネ チキ エアウナルラ=私の父は本当に狩の名人なので,毎日鹿とか熊とかを家へ運んで来る[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- itak koraci
- イタク コラチ 【itak koraci】 言葉通りに. "イワポソインカラ" セコロ ア・イェ ウェンカムイ アナクネ イタク コラチ イワ オポソ カ アイヌ ヌカラ コロ アン ア・シトマ ウェンカムイ ネヤカイェ(ネ ヤク ア・イェ)=「岩を通してでも見える」という悪い神は,言葉の通りに岩を通しても人間を見ている恐ろしい化け物だそうだ.イシカラ エトコホ "ソウンペッ" アナクネ イタク コラチ ウェンクッオンネ アイヌ カ アプカシ エアイカプ=石狩川の源,「滝のある川」(層雲峡)は言葉通り絶壁なので,人間も歩くことができない. (出典:萱野、方言:沙流)
- itak'ehoripi
- イタクエホリピ 【itak-ehoripi】 力足を踏み進む,言葉と一緒に踏む. シリウフイオカタ カムイケゥェホムス アンヒタアナクネ オッカヨウタラ エムシコロカネワ イタクエホリピプ ネルウェネ アワ=火事の後などには,男たちは刀を手に持ってしゃべりながら力足を踏むものであった.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- itakanakka
- イタカナッカ 【itak anak ka】 と言っても. ワッカウシカムイ イタカナッカ チューラッペマッ カムイ カッケマッ=水の神と言っても瀬を司る女.神の淑女(水の神の本当の名前). (出典:萱野、方言:沙流)
- itakkutcama
- イタククッチャマ 【itak-kut-sama】 話し方.▷イタク=話す クッ=喉 サマ=前,様子(イタククッサマ→イタククッチャマ) クチャ チセ オッタ(オロ タ) レウシアナクス(レウシ・アン アクス) カムイ メノコ ウコイタク ハウェ ア・ヌ イタククッチャマ ペケレ ワ オケレ オヤチキ スルク トノ マッ ネ アアン=狩小屋に私が泊まっていたら,神の女が話をしていたのを聞いたが,話し方がとてもきれいであった.知らなかったがトリカブト姫であった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- iteki
- イテキ 【iteki】 〜してはいけない,〜するな,だめ. イテキ アラパ=行ってはだめ.イテキ オピッタ エ ノ ポンノ アヌ.エ・サハ イペルスイ コロ エク ナンコロ ナ=全部食べないで少し残せ.お前の姉が腹をすかせて来るであろうから.イッカ アナクネ ネプ アッカリ カムイパププリ ネ ナ.イテキ イッカ・アン ペ ネ ナ.ヌ ワ オカ ヤン=盗みというものは何よりも神に罰せられるものなのだ.絶対に盗みをしてはならないものだ.聞いておきなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
- iteseka
- イテセカ 【i-tese-ka】 織り糸,編み糸:ニペシ(シナの皮)で作る.▷イ=それを(=ござ,袋) テセ=織る カ=糸 ウウェペケレ オッタ(オロ タ) カムイ メノコ イテセカ エカ シリ エネ アニ "オトゥ カ シンコプ オレ カ シンコプ ランケ ランケ" セコロ カネ ア・ポロセ プ ネ=昔話の中で神の女が織り糸を撚る様子は,「ふたつの糸端三つの糸端下げ下げ」と描写されているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- iwakte
- イワクテ 【iwak-te】 帰す,神の国へ送る. コシネ カムイ ネ コロカ エイタサ アンオホロ イワク ルスイ ノイネ ク・ウェンタラプ ナ ニサッタ ア・イワクテ ロー=位の低い神ではあるけれど,あまり永く居すぎて帰りたいらしい夢を私はみたので,明日帰すことにしよう.テエータ ナ ク・ポン ラポク タ アナクネ セタ ウォセ コロ "パヨカカムイ ホトゥイェカラ シリ ネ" セコロ ネ ワ イシムケト タ ア・イワクテ パ シリ ク・ヌカラ アムキリ=ずーっと昔,私が少年時代は,犬が遠吠えをすると「病気の神を呼んでいる」といって翌日神の国へ送るために殺していたのを見たものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- iwanitek
- イワニテク 【名】[iwani-tek 山地の木(アオダモ?)・(木の)手=枝][植物] 山地の木(アオダモ?)の枝。 cupka wa kamuy ran/iwanitek ka orew チュプカ ワ カムイ ラン/イワニテク カ オレウ 東から神が降りて来て山の木(アオダモ?)の枝の上に止まった。(W) (S)、 二風谷 ウポポ {E: the branches of an ash tree.} (出典:田村、方言:沙流)
- iwaposoinkar
- イワポソインカラ 【iwa-poso-inkar】 化け物(岩を透かして見る化け物).▷イワ=岩 ポソ=透かす インカラ=見る イワポソインカラ セコロ ア・イェ ウェンカムイ アナクネ イタク コラチ イワ オポソ カ アイヌ ヌカラ コロ アン ア・シトマ ウェンカムイ ネヤカイェ(ネ ヤク ア・イェ)=「岩を通してでも見える」という悪い神は,言葉の通りに岩を通しても人間を見ている,それは恐ろしい化け物だそうだ.*想像上の化け物なのでその姿はわからない.この話は貝澤トロシノさんとその娘であった貝澤みよさんが聞かせてくれたものだ.この化け物と対になりそうなペポソインカラ(水を通して見る)というものもある. (出典:萱野、方言:沙流)
- iwarasampe
- イワラサンペ 【iwa-raw-sampe】 化け物(岩の底にいる化け物).▷イワ=岩 ラウ=底 サンペ=心臓 イワラサンペ セコロ ア・イェ ウェンカムイ アナクネ マカン カッコロ ペ ネ ヤカ ケランペウテク(ク・エランペウテク)=「岩の下の心臓」という悪い神は,どのような姿をしているものか私にはわからない.*想像上の化け物なのでその姿はわからない.この化け物と対になるそうな名のものにトラサンペ(湖の下の心臓=マリモ)がある. (出典:萱野、方言:沙流)
- iyapaoposore
- イヤパオポソレ 【i-apa-o-posore】 窺う,覗く.▷イ=それを アパ=戸 オ=そこで ポソレ=潜らせる →目を戸の隙間から潜らせる パコカヌ イヤパオポソレ パクノ ア・シトマ プ イサム ペ ネ.イヨシマケ(イ・オシマケ) ワ ネプ エク ヤッカ ア・エランペウテク ウェンカムイ イユク(イ・ウク) エアシカイ ペ ネ ナ=立ち聞きと戸口から覗くことほど恐ろしいことはない,後から何か来ても知らずに,悪い神にとられやすいものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- iyorot
- イヨロッ 【自動】[i-y-or-ot 人・(挿入音)・のところ・にいる] 仲間入りする、 集団の中の一員である/になる。 iyorot a? イヨロッ ア? 彼も入っていたのか。(S) horippa or ta iyorot ホリッパ オッタ イヨロッ (彼は)踊りの輪に加わった。(W言い伝え) kamuy or ta ikoytupa kor iyorot kor an カムイ オッタ イコイトゥパ コロ イヨロッ コラン 神の国で不自由しながら神々の中で暮らしている。(W民話) ☆参考 接頭辞 e- エ がつくときは eyorot エヨロッ となる。 人称接頭辞 ku= ク、 e= エ がつくときも ku=yorot クヨロッ、 e=yorot エヨロッ という形をとることがある。 {E: to join, to associate with } ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- iyorunu
- イヨルヌ 【i-orunu】 つきまとう. パコロカムイ アフカ゚シ ノイネ シリキ ワ コタン ア・オスラ ワ キラアニ(キラ・アン ヒ) タ アナクネ ア・ヤイラメコテ ス タシロ パテク ア・コロ ペ ネ イヨルヌ プ オカ ワ ア・シトマプ ネ=病気の神が歩くようになって(=疫病が流行して)村を捨てて逃げる時は最低限度必要な物である鍋と山刀だけを持つものだ,つきまとうもの(=細菌)がいて恐ろしいものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- iyunin
- イユニン 【iyunin】 怪我(をする).痛い. タパン ネプキ アンピリ パクノ カ イユニン サクノ シペッテク クニ カムイプンキ アン ペ ネ ナ=この仕事中に爪傷ほどの怪我もなく終わりますように,神のご守護があるでありましょう[カムイノミ].ソンノ エヤシリ エネ アン ウシケ タ ソモカ タプネ イユニン クナク ア・ラム アプ ニカラ ホントム ワ トゥルセ イユニン ヤク ア・イェ=本当に全くあんな所で怪我するとは思わなかったのに,はしごの途中から落ちて怪我をしたという. (出典:萱野、方言:沙流)
- iyunune
- イユヌネ 【自動】[i-y-unu-ne 人の・(挿入音)・母親・である](親子のうちの)母親のほうである。 iyunune kamuy menoko イユヌネ カムイ メノコ 母親のほうの神のような立派な女性(立派な女性が二人いたうちの母親のほう)。(S) {E: to be the mother (in contrast to the father and children).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ka(si) mesu
- カ(シ) メス 【連他動】[…の上・をはぎとる]…を危険から救う。 kimunkamuy a=sikésanpare awa, i=ka mesu sekor hawean ka somo ki hi ta キムンカムイ アシケサンパレ アワ、 イカ メス セコロ ハウェアン カ ソモ キ ヒ タ 私が熊に自分の後を追いかけさせていると、 私が助けてくれとも言わなかったときに。(HK民話) {E: to save…from danger.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ka(si) oyoko
- カ(シ) オヨコ 【連他動】[ka(si) o-yoko …の上・に待ちかまえる] …の様子をうかがう。 toy tum omarepa wa ora kasi oyoko wa an wenkamuy トイ トゥム オマレパ ワ オラ カシ オヨコ ワ アン ウェンカムイ (その少女を)土の中に埋めてそれから見張っているばけもの(悪い熊)を…。(KK民話) {E: to look over, check out…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Kamuyuci
- カムユチ 【名】[< kamuy-húci 神・おばあさま][固有名] 火の女神(呼び名)。 ☆参考 kamuy カムイ と húci フチ が続けて発音された形。 ☞Kamuyhuci カムイフチ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuyukar
- カムユカラ 【名】☞kamuyyukar カムイユカラ (出典:田村、方言:沙流)
- kanepe
- カネペ 【自動】[káne-pe 金(かね)・の汁] 金(かね)の汁、 金(かね)の雨。 tomipe ranran/kanepe ranran トミペ ランラン/カネペ ランラン 富の雨が降る金の雨が降る=お金の雨が降る降る(kamuycikap カムイチカプ《フクロウ》の神謡の中でフクロウの神が歌う)。(W神謡K) ☆発音 káne カネ《金》は第一音節が高いが kanepe カネペ は第二音節の高い普通のアクセント。 (出典:田村、方言:沙流)
- kannanis
- カンナニシ 【名】[kanna-nis 上の方の・空] 上天、 神の住む所(=kanna nis カンナ ニシ)。 ☆参考 kamuynis カムイニシ とも言う。 {E: heaven; the place where the gods live.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kari 1
- カリ 【kari】 ①徘徊する,回る. カムイ シクトゥル(シク ウトゥル) アイヌ シクトゥル トゥシマク ワ アラウェントゥカプ カリ ハウェ=神の目や人間の目,そのすき間をかいくぐって化け物が徘徊しているのかい. (出典:萱野、方言:沙流)
- karikari
- カリカリ 【kari-kari】 響く. オキムネ ワノ アイヌ エク ハウ カリカリ ヒクス プヤラ カリ ア・オシマ インカラアナクス(インカラ・アン アクス) オヤチキ キムンカムイ スマウコロ パ ワ ネ アアン=山の方から人が来る声が響いて来たので窓から体を出して見ると,知らなかったが,熊を獲ってきたのであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- kasioiki
- カシオイキ 【kasi o-iki】 面倒を見る.世話をする.▷カシ=上 オ=それ イキ=する ソンノ オンネプ カシ ア・オイキ コロ アイヌ パテク エヤイコプンテク ペ ソモ ネ ワ.カムイコチカシヌカラ アン ペ ネ ナ ヌ ワ オカ ヤン アニー=本当に年寄りの面倒を見ると人間だけが喜ぶものではないものだ.神からの授かり事があるものだから聞いておきなさいよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kat/katu(hu)
- カッ/カトゥ(フ) 【kat/katu(hu)】 姿,様子. イワラサンベ セコロ ア・イェ ウェンカムイ アナクネ マカン カッコロ ペ ネ ヤカ ケランペウテク(ク・エランペウテク)=岩の下の心臓という悪い神はどのような姿をしているものか私はわからない. (出典:萱野、方言:沙流)
- katuhukar
- カトゥフカラ 【katuhu kar】 惑わす:普通の人に化け物が取り憑き,変な行動をさせる. ウェンカムイ オロ ワ カトゥフ ア・カラ=悪い神から惑わされた. (出典:萱野、方言:沙流)
- keman
- ケマン 【kem-an】 飢饉(になる),獲物が少なくなる.▷ケム=飢饉 アン=ある ア・コタヌ ケマン ワ トオプ トゥイマ コタヌン(コタン ウン) シリペ クス アラパ・アン=私の村は飢饉になったのでずっと遠い村へ食べ物を手に入れに行った.タンパ ケマン ワ アエプ ハイタ ノイネ エアラキンネ ク・ラムチュプテク アエプ ア・オトゥペカレ ロー=今年は食べ物が足りないらしい.とっても心細いので食べ物を大事にしよう.テエータ アナクネ ケマン コロ オラーノ ニハル カ テレケイペ カ ア・エ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=ずっと大昔は飢饉になるとそれからヤドリギも蛙も食べたものだそうだ.*ケムラムカムイという飢饉を司る神がアイヌの目の前に霧をかけて食べ物を見えなくするのだといわれる.これに対して天候不順で穀物が取れない場合の飢饉はシリスムという(シリ=あたり スム=萎える). (出典:萱野、方言:沙流)
- kémante
- ケマンテ 【自動】[kem-an-te 飢饉・ある・させる] 飢饉にする。 kémante kamuy ケマンテ カムイ 飢饉にする神(=kemka kamuy ケムカ カムイ)。(W神謡K) (S) (出典:田村、方言:沙流)
- kemeiki
- ケメイキ 【kem-e-iki】 針仕事(をする),裁縫(する).▷ケム=針 エ=それで イキ=する ク・ケメイキ エアイカプ ペ ネ クス ク・ハンケヨンパ ク・トゥイマヨンパ ア・エミナ ノイネ=私は針仕事が下手なので,近くへ針を刺し遠くへ針を刺し,笑われそうだ.カムイフム アシ ヒ タ アナクネ イルイケ カ ムンヌイェ カ ケメイキ カ ソモ ア・キ ノ オリパク・アン ペ ネ ナ アニー=雷の音のする時には,研ぎものもほうきを使うことも縫い物もしてはならない,謹慎しているものだぞ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kemka
- ケムカ 【自動(?)】[kem-ka 飢饉・(動詞形成)] 飢饉にする。 kemka kamuy ケムカ カムイ 飢饉にする神(=kémante kamuy ケマンテ カムイ)。(W神謡K) ☆参考 別の民話で kemram kamuy ケムラム カムイ とも言っている。 (出典:田村、方言:沙流)
- kemram
- ケムラム 【名】[kem-ram 飢饉・心] kemram kamuy ケムラム カムイ 飢饉の神。 kanto or wa kemram kamuy ran wa i=resu hi ne aan カント オロ ワ ケムラム カムイ ラン ワ イレス ヒ ネ アアン 実は天から飢饉の神が下って来て私を育ててくれたのだった。(W民話) {E: the god of famine.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- keray
- ケライ 【副】(いろいろな熟語や決まった言い回しの中で、 「さすがに」に似たニュアンスを与える。) kus(u) keray クス/クシ ケライ …したおかげで、 さすが…するからこそ。 ku=poho ne kus keray hok wa ek クポホ ネ クシ ケライ ホク ワ エク さすがうちの息子だからこそ買ってきた。(S) keray kusu ケライ クス=kus(u) keray クス/クシ ケライ。 keray…ne ケライ…ネ さも/さすがに…らしく。 keray kamuy ne/kamuy ipor/annoyekar ケライ カムイ ネ/カムイ イポロ/アンノイェカラ [雅]さも神らしく顔つきもいかにも神の顔つきらしい。(Sユーカラ) keray ne kusu ケライ ネ クス さすがに…だから/だけあって。 kamuy kar cási/keray ne kusu/cási kamuy/pirka katu カムイ カラ チャシ/ケライ ネ クス/チャシ カムイ/ピリカ ルウェ [雅]神のつくられた城だけあって、 さすがに立派な城の美しいことを。(Sユーカラ) keray tausa ケライ タウサ さすがに。 keray tausa/kamuy kar cási/an pe ne kus ケライ タウス/カムイ カッ チャシ/アン ペ ネ クシ [雅]さすがに神のつくられた城だから。(Sユーカラ語り) {E: thanks to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kerkeri
- ケレケリ 【kerkeri】 削る. キムンカムイ チセ エカランケ ヒ タ アナクネ ピパ アニ ス アサマハ ア・ケレケリ コロ キラ ワ アラパ プ ネ=熊が人間の家に近づいたら穂ちぎり用の貝で鍋の底を削ると逃げて行くものだ.*昭和39年9月29日に登別温泉ケーブル熊牧場で17頭の熊が逃げた時,そこで働いていた二風谷出身の二谷トムさんが鍋の底をがりがりやったと言っていた.夫の一太郎エカシは食べ物がある音だと熊が思ってここへ来たらどうすると言ったが,トムフチは半分泣きながらスアサマケレケリをやった.効き目があったかどうかわからないがとにかく無事であったことはまちがいない. (出典:萱野、方言:沙流)
- kes/kese(ke)(he) 1
- ケシ/ケセ(ケ)(ヘ) 【kes/kese(ke)(he)】 ①終わり,尻,尻の方,端,末端. シトゥオケシ タ アン ポン ナイ エウン アラパ ワ ワッカタ ワ エク=峰尻にある小さい沢へ行って水を汲んで来い.コタンケシ タ カムイ スマウェヘ アン ヤク ア・イェ クス アラパ・アン ロ=村の末の端の方で熊が獲れたそうだから行こうよ.アン ケシ パクノ=夜の末まで,夜明け近くまで.*平取町内ペナコリにピラケシ(崖のおしまい)という地名がある. (出典:萱野、方言:沙流)
- kesanpa
- ケサンパ 【kes-anpa】 追いかける,追い出す.▷ケシ=残り アンパ=持つ スイ ポンペ エ・ケサンパ ヤクネ ケライニンネ(ク・エライニンネ) ナ ネプカ ソモ イェ ノ ソイネ=また子供がお前を追いかけたら私が煩わしいので何も言わずに外へ出ろ.キムンカムイ ユク ケサンパ ヒ タ ユク アナクネ ユク ル カリ キラ コロ キムンカムイ アナクネ シリイッネトゥイェ ワ ヨコ ワ アン ユク オシコニ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊が鹿を追いかける時,鹿が鹿道の通りに逃げると,熊は先回りをして待ち伏せをして.鹿をつかまえるものだそうだ.ア・コロ セタ ア・トゥラ ヒネ エキムネアナクス(エキムネ・アン アクス) シリフララッカ コロ アナプ(アン アプ) ホユプテクテク アクス ヒナク ワ シネ イセポ ケサンパ ワ エク=私の犬を連れて山へ行ったら,大地のにおいをかいでいたと思うとさっと走り出し,どこからか1匹のウサギを追い出して来た. (出典:萱野、方言:沙流)
- keseanpa
- ケセアンパ 【kese-anpa】 追いかける. キムンカムイ アイヌ ケセアンパ ヒ タ アナクネ コイスム タク エクパ アーペコロ アン ワ ホユプ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊が人間を追いかける時には泡のかたまりをくわえたような格好で走るものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kesorap
- ケソラプ 【名】[動物]キジ(?)、 ヤマドリ(?) kesorap kamuy ケソラプ カムイ キジ(?)の神。 kesorap tono ケソラプ トノ キジ(?)の殿(=神様)。 〔知分類 p.217 伝説中の鳥(たぶん孔雀)〕 {E: a fabulous kind of big bird, perhaps a hawk or eagle (B.).} (出典:田村、方言:沙流)
- ketupe
- ケトゥペ 【ketupe】 針金虫. テエータ カムイ トゥミ アニタ(アン ヒ タ) オサッル オロケ ホアフンケイ ワ カムイ プシ フム アン ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ) オロ タ アン カムイ ケトゥペ ネ ナンコロ=ずうっと昔,神の戦争があった時にオサッ沢の湾になった所から神が飛び立つ音がしたものだそうだ,あそこにいる神,針金虫であろう.*現在の場所でいうとオサッ橋の下流200m右岸の方の湾になっている所.祖母が教えてくれた話. (出典:萱野、方言:沙流)
- ketusi 2
- ケトゥシ 【名】[雅]ながもち。 kamuy ketusi/sapte ruwe カムイ ケトゥシ/サプテ ルウェ [雅](姉は)立派なながもちを出して来た。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kewkaske
- ケウカシケ 【接】[< 位名][kew-kasike 体・その上](次の雅語的表現の中で)そのために。 ☆参考 kasike カシケ の s と k の間の i が落ちてこのように発音されている。 kamuy tumi ne ya tono tumi ne ya cihopunire, kewkaske cikimatekka a=i=ékarkar カムイ トゥミ ネ ヤ トノ トゥミ ネ ヤ チホプニレ、 ケウカシケ チキマテッカ アイエカラカラ [雅]神戦だか聖戦だかが起こった、 そのために私たちはびっくりした。(W会話) ☆参考 この用例のような文脈・状況で日常語で「そのために」「だから」と言うには hi kusu ヒ クス が多く使われる。 場合によって wa kusu ワ クス も使われる。 {E: for that reason; due to that.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kewrototke
- ケウロトッケ 【kewrototke】 響く,響き渡る. カムイ エク フム ケウロトッケ=神がやって来る音が響き渡る. (出典:萱野、方言:沙流)
- kimun 2
- キムン 【連体】[kim-un 山・にいる](=kim un) 山にいる、 山の。 kimun-kamuy キムン カムイ ☞kimunkamuy キムンカムイ {E: (to be) in the mountains; of the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kinasut
- キナスッ 【名】[kina-sut 草・の根元] ①草の根元。 ②[動物]ヘビ(人を噛まないよいヘビ)。(W) ☆参考 kinasut kamuy キナスッ カムイ 草の根元の神=ヘビ。 kinasut-un-kur キナストゥンクル 草の根元の人=ヘビ。 tokkoni トッコニ 悪いヘビ、 マムシ。 munpokunpe ムンポクンペ《草の下のもの》(tokkoni トッコニ とか kinasut キナスッ とか言うのを避けて言う)。 tannekamuy タンネカムイ《長い神》(同)。 {E: ①the roots of grasses, plants. ②a snake.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kira
- キラ 【kira】 逃げる,逃亡,避難. アマメチカッポ ポロンノ アン ウシケ ウン セタ ホユプ アクス チカッポ オピッタ キラ ワ イサム=スズメがたくさんいる所へ犬が走ったらスズメは全部逃げてしまった.ウクラン アシ アシリ ウパシ カ タ ポーロ カムイ ルウェヘ アン ク・イシトマ クス ク・キラ ワ ク・イワク=昨夜降った新しい雪の上に大きい熊の足跡があったので私は恐ろしくなり逃げて帰って来た. (出典:萱野、方言:沙流)
- kirpuus
- キリプウシ 【kirpu-us】 脂がのっている. ソンノ ハルコロ カムイ ネ ワ カム トゥーカ サク ノ キリプウシ ヨヨヨ ヨヨヨ=本当に肥えた熊だ,肉の端もなく脂身ばかりだ,よかったよかった. (出典:萱野、方言:沙流)
- kisaruyruke
- キサルイルケ 【他動】[kisar-uyruke 耳・につける][雅] …を耳につける。 kamuy ninkari/kisaruyruke カムイ ニンカリ/キサルイルケ [雅]立派な耳環を耳につけた。(Sユーカラ) ☆参考 kisareokte キサレオクテ とも言う。 kisaruyruke キサルイルケ は rekutuyruke レクトゥイルケ《…を首につける》への連想ではなかろうか。 ☆参考 頭飾りを頭に巻くことは epanu エパヌ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koapaseske
- コアパセシケ 【ko-apa-seske】 家の中に閉じ込める.▷コ=それに対して アパ=戸 セシケ=塞ぐ イ・レス エカシ オロオヤチキ キムンカムイ ネ アアン ヒクス ア・コアパセシケ ア・チセコウフイカ=私を育てたおじいさんは,知らなかったが熊であったので家の中に閉じ込めて家とともに焼いてしまった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- koar-uweun/koaruweun
- コアラウウェウン/コアルウェウン 【自動】[ko-ar-uweun (雅語で叙述を導く)…が・全く・そろっている][雅] …がそろっている。 (次のような文脈で)…のひとそろいを、 …を全部そろいで。 kunne kosonte/kunne cipanup/koar-uweun/yaynenayne/esipine pe クンネ コソンテ/クンネ チパヌプ/コアラウウェウン/ヤイネナイネ/エシピネ ペ [雅]黒い小袖、 黒い頭かざりのひとそろいを上から下までそろいで身につけている者。(Sユーカラ) kamuy cipanup/kamuy ninkari/kamuy tamasay/koaruweun/sánasapte カムイ チパヌプ/カムイ ニンカリ/カムイ タマサイ/コアルウェウン/サナサプテ [雅]立派な頭飾り、 立派な耳飾り立派な耳飾りを全部そろいで出してきた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koarpa
- コアラパ 【ko-arpa】 (〜へ)行く. イレスカムイ イェ プ エ・ヌ ワ アラクワンノ シンリッモシリ エ・コアラパ プ ネ ルウェ ネ ナ=火の神の言うことを聞いてまっすぐにあなたは先祖の国へ行くのだよ(引導渡しの言葉に出て来る). (出典:萱野、方言:沙流)
- koasurani
- コアスラニ 【ko-asur-ani】 知らせる,救いを求める.▷コ=それ(=人)に対して アスル=噂 アニ=持つ →その人の所へ噂を持って行く エン・コアスラニ=私に知らせた.ネプカ ア・キマテク ペ アン ヒ タ アナクネ アシンル コロ カムイ ア・コアスラニ プ ネ.ルコロ カムイ イヨッタ ラムトゥナシ ペ ネ ルウェ ネ ナ=何か急病人など出た場合は便所の神へ救いを求めるものだ.便所の神が一番動きが速いので助けてもらえるんだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kocari
- コチャリ 【ko-cari】 (〜に)投げ散らす,恵んでやる. カムイユカラ オッタ(オロ タ) シネ アイヌ カムイフム アシ ヒ タ イルイケ ワッカ カムイ コチャリ カムイ イルシカ=神謡の中でひとりの人間が雷の音がする時に研ぎ水を神に投げ散らし神が怒った.エソイネ イヤフプ クル エク シリ イキ ナ.ネプカ コチャリ=外へこじきが来ている様子だ.何か恵んでやれ.*こじきなどに恵んでやる,という場合はコレ(=与える,やる)ではなくコチャリという語を使う. (出典:萱野、方言:沙流)
- koeun
- コエウン 【他動(?)】[ko-eun …は・…につく] tapan cási/kamuy inuma/kamuy iyoype/koeun ki na タパン チャシ/カムイ イヌマ/カムイ イヨイペ/コエウン キ ナ [雅]この城も神の宝刀類も神の宝器もみんなそろえて。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kohemespa
- コヘメシパ 【他動】[複](単は kohemesu コヘメス) (二人以上が) …に登る。 nupuri kohemespa ヌプリ コヘメシパ (二人以上が)山に登る。 Petetokuspe kamuynupuri a=kohémespa ペテトクシペ カムイヌプリ アコヘメシパ 私はペテトクシペと言う神の山に登った。(W神謡語り) ☆参考 この用例では神の自叙なので、 一人でも複数形が使われている。 {E: to climb…(pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kohoparparu
- コホパラパル 【ko-ho-parparu】 陰部を見せる. メノコ シネンネ キム タ キムンカムイ ヌカラ ヒ タ コホパラパル "パシクル パク ペ ヌカラ ヌカラ" シコロ ア・イェ コロ キムンカムイ カ コシキピプ ワ キラ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=女がひとりだけで山で熊に出会ったら,着物の前をはだけて陰部を見せて「烏ほどのものを見ろ見ろ」と言うと,熊も目をそらし逃げるものだという.*女が山で熊に会ったときに着物の前を広げてばたばたさせながら「エ・ヌカラ ルスイ クス エ・エク シリ ネ ヤクン パシクル パク ペ ヌカラ ヌカラ=「お前が見たくて来たのであれば,烏ほどのこの物を見ろ見ろ」と言うと,熊は目をそらしてよけると言われる. (出典:萱野、方言:沙流)
- kohosari
- コホサリ 【ko-hosari】 (〜を)向く. ネプネプ イノンノイタク アン ヤッカ ペウレクル イェ イタク エタカスレ カムイコホサリプ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=いろいろと祝詞をあげる場合があるが若者が言う言葉に特別神が向いてくれるものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kokirawrikikur pumpakane
- コキラウリキクル プンパカネ 【ko-kiraw-rikikur pumpakane】 角を高々と上げて. カンナカムイ コキラウリキクル プンパカネ=竜神が角を高々と上げている[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- kokiru
- コキル 【ko-kiru】 (〜へ)追放する. ウェントイカント コキル=悪い大地の空へ追放する.イノンチリ ウェンカムイ アナクネ イレスカムイ オロワノ アッテイネモシリ ア・コキル プ ネ ルウェ ネ ワ=人を呪うような悪い神は火の神様から奈落へ向けて追放されるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- koninkar kusu
- コニンカラ クス 【副】[ko-n-inkar kusu それに(?)・(挿入子音)・見る(?)・ために](?) [雅](これから話を始めようとするときに相手の注意を求める言葉。)よく聞いて下さい。(S) koninkar kusu/a=respa pito/a=respa kamuy コニンカラ クス/アレシパ ピト/アレシパ カムイ [雅]よく聞いてください、 私が育てたお方私が育てた神よ。(Sユーカラ) ☆参考 歌われたときの形。 語られた中では同じ話者が inkar kusu インカラ クス と言っている。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kopak 1
- コパク 【他動】[ko-pak …に・とがめる]…をとがめる。 somo a=poho a=hosípire yak po kamuy i=kopak kusu ソモ アポホ アホシピレ ヤク ポ カムイ イコパク クス 息子を返さないとなおいっそう神様が私をとがめる(=神のおとがめを受ける)から。(W神謡語り) ne wa an pe a=eci=kopák wa kusu ネ ワ アン ペ アエチコパク ワ クス そのことで私はあなたたちをとがめて。(KC民話) {E: to blame, reprimand…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kopuni
- コプニ 【ko-puni】 食べ物を出す,食べ物を人の前に出す. ア・イ・コプニ=私に食べ物を出された.カムイ ア・コプニ=熊送りの時に熊神に食べ物を出す. (出典:萱野、方言:沙流)
- kopunkinere
- コプンキネレ 【ko-punkine-re】 (〜を)守らせる. ウヌワプテ・アン ヒ タ アナクネ ウサルンカムイ セコロ ア・イェ ワ アペ ウサッタ(ウサラ タ) ポンアペ ア・アリ ワ ヌワプ テクサム ア・コプンキネレ プ ネ=お産の時には下座の神といって火の下座に小さい火を燃やしお産を見守る神とするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kopuntek
- コプンテク 【他動】[ko-puntek …に・喜ぶ] …のことを喜ぶ/ほめる/ねぎらう、 (人)を迎えて喜ぶ/よく来たと言ってほめ、 ねぎらう、 を歓迎する。 eci=kopúntek エチコプンテク ようこそねえ。(W) kopuntek yan コプンテク ヤン ほめてあげなさい。(W)…kamuy katkemat néno póka yaynu, néno póka iki yakun síno a=kopúntek hawe ne wa カムイ カッケマッ ネノ ポカ ヤイヌ、 ネノ ポカ イキ ヤクン シノ アコプンテク ハウェ ネ ワ 奥方様がせめてそのように考え、 そのようになさるのでしたら、 まことに喜ばしく思います。(W神謡語り) ekasi ka húci ka e=kopuntek nankor エカシ カ フチ カ エコプンテク ナンコロ おじい様もおばあ様もあなたを喜んで迎えてくれるでしょう。(W神謡語り) {E: to be pleased with…; welcome…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kopuriniwkes
- コプリニウケシ 【他動】[ko-puri-niwkes …に/の・行状・に対処しきれない]…に逆らえない。 inki pito/inki kamuy/iki yakka/kopuriniwkes インキ ピト/インキ カムイ/イキ ヤッカ/コプリニウケシ [雅]どの御方、 どの神であっても逆らえません。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kor 1
- コロ 【他動】①…を持つ、 … を所有する。 inan pe ku=kor kor pirka hawe an? イナン ペ クコロ コロ ピリカ ハウェ アン? どっちを持てばいいのかなあ? (W会話) pawetok ka kor siretok ka kor パウェトク カ コロ シレトク カ コロ 彼は雄弁さも持っており美しさも持っている=口も達者だし器量もいい。 kor rusuy コン ルスイ …がほしい、 …をほしがる。 ②…を(手や頭に)つける/かぶる、 つけて/かぶっている。 tekunpe kor テクンペ コロ 手甲をはめる。 sapanpe kor サパンペ コロ 冠をかぶる(頭につける)。 (注 体に着ることは mi ミ、 足や腰から下にはくことは us ウシ、 鉢巻などを頭に巻くことは epanu エパヌ、 手ぬぐいなどでほおかぶりすることは hekokari ヘコカリ。) ③(子)を生む (「子どもを持つ」)。 “poyson kor yak a=ye” “hńta kor yak a=ye?” “matkaci kor yak a=ye” 「ポイソン コロ ヤク アイェ」「フンタ コロ ヤク アイェ?」「マッカチ コロ ヤク アイェ」 「子どもを持った(赤ちゃんが生まれた)そうだ。」「何を持ったと言う(どっちが生まれたって)?」「女の子を持ったと言う(女の子が生まれたそうだ)。」 (S) cikap tamanko kor noyne hawkor hawe as チカプ タマンコ コン ノイネ ハウコロ ハウェ アシ にわとりが卵を生んだらしく、 なく声がする。(W) (注 出産することは nuwap ヌワプ [日常語]または yaykosanke ヤイコサンケ [雅]) ④(神が)領有する。 nupuri kor kamuy ヌプリ コロ カムイ 山を領有する神=山を守る/統治する神=山の神。 ⑤…の …。 ku=kor hekattar クコロ ヘカッタラ 私の子どもたち。 a=kor mosir アコロ モシリ 私たちの国=わが国(=日本)。(S) ku=kor hápo クコロ ハポ 私の母。 ku=ponpoho kor ku=kosmaci クポンポホ コロ クコシマチ 私の下の息子の嫁(別家の嫁)。(S) kor kur コロ クル …の夫。 ⑥ ☞kes(e) kor ケシ/ケセ コロ {E: ①to have, possess… ②attach, wear…(on one's hands, head.) ③to have, give birth to (a child). ④one's…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kor 2
- コロ 【kor】 ②〜したなら,〜すると. オカケアン コロ ク・ホシピ=終わったなら私は戻る.カムイ チェプ アナクネ ア・マ コロ ポーヘネ ケラピリカ プ ネ ホクレ マ ヤン=サケは焼くとなおさら味があるものだ,早く焼きなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
- koramkor
- コラムコロ 【ko-ram-kor】 相談する.ちょっかいをかける,女を口説く,女を誘ってみる,頼む. エン・コラムコロ=私に相談する.ウコラムコロ=互いに相談する.トゥッコ カ レレコ カ アプト ルイ ワ ポロワッカ アン ノイネ シリキ ナ.イチャリ コロ ワ ソイェネ ワ クマ オロ ワ ラチッケレ カントコロカムイ エウン ホクレ タパン イチャリ シクテ セコロ コラムコロ=二日も三日も雨が強いので洪水になりそうだ.ざるを持って外へ出て干し竿から下げ,天の神様へさあ早くこのざるをいっぱいにせよ,と相談してみろ(雨を降りやませる呪い). (出典:萱野、方言:沙流)
- koramnukuri
- コラムヌクリ 【他動】[ko-ram-nukuri …に対して・心・弱くてできない]…におじけづいいてしまう。 ene rametok/kamuy kusnamne/koramnukuri p/sípase kamuy/ne a híne エネ ラメトク/カムイ クシナムネ/コラムヌクリプ/シパセ カムイ/ネ ア ヒネ [雅]そのように勇猛な神ですからどの神も皆おじけづいてしまうのが本当に尊い神の子で。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- korkayki
- コロカイキ 【接助】[korka-i-ki けれども・ものごとを・する][雅]けれども、 しかし。 a=erának kuni p/kamuy oruspe/isam korkayki アエラナク クニプ/カムイ オルシペ/イサム コロカイキ [雅]いやなことは神のことにはありませんが。(Sユーカラ) pon cikisani/pon menoko/iki korkayki/kamuy moyremat ポン チキサニ/ポン メノコ/イキ コロカイキ/カムイ モイレマッ [雅]小さいハルニレの木の若い女性とは言ってもまるで女神様のようで…。(Sユーカラ語り) ☆参考 日常語では korka コロカ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- korpare
- コロパレ 【複他動】[複](単は kore コレ)[kor-pa-re 持つ・[複]・させる] ①(二人以上が/二人以上に/二つ以上を) …に…を与える、 a=unúhu a=onáha póho tono korpare wa hoppapa アウヌフ アオナハ ポホ トノ コロパレ ワ ホッパパ (引用文中で)私の母親と父親がその息子を和人の殿様に与えて置いて来た。(S民話) usa okay pe ataye pirkano i=korpare ウサ オカイ ペ アタイェ ピリカノ イコロパレ いろいろなものをよい値で(交換して)(引用文中の私に)与えてくれた。(S民話) ②[補助動詞]wa korpare ワ コロパレ (…のために)…してあげる。 mosir a=kar wa a=korpare kamuy utar モシリ アカラ ワ アコロパレ カムイ ウタラ 陸地をつくって与えられた(もらった)神々。(S言い伝え) ☆参考 korepa コレパ とも言う。 語構成から見ると korpare コロパレ は《(二人以上に/二つ以上)を与える》、 korepa コレパ は《(二人以上が/二人以上に)与える》のような区別がありそうに見えるが、 実際には両方の語形が両方の場合に使われている。 この項の最初の用例では、 母と父(二人)が和人の殿(一人)に息子(一人)を与えたという話に korpare コロパレ が使われている。 ほかにもこのような例はある。 korepa コレパ より korpare コロパレ のほうがずっと多く使われている。 {E: ①to give…to…(pl.). ②to do …for…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kosikipip
- コシキピプ 【ko-siki-pip】 目をそらす. メノコ シネンネ キム タ キムンカムイ ヌカラ ヒ タ コボパラパル "パシクル パク ペ ヌカラ ヌカラ" シコロ ア・イェ コロ キムンカムイ カ コシキピプ ワ キラ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=女がひとりだけで山で熊に出会ったら着物の前をはだけ陰部を見せて,「烏ほどのものを見ろ見ろ」と言うと,熊も目をそらし逃げるものだという. (出典:萱野、方言:沙流)
- kosiratkikor
- コシラッキコロ 【ko-siratki-kor】 (それを)守り神とする. クンネチロンヌプ アナクネ パセ カムイ ネ クス ア・ウク ヒ タ アナクネ サパハ ア・コシラッキ コロ ア・エマウコピリカ プ ネ=黒狐は位の高い神なので,獲った場合にはその頭を神として祭れば運がよくなるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- Kotan-sitcire
- コタンシッチレ 【名】[< kotan-sir-ci-re 村/集落・地・焼ける・させる](ユーカラ「村焼き国焼き」の主人公で人間の始祖となるために生まれた神の子の呼び名の最初の部分。 全部言うと次の通り。) Kotan-sitcire/Mosir-sitcire/Sanka-tososo/Hon-okkasi/Opoysuyanke/Oypepi-poro/Kamuy ne an kur コタンシッチレ/モシリシッチレ/サンカトソソ/ホノッカシ/オポイスヤンケ/オイペピポロ/カムイ ネ アン クル [雅]村焼き、 国焼き、 棚荒らし、 腹の上、 小鍋上げ、 大茶碗、 神になる人。(Sユーカラ) ☆参考 最後の部分は Kamuy ne an kur カムイ ネ アン クル《神になる人々》の代わりに Sípase kamuy シパセ カムイ《まことに尊い神》とも言われる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kotankor
- コタンコロ 【自動】[kotan-kor 村・を持つ] 村を領有する、 村を統治する、 村を守る。 kotankor kamuy コタンコロ カムイ 村を領有する神。 (1)フクロウ神。 (2)神の村での村おさの神。 kotankor kur コタンコロ クル 村を領有する(治める)人=村おさ。 kotankor nispa コタンコン ニシパ 村を領有する(治める)長者=村おさ。 {E: a village; a town.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kotarara
- コタララ 【ko-tarara】 伸ばす,(〜へ)手に持って伸ばす,差し出す. ウェンタラプ オッタ(オロ タ) ネプ カ ア・イ・コタララ ワ ア・ウク ヤク ア・タカラ ネ ウェンタラプ アナクネ パヨカカムイ パヨカ ヒ ネ クス ヤイカキク・アン ペ ネ ナー=夢の中で何か伸ばされて受け取った夢を見ると,その夢は流行病の神が歩いているのだから自分自身で体をはらい清めるものだよ.ア・ミッポホ ミナ カネ アン ワ アフン ヒネ ヘマンタ イ・コタララ ア・ヌカラ アクス ア・スパ ヤム ネ アアン.ア・ミッポホ ア・コプンテク コロ ア・エ ルウェ ネ=私の孫がにこにこして入って来て,何やら私に伸ばすので,見るとそれはゆでたクリであった,孫をほめながら私は食べた. (出典:萱野、方言:沙流)
- kotki
- コッキ 【他動】(他の人の罪に対し怒って/戒めのために)(罪のないもの)を罰する。 pirka kewtum kor nispa ka wenkur umurek a=kotki epeka somo unkeray somo kamuy nukar pe ne kusu ピリカ ケウトゥム コロ ニシパ カ ウェンクル ウムレク アコッキ エペカ ソモ ウンケライ ソモ カムイ ヌカラ ペ ネ クス よい心を持っている長者も、 貧乏人夫婦が悪いことをしたためにとがめを受けて、 ものももらえず神様がかえりみてくれなかったのだから。(HK民話) ku=kotki kus ku=kikkik クコッキ クシ クキクキク 私は別の人に腹が立って(この子を)ボカボカなぐった(子ども同士がけんかして、 自分の子は悪くないのにその相手の子が泣くのでその親が怒って来る。 すると「きもやけて」もう遊ぶんでないと言って、 その相手に「腹立つまぎれに」自分の子をたたく)。(S) {E: to punish someone not at fault as an example to others.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kotom 1
- コトム 【他動】…にふさわしい、 …に似合う(衣服でもことがらでも)。 en=kotom エンコトム 私に似合う。 e=kotom エコトム あなたに似合う。 kamuy ne yakka kotom a kuni p ne na カムイ ネ ヤッカ コトマ クニプ ネ ナ 神様にもふさわしいことだったのだから。(W会話) {E: to suit…; look good in…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kounake
- コウナケ 【ko-una-ke】 (〜に)木灰をかける. ネプ カ ウェンカムイ チセ オルン アフン ノイネ イキ コロ ア・コウナケ ウェンカムイ ネ ヤクン キラ ワ ソイネ.ウェンカムイ ソモ ネ ヤクン ウナ タサ アフン ペ ネ=何か得体の知れない悪い神が家へ入りそうにしたら,それに向かって木灰をかけると悪い神なら逃げて出る.悪い神でなければ木灰に向かって入って来るものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- koyaytunaska
- コヤイトゥナシカ 【自動】[ko-yay-túnas-ka …に向かって・自分・早い・(他動詞化)](直訳すると)…に向かって急ぐ。 (ユーカラの中で次のような文脈で)行ってしまう。 arkuwanno/kamuy niskotor/koyaytunaska アラクワンノ/カムイ ニシコトロ/コヤイトゥナシカ [雅]まっすぐに神の国の空へ行ってしまう。(Sユーカラ) ☞yaytunaska ヤイトゥナシカ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koykar
- コイカラ 【他動】[ko-i-kar …に合わせて・ものを・つくる/する] …を模する、 …をモデルとする。 kuytop kamuy hopunpa siri apkas siri a=koykar sinot hararki sekor a=ye クイトプ カムイ ホプンパ シリ アプカシ シリ アコイカラ シノッ ハララキ セコライェ 雁(がん)の神が飛んで行く様子を模した遊び(踊り)はハララキと言う。(S独話) hawe ku=nu wa kusu ku=koykar wa tane sinotca ne ku=ye hawe ne ハウェ クヌ ワ クス クコイカラ ワ タネ シノッチャ ネ クイェ ハウェ ネ …と言っていた声を私は聞いたからそれを模していま歌にして歌います。(S独話) {E: to imitate…; use…as a model.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koykar
- コイカラ 【koykar】 真似る,似せる. オキクルミカムイ テクルコチ ア・コイカラ=オキクルミカムイが作った手の跡を真似て作る(アイヌが神を作る時). (出典:萱野、方言:沙流)
- koyki
- コイキ 【他動】[ko-i-ki …に対して・ものを・する] ①…を怒りつける、 …を叱りつける、 …をいじめる、 …を襲う、 (鳥や魚)をとる。 ne kusu a=koyki hawe ka erampewtek ネ クス アコイキ ハウェ カ エランペウテク (この子は)なぜ怒られているのかわからない。(W独話) kimunkamuy i=koyki yakka キムンカムイ イコイキ ヤッカ 熊が(引用文中の)私を襲っても(=熊に襲われても)。(HK民話) cep koyki チェプ コイキ 魚をとる。 cikap koyki チカプ コイキ 鳥をとる(rayke ライケ とも言う)。 ceppokoyki チェッポコイキ 小魚をとる。 hawekoyki ハウェコイキ 言葉で叱り/どなりつける。 ② ☞ram(u) koyki ラム/ラム コイキ ☆参考 獣をとることは rayke [単]/ronnu[複] ライケ/ロンヌ。 鳥を打つことには koyki コイキ も rayke ライケ も使う。 魚を「釣る」ことは peraykar ペライカラ。) {E: to scold, bully, attack, catch(birds or fish).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koyomare
- コヨマレ 【ko-i-omare】 酌をする.*昭和40年頃までは,男たちのカムイノミ(神への祈り)が終わるとすぐに,メノココヨマレといって女の方へ別に酒を持った人が行って酌をした.かつてはお祝いあるいは葬式の場もこの風習があった.▷コ=〜に イ=それを オマレ=入れる (コイオマレ→コヨマレ) (出典:萱野、方言:沙流)
- koyonnuppa
- コヨンヌッパ 【ko-yonnuppa】 (〜に対して)訴える. ネプカ エルム タタ コロ コナハ(ク・オナハ) エネ ハワニ エルムカムイ ノトノケヘ エルム ノットゥ タ アン ペ ネ ナ エチ・コヨンヌッパ ナ シコロ ハワニ ク・ヌ アムキリ ペ ネ=ネズミが何か物をかじったら私の父が言ったのは,ネズミの神の最も偉い神は襟裳の岬にいるものだ,お前をそこへ訴えるぞ,と言っていたのを聞いたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- koypak
- コイパク 【koypak】 罰する. ナヨルン(ナイ オロ ウン) オクイマ・アン コロ カムイ イコイパク=沢へ小便をすると神がそれを罰する.ネユン ア・イェ ヤッカ ウェンカッチャムコロ ペ アナクネ オウェヌシ カムイ コイパク ペ ネ ワー=どのように意見されようとも悪いことをする者は運が悪くなって神から罰をあてられるものだよ.テエータ ワノ ウェンプリ コロ ペ サニケヘ アナクネ カムイコイパク エパチコアン ワ オウェヌシ パ シリ=ずうっと昔から悪いことをした者の血統は神からも罰を受け罰があたり運の悪いことよ.イペウナラ プ アナクネ カムイ コイパク ワ オンネ オルン イペー カ エアイカプペ ネ=食い根性の悪い者は神から罰を受けて年をとるにしたがって食うこともできないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- koysam
- コイサム 【他動】[ko-isam (叙述を導く)…が・ない](次の表現の中で)…がない、 …が起こらない。 kamuy siyante koysam kuni p ne nankor na カムイ シヤンテ コイサム クニプ ネ ナンコンナ 神様が怒ることがないようにお願いします。(W独話) {E: to bring to nothing (B.).} (出典:田村、方言:沙流)
- koysum
- コイスム 【koy-sum】 泡,水の泡. キムンカムイ アイヌ ケセアンパ ヒ タ アナクネ コイスム タク エクパ アーペコロ アン ワ ホユプ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊が人間を追いかける時には泡のかたまりをくわえたような格好で走るものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kunaw
- クナウ 【kunaw】 フクジュソウ. クナウ ペ トゥム ワ ア・プス アーペコロ アン カムイ イコロ ア・エウンケライ イナウ ア・ケ ア ア・ケ ア イナウ トゥンプ ア・カラ ワ スウォプ アサム ア・オランラニ ルウェ ネ=フクジュソウの花の雫の中から掘り出したような神の宝刀を私は貰った.イナウをたくさん削ってイナウの寝床を作り宝箱の底へ詰め込んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kunnecironnup
- クンネチロンヌプ 【kunne-cironnup】 黒狐. クンネチロンヌプ アナクネ パセ カムイ ネ クス ア・ウク ヒ タ アナクネ サパハ ア・コシラッキ コロ ア・エマウコピリカ プ ネ=黒狐は位の高い神なので,獲った場合にはその頭を神として祭れば運がよくなるものだ.*クンネチロンヌプ(黒狐)とレタラチロンヌプ(白狐)はめったに獲れないものなので獲ったら頭骨を神として魂を入れて守護神にするといい. (出典:萱野、方言:沙流)
- kunnecup
- クンネチュプ 【名】[kunne-cup 夜・日/月] 月(特に明言する必要がなければ単に cup チュプ と言う)。 (kunne)cup a=rukí (クンネ)チュプ アルキ (直訳すると)月が飲み込まれる=月食になる(消えて行く)。 (kunne)cup ray (クンネ)チュプ ライ (直訳すると)月が死ぬ=月食になる(皆既食)。 (kunne)cup kamuy (クンネ)チュプ カムイ【名】(直訳すると)月の神=お月様。 ☆参考 tókapcup トカプチュプ 太陽。 {E: the moon.} (出典:田村、方言:沙流)
- kurka
- クルカ 【位名】[kur-ka 影/姿・の上] ①(名詞句の後に置かれて)…の(全体の)上、 …の上面一帯。 so kurka míke kane ソ クルカ ミケ カネ 床(ゆか)の上が光っている。(S) yukermu kurka néno an iro ユケレム クルカ ネノ アン イロ ネズミの背中のような色。(W) iresu sinta/sinta kurka/kamuy oran na/kamuy oinkar イレス シンタ/シンタ クルカ/カムイ オラン ナ/カムイ オインカラ ゆりかごの上に神様が下るよ、 そこを神様が見守ってくれるよ。(S子守歌) ②(主に雅語で、 動詞の後に置かれて)…しながら、 …ているとき。 mokor kurka ta e=ek aan hawe ne wa モコロ クルカ タ エエカアン ハウェ ネ ワ 皆が眠ってしまった後にあなたは来たんだなあ。(S) ouhuy sirka/ouhuy attus/henoo uwao/kari kurka/…/kamuy itak haw オウフイ シリカ/オウフイ アットゥシ/ヘノオ ウワオ/カリ クルカ/…/カムイ イタク ハウ こげた刀、 こげた厚司(の着物)がクルッと回りながら(=…厚司をクルッとひるがえしながら)(中略)と神が言う声が…。(W神謡K) (注 日常語では mokor kurka ta モコロ クルカ タ [慣用句]の例が二例出たのみである。 ☞kurkasike クルカシケ) ☆対語 kurpok クルポク …の下。 {E: above…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kus(u)
- クス/クシ 【接続/後副】①(動詞句の後で) …するために、 …したから。 mosma kur kor kusu é=iki hi ka somo ne モシマ クル コロ クス エイキ ヒ カ ソモ ネ ほかの人が持つためにあなたはするのではない。 kemaha nam kusu suy soyne rusuy ケマハ ナム クス スイ ソイネ ルスイ 足が冷たくなるのにまた外へ出たがる。 ②(名詞句の後で) …のために、 …のゆえに、 そのために。 mosma kur kusu ne kunak ku=ramu モシマ クル クス ネ クナク クラム ほかの人のためだと私は思った。 ekouwepekennu kus ek エコウウェペケンヌ クシ エク 彼はあなたの話を聞きに来た。(S) ③(kus クシ にならず、 常に kusu クス の形で)(関係詞的用法)そのために…する/したところの…(…する/した目的)。 kusu e=arpa p epitta e=eraman ka somo ki no hńta kusu túnas e=hosipi hawe an? クス エアラパプ エピッタ エエラマン カ ソモ キ ノ フンタ クス トゥナシ エホシピ ハウェ アン? そのためにおまえが行った事を(行った目的である勉強を)すっかりおぼえないで、 なぜ早く帰って来たのか。 ④熟語 hi kusu ヒ クス (だ)から、 そのために。 c=e ka etoranne hi kusu arorkisne kanpi níkor cómare hine… チェ カ エトランネ ヒ クス アロロキシネ カンピ ニコロ チョマレ ヒネ…. 食べたくなかったからそっと紙にくるんで…。(S) hemanta kus(u)/hńta kus(u) ヘマンタ/フンタ クス/クシ なぜ。 mak an kus(u) マカン クス/クシ どういうわけで。 mak an pe kus(u) マカン ペ クス/クシ どういうわけで。 makanak ne kus(u) マカナク ネ クス/クシ どういうわけで。 wa kus(u) ワ クス/クシ …したから、 だからこそ。 pe ne kus(u) ペ ネ クス/クシ/p ne kus(u) プ ネ クス/クシ …する/したものだから、 …する/したので。 k=eywankep ka isam, a=konere p ne kusu ケイワンケプ カ イサム、 アコネレプ ネ クス 私が使うのがない、 粉々にされたものだから。(S) hike kusu/ayke kusu ヒケ クス/アイケ クス …する/したからといって、 …したとしても。 keray(po) kus(u) ケライ(ポ) クス/クシ …したおかげで。 kus(u) keray(po) …クス/クシ ケライ(ポ) (動詞の後に置かれて)…したおかげで。 e=an kus(u) keray(po) エアン クス/クシ ケライ(ポ) あなたのおかげで。 ne kus(u) koraci ネ クス/クシ コラチ まるで…そっくりに。 kamuy ne kus koraci an onne kur カムイ ネ クシ コラチ アン オンネ クル まるで神のような老人。(KC民話) 使役 + kusu ye クス イェ …するように言う(間接命令)。 i=ahupte kus(u) ye イアフプテ クス/クシ イェ (引用文で)彼は私たちに入りなさいと言う。(NK民話) en=ere en=ere kus ye エネレ エネレ クシ イェ 私に食べなさい食べなさいと言う。(S) hunakke kusu フナッケ クス ☞hunakkekusu フナッケクス。 hinakke kusu ヒナッケ クス ☞hinakkekusu ヒナッケクス。 kusu an クス アン[単]/kusu oka クス オカ[複] とても…。 sattek kusu oka サッテク クス オカ (二つ以上が)とてもやせこけている。(S会話) kus(u) ne クス/クシ ネ (未来の表現) …する(ことになっている)、 …しようとしている、 …します。 ☞kusu ne クス ネ ☆発音 早く話すとき強調しないときはしばしば語末の母音 u が落ちて kus クシ と発音される。 {E: ①in order to…; because one did… ②for…; because… ③that's why for that.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kusnamne
- クシナムネ 【後副】[kus-namne ために・(?)]…だから(?)。 ene rametok/kamuy kusnamne/koramnukuri p エネ ラメトク/カムイ クシナムネ/コラムヌクリプ [雅]そのように勇猛な神ですからどの神も皆おじけづいてしまうのが。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kut
- クッ 【kut】 断崖,崖. クッコロカムイ イペカクスケライ シッヌアン=崖を持つ神が私を受けてくれたお陰で私は生きた.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- kutpokeciw
- クッポケチウ 【他動】[kut-pok-e-ciw 帯・の下・に・さす](刀)を腰に(帯/ベルトの下に)さす。 kamuy ranke tam/a=kutpokeciw カムイ ランケ タム/アクッポケチウ [雅]私は神から下されたような立派な刀を腰にさした。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kutpokeciw
- クッポケチウ 【kut-pok-e-ciw】 (腰に刀を)佩(は)く.▷クッ=帯 ポク=下 エ=それを エチュー=差す (クッポクエチュー→クッポケチュー) カムイ ランケ タム ア・クッポケチュー=神授の刀を腰に差し(ユカラに多く出て来る) (出典:萱野、方言:沙流)
- kuttoko
- クットコ 【kuttoko】 反対にする,裏表になる,仰向けになる. サラクカムイ ネ オカ ヤッカ メノコ アナクネ クットコ ノ アン オッカヨ アナクネ ウプシ ノ アン ペ ネ=水死した者は女は仰向けになっているし男はうつ伏せになっているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kuttokore
- クットコレ 【kuttoko-re】 反対にさせる. ウェンカムイ カ カムイ ネ ア・イェ.ラム ア・クットコレ コロ イピリカレ カ キ プ ネ=悪い神も神という,その思いを反対にすると人間を守ることもあるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kuyoy/kuyoye(he)
- クヨイ/クヨイェ(ヘ) 【kuy-oy/-oye(he)】 膀胱(ぼうこう),水袋(鹿の膀胱). キムンカムイ クヨイェヘ アナクネ ワッカ ア・オマレ ワ ア・ポロレ ヤッカ シネ チョンパ パクノ ア・オマレ エアシカイ.ユク クヨイ アナクネ レ チョンパ カ ア・オマレ パクノ ポロ プ ネ=熊の膀胱は水を入れて大きくしても1升ぐらいしか入らない.鹿の膀胱は3升も入れられるぐらい大きいものだ.図[クヨイ] (出典:萱野、方言:沙流)
- kuyra
- クイラ 【kuyra】 後をつける,尾行する. キムンカムイ アナクネ ア・シトマ プ ネ,ア・クイラ ヒ パシテ コロ ヤイルカエホシピ ニ センピリ タ イェトコウシ(イ・エトコウシ) ペ ネ=熊は恐ろしいものだ,後をつけられたことに気づくと自分の足跡を迂回して木の陰で待ち伏せをするものだ.スイスイ アヌン メノコ クイラ コロ アン ナ.ネンカ アン パコアッ キ ヤク ウェン ナ シノッチャキ コロ オシ アラパ=またしても他の女を尾行している.なんらかの間違いをすると悪いので歌を歌いながら後へ行け. (出典:萱野、方言:沙流)
- kuytop
- クイトプ 【名】[動物]ガン(雁)。 kuytop say クイトプ サイ 雁の列。 kuytop kamuy hopunpa siri apkas siri a=koykar sinot hararki sekor a=ye クイトプ カムイ ホプンパ シリ アプカシ シリ アコイカラ シノッ ハララキ セコライェ 雁の神が飛んで歩く様子を模した遊び(踊り)をハララキと言う。(S独話)〔知分類 p.203 ガン;マガン〕 {E: a wild goose.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- makan
- マカン 【mak-an】 どのような. イワラサンペ セコロ ア・イェ ウェンカムイ アナクネ マカン カッコロ ペ ネ ヤ カ ケランペウテク(ク・エランペウテク)=岩の下の心臓という悪い神はどのような姿をしているものか私はわからない. (出典:萱野、方言:沙流)
- mat
- マッ 【名】[概](所は maci(hi)) 女、 妻。 mat kor マッ コロ [女/妻・を持つ] 妻を持つ、 妻をめとる。 te wano anak mat ka a=kor kusu ne テ ワノ アナク マッ カ アコロ クス ネ これからは妻もめとります。(S民話) mat etun マッ エトゥン [女/妻・を借りる]妻をめとる。 mat ne kor マッ ネ コロ …を妻にする。 kamuy moyremat カムイ モイレマッ 神のような(落ち着いた上品な立派な)女/女神。 mat-koyomare マッコヨマレ 女たちにもおしゃくしてやる。(S) {E: a woman; a wife.} (出典:田村、方言:沙流)
- matkakuru
- マッカクル 【matkakuru】 照らす[カムイユカラ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- matkor
- マッコロ 【自動】[mat-kor 女/妻・を持つ] 妻を持つ、 妻を持っている、 妻をめとる。 repuyso ka ta a=rokte kamuy oro wa matkor hike matkor レプイソ カ タ アロクテ カムイ オロ ワ マッコリケ マッコロ 沖のほう(=海外)に住む神の所から妻をめとる者はめとり…。(S言い伝え) ☆参考 mat kor マッ コロ、 mat etun マッ エトゥン とも言う。 ☞mat マッ {E: to have a wife.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- matkore
- マッコレ 【他動】[mat-kore 女/妻・を与える] …に妻を与える、 (男)を結婚させる。 kim un mosir wa a=matkore hike a=matkore, kamuy or wa ki wa キムン モシリ ワ アマッコレ ヒケ アマッコレ、 カムイ オロ ワ キ ワ 山の国から妻を(神から)与えられる人は与えられて…。(S言い伝え) {E: to give a wife to …; make…marry.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- maw 2
- マウ 【名】[概](所は mawe(he) マウェ(ヘ)) 呼気、 息吹、 空気、 風。 Kamuy maw カムイ マウ 神風。 ☆参考 呼吸は hése ヘセ、 吹く現象としての風は réra レラ。 {E: breath; air.} (出典:田村、方言:沙流)
- mawe(he)
- マウェ(ヘ) 【名】[所](概は maw マウ) …の呼気、 …の風、 …の空気。 mawe tuy マウェ トゥイ 息が絶える(tasu tuy タス トゥイ とも言う)。 mawe(he) an マウェ(ヘ) アン …に似ているようだ。 nupuri tapka wa/kamuymaw ne a p/yupke mawe/ciranaranke ヌプリ タプカ ワ/カムイマウ ネ アプ/ユプケ マウェ/チラナランケ [雅]山の頂上から神風の強い風が吹き下ろしてきた。(W民話) {E: the breath, wind, air of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- mehun
- メフン 【名】[< 日本語] [動物] 「魚の背骨の下の左右に分かれた骨の中にある茶色の脂肪」 (S)(=背わた、 めふん)。 kamuycep mehun カムイチェプ メフン 鮭の背わた。 icanuy mehun イチャヌイ メフン マスの背わた。 〔知分類 p.77〕 (出典:田村、方言:沙流)
- mikemike
- ミケミケ 【mike-mike】 きらきらと輝く. オロミケミケ カムイ イコロ=きらきら光る神の宝. (出典:萱野、方言:沙流)
- mosir
- モシリ 【名】[< mo-sir 小さい(?)/静かな・地]国土、 島、 地(広い範囲の大きなまとまった土地を言う。 一つの国を指すこともあり、 広く世界全体を指すこともある。 神の国、 人間の国等の「国」をも指し、 また、 せまく言うときは、 一つの島、 一つの地方を指すこともある。 kotan コタン が人の集まって住んでいる所、 つまり村や集落、 あるいは村々の集まり(地域)等を表すのに対し、 mosir モシリ は、 人が住んでいても住んでいなくても言う)。 a=kor mosir アコロ モシリ 私たちの国土(北海道を指すこともあり、 日本を指すこともある)。 aynu mosir アイヌ モシリ (神の国に対して)人間の国、 (sísam mosir シサム モシリ に対して)アイヌの国(多くの場合北海道を指す)。 kamuy mosir カムイ モシリ 神の国、 天国。 kanna mosir カンナ モシリ 天の国(=神の国)。 repun mosir レプン モシリ 沖の島=海外(本州等も外国も含む)。 samor mosir サモロ モシリ 本州。 sísam mosir シサム モシリ 和人の国(多くの場合、 本州以南を指す。 また北海道の中で交易相手の和人の住んでいた地方を指すこともある)。 mosir hoppa モシリ ホッパ (=mosiroppa モシロッパ)世を去る、 (身分のある人や敬われている人などが)亡くなる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- mosirsinnaisam
- モシリシンナイサム 【mosir-sinna-isam】 国土の他にいる化け物. テエータ モペッ タ モシリシンナイサム セコロ ア・イェ ウェンカムイ オハインカラ クル アン ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ).ポロ ペコ ネノ アン レタラ ウシケ クンネ ウシケ アン ペ ネ シコロ ク・イヌ アムキリ=ずうっと昔,山門別村に,国土の他にいる化け物という恐ろしい物の幻を見た者がいたという,大きい牛のような姿をしていて白と黒のまだらのものだと聞いたことがある.*人によっては,頭も足もない馬のようとか,白黒まだらの牛のようなものという.これを見たら長生きしないか不運になるという. (出典:萱野、方言:沙流)
- moymoyke
- モイモイケ 【moy-moy-ke】 動く. チュワン オカケ タ トイ アンクラ タ ポンノ モコロアナクス(モコロ・アン アクス) イ・カ トイクシ ペコロ ネ ヒネ モイモイケ・アン カ ア・エアイカプ.エウン アイヌ ハウ アシ クスケライ モシ・アン ネプカ ウェンカムイ イイェヌチシシケ(イ・エヌチシシケ) ワ ネ ア ナンコロ=お昼ご飯の後,畑の峰半で少し眠ると,体の上を土でおおわれたようなかったるい気持になり動くこともできない.そこへ人声がしたお陰で目が覚めた.何か化け物が私をにらみつけていたのであろう.ナイ イクシ タ ヘマンタ モイモイケ シリ イキ ナ ピリカ ノ ヌカラ ワ エン・コレ=沢の向かい側に何やら動いている様子だからよく見てくれ. (出典:萱野、方言:沙流)
- moyre
- モイレ 【自動】①遅い、 のろい、 遅れる。 mak an pe kusu e=moyre a ruwe an? マク アン ペ クス エモイレ ア ルウェ アン? どういうわけで(あなたは)遅くなったの。(W会話) ②(助動詞的用法)…するのが遅い、 …し遅れている。 e=ye moyre エイェ モイレ あなたは言い遅れている(すぐに言うべきなのになかなか言わない)。(S会話) ③moyre as モイレ アシ [慣用句](次のような文脈で)(天に帰る神が)もっと遅く行く。 moyre as pe a=ikóramu awa, na sittumupeker kaspa ka somo ki no モイレ アシ ペ アイコラム アワ、 ナ シットゥムペケレ カシパ カ ソモ キ ノ (父が天に昇るとは聞いたが)もっと遅く行くのだと思っていたのに、 まだあまり明るくもならないうちに…。(W神謡) ☆参考 kamuy moyremat カムイ モイレ マッ [神・遅い・女] 位が高い立派な女性、 女神(伝統的な価値観では、 身分の高い女性はゆったりと落ち着いているとされる)。 {E: ①to be slow; late. ②to be slow to, at…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- moyremat
- モイレマッ 【名】☞kamuy moyremat カムイ モイレマッ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- moyremat
- モイレマッ 【moyre-mat】 妻:オキクルミという神が自分の妻を指して言う場合の言い方.オキクルミの妻を他の人が言う場合はカムイ モイレマッ(神の妻)と言う. (出典:萱野、方言:沙流)
- munnuwe
- ムンヌウェ 【mun-nuwe】 はき掃除(する). カムイフム アシ ヒ タ アナクネ イルイケ カ ムンヌウェ カ ケメイキ カ ソモ ア・キ ノ オリパク・アン ペ ネ ナ アニー=雷の音のする時には.研ぎものもほうきを使うことも縫い物もしてはならない,謹慎しているものだぞ. (出典:萱野、方言:沙流)
- mus'onkami
- ムシオンカミ 【mus-onkami】 手を大きく動かしカムイノミをすること.*普通オンカミ(礼拝)は手のひらから指先が手首まで来ないようにする.おおげさにするとムシオンカミといって礼拝の仕方を知らない者として笑われる. (出典:萱野、方言:沙流)
- naykosampa
- ナイコサンパ 【nay-kosampa】 さっと.しゅっと鳴る,響いて来る. カムイ イタカウ(イタク ハウ) ナイコサンパ=神の声が響いて来た.タムピフムカン ナイコサンパ=刀を抜く音,しゅっと聞こえた. (出典:萱野、方言:沙流)
- nemanup
- ネマヌプ 【ne manu p】 〜なるもの. オヤコヤク タ タスム ネマヌプ スルルケ オルシペ ア・ヌ イシトマ・アン クス ハル アフプカラ・アシ ワ ハルエカムイノミ・アン ルスイ=あちらこちらで病気が流行したと聞き恐ろしいので供物を貰い病気の神へあげたい(と思って私は来ました). (出典:萱野、方言:沙流)
- nenoneno
- ネノネノ 【neno neno】 言う通り. イコロ カムイ シリエシニューカ ワ ネ ノイネ ア・ホクイタクキ アクス ネノネノ ニシパ イ・コエイヨク=宝物の神がその土地に飽きたらしく私が買いたいと言ったら言う通り持ち主が売ってくれた. (出典:萱野、方言:沙流)
- népa
- ネパ 【デアル動】[複](ne ネ は単複区別なし)[ne-pa である・[複]](二人以上/二つ以上が皆)…だ、 …である。 tumunci kamuy népa wa okay pe ne a kusu siwnin to ne wa an トゥムンチ カムイ ネパ ワ オカイ ペ ネ ア クス シウニン ト ネ ワ アン (そこにいたのは)鬼神たちであったものだったから(そこは)緑の沼になっている。(S会話) {E: to be.(pl.)} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nepki
- ネプキ 【nepki】 働く,仕事する. ナ ヘカチ オッカイポ ク・ネ ヒ タ ニカプ エトコ タ ク・ネプキエアラパ イチャヌイ ポロンノ オカ ワ チ・コイキ ワ チェ(チ・エ) コロ ネプキ・アシ ペ ネ ア ワ=まだ少年といえる若者であった私が新冠川の上流へ仕事に行った時にマスがたくさんいて,私たちはそれを獲って食べながら働いたものであったよ.タプ アシリノ エク コシマッ ソンノ ネプキ ノ シリ アクタナー=今新しく来た嫁.本当に働くこと,感心したなあ.タパン ネプキ アンピリ パクノ カ イユニン サクノ シペッテク クニ カムイプンキ アン ペ ネ ナ=この仕事中に爪傷ほどの怪我もなく終わりますように神のご守護があるでありましょう[カムイノミ].テエータ アナクネ ウコイラム・アシ ワ ネプキ・アシ ペ ネ ア コロカ ネプカ エン・コヤイトゥナプ ワ ネ ノイネ クリヒ カ ソモ ク・ヌカラ=ずっと前は一緒に仕事をしたものであったが何か私に不満があるらしく,影も見たことがない. (出典:萱野、方言:沙流)
- nére
- ネレ 【複他動】[ne《である》の使役形][ne-re である/になる・させる]…を…にならせる、 …を…にする。 a=eyáykamuy-nére アエヤイカムイネレ (a=eyáykamuynere アエヤイカムイネレ が、 歌うリズムの関係で途中で区切って発音されたもの。) ☞eyaykamuynere エヤイカムイネレ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- neyakanakne
- ネヤカナクネ 【ne yak anakne】 〜ならば. エネ ウェンプリコロ ハウェ ネ ヤカナクネ(ヤク アナクネ) カムイ オロ ワ ア・ライケ エアシリ キ ナンコロ ワ=そのような悪事をしたのであれば神の方から殺されるでありましょうよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- nikapattus
- ニカパットゥシ 【ni-kap-attus】 木の皮の着物:オヒョウの木の皮の着物. ウウェペケレ ネ ヤ ウパシクマ オッタ(オロ タ) オキクルミカムイ アイヌ カシオピューキ ヒ タ オウフイ シリカ オウフイ ニカパットゥシ カリシリパテク ア・ヌカラ シコロ ア・イェ プ ネ=昔話や言い伝えの中にオキクルミ神が人間を助ける時に,刀の鐺(こじり)裾の方から炎が燃え立つ木の皮の着物がちらっと見えたと,言うものであった.*アイヌに生活文化を教えたと伝えられるオキクルミという神の描写は必ずこのように描写される. (出典:萱野、方言:沙流)
- nikapunpe
- ニカプンペ 【ni-kap-un-pe】 模様つきござ.*オヒョウの木の皮で模様をつけてあるのでそう呼ぶ.お祝いの時あるいはカムイノミ(神への祈り)の場合に敷いたり壁に張る.普通は使わない.▷ニ=木 カプ=皮 ウン=入る ぺ=物 (出典:萱野、方言:沙流)
- ninarka
- ニナラカ 【ninarka】 周囲より一段と高くなっている平らな土地. ニプタニ タ ニナラカ セコロ ア・イェ ウシケ アナクネ 小学校 オロ ワ ピカタ ウン カムイチセ アン ウシケヘ ニナラカ ネ.ナ リク ワ リエプイ カランケ ウシケ リクン ニナラカ ネ=二風谷で一段高い所と言う場所は,小学校から南の方の神社がある所が一段高い所.その上の方リエプイに近い所を上の方の高い所と言うよ.*平取町二風谷の小学校の東側の台地,二風谷神社の上をニナラカと二風谷アイヌは呼んでいた.そのもうひとつ上の台地をリクンニナラカ(上の方の台地の上)と言った.オサッ沢の東側にいたアイヌは平成8年現在の萱野茂二風谷アイヌ資料館の東側の台地をニナラカと言っていた.自分たちが暮らしている所からあまり遠くない台地を言う. (出典:萱野、方言:沙流)
- nis
- ニシ 【名】①空。 nis hecaka ニシ ヘチャカ/ニセチャカ 空が晴れる。 nis or péka hopuni ニソロ ペカ ホプニ 空を飛んだ。(S民話) kanna nis カンナ ニシ/kamuy nis カムイ ニシ 上天、 神の住む所。 nis kotor ニシ コトロ ☞niskotor ニシコトロ ②雲(=niskur ニシクル)。 cup nupur manu/kasi nis kus チュプ ヌプル マヌ/カシ ニシ クシ 太陽がえらいと言うけれどその上を雲が通るよ。(KK掛け合い歌) {E: ①the sky; ②clouds.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- niskur
- ニシクル 【名】[nis-kur 空・影] 雲。 kamuy-niskur カムイニシクル 雷雲。 upas-niskur ウパシニシクル 雪雲。 niskur an ニシクル アン/ニシクラン 曇る、 曇っている。 {E: clouds.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nissineykur-otte
- ニッシネイクルオッテ 【自動】[nis-siney-kur otte 雲・(?)・(< 影/姿)・…に…をつける](?) [雅](次のような文脈で)あたりの雲を払いのける。 kamuy oma nis/nissineykur/otte kane カムイ オマ ニシ/ニッシネイクル/オッテ カネ [雅]神が乗っている雲があたりの雲を払いのけながら。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nitne
- ニッネ 【自動】①硬い、 コチコチである/になる。 méan kor nitne, sir-sések kor riten メアン コロ ニッネ、 シリセセク コロ リテン 寒くなるとコチコチになる、 暑くなると柔らかくなる。 ②(けものや神が)悪い(凶暴である)。 nitne kamuy ニッネ カムイ 悪い(人を殺して食べたりする凶暴な)神、 「鬼」。 ☆対語 riten リテン 柔い。 ☆参考 niste ニシテ 頑丈である。 ritne リッネ 筋が多い。 niwen ニウェン 猛々しい。 {E: ①to be hard; stiff. ②to be fierce; ferocious.} (出典:田村、方言:沙流)
- niwkes
- ニウケシ 【他動】①…をしようとしてもすることができない、 …をし残す、 しきれない。 tono nispa ka niwkes pe nen póka kamuy isermakus an kusu teknimawpo k=ékarkar wa トノ ニシパ カ ニウケシ ペ ネン ポカ カムイ イセレマクシ アン クス テクニマウポ ケカラカラ ワ 和人のお医者様方も治せなかったのを私は神の守護のおかげで手を当ててあげて(その人は治った)。(W会話) tanto epitta kinaha ku=kar kunak ku=ramu a korka ponno ku=niwkes タント エピッタ キナハ クカラ クナク クラム ア コロカ ポンノ クニウケシ (S) 今日全部草を取ろうと思ったけれど少し残った。 ②(助動詞的に使われて)e=se niwkes ciki nimara anu エセ ニウケシ チキ ニマラ アヌ 背負いきれなかったら半分(一部)残しなさい。(S) ③☞kip niwkes キプ ニウケシ {E: to leave…unfinished, behind.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- niwkes
- ニウケシ 【niwkes】 〜できない. イセポカ ア・アヌ ヒ タ ヘピタニ ネ ア・カラ チクニ アナクネ チキサニ イヨッタ ピリカ プ ネ.ア・エネネ ヤッカ カイ ニューケシ ペ ネ=ウサギの罠をしかける時にばね木に作る木はアカダモが一番いいものだ.曲げても折れにくいものだ.テエータ ワノ アネアサ(アン・エアサ) ワ アナ(アン ア) トゥキパスイ ナ ク・カラ ニューケシ.ケラムイクルクル(ク・エラムイクルクル) コロ カン(ク・アン)=ずーっと前から私が注文を受けてあった捧酒箸,まだ作り終わらない.そのことについて私は気にしながらいる.コタン アパパ タ アユシ ニカムイ ア・ニスク ワ ア・アヌ コロ パヨカカムイ カ コタノルン(コタン オルン) アフン ニューケシ=村の入り口の向こう側にとげつきの神を頼んで置くと病気の神も村へ入ることができない.ネユン ア・イェ ヤッカ ア・エニューケシ=どのように私が言ってもいやがった(できない). (出典:萱野、方言:沙流)
- no
- ノ 【no】 最も,全く,本当に〔強意〕. エルム ネプカ タタ コロ コナハ(ク・オナハ) エネ ハワニ エルムカムイ ノ トノケヘ エルム ノットゥ タ アン ペ ネ ナ.エチ・コヨンヌッパ ナ.シコロ ハワニ ク・ヌ アムキリ ペ ネ=ネズミが何か物をかじったら私の父が言ったのは,ネズミの神の最も偉い神は襟裳の岬にいるものだ,お前をそこへ訴えるぞ,と言っていたのを聞いたものだ.ノ ヌワシ ノ アン=全くのしらふでいる. (出典:萱野、方言:沙流)
- noka/noka(ha)
- ノカ/ノカ(ハ) 【noka/noka(ha)】 形. アイヌ アナクネ キムンカムイ ノカ へネ ネプネプ ノカハ ソモ カラ ペ ネ.ウェンサンペ コロ ペ カラ ペ アナクネ ネノ ウェンサンペ コロ ワ ア・シトマ プ ネ シコロ テエタ クル ハウェ オカイ ペ ネ=アイヌは熊の形とかいろいろなものの形は作らないものであった.悪い精神の者が作った物.そのように悪い精神を持って恐ろしいものだと昔の人は言ったものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- nokoske
- ノコシケ 【nokoske】 やきもち,嫉妬. ノコシケ ルイ=嫉妬深い.カンナカムイ アナクネ エアラキンネ ノコシケ ルイ カムイ ネ クス カムイフム アン ヒ タ アナクネ イテキ ウコオモイヌ・アン ペ ネ ナ=雷(竜神)はたいへんやきもちやきの神なので,雷の音のする時は夫婦の交わりをしてはいけません. (出典:萱野、方言:沙流)
- nooka
- ノオカ 【nooka】 それほど,さっぱり. ク・ポニタ(ク・ポン ヒ タ) アナクネ クワシ セコロ ア・イェ プ アナクネ ノオカ チェ(チ・エ) カ エアイカプ ペ ネ ア コロカ タネ アナクネ トペンペ カ ネプ パクノ アン=私が子供の頃は菓子というものはそれほど食べられなかったが,今は甘い物もいくらでもある.ク・パハ トゥペサンペ イカシマ シネホッ パクノ アン ヒ ワノ イヌイェ パテク ネプキ ネ ク・キ プ ネ ア コロカ タネ アナクネ ノオカ イヌイェ カ ソモ ク・キ=私の年が28歳の時から彫り物だけを仕事にしていたものであったが,今はそれほど彫り物も私はしていない.カムイ サシミ アナクネ ノオカ ポニ(ポン ヒ) ワノ ピリカ カ ソモ プ ネ チマウシ ネ ヤ ネユンネユン ア・エシシ ノオカイペ ネ クス ア・エヤム ペ ネ=神の授かり子というものはそれほど小さい時からいい格好でもなくかさぶただらけとか人が避けるような姿をしているものなので大切にするものだ.クポニ(ク・ポン ヒ) タ ニナ クス クヌフ(ク・ウヌフ) トゥラノ エキムネ・アシ エイタサ ク・メライケ プ ネ クス ク・ヌペコラパプセ エ・ポロ ワ ネ ヤクネ ネンカタ エ・イキ ワ ニシパ エ・ネ プ ネ ナ シコロ ク・ヤイヌ プ ネ ア コロカ ノオカ ク・ニシパ ネ カ ソモ=私の少年時代,薪を取りに母とふたりで山へ行ったが,あまりにも寒いものだから涙を流しながら大きくなったらなんとかして金持ちになりたいと考えたものであったが,さっぱり金持ちにもなれなかった. (出典:萱野、方言:沙流)
- notonoho
- ノトノホ 【no-tonoho】 本当の首領. エ・ノトノホ ホロケウカムイ エウン エ・アラパ=あなたの本当の首領,狼の神,そこへ行け.(死んだ犬あるいは殺した犬を神の国へ送る時には,このように言葉の一節に必ずノトノホを入れなければならない). (出典:萱野、方言:沙流)
- notonokehe
- ノトノケヘ 【no tonokehe】 最も偉い神. エルム ネプカ タタ コロ コナハ(ク・オナハ) エネ ハワニ エルムカムイ ノトノケヘ エルム ノットゥ タ アン ペ ネ ナ.エチ・コヨンヌッパ ナ シコロ ハワニ ク・ヌ アムキリ ペ ネ=ネズミが何か物をかじったら私の父が言ったのは,ネズミの神の最も偉い神は襟裳の岬にいるものだ,お前をそこへ訴えるぞ,と言っていたのを聞いたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- nottu
- ノットゥ 【nottu】 岬. エルム ネプカ タタ コロ コナハ(ク・オナハ) エネ ハワニ エルムカムイ ノ トノケヘ エルム ノットゥ タ アン ペ ネ ナ.エチ・コヨンヌッパ ナ シコロ ハワニ ク・ヌ アムキリ ペ ネ=ネズミが何か物をかじったら私の父が言ったのは.ネズミの神の最も偉い神は襟裳の岬にいるものだ.お前をそこへ訴えるぞ,と言っていたのを聞いたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- noya
- ノヤ 【noya】 ヨモギ. フシコ トゥシリ トゥム ア・クシ ヒ タ アナクネ ノヤ ア・エテテ ワ ホック カネ アナン(アン・アン) ワ ア・クシ ペ ネ.ウェンカムイ カ オンネ プ ネ クナク ラム パ ワ エチャッケ ソモ ソイェネ プ ネ シコロ=古い墓地の中を通る場合はヨモギを杖にして腰を曲げて通るものだ.悪い化け物も年寄りだと思って汚ながって出て来ないものだそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- noyaimos
- ノヤイモシ 【noya-imos】 ヨモギ神. オキクルミカムイ アイヌモシリ ワ リクンカント オリキン ヒ タ アイヌモシリ エプンキネレ クス ニスク ワ アヌ プ ノヤイモシカムイ ネ ルウェ ネ=オキクルミ神がアイヌの国土から天の国へ行く時にアイヌの国を守護するために頼んでおいたのがヨモギの神なのだ.図[ノプヤイモシ] (出典:萱野、方言:沙流)
- noyaop
- ノヤオプ 【noya op】 ヨモギの槍. アイヌモシリ モシリソ カ タ ア・キヤンネレ プ ノヤ ネ クス ノヤ オプ アニ ノヤ エムシ アニ ア・オッケ プ ア・トゥイェ プ アナクネ エフイネ ウェンカムイ ネ ヤッカ ヤイカッチピ エアイカプ ペ ネ=人間の国土,国土上に最も上席に位置するのがヨモギなので,ヨモギの槍で突かれた者,ヨモギの刀で斬られた者はどんな悪い神も蘇生することができないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- nu(we) koan
- ヌ(ウェ) コアン 【連他動】[単](複は nu(we) kooka ヌ(ウェ) コオカ) (一人が)…の獲物に恵まれる、 …がたくさんとれる。 (猟や漁や交易の)収穫が多い。 cep nu koan チェプ ヌ コアン 魚がたくさんとれる。 “yam nuwe e=koan yak a=ye?” “ene nuwe ku=koan wa k=éyaykopuntek pe un” 「ヤム ヌウェ エコアン ヤク アイェ?」 「エネ ヌウェ クコアン マ ケヤイコプンテク ペ ウン」 「あなた栗をたくさんとったそうね。」「こんなにたくさんとってうれしいのよ。」 (S) yuk ne ciki kamuy ne ciki nuwe koan wa ユク ネ チキ カムイ ネ チキ ヌウェ コアン マ (彼は)鹿でも熊でもたくさんとれて。(S民話) ☆参考 nukoan ヌコアン が自動詞として使われた例が一例ある。 ☞nukoan ヌコアン ☆参考 実がたくさんなることは iyono イヨノ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nupunnoya
- ヌプンノヤ §006 イワヨモギ カムイヨモギ (2) nupun-noya (nu-pún-no-ya)「ヌぷンノヤ」[nupur(霊力ある)noya(もみ草)] 葉 ⦅美幌、足寄⦆⦅E樺太⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- nusa
- ヌサ 【名】祭壇(家の外の東側にある)。 nusa cise ukowturu wano yayotapkar-eciwitara ヌサ チセ ウコウトゥル ワノ ヤヨタプカレチウイタラ (父は)祭壇と家との間のあたりから鳥の羽ばたきのような踏舞をしていた。(W神謡語り) nusa kohorakte/kohokuste ヌサ コホラクテ/コホクシテ (死に際に赤ん坊の守護養育を神に願って)(赤ん坊)の上に祭壇を倒す。 inan a=nomi kamuy ne yakka resu wa i=kore sekor hawean kor nusa e=kohokuste イナン アノミ カムイ ネ ヤッカ レス ワ イコレ セコロ ハウェアン コロ ヌサ エコホクシテ 私がおまつりしているどの神でもいいですから(この子を)育ててくださいと(お前の父親は死に際に)言いながらお前の上に祭壇を倒した。(W民話) nusa e=kohorakte kor ヌサ エコホラクテ コロ (お前の父親は)お前の上に祭壇を倒しながら。(W民話) {E: an altar.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nusaha
- ヌサハ 【名】[所](概は nusa ヌサ)…の祭壇。 yuksapaunni ka a=kar, kamuysapaunni ka a=kar híne nusaha a=kar híne oro ta a=ari ユクサパウンニ カ アカラ、 カムイサパウンニ カ アカラ ヒネ ヌサハ アカラ ヒネ オロ タ アアリ 私は鹿の頭骨をのせる木と熊の頭骨をのせる木をつくってその祭壇をつくってそこに置いた。(KC民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nusahokuste
- ヌサホクシテ 【nusa-hokus-te】 祭壇を倒す:昔話のなかで村中が流行病で全滅しそうになった時に,村おさが赤子をひとり祭壇の後ろへ置いてまじない言葉を言うこと. タネアナクネ イヌクリアンナ アノミカムイ インネアナ イナンカムイカ タパンポンペ レスワネヤクネ イナウサンテクネ シトゥリナンコロナー=今すでに身動きもできなくなった,私が祭った神,大勢いるどの神かが,この幼児を育ててくれれば,イナウを受け継ぐ者として生き延びてくれるであろう. *ウウェペケレ(昔話)の常套語としてしばしば出て来る[ウ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- nuynak
- ヌイナク 【nuynak】 隠れる. レタラ チロンヌプ ア・ネ アリペクンネ オシマケ タ ヌイナク・アン=私は白狐で小さい刃物の後ろへ隠れた(萱野茂『カムイユカラと昔話』420頁 小学館). (出典:萱野、方言:沙流)
- ohainkar
- オハインカラ 【oha-inkar】 幻覚(を見る),幻を見る.▷オハ=からの インカラ=それを見る テエータ モペッ タ モシリシンナイサム セコロ ア・イェ ウェンカムイ オハインカラ クル アン ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ).ポロ ペコ ネノ アン レタラ ウシケ クンネ ウシケ アン ペ ネ シコロ ク・イヌ アムキリ=ずうっと昔,山門別村に,国土の他にいる化け物という恐ろしい物の幻を見た者がいたという.大きい牛のような姿をしていて白と黒のまだらのものだと聞いたことがある. (出典:萱野、方言:沙流)
- oinkar
- オインカラ 【他動】[o-inkar (そこ)に/から・見る[自動]] …のところを/で/から見る。 iresu sinta/sinta kurka/kamuy oran na/kamuy oinkar イレス シンタ/シンタ クルカ/カムイ オラン ナ/カムイ オインカラ ゆりかごの上に神が降りそこを神が見守ってくれる。(S子守歌) {E: to view…from…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- okake(he)
- オカケ(ヘ) 【okake(he)】 跡. ホクノ イヨーハイ キムンカムイ イトゥンナプ セチヒ プシロトト ワ エ オカケ=いやー驚きだ.熊がアリの巣を激しく掘り起こし食った跡だ.フンナ トイ オッタ(オロ タ) キナカラ オカケ アン?=誰が畑で草取りをした跡があるのだ? (出典:萱野、方言:沙流)
- Okikurmi
- オキクルミ 【名】[固有名] オキクルミ(伝説の主人公。 Samayunkur サマユンクル と対で語られることが多い。 他地方でオキキリムイなどとも呼ばれる。 神とも人とも見られ、 人間の始祖 Aynurakkur アイヌラックル と同一視されることもある:児島記述)。 Okikurmi kamuy オキクルミ カムイ オキクルミ神 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- okimne
- オキムネ 【o-kimne】 山から. オキムネ ワノ アイヌ エク ハウ カリカリ ヒクス プヤラ カ ア・オシマ インカラアナクス(インカラ・アン アクス) オヤチキ キムンカムイ スマウコロ パ ワ ネ アアン=山の方から人が来る声が響いてきたので窓から体を出して見ると,知らなかったが.熊を獲ってきたのであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- onisposo
- オニシポソ 【自動】[o-nis-poso その尻が・空・をつきぬける](雷、 星が)落ちる。 kamuy onisposo カムイ オニシポソ 神が天から地上に下る=雷が落ちる。 kamuyhum ka isam hi ta kamuy onisposo noyne hum as na カムイフム カ イサム ヒ タ カムイ オニシポソ ノイネ フマシ ナ 雷の鳴る音もしなかったときに雷が落ちたらしい音がしたぞ。(HK民話) {E: for a god to descend from heaven to earth.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- onneorun
- オンネオルン 【onne-orun】 年を寄るにしたがって. イペウナラ プ アナクネ カムイ コイパク ワ オンネオルン イペー カ エアイカプ ペ ネ=食い根性の悪い者は神から罰を受けて,年をとるにしたがって食うこともできないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- onnepaskur
- オンネパシクル 【onne paskur】 年寄り烏. オンネパシクル イーネ タラ タク ワ イーサム ネー タラ イーネ…=年寄り烏はどうしたの,俵を取りに行ったのよ,その俵はどうしたの…[カムイユカラ].*オンネパシクルという言葉をそれだけで用いることはなく,これはカムイユカラの題名である. (出典:萱野、方言:沙流)
- opentari
- オペンタリ 【opentari】 素姓を言う. トゥ カムイ シンリッ レ カムイ シンリッ ア・オペンタリ=ふたつの神の先祖,三つの神の先祖,その素姓を私は言う.*困って神々に頼みごとをする時. (出典:萱野、方言:沙流)
- opirasa
- オピラサ 【他動】[o-pirasa (そこ)に・…を広げる]…を(そこ)に広げる。 (次の表現で)sikurkasam opirasa シクルカサム オピラサ [雅](小袖)を自分の体に合わせて広げてみる。 kamuy kosonte sikurkasam opirasa カムイ コソンテ シクルカサム オピラサ [雅](姉は)立派な小袖を体に合わせて広げた(=広げて身につけた)。(Sユーカラ語り) ☆参考 歌っている中では sikurkasam eopirasa シクルカサム エオピラサ と言っている。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- opitta
- オピッタ 【副】(二つ以上/二人以上が)皆、 (二つでも、 たくさんでも、 数も量も)全部。 kamuy opitta カムイ オピッタ 全ての神、 神全員。 pirka amip opitta ピリカ アミプ オピッタ すべての美しい着物、 美しい着物(は)みんな。 aynu opitta arki アイヌ オピッタ アラキ 人(男)はみんな来た。 inanike ne yakka opitta ku=kor rusuy イナニケ ネ ヤッカ オピッタ クコン ルスイ どっちでも両方ともほしい。 sine netopa eus pe ne kus opitta ray シネ ネトパ エウシ ペ ネ クシ オピッタ ライ (二つの頭が)一つの体についていたので両方とも死んでしまった。(S民話) c=ópitta チョピッタ 私たちみんな。 eci=opitta エチオピッタ あなたたちみんな。 aoká opitta アオカ オピッタ あなたを含めて私たちみんな。 ☆参考 epitta エピッタ は一つのものの全体。 {E: everyone; all.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oposo
- オポソ 【o-poso】 通す,くぐる,通り抜ける. イワポソインカラ セコロ ア・イェ ウェンカムイ アナクネ イタク コラチ イワ オポソ カ アイヌ ヌカラ コロ アン アシトマ ウェンカムイ ネヤカイェ(ネ ヤク ア・イェ)=岩を通してでも見えるという悪い神は言葉の通りに岩を通しても人間を見ている,それは恐ろしい化け物だそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- opoysan
- オポイサン 【名】[o-pon-san その尻(=から(の))・小さい・子孫(子)][雅](次の慣用句で)kamuy opoysan カムイ オポイサン [雅]神の子。 sípase kamuy/kamuy opoysan/e=ne wa kusu シパセ カムイ/カムイ オポイサン/エネ ワ クス [雅]あなたは尊い神の子なのですから。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- or
- オロ 【位名】[概](所は oro/orke オロ/オロケ) ①(モノを表す名詞の後に置かれて、 そのモノを場所としてとらえる名詞句とする。 場所や時を表す名詞の後に置かれると、 よりはっきりとその場所、 その時を示す。 目的語として位置を表す名詞句を要求する語、 たとえば位置格助詞 ta タ《…に/で》、 un ウン《…へ》など、 動詞の接頭辞 o- オ《…に/で》など、 他動詞 kus クシ《…を通る》、 oma オマ《…に入る/位置する》などの前で多く使われる。) …の所、 …のとき。 (その他、 文脈によって…の中、 …の家、 …の上などいろいろに訳せる。)sapa or o ki サパ オロ オ キ 頭につくシラミ。 mesi itanki or a=o kor メシ イタンキ オロ アオ コロ ごはんを茶わんによそうと。(W会話) poro su or oma sayo ポロ ス オロ オマ サヨ 大鍋に入っているおかゆ。(W民話) apa or pak k=arpa korka アパ オロ パク カラパ コロカ 私は戸口の所まで行ったけれど。(W) nis or péka hopuni ニソロ ペカ ホプニ 空を飛んだ。(S民話) toy or ta nepki kor an トヨッタ ネプキ コラン (彼は)畑で働いている。 suy or osma スヨロ オシマ 穴に飛び込んだ(落ちた)。(S) iteki en=or ta ahup yan イテキ エノッ タ アフプ ヤン 私の家に入らないで下さい。(S) kesikomu sekor sísam or ta a=ye ケシコム セコロ シサム オッタ アイェ 消しゴムと日本語で言う。 kanto or un rikin カント オルン リキン 天に昇る。(S言い伝え) atuy or un cikap アトゥヨルン チカプ 海の鳥。(W民話) nis or wa ran ニソロ ワ ラン 空から降りて来た。(W民話) ②…or ta …or ta …オッタ …オッタ ☞otta オッタ 2。 or wa オロ ワ (受け身表現の行為者、 oro wa オロ ワ とも言う。)…によって。 kamuy or wa ene a=e=yáynure カムイ オロ ワ エネ アエヤイヌレ あなたは神からそう思わされた。(W民話) ☆参考 所属形は oro オロ の例が圧倒的で、 orke オロケ は1例のみ。 orke オロケ には別の用法がある。 {E: ①from… ②by…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- or'oyaciki
- オロオヤチキ 【or-oyaciki】 知らなかった. イ・レス エカシ オロオヤチキ キムンカムイ ネ アアン ヒクス ア・コアパセシケ ア・チセコウフイカ=私を育てたおじいさんは,知らなかったが熊であったので家の中に閉じ込めて家とともに焼いてしまった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- oramkote
- オラムコテ 【他動】[o-ram-kote (そこ)に・心・をつなぐ]…にほれる、 …を愛する(恋愛)、 …に目をつけている。 wenkamuy e=oramkote hi ne yak a=ye na ウェンカムイ エオラムコテ ヒ ネ ヤカイェ ナ 魔物があなたを好いているんだそうだよ。(S) ☆参考 「古い言い方。 今は osikkote オシッコテ と言う。 更に新しくは eramasu エラマス と言う。」 (S) ☆参考 eramasu エラマス …を好む、 …が好きである、 …がおもしろい。 omap オマプ (子どもなど)をかわいがる。 {E: to love…} (出典:田村、方言:沙流)
- oran
- オラン 【他動】[o-ran (そこ)に・降りる] …に降りる。 ranke mosir/oran hum konna/koturimimse ランケ モシリ/オラン フム コンナ/コトゥリミムセ (神が)下界(地上)に降りる音がブルンブルンと鳴り響き。(Sユーカラ) iresu sinta/sinta kurka/kamuy oran na イレス シンタ/シンタ クルカ/カムイ オラン ナ ゆりかごの上に神が降りるよ。(S子守歌) ☞ka(si) oran カ(シ) オラン {E: to go down, descend to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oranrani
- オランラニ 【o-ran-rani】 詰める. サラニプ オランラニ=袋に詰める.クナウ ペ トゥム ワ ア・プス アーペコロ アン カムイ イコロ ア・エウンケライ.イナウ ア・ケ ア ア・ケ ア イナウ トゥンプ ア・カラ ワ スウォプ アサム ア・オランラニ ルウェ ネ=フクジュソウの花の雫の中から掘り出したような神の宝刀を私は貰った.イナウをたくさん削ってイナウの寝床を作り宝箱の底へ詰め込んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- orap
- オラプ 【o-rap】 ~へ下りる,降臨する. アノミカムイ トイカオラプ=祭られている神が大地へ降臨した.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- orewsi
- オレウシ 【他動】[o-rewsi …に・泊まる] …に泊まる。 oripak kamuy oyakata cise ka orewsi hi ta オリパク カムイ オヤカタ チセ カ オレウシ ヒ タ 天然痘の神の王様が家の屋根の上に天降ったときに。(W民話) {E: to stay at, in…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oriwak
- オリワク 【他動】(神などが)住む、 (動物が)巣くう。 tumunci kamuy, senneyaywa oriwak uske ne wa kusu トゥムンチ カムイ、 センネヤイワ オリワク ウシケ ネ ワ クス 鬼神が本当に住んでいる所だから。(W会話) ☆参考 神が住むことを表すにはいろいろな表現がある。 ☞erok エロク、 erokrok エロクロク、 ewak エワク、 iwak イワク、 horari ホラリ、 horarpa ホララパ。 また、 epunkine エプンキネ《…を守る》、 enupur エヌプル、 enukor エヌコロ 等。 {E: (for a god) to live…; (for an animal, bird) to nest…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oro ci=kus isam kane
- オロ チクシ イサム カネ 【oro ci=kus isam kane】 運が悪い,どこまでも不運である.▷オロ=そこ チ=私たち クシ=通る イサム=ない →通る所もない イヨーハイ オウェヌシ プ アナクネ アラパ ヒ エピッタ オロチクシ イサム カネ ウェン クル ネ=まあ本当かい,運の悪い者は徹頭徹尾少しの道も開けずに悪くなるものだ.ソンノ イヌヌカシキ.タプイキクル アナクネ オロチクシ イサム カネ アラパ ヒ エピッタ エカシカムイサク=本当にかわいそうだ,今の人は通る所もないほどに行く先々全部運が悪い.ソンノ タパン ハワシ ク・ヌ ヒ オラーノ ポーヘネ イヨーハイ シトマレ.へマンタ イノンチリペ アン ワ ネスン オロチクシイサムカネ=本当にこの度の話を私が聞いて,なおさらなんとまあ恐ろしいことか.何か人を呪う者たちがいてなのであろうが,そこを通る所もないほどに運が悪い.*日本語であれば「運が悪けりゃ屁までも臭い」に似たような言葉である. (出典:萱野、方言:沙流)
- oro wa
- オロ ワ 【位名+格助】①そこから。 ☞oro オロ ②(=or wa オロ ワ)(受け身表現の行為者) kamuy opitta oro wa a=i=kóypak カムイ オピッタ オロ ワ アイコイパク 私たちはすべての神々からとがめられる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oruitakur- rutke
- オルイタクルルッケ 【自動】[o-ru-ita-kur-rutke その尻・跡・板・(< 影/姿)・ずって動く][雅](島が死んで神になって)木の枝からすべり落ちる。 kamuy sinne/pito sinne/apiskatu apiska/oruitakur/rutke=an na カムイ シンネ/ピト シンネ/アピシカトゥ アピシカ/オルイタクル/ルッケアン ナ 私は(死んで)神になって止まっていた木の枝からすべり落ちた。(W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
- os 1
- オシ 【名】[動物] 雌の鮭。 ☆対語 ca チャ 雄の鮭。 ☞kamuycep カムイチェプ 〔知分類 p.43 〕 {E: female salmon.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- osawtekka
- オサウテッカ 【o-saw-tek-ka】 さっと抜く,▷オ=それ(刀)を サウテッカ=さっと抜く キムンカムイ ピューキ ワ エク ヒクス ア・コロ タシロ ア・オサウテッカ ワ ヨコ・アン=熊が襲いかかってきたので,私は自分の山刀をさっと抜いて身構えた. (出典:萱野、方言:沙流)
- osikoni/oskoni 2
- オシコニ/オシコニ 【os(i)koni】 ②(〜を)獲る,つかまえる. タント アナクネ ネア イベサククル ア・トゥラ ワ ソネ ネプカ ア・オシコニ エアシカイ ヤ ウン=今日はあの狩の下手な者を私たちは連れてなんとか何か獲ることができるだろうか?キムンカムイ ユク ケサンパ ヒ タ ユク アナクネ ユク ル カリ キラ コロ キムンカムイ アナクネ シリイッネトゥイェ ワ ヨコ ワ アン ユク オシコニ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊が鹿を追いかける時,鹿が鹿道の通りに逃げると,熊は先回りをして待ち伏せをして鹿をつかまえるものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- otta
- オッタ 【or ta】 (〜の)時に,(〜の)場所で,〜で.〜に,〜へ. イヨマンテ オッタ(オロ タ) メノコ オッカヨ ウコトゥシエタイェ メノコ アマケタロ コロ イマカケタ オッカヨ カムイ ア・ウク ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊送りの時に男と女が綱引きをして女が負けると,次に雄熊が獲れるそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- otu suy re suy
- オトゥ スイ レ スイ 【o-tu suy re-suy】 2回も3回も. ソモ ヨムネ ノ オトゥ スイ レ スイ ウェン プリ コロ ヒ ネ クス タンペ オッタ(オロ タ) アナクネ カムイ オロ ワ ア・パラコアッテ プ ネ ナンコロ ワ=懲りもせず2回も3回も悪いことをするのだから今回の場合は神様から罰を与えられるでありましょう.ネウン ア・キクキク ヤッカ ヨムネ カ ソモ キ ノ オトゥ スイ レ スイ イッカ ハウェ コクンヌレ(ク・オクンヌレ)=どのように殴られても懲りもしないで2回も3同も盗っ人をしているとは,私はあきれてしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
- ouhuy
- オウフイ 【自動】[o-uhuy その尻が・燃える/こげる]こげる。 ouhuy húra at オウフイ フラ アッ こげくさい。 ouhuy sirka オウフイ シリカ こげた刀、 ouhuy attus オウフイ アットゥシ こげた厚司(あつし)。 ☆参考 Okikurmi kamuy オキクルミ カムイ《オキクルミ神》はこげた厚司を着、 こげた刀を下げていた。 よく「すそが焦げた」とか「すそこげ…」と訳されるが、 ワテケさんによれば、 ouhuy オウフイ は単に《こげた…》。 (出典:田村、方言:沙流)
- ouhuy
- オウフイ 【o-uhuy】 裾の方から炎が燃え立つ. ウウェペケレ ネ ヤ ウパシクマ オッタ(オロ タ) オキクルミカムイ アイヌ カシオピューキ ヒ タ オウフイ ニカパットゥシ カリ シリ パテク ア・ヌカラ シコロ アイェプネ=昔話や言い伝えの中に,オキクルミ神が人間を助ける時に,裾の方から炎が燃え立つ木の皮の着物が,ちらっと見えたと言うものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- owenusi
- オウェヌシ 【o-wen-usi】 運が悪くなる. ネユン ア・イェ ヤッカ ウェンカッチャムコロ ペ アナクネ オウェヌシ カムイ コイパクペ ネ ワー=どのように意見されようとも悪いことをする者は運が悪くなって神から罰をあてられるものだよ.ウルオカタ ウルオカタ チコシンニヌ カムイイコロ エイヨク パ ヤク ア・イェ ソモ オウェヌシパ ペ ヘ アン シコロ ク・ヤイヌ=子々孫々に秘宝として伝えられた神の宝を売ったということだが,それによって不運にならないものかと私は思っている.テエータ ワノ ウェンプリ コロ ペ サニケヘ アナクネ カムイコイパク エパチコアン ワ オウェヌシ パ シリ=ずうっと昔から悪いことをした者の血統は神からも罰を受け罰があたり運の悪いことよ, (出典:萱野、方言:沙流)
- owpekare
- オウペカレ 【owpeka-re】 真っ直ぐにする. アイヌ イタク アナクネ ウハイタ ウシケ ポロンノ オカ.ネ イタク オウペカレ ワ カムイ オルン ソンコ アンパ プ イクパスイ ネ ルウェ タパン ナ=人間の言葉は至らない所がたくさんあるものだ,その言葉を真っ直ぐにして神へ伝言を持って行くのが捧酒箸ですよ.テエータ アナクネ イヌイェ・アン クシネ ヒケ カ ア・エイワンケプ カ ケミアン シネ マキリ ア・レウェ ア・オウペカレ ワ ネプキ・アン ペ ネ=ずっと昔は彫刻するにも道具が少なく,1丁の小刀を曲げたり真っ直ぐにしたりして仕事をしたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- oyaciki
- オヤチキ 【oyaciki】 知らなかったが. モシアナクス(モシ・アン アクス) アリタオマプ オンナイケ タ アナン(アン・アン).オヤチキ チプ オロ アイヨマレ(ア・イ・オマレ) ワ ア・イ・モムカ ヒ ネ アアン=自を覚ましたら板付け船の中であった.知らなかったが船に入れられ流されたのであった[ユ].クチャ チセ オッタ(オロ タ) レウシアナクス(レウシ・アン アクス) カムイ メノコ ウコイタク ハウェ ア・ヌ イタククッチャマ ベケレ ワ オケレ.オヤチキ スルク トノマッ ネ アアン=狩小屋に私が泊まっていたら神の女が話をしていたのを聞いたが,話し方がとてもきれいであった,知らなかったがトリカブト姫であった. (出典:萱野、方言:沙流)
- oyakata
- オヤカタ 【名】[< 日本語 親方]王、 首領。 onaha ne kamuy pákorkamuy oyakata ne yak ye p ne kusu オナハ ネ カムイ パコロカムイ オヤカタ ネ ヤク イェプ ネ クス 父親である神は天然痘の神の首領だと(あの人は)言っていたから。(W民話) {E: a (the) parent(s); a master.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oyakoyak
- オヤコヤク 【oyak-oyak】 あちこちで. オヤコヤク タ タスム ネ マヌ プ スルルケ オルシペ ア・ヌ イシトマ・アン クス ハル アフプカラ・アシ ワ ハルエカムイノミ・アン ルスイ=あちらこちらで病気が流行したと聞き恐ろしいので供物を貰い病気の神へあげたい.ソンーノ スイ ネア メノコ ネスン オヤコヤク タ ネユンネユン ハウェアン イユコイキレ パハウェトイタ ハウェ=全くあの女であろう,あちらこちらでいろいろと言ってけんかさせる噂の種を蒔いたのは.テエータ カネ ニプタニ タ うとむてけ シコロ ア・イェ ウナラペ アン ワ イカラカラ エアシカイ オヤコヤク ワ チカラカラペ ア・エヤサラ ペ ネ ヤク ア・イェ=ずうっと昔,二風谷にウトムテケというおばさんがいて,刺繍が上手であちらこちらから注文をされたということだ.タント カルスク(カルシ ウク) クス ケキムネ(ク・エキムネ) アクス ユクカルシ ポロンノ ク・パ ワ オヤコヤク タ カヌ(ク・アヌ) ワ ケク(ク・エク) ヘタ エン・トゥラ ア・セ クス ネ ナ=今日きのこを採りに山ヘ行ったらマイタケをたくさん見つけた.あちこちで置いてきたから,さあ私と一緒に行ってくれ,背負ってくるから. (出典:萱野、方言:沙流)
- oysirucep
- オイシルチェプ 【名】[o-i-siru-cep 尻・ものを・こすった・魚][動物] 年取って尾がバサバサになった鮭。 ☆参考 「筋子を置くためのホリ(産卵穴)を掘るために尾びれでバラス(砂利)をかき分けて、 掘ったホリの中に筋子を置くと、 そのあとに雄が来て白子をかけ、 サッと砂をかけて行く。 筋子を出してしまった鮭は、 やせて尾びれが一本一本に分かれてほうきのようになる。 そのようになった鮭を言う。 それはもう年取って、 岸に寄り上がって死んだりする。」 (S) ☆参考 atkoci アッコチ[概]/atkocike アッコチケ[所] 尾びれ。 cep チェプ 魚、 鮭。 kamuycep カムイチェプ [神・魚]鮭。 sípe シペ 秋の鮭。 os オシ 雌の鮭。 ca チャ 雄の鮭。〔知分類 p.41 oisiru-cep ((幌)) 産卵後の尾のすりきれたサケ、 ホッチャリ〕 {E: an old salmon.} (出典:田村、方言:沙流)
- pa 4
- パ 【名】[概/所] 空中にある何かの気(き)。 ①湯気。 pa at パ アッ 湯気がたつ。 sések wa pa at kor an セセク ワ パ アッ コラン 熱くなって湯気がたっている。(S) ②伝染病(天然痘)の気。 pá-kor-kamuy パコロカムイ 天然痘の気を持つ神、 疱瘡(ほうそう)神。 pa tum yupke パ トゥム ユプケ 伝染病がはやっていて恐ろしい。(S) ☆参考 「空気」にちょうど当たる語はない。 風は réra レラ、 風が吹くときに動く空気は maw マウ。 {E: ①steam. ②air containing an infectious disease.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- pakasnu
- パカシヌ 【pakasnu】 罰,罰する. ア・ウェンパカシヌ=重罰.ア・パカシヌ=それを罰する.スクプ トゥイ カ タ ネユンネユン ウェンプリ コロ パ ハウ パテク アン ペ ネ アクス オンネ ペコロ イキ ソモ ペコロ イキ カムイ オロ ワ ア・パカシヌ クス オンネー カ エアイカプ=一生の間にいろいろと悪事をした噂ばかりあったものだが,死にそうにしたかと思うと死にそうでもない,神から罰を受け死ぬこともできないのであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
- pakekosne
- パケコシネ 【pake-kosne】 口が早い,口が軽い:人の秘密や過失などをそっと他の人に言いつけること. ニサッタ イラマンテ クス エキムネ・アン シコロ アペサム タ ア・イェ コロ アペフチカムイ パケコシネプ ネ クス キムンチコイキプ エウン イェ プ ネ ナ イテキ イェ ヤン=明日は狩のために山へ行くと火の側で言うと,火の神は口が早いので山の獲物に言うものなので言ってはいけません. (出典:萱野、方言:沙流)
- pakeskor
- パケシコロ 【pakes-kor】 杯を女に渡す:お祈りの後に女に杯を渡す. イク マラプト アニ(アン ヒ) タ アナクネ カムイノミ オカ タ ヤイカタ マチヒ ネ ヤ オシッコテ メノコネヤ ア・パケシコレ ネ ヒ タ アナクネ ウタラ オピッタ ヌ パ クニネ ア・ホトゥイェカラ ペ ネ=酒宴の席の場合は,神々を祭った後自分の妻や恋人などに杯を渡すが.その時は人々全部が聞こえるように呼ぶものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- paketunas
- パケトゥナシ 【pake-tunas】 告げ口をする,早口(である). エアラキンネ パケトゥナシ ペ アペフチカムイ ネ ヤク ア・イェ クス イラマンテ エキムネ ウシ アペサム タ ソモ ア・イェ プ ネ ナ=とっても告げ口が好きな者が火の神だというので狩のために山へ行く場所を火の前で言わないものだよ.アウン ウナラペ パケトゥナシ ペ ネ クス イタキペ ア・エランペウテク=隣のおばさんは早口でしゃべるものだから言っている言葉の意味が私はわからない. (出典:萱野、方言:沙流)
- pakokanu
- パコカヌ 【pa-kokanu】 立ち聞き,盗み聞き.▷パ=口 コカヌ=耳を傾ける パコカヌ・アン コロ イヨシマケヘ ワ ウェンカムイ エク ヤ カ ア・エラムシカリ ア・エマウコウェン ペ ネ ナ イテキ ネノ イキ ヤン=立ち聞きすると.後の方から悪い神が来たのも知らず,それによって不運になるものなので立ち聞きをするものではない. (出典:萱野、方言:沙流)
- pannoki
- パンノキ 【pan-noki】 下の方の軒,西の方の軒. アシリ チセ ア・アシ ワ カムイノミ・アニタ(カムイノミ・アン ヒ タ) アナクネ チセ パンノキ チセ ペンノキ アンパ カムイ セコロ カムイレ ア・レアリ プ ネ=新しい家を建てて神を祭る時には,家の下の方の軒家の上の方の軒支える神と神の名を言うものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- pante
- パンテ 【pan-te】 薄める. テエータ オカ アイヌ アナクネ ポンノ カ サケ コロパ コロ カムイノミ パ プ ネ ア コロカ タネ アナクネ ネノ アン イキ カ ア・パンテ ワ イサム=ずうっと前のアイヌは少しでも酒を持つと神への祈りをしたものだが,今はそのようなことも薄められてしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
- papisno
- パピシノ 【pa pisno】 毎年. レプンカムイ エウン ア・マッネポホ アラパ ワ アン クスケライ バピシノ ア・コタヌ タ フンペ ヤン ワ ア・エ コロ アナン(アン・アン)=沖の神(シャチ)の所へ私の娘が嫁に行っている.そのお陰で年ごとに私たちの村へ鯨が寄り上がるので私は食べている[カムイユカラ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- páse
- パセ 【自動】①重い。 e=pase humi! エパセ フミ! (子どもをだき上げて)(あなた)重いねえ。(S) kema páse ケマ パセ[足(が)・重い](年老いて)足腰が弱る。 ②尊い、 重要な。 páse tono パセ トノ [尊い・殿]尊いお方、 和人の殿様。 páse kamuy パセ カムイ 尊い神。 páse inomito パセ イノミト [尊い/重要な・ものをまつる日]元日。 páse maciya パセ マチヤ [尊い/主要な・町/都市]都(みやこ)、 首都。 {E: ①to be heavy: ②important.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- paskaneterkekane
- パシカネテレケカネ 【pas kane terke kane】 走るように跳ぶように,駆ける,速く走る. ノクンネイワ エキムネアナクス(エキムネ・アン アクス) ポーロ カムイ スマウェヘ ア・コロ.ア・エヤイコプンテク パシ カネ テレケ カネ イワカン(イワク・アン) コタヌン ウタラ ア・ニスク=朝早くから山へ行ったら大きな熊を獲ることができた.喜んで走るように跳ぶように帰って来て村人を頼んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- paste
- パシテ 【pas-te】 気がつく. キムンカムイ アナクネ ア・シトマ プ ネ ア・クイラ ヒ パシテ コロ ヤイルカ エホシピ ワ ニ センピリ タ イイェトコウシ(イ・エトコウシ) ペ ネ=熊は恐ろしいものだ,後をつけられたことに気づくと自分の足跡を迂回して木の陰で待ち伏せをするものだ.ア・ユピヒ オナハ トゥラノ エキムネ クニ ネ ア・イェ ワ アナ(アン ア) ヒ ア・ヌ ア プ キラ ワ イサム ア・オナハ ネ ワ アン ペ パシテ ワ イルシカ ア イルシカ ア=私の兄は父と一緒に山へ行くようにと言われていたのを,私は聞いたのに逃げてしまい,私の父はそれに気がつき怒って怒って. (出典:萱野、方言:沙流)
- patum
- パトゥム 【patum】 流行病. ネイタカ パトゥム ネ マヌ プ スルルケ ヒ ア・ヌ コロ ウクリペ ア・ウク ワ アパ オッタ(オロ タ) プヤラ オッタ ア・エウシ ワ ア・アヌ コロ パヨカカムイ ソモ ヘノイェ プ ネ=どこかで流行病が蔓延したと聞いたらヤツメウナギを取って来て戸とか窓に差しておくと病気の神がよらないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- péka 1
- ペカ 【他動】(投げ渡されたものなど)を受けとめる。 ku=peka na クペカ ナ (投げてくれれば)(私)受け取るよ。 ay péka アイ ペカ 矢を受け取る(けものや鳥の神が矢に当たってくれることを言う)。 kanna nis ka un a=e=péka wa, kamuy or ta sonno ukor síno ukor eci=kí kus ne na カンナ ニシ カ ウン アエペカ ワ、 カムイ オッタ ソンノ ウコロ シノ ウコロ エチキ クシ ネ ナ 私があなたを天に引き取って、 あなた方は神の国で本当の結婚、 まことの結婚をするのです。(HC民話) {E: to catch…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- peko
- ペコ 【peko】 牛. テエータ モペッ タ モシリシンナイサム セコロ ア・イェ ウェンカムイ オハインカラ クル アン ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ) ポロ ペコ ネノ アン レタラ ウシケ クンネ ウシケ アン ペ ネ シコロ ク・イヌ アムキリ=ずうっと昔,山門別村に,国土の他にいる化け物という恐ろしい物の幻を見た者がいたという,大きい牛のような姿をしていて白と黒のまだらのものだと聞いたことがある. (出典:萱野、方言:沙流)
- petci
- ペッチ 【名】[pet-ci 水分のある(?)・(?)] はいだばかりの毛皮。 kamuy petci カムイ ペッチ 熊のはいだばかりの毛皮。 yuk petci ユク ペッチ 鹿のはいだばかりの毛皮。 ☆参考 これも rus ルシ《毛皮》のうち。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- pito
- ピト 【名】[< 古い日本語 人(フィト)][雅]神と同等の人(多くの場合 kamuy カムイ《神、 神のような立派な/尊い人》の類義語として、 類義語並列の対句に用いられる)。 a=respa pito/a=respa kamuy アレシパ ピト/アレシパ カムイ [雅]私が育てたお方、 私が育てた神よ。(Sユーカラ) pak pito ne/pak siretok/ne wa ne yakun パク ピト ネ/パク シレトク/ネ ワ ネ ヤクン [雅]これほど位の高いものでこれほど立派なものであったならば。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- piwki
- ピウキ 【piwki】 向かう,向かって来る. ピューキ ワ エク=襲いかかってくる.ピューキ ワ アラパ=向かって行く.ト ト ヌカラ ヌカラ キムンペ ピューキ ワ エク ノイネ ヨコ ワ アン ナ.エン・カ オピューキ ワ エン・コレ=あれあれ見ろ見ろ,熊が向かって来るらしく構えている.助けてくれ.キムンカムイ ピューキ ワ エク ヒクス ア・コロ タシロ ア・オサウテッカ ワ ヨコ・アン=熊が襲いかかってきたので,私は自分の山刀をさっと抜いて身構えた. (出典:萱野、方言:沙流)
- po hene
- ポヘネ(ポーヘネ) 【po-hene】 なおさら. タント ポーヘネ シリセセク ク・ミッポホ モコロ ワ アン コロカ ア・パラパル コロ アナン(アン・アン) ヒ ウーン=今日はなおさら暑いので私の孫が眠っているけれどもあおいでいるのだよ.カムイチェプ アナクネ ア・マ コロ ポーヘネ ケラ ピリカ プ ネ.ホクレ マ ヤン=サケは焼くとなおさら味があるものだ,早く焼きなさい.ソンノ シンキ・アン ワ イワク・アン ペ ア・コロ ポンペ イイェムエム(イ・エムエム) ワ ポーヘネ シンキ・アン=本当に疲れて帰って来たのに私の小さい子供が私にまつわりつき,なおさら疲れた. (出典:萱野、方言:沙流)
- poncompa
- ポンチョンパ 【pon-compa】 小さい升,親指と手首の間にあるくぼみ,舟状くぼみ. ▷ポン=小さい チョンパ=升 *オキクルミカムイがくれた穀物,ヒエ・アワ・イナキビなど,大昔はこのくぼみにいっぱい入れただけで鍋にあふれるほどの飯になった.そのヒエ粒をアイヌが数えたので,それが悪いとして,あふれるぐらい増えなくなったので,鍋に入れて煮る物は,アイヌは数えてはならないものとされている.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- poneuka
- ポネウカ 【pone-uka】 骨のように堅い堅雪:おとなが堅雪の上を走ってもぬからないのをいう.▷ポネ=骨 ウカ=硬雪 *昭和30年の1月,珍しく二風谷は大雪で深さ3尺はあったであろう.そこへ2月の初めに大雨が降った.この雨のことをキムンカムイ ポフライェプ(熊の神様が子供を洗う雨)という.その雨の後へもう一度寒波が来て言葉通りのポネウカになった.このような場合は鹿にとっては御難の冬.犬もアイヌも雪の上を自由に歩けるが鹿は腹がつかえ歩けなくなる.そこへ皆が走って行き手づかみにして肉を食べた.あの年の冬はこの村だけで100頭ほどの鹿を獲ったが,警察に引っぱって行くとすれば村人全員なので代表ひとりだけ始末書を書き,残りの村人は不問に付されたものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- ponnusa
- ポンヌサ 【名】[pon-nusa 小さい・祭壇] 小祭壇(十勝・釧路で、 いろりの中の上座側の左座寄りの inumpesauspe イヌンペサウシペ《炉ぶち前の木》の前につくられた小さい nusa ヌサ《祭壇》。 Apehuci-kamuy アペフチ カムイ《火の女神》のヌサだと言う)。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- porowaokere
- ポロワオケレ 【poro-wa-okere】 大きい大きい. ケムラムカムイ アナクネ ポロ ワ オケレ クンネ チカプ ネプ ネ シコロ ウウェペケレ オッタ(オロ タ) ア・ポロセ プ ネ=飢饉を司る神というものは大きい大きい黒い鳥の姿をしているものだと昔話の中では描写されているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- porse
- ポロセ 【porse】 表現する. ウェンメノコ セコロ ア・ポロセ プ カ ネユンネユン アン イスエチレ ウェンメノコ ホカパル ウェンメノコ イロンナピウェ ウェンメノコ イシケオプシ ウェンメノコ=悪女と表現される中でもいろいろあり.陰部の熱い悪い女,灰を飛ばす悪い女,座る時に男にくっつく悪い女,髪の間から私をにらむ悪い女.チカプ ケプシペ アイヌ ヌカラ パ ワ エムシ ケプシペ ネヤ ヌイェ パ.ユカラ オッタ(オロ タ) アナクネ ケプシペ ヌイェ シリカ ヌイェ ネプキ ネ ア・キ シコロ カネ ア・ポロセ プ ネ=鳥のくちばしをアイヌたちは見て刀の鞘などを彫刻した,ユカラには鞘を彫り鞘の造りを彫ることを私は仕事にしていると表現されているものだ.ケムラムカムイ アナクネ ポロ ワ オケレ クンネ チカプ ネ プ ネ シコロ ウウェペケレ オッタ(オロ タ) ア・ポロセ プ ネ=飢饉を司る神というものは大きい大きい黒い鳥の姿をしているものだと昔話の中では描写されているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- poturkes
- ポトゥルケシ 【poturkes】 あざ. *蒙古斑のことはカムイテッコッという, (出典:萱野、方言:沙流)
- punkaw
- プンカウ 【punkaw】 ドスナラ,ハシドイ. *腐りにくい木なので家を建てる時柱に用い,家を守るチセコロカムイという神を作る時はドスナラとエンジュを使う.墓標もドスナラとエンジュを使う. (出典:萱野、方言:沙流)
- pusrototo
- プシロトト 【pus-rototo】 激しく掘り起こす. ホッノ イヨーハイ キムンカムイ イトゥンナプ セチヒ プシロトト ワ エ オカケ=いやー驚きだ,クマがアリの巣を激しく掘り起こし食った跡だ. (出典:萱野、方言:沙流)
- puytumare
- プイトゥマレ 【puytumare】 聞くのがいや,耳ざわり. タネアナクネ カムイカラナンカ カムイカラシリカ アコロワクス アイヌイェイタク アプイトゥマレ コヨイラクニプ ソモネコロカ=今は神が作った顔,神が作った体を持っているので,人間が言う言葉を聞くのがいやであることを忘れてはいないけれど……. *アイヌ風の葬式引導渡しの言葉の一部分.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- racici
- ラチチ 【他動】[racit-i (たれ下がる意味の語基)・(他動詞形成)](目的語となる名詞概念形のあとについて自動詞をつくる。) …をダラリと下げている。 toan nonno okkew-racici ruwe an hi! トアン ノンノ オッケウラチチ ルウェ アニ! あの花、 首をダランと下げているねえ(しおれて)。(W) kimun kamuy ka sinki p ne kusu parunpe-racici キムン カムイ カ シンキプ ネ クス パルンペラチチ 熊も疲れたものだから舌をだらりと出して(下げて)いる。(HK民話) kema-racici ケマラチチ(高いいすに腰かけて)足をブランと下げている。(S) mon-racici モンラチチ(神謡の中で死んだ動物(神)が梁の上から)手(=前足)をダラリと下げている。(HC神謡) ☆参考 独立の他動詞としては未出。 ☆参考 自動詞は racitke ラチッケ ぶら下がる。 ☆参考 ra ラ は《下の方》。 {E: to hang, lower something loosely.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- racitkere
- ラチッケレ 【racitke-re】 ぶら下げる. ラチッケレ ワ コロ=ぶら下げて持つ.トゥッコ カ レレコ カ アプト ルイ ワ ポロ ワッカ アン ノイネ シリキ ナ イチャリ コロ ワ ソイェネ ワ クマ オロ ワ ラチッケレ カントコロカムイ エウン "ホクレ タパン イチャリ シクテ" セコロ コラムコロ=二日も三日も雨が強いので洪水になりそうだ,ざるを持って外へ出て干し竿から下げ,天の神様へ「さあ早くこのざるをいっぱいにせよ」と相談してみろ(雨を降りやますためのまじない). (出典:萱野、方言:沙流)
- ramukuttokore
- ラムクットコレ 【ramu-kuttoko-re】 思いをひるがえさせる,逆に利用する.▷ラム=思い クットコ=反対にする レ=させる ウェンカムイ カ ア・イタクペカレ コロ ラム ア・クットコレ エアシカイ ペ ネ=悪い神もその神に合った言葉で対応すると思いをひるがえさせることができるものだ.コシンペ アイヌ トゥレン コロ イピリカレ プ カ オカ イウェンテ プ カ オカ プ ネ ヤク ア・イェ. ネ ヒ アア・エアラマン ワ ラム ア・クットコレ コロ シノ ピリカ プ ネ シコロ=妖精が人間の憑き神になると憑いた人間をよくする者もいるが悪くする者もいるという.それを覚えて思いを反対にする(逆に利用する)と本当にいいものだということだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ramutunas
- ラムトゥナシ 【ramu-tunas】 すばやい,聞いてすぐに行動する,思いが早い. ネプカ ア・キマテク ペ アン ヒ タ アナクネ アシンル コロ カムイ ア・コアスラニ プ ネ. ルコロ カムイ イヨッタ ラムトゥナシ ペ ネ ルウェ ネ ナ=何か急病人など出た場合は便所の神へ救いを求めるものだ.便所の神が一番動きが速いんだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ranke 2
- ランケ 【助動】(くりかえし)…する、 (ときどき、 しょっちゅう、 毎日…)…する(反復を表す)。 a=hekóte kamuy néa Iskar etoko un arpa ranke ek ranke アヘコテ カムイ ネア イシカラ エトコ ウン アラパ ランケ エク ランケ 私の夫である神はその石狩川の水源地の村へ行ったり来たりしている。(W神謡語り) saysintoko or ota ranke wa sikte サイシントコ オロ オタ ランケ ワ シクテ 酒席に置く酒容器に何回も汲み入れていっぱいにしなさい。(S) {E: to do… (always, usually, daily etc.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- raye
- ライェ 【raye】 歩を運ぶ. カムイ ネ クス コラチ アン クル アウナライェ=神であるそれらしい方が家の中へ歩を運ぶ. (出典:萱野、方言:沙流)
- raykamuyarkare
- ライカムヤラカレ §505.ちゅうぶう(中風)(6)中風で手・足・目などが利かなくなる raykamuy-arkare〔ráǐ-ka-muǐ|ar-ka-re らいカムイ・あラカレ〕[死霊が・病ましめた]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- raykamuyoskoni
- ライカムヨシコニ §505.ちゅうぶう(中風)(3)中風で倒れる;半身不随になる raykamuy-oskoni〔ráǐ-ka-muǐ-óš-ko-ni らイカムイ・おシコニ〕[ray-kamuy(死者の霊)+oskoni(に追いつく)]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- rayke
- ライケ 【他動】[単](複は ronnu ロンヌ)[ray-ke 死ぬ・(他動詞化)](一人/一頭)を殺す。 kamuy rayke カムイ ライケ 熊を殺す=熊をとる。 ☆参考 けものをとることは「取る」意味の語を使わず「殺す」という意味のこの語を使って言う。 鳥をとることには rayke ライケ のほか、 koyki コイキ も使われる。 ☆参考 (二人/二頭以上)を殺すことは ronnu ロンヌと言う。 {E: to kill…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rayke
- ライケ 【ray-ke】 殺す. エネ ウェンプリコロ ハウェ ネ ヤク アナクネ カムイ オロワ ア・ライケ エアシリ キ ナンコロ ワ=そのような悪事をしたのであれば神の方から殺されるでありましょうよ.イヨハイシトマレ エ・ヌ ア. アッチェウン オルシペ ネ コロカ アフプカラ ワ レス ヤク ア・イェ ポンペ キッキク ワ ライケ ヤク ア・イェ=本当にたまげたことだが聞いたかい.よその話だが貰って育てていた子供を叩いて殺したということだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- raynottarara
- ライノッタララ 【ray-not-tarara】 ぐいっとばかり頭をもたげる. ▷ライ=ぐいっと ノッタララ=頭を上げた,陰茎を立てた *『カムイユカラと昔話』181頁の中の「消えたちんちん」の一節.(補遺編)▷ライ=ぐいっと ノッタララ=頭を上げた,陰茎を立てた *『カムイユカラと昔話』頁の中の「消えたちんちん」の一節. (出典:萱野、方言:沙流)
- rékore
- レコレ 【他動】[re-kore 名前・を…に与える]…に名前をつける。 sípase kamuy/kamuy opoysan/e=ne wa kusu/a=e=rékore hi/ne hi tapan na シパセ カムイ/カムイ オポイサン/エネ ワ クス/アエレコレ ヒ/ネ ヒ タパン ナ [雅]あなたはまことに尊い神の子なのですからそれでその名前をつけられたのですからね。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rekuci(hi)
- レクチ(ヒ) 【名】[所](概は rekut レクッ)…ののど、 その(彼の)のど(中も外も)。 rekuci tanne レクチ タンネ 首が長い。(S) oya rekuci aep osma オヤ レクチ アエプ オシマ 違うのどに(=気管に)食べ物が入ってしまった。(S) ku=rekuci arka クレクチ アラカ 私はのどが痛い。 rekuci sat(sat) レクチ サッ/レクチ サッサッ [自動]のどが渇く。 ku=rekuci satsat クレクチ サッサッ 私はのどが渇いた。(W) kamuy rekuci a=tuyé wa a=rayke カムイ レクチ アトゥイェ ワ アライケ 私は熊ののど首を切って殺した。(HK民話) rayke wa rekucihi tuytektek ライケ ワ レクチヒ トゥイテクテク 彼は(妻を)殺してそののど(首)をバサリと切った。(W民話) {E: the throat of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- renkayne
- レンカイネ 【後副】[renka-y-ne 意図・(挿入音)・として](主格人称接辞をとる。)…の意志によって、 勝手に、 …によって、 …次第で。 kamuy renkayne カムイ レンカイネ 神の思召によって、 神様のおかげで。 ku=renkayne k=ek クレンカイネ ケク 私は勝手に(自分の意志で)来た。(S) e=renkayne iteki iki エレンカイネ イテキ イキ あなたの勝手なことをするな。(S) katu renkayne カトゥ レンカイネ ありようによって、 都合によって。 ciw sinoye katu renkayne チウ シノイェ カトゥ レンカイネ 流れの曲り方に従って=水の流れに従って。 ☆参考 yayrenkayne ヤイレンカイネ 自分のいいように、 自由に。 {E: as one wishes.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- repoiramante
- レポイラマンテ 【rep-o-iramante】 沖漁をする. レポイラマンテ・アン クス チプ ア・オ ワ アラパ・アン アクス アッコロカムイ シプステクテク ヤニ ア・イ・ライケ=沖漁をすると思って舟に乗って沖へ出ると,タコがさっと浮き上がってきて危なく私は殺されそうになった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- repotpe
- レポッペ 【名】[rep-ot-pe 沖・に産する・もの] 海産物、 海の幸。 Okikurmi kamuy kor katkemat repotpe eymek kusu kotan epitta imek eapkas オキクルミ カムイ コロ カッケマッ レポッペ エイメク クス コタン エピッタ イメク エアプカシ オキクルミ神の奥方が海の幸を配るために村じゅう配って歩いた。(HK民話) {E: seafood.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- reraatkatu
- レラアッカトゥ 【rera-at-katu】 風向き,病気流行の前兆. オヤコヤク タ レラアッカトゥ ア・オヤモクテ ヤク ア・イェ クス ハルエカムイノミ・アシ ルスイ クス ハル アフプカラ クス ク・エク ヒ ネ ワ=あちらこちらで風向きが(流行病に対しての別の言い方)不審というので穀物を持って神を祭りたいと思い穀物を貰いに私は来た.*貝澤なつさんが昭和年頃までそのように言いながら来てくれたものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- ri 2
- リ 【他動】(獣の皮)をはぐ、 …の皮をはぐ。 néa kamuy a=ri kor ネア カムイ アリ コロ その熊の皮をはいでいるとき。(KK民話) {E: to skin…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- riwak
- リワク 【自動】[ri-wak 高い・いる](?) (神が)本当に立派である。 riwak pito ne/riwak kamuy ne/koyaykar kane リワク ピト ネ/リワク カムイ ネ/コヤイカラ カネ [雅]本当に立派なお方本当に神のような姿になった。(Sユーカラ) ☆参考 位が高いことか。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rokte
- ロクテ 【他動】[自動使役][複](単は áre アレ)[rok-te (二人以上が)座る・させる](二人以上)を座らせる。 (神のことについて、 不定人称形 a=rokte アロクテ《座らされる》の形で)まします。 rep ta atuyso ka ta a=rokte kamuy レプ タ アトゥイソ カ タ アロクテ カムイ 沖の海原にまします神。 {E: to make, let…sit.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ronnu
- ロンヌ 【他動】[複](単は rayke ライケ)(二つ以上/二人以上)を殺す。 yuk ka ronnu kamuy ka ronnu ユク カ ロンヌ カムイ カ ロンヌ 鹿も殺した熊も殺した=鹿でも熊でもたくさんとった。(W民話)(民話の中で、 何不自由なく暮らしていたことを言うくだりでよく出てくる常套句。) ☆参考 rayke ライケ[単]は(一人/一つ)を殺すことを言う。 狩猟で鹿や熊をとることは「殺す」と表現する。 ☞rayke ライケ {E: to kill…(pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rorunpe
- ロルンペ 【名】[ror-un-pe 上座・にある・もの](?) 戦い、 攻撃、 戦争。 kamuy rorunpe カムイ ロルンペ [神の・攻撃](伝染病を表す一つの表現)。 {E: an attack; war.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rorunpuyar
- ロルンプヤラ 【名】[ror-un-puyar 上座・にある・窓] 東窓、 神窓。 ☆参考 家の東側の壁の中ほどにあけられた窓。 神はこの窓から出入りする。 したがって、 熊や鹿をとってきた時はこの窓から入れるし、 屋内から戸外の幣場へ神の頭や祭具を出すときもこの窓から出す。 そのため kamuypuyar カムイプヤラ [神・窓]とも呼ばれる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rorunpuyar
- ロルンプヤラ 【ror-un-puyar】 上座の窓. キムンカムイ マラプト アナクネ ロルンプヤラ カリ ア・アフンケ プ ネ ワ=熊の神様の頭骨は上座の窓から入れるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- rúkoci(hi)
- ルコチ(ヒ) 【名】[所](概は rúkot ルコッ)…の通った跡のくぼみ、 通って踏み固めた跡、 (手足)の跡。 kamuy rúkocihi an na カムイ ルコチヒ アン ナ 熊の足跡があるよ。(S) hunna rúkocihi ita ka ta an フンナ ルコチヒ イタ カ タ アン だれかの足跡が床(ゆか)の上についている。(S) ☆参考 足跡を urekoci(hi) ウレコチ(ヒ) とは言わない。(S) {E: tracks; marks, footprints of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ruwe/ruwe(he)
- ルウェ/ルウェ(ヘ) 【ruwe/ruwe(he)】 足跡. アイヌ ルウェ=人間の足跡."ウクラン アシ アシリ ウパシ カ タ ポロ カムイ ルウェヘ アン ク・イシトマ クス ク・キラ ワ ク・イワク" セコロ ハラキソ ウン ウナラペ ハウェアン=「昨夜降った新しい雪の上で大きい熊の足跡があり,私は恐ろしくなって逃げ帰って来た」と左隣のおばさんが言っていた.エネ トプサラ イロンネ ウシケ ウン アフン ルウェヘ アン=これほどイタドリが茂っている所へ入った足跡がある. (出典:萱野、方言:沙流)
- sakanram
- サカンラム 【名】[概](所は sakanrami(hi) サカンラミ(ヒ))[sakan-ram (?)・心] 短気、 激しい気性。 kimunkamuy sakanram a=koysitoma キムンカムイ サカンラム アコイシトマ 熊の気性が恐ろしい。(S) sake-sakanram/iku-sakanram サケサカンラム/イクサカンラム 激しい酒ぐせ。 {E: short-tempered; irritability.} (出典:田村、方言:沙流)
- sake 2
- サケ 【名】[< 日本語] 日本酒、 清酒、 (昔は)濁り酒。 kamuy-sake カムイサケ 上等の酒、 清酒 (焼酎やビールは含まない)。 ☆発音 sáke サケ《節(ふし)、 折り返し》とはアクセントが違う。 ☆参考 祈りの言葉で、 またその他でも場合によって tónoto トノト とも言う。 {E: sake (rice-wine).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sakehe
- サケヘ 【sakehe】 繰り返し言葉:カムイユカラ=神のほうからアイヌに注文をつけ,話の時に一言いってはサケヘという繰り返し言葉が入る.長いサケへには,トゥノヤケ レノヤケ クトゥンケ カムイケ カムイチカッポ フムフムフムというのもある. (出典:萱野、方言:沙流)
- sam 2
- サム 【位名語根】(名詞/位置名詞の後に接尾辞のようについて) ①…の方、 …の側。 símoysam シモイサム[s知on-sam 右の・側](…の)右側。 teksam テクサム [tek-sam 手・のそば]…の横。 ②[雅](ユーカラ yúkar ユカラ《英雄叙事詩、 ユーカラ》)の中や雅語的慣用句などの中で、 多くの場合、 位置名詞の概念形の後に置かれて、 音節数を整える。 これといった積極的な意味はなさそうであるが、 場所に関する表現の中に多く出てくる。 詳細は不明。 語構成または語源の表示の中では(< …のそば)と書いておく。)kamuy kosonte/a=sikúrkasam/eopirasa カムイ コソンテ/アシクルカサム/エオピラサ 私は立派な小袖を自分の体の上に広げて合わせてみた。(Sユーカラ) (出典:田村、方言:沙流)
- sánasanke
- サナサンケ 【他動】[単](複は sánasapte サナサプテ)[sa-na-sanke 前・の方へ・…を出す[単]]…を(中から)出す。 káne kuwa/cinoye kuwa/sánasanke/kamuy tamasay/sánasanke カネ クワ/チノイェ クワ/サナサンケ/カムイ タマサイ/サナサンケ [雅] (姉は)金(かね)のねじれ杖を取り出し、 立派な玉の首かざりを取り出した。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sánasapte
- サナサプテ 【他動】[複](単は sánasanke サナサンケ)[sa-na-sapte 前・の方へ・…を出す(複)]…を(中から)出す。 kamuy kosonte/sánasanke/cinoye kuwa/káne kuwa/sánasapte カムイ コソンテ/サナサンケ/チノイェ クワ/カネ クワ/サナサプテ [雅]立派な小袖を出してきた。 ねじれた杖、 金(かね)の杖を出してきた。(Sユーカラ) ☆参考 ユーカラだから一個のものでも複数形で言っている。 ユーカラでも、 同じ用例の中にもあるように、 単数形で言うこともある。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sanikehe
- サニケヘ 【/sanikehe】 (〜の)血統. テエータ ワノ ウェンプリ コロ ペ サニケヘ アナクネ カムイコイパク エパチコアン ワ オウェヌシ パ シリ=ずうっと昔から悪いことをした者の血統は神からも罰を受け罰があたり運の悪いことよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- sannanu
- サンナヌ 【名】[所](概の例はない。 nanu ナヌ の概は nan ナン)[san-nanu 前の・顔[所]](?) [雅]顔。 kamuy sannanu カムイ サンナヌ …の神々しい顔。 kamuy sannanu/hetuku cup ne/iyenucupki/ciwre kane カムイ サンナヌ/ヘトゥク チュプ ネ/イイェヌチュプキ/チウレ カネ [雅](その女神の)神々しい顔にはさしのぼる朝日のように日の光がさしている。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- santek
- サンテク 【名】[概](所は santeke(he) サンテケ(ヘ))[san-tek 出る・手] 世継ぎ、 子孫。 kamuy santek situri カムイ サンテク シトゥリ 神の子孫の系統がのびて(続いて)いく。 {E: an heir; a descendant.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sapa
- サパ 【名】[概/所] ①頭(人間、 獣、 鳥、 魚等何でもの頭、 首から上の頭部全体)。 kamuy sapa カムイ サパ 熊の頭/熊の頭骨。 yuk sapa ユク サパ 鹿の頭/鹿の頭骨。 ②(語構成要素として)先頭/先端の部分、 最高の/支配する地位。 {E: ① the head (human, animal, etc.). ② the lead; the highest, top position.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Sappoyama
- サッポヤマ 【名】[日本語][地名](屈斜路湖畔にある山の名。 アイヌ語名は Kamuynupuri カムイヌプリ《神山》。) {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sarampe tum o urepuni
- サランペ トゥム オ ウレプニ 【sarampe tum o-ure-puni】 りっぱな着物を重ね着した神が歩く. アイヌ エクム チトゥナシカ プヤラオリコ インカラアナクス(インカラ・アン アクス) サランペトゥム オウレプニ カムイ ネ クス コラーチ アン クル アニネ(アン ヒネ) エネ ハワニ=人が来る足音が聞こえたかと思うと,窓のすだれが上げられ,私が見ると,りっぱな着物を重ね着した神が,神なので,神に相応しい人がいて言うことには….*昔話の1節で,神がアイヌに語りかける時は東側の窓をめくり上げて話を始めるが,多くの場合は夢の中でである. (出典:萱野、方言:沙流)
- sarorun
- サロルン 【名】[sar-or-un 葦原・の所・にある/いる][< sarorun-cikap 葦原の鳥][動物] ツル(タンチョウヅル)。(W) (S) sarorun kamuy サロルン カムイ ツルの王。(S) sarorun tono サロルン トノ ツルの王。(S)〔知分類 p.212〕 {E: a Japanese crane.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sasini
- サシニ 【名】[所](概はない)[< sani …の子孫(sa と ni の間に前の s と後ろの i が重複されている)(?)][雅(?)](神)の後継ぎ、 (神)の子、 (神)の子孫。 kamuy sasini カムイ サシニ 神の子、 神の世継ぎ、 神の子孫。 {E: a child, descendant, heir (of the gods).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sawre
- サウレ 【sawre】 やさしい,やさしくかかわる. タパン ハワシ アナクネ サウレ オルシペ ソモ ネ クス コタンコロクル ア・エサラマ=この問題はやさしい話ではないので村おさに任せよう.タパン オルシペ アナクネ サウレ・アン ペ ソモ ネ ナ カムイ ア・エコシ プ ネ ナ.イテキ エカッキ アニ=この事はやさしいことではないので神に任せることにしよう.それにかかわるでないぞ. (出典:萱野、方言:沙流)
- senneyaywa
- センネヤイワ 【副】本当に、 真実に。 tap opitta tumunci kamuy senneyaywa oriwak uske ne wa kusu sirki hi ne タプ オピッタ トゥムンチ カムイ センネヤイワ オリワク ウシケ ネ ワ クス シリキ ヒ ネ これはすべて鬼神が本当に住んでいたところだから起こったことだ。(W会話) {E: really; truly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sermak
- セレマク 【位名】[概](所は sermaka セレマカ)[ser-mak (?)・の奥] ①(位置名詞として) …の背後(空間的位置関係だけでなく、 霊的概念としても用いられる)。 kotan sermak enupur kamuy コタン セレマク エヌプル カムイ 村の背後を守る神。 ②(普通名詞として) …の背後にあるもの、 …の守り神。 {E: ① behind… ② something behind…; a protective god of…} (出典:田村、方言:沙流)
- set/seci(hi)
- セッ/セチ(ヒ) 【set/seci(hi)】 巣,寝床. チカッポセッ=小鳥の巣.ホッノ イヨーハイ キムンカムイ イトゥンナプ セチヒ プシロトト ワ エ オカケ=いやー驚きだ熊がアリの巣を激しく掘り起こし食った跡だ. (出典:萱野、方言:沙流)
- sicupupu
- シチュププ 【si-cupupu】 身を縮める,恐ろしい.▷シ=自ら チュププ=丸める →自分自身の体を出来るたけ小さく丸めるほどに恐ろしい思いをした. キムンカムイ ク・ヌカラ ク・ライシチュププ=クマを私は見て死ぬほどに身を縮めた. (出典:萱野、方言:沙流)
- sika
- シカ 【後副】[si-ka 自分・の上](?) [雅](次の文脈で)…にのって。 hopuni kamuy maw/kamuy maw sika/kamuy kosonte/cisanasapte ホプニ カムイ マウ/カムイ マウ シカ/カムイ コソンテ/チサナサプテ [雅]立ちのぼる神風にのって立派な小袖が出てきた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- síkanna
- シカンナ 【連体】[sí-kanna 本当の・上の]上天の、 一番高い所の。 síkanna kamuy シカンナ カムイ [雅]上天の神。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikesanpare
- シケサンパレ 【他動】[si-kesanpa-re 自分・を追いかける・させる] …に自分のあとを追いかけさせる。 urametok uwante=an kusu kimunkamuy a=sikésanpare awa ウラメトク ウワンテアン クス キムンカムイ アシケサンパレ アワ (熊と)度胸くらべをするためにおれは熊にあとを追いかけさせていたのに。(HK民話) ☞kes(e) anpa ケシ/ケセ アンパ {E: to make…follow after oneself.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikiru
- シキル 【自動】[単](複は sikirpa シキリパ)[si-kiru 自分・を回す](…の方へ)向く、 向きなおる、 向きを変える、 (…の方へ)向かう、 死後の国へ行く。 sisenpir unno án=an kor sikiru=an kor cís=an kor シセンピルンノ アナン コロ シキルアン コロ チサン コロ 私は陰の方を向いて後ろ向きになって泣きながら。(W民話) kamuy nis ka un sikiru=an oasi siri ne na カムイ ニシ カ ウン シキルアン オアシ シリ ネ ナ 私は天の神の国へ帰っていくところなのだよ。(W神謡語り) {E: to face; turn (towards); change directions.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- siknu
- シクヌ 【自動】[sik-nu 目・を持つ] 生きる、 死なずにすむ、 命をとりとめる。 yuptek kur nepki wa ukasuy e hike opitta ohonno siknu p ne na ユプテク クン ネプキ ワ ウカスイ エ ヒケ オピッタ オホンノ シクヌプ ネ ナ よく働ける人が働いて助け合って食べていく者が皆長生きするのですよ。(S民話) hetopo horka siknu ヘトポ ホロカ シクヌ (死にかかっていたその人は)また逆もどりして生きた=いのちを取りとめた。(W会話) tókor kamuy pekanpe haru i=ekasnukar wa kusu a=kotanuhu siknu p ne a kusu トコロ カムイ ペカンペ ハル イエカシヌカラ ワ クス アコタヌフ シクヌプ ネ ア クス 湖の神が菱(ヒシ)の実を授けてくれたからこそ私たちの村が(=村人みんなが)生きながらえた(飢え死にせずにすんだ)のだったから。(S会話) siknu wa an [単]/siknu wa oka [複] シクヌ ワ アン/シクヌ ワ オカ 生きている。 {E: to be alive.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikoepakte
- シコエパクテ 【他動】[si-ko-e-pak-te 自分・に対して・そのことで・とがめる・させる](神)のとがめを受ける。 kamuy sikoepakte カムイ シコエパクテ 神のとがめを受ける。(HK民話) {E: to receive divine punishment.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikurkasam eopirasa
- シクルカサム エオピラサ 【他動】[sí-kurka-sam e-o-pirasa 自分・の上一面・(< …のそば)・で・に・…を広げる][雅](小袖)を自分の体に合わせて広げる。 kamuy kosonte/a=sikúrkasam/eopirasa カムイ コソンテ/アシクルカサム/エオピラサ [雅]立派な小袖を私は自分の体に合わせて広げてみた。(Sユーカラ) ☆参考 同じユーカラを語っている別の箇所で a=eyáykurkasam/pirasa kane アエヤイクルカサム/ピラサ カネ とも言っている。 ☞eyaykurkasam エヤイクルカサム ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikurkasam opirasa
- シクルカサム オピラサ 【他動】[si-kurka-sam o-pirasa 自分・の上一面・(< …のそば)・そこに・広げる][雅](小袖)を自分の体に合わせて広げる。 kamuy kosonte/sikurkasam/opirasa カムイ コソンテ/シクルカサム/オピラサ [雅](姉は)立派な小袖を体に合わせて広げてみた。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikutur
- シクトゥル 【sik-utur】 目の間. カムイ シクトゥル(シク ウトゥル) アイヌ シクトゥル トゥシマク ワ アラウェン トゥカプ カリ ハウェ=神の目や人間の目,そのすき間をかいくぐって化け物が徘徊しているのかい. (出典:萱野、方言:沙流)
- sinna
- シンナ 【自動】①別である、 別になっている、 違う。 …sinna…sinna… …シンナ…シンナ …と…は別になっている。 irenka itak sinna, yayirayke itak sinna, kamuynomi itak sinna イレンカ イタク シンナ、 ヤイライケ イタク シンナ、 カムイノミ イタク シンナ 裁判の言葉やお礼の言葉や神祈とうの言葉をそれぞれ別々に…。 ② ☞eypottumma sinna エイポットゥンマ シンナ ☆参考 [副]は sinnayno シンナイノ 違って。 {E: to be separate; different.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sinne
- シンネ 【後副】[sir-ne あたり/様子・である/になる][雅](次の文脈で)…になって。 kamuy sinne/pito sinne カムイ シンネ/ピト シンネ (鳥が矢を受けて死んで)神になって。 (W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
- sinta
- シンタ 【名】空中の乗り物、 揺籃(赤ん坊を寝かすゆり板)。 poyson cis na sinta suye ポイソン チシ ナ シンタ スイェ 赤ん坊が泣いてるからゆり板をゆらしなさい。(S) iresu sinta イレス シンタ [子育てする・シンタ]揺籃、 ゆりかご、 赤ん坊を寝かすゆり板。 kamuy sinta カムイ シンタ [神・シンタ]神が乗って空を飛ぶ舟のような乗り物。 ☆参考 昔、 ゆりかご(ゆり板)は木でつくられ、 そりのような形をしており、 その上にぼろ布などがしかれ、 四すみに綱をつけて天井の梁(はり)から吊って下げられていた。 ぼろにくるまれた赤ん坊がその上に寝かされ、 落ちないようにしばってある。 針仕事などをしている母親が、 赤ん坊が泣くと、 このゆり板をゆらして子守歌を歌ったものだという。 子守歌の中で iresu sinta イレス シンタ と言っているのがそれである。 これを普段しゃべるときは通常ただ sinta シンタ と表現する。 子守歌ではこれを神のシンタになぞらえて kamuy sinta カムイ シンタ《神のシンタ》が下りて来たと表現することもある。 {E: a baby's cradle.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sínupur
- シヌプル 【自動】[si-nupur まことに・霊力のある] 本当に霊力(神の力)がすぐれている。 sínupur kamuy シヌプル カムイ 本当にえらい神。(W民話) {E: to be really spiritual; to be endowed with spiritual power.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sípase
- シパセ 【自動】[si-pase まことに・重い] まことに尊い(神の形容)。 sípase kamuy シパセ カムイ まことに尊い神。 {E: to be precious; important.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sípe
- シペ 【名】[si-ipe 主要な/大きい・食べ物(魚)](?) [動物]秋の鮭、 年取った鮭(鮭の呼び名の一つ)。(W) (S) ☞kamuycep カムイチェプ 〔知分類 p.36 sipe 「所によって意味が少しずれている。」〕 {E: salmon.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sipettek
- シペッテク 【sipettek】 終わる. タパン ネプキ アンピリ パクノ カ イユニン サクノ シペッテク クニ カムイ プンキ アン ペ ネ ナ=この仕事中に爪傷ほどの怪我もなく終わりますように神のご守護があるでありましょう[カムイノミ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- sipusutektek
- シプステクテク 【si-pusu-tek-tek】 さっと浮き上がる. レポイラマンテ・アン クス チプ ア・オ ワ アラパアナクス(アラパ・アン アクス) アッコロカムイ シプステクテク ヤニ ア・イ・ライケ=沖漁をすると思って舟に乗って沖へ出ると,タコがさっと浮き上がって来て危なく私は殺されそうになった. (出典:萱野、方言:沙流)
- sir 1
- シリ 【名】地、 山、 島、 そのあたり、 様子、 見える有様。 kamuy ewak sir カムイ エワク シリ 神の住む所。 nan ka sak sir ka sak pe ne yakka ナン カ サク シリ カ サク ペ ネ ヤッカ 顔も姿も美しくはないが(娘をとつがせたいと思う父親が、 相手の男に対して謙遜して言う言葉)。 kemaha sir ka osma katu a=nukár erampewtek ケマハ シリ カ オシマ カトゥ アヌカラ エランペウテク 足が地面につくのを見たのもわからない(とても速く、 飛ぶように走ることの描写)。 sir epitta シレピッタ あたり一面。 …sir ne …シンネ (=sirine シリネ)まるで…のように(外見について言う)。 {E: the land; the mountains; an island; a state, appearance; an observable state.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- siretokkor
- シレトッコロ 【自動】器量(きりょう)がよい、 美貌(びぼう)である。 katkemat ka siretokkor, pontono ka siretokkor, kamuy sirine oka utar カッケマッ カ シレトッコロ、 ポントノ カ シレトッコロ、 カムイ シリネ オカ ウタラ 奥様も美しい、 おぼっちゃまも美しい、 神様のような立派な方々。(S) {E: to be beautiful; good-looking.} (出典:田村、方言:沙流)
- sirine
- シリネ 【後副】[siri-ne その様子・である] …のように、 まるで…のごとくに。 (次のような慣用表現の中でのみ用いられる。) kamuy sirine カムイ シリネ 神のように(立派なことや尊いことを表現する一つの言い方)。 kamuy sirine oka utar カムイ シリネ オカ ウタラ 神様のような人々=非常に立派な人々。(W) kamuy sirine horarpa wa oka カムイ シリネ ホララパ ワ オカ 神様のように(=非常に立派に/高級に/尊い様子で)住まいしている。(S) seta sirine セタ シリネ 犬のように(悪口)。(S) {E: as, like…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- siroro
- シロロ 【位名】[sir-oro 地・のところ[所]]…の所、 …の場所、 …の地。 tumunci kamuy ewak siroro oka ruwe ne トゥムンチ カムイ エワク シロロ オカ ルウェ ネ 鬼神の住む所があるのです。(W会話) {E: the place, land etc. of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sirosma
- シロシマ 【自動】[sir-osma 地・に突進する] 地に落ちる。 kamuy sirosma カムイ シロシマ (1)(神が)地に落ちる、 雷が落ちる。 (2)熊が死ぬ。 {E: (for a god) to descend to earth; for lightning to strike. (for a bear) to die.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sisermakuste
- シセレマクシテ 【他動】[si-sermak-us-te 自分・の背後・につく・させる](神)に守ってもらう、 (神)に守護を願う、 (願い事をかなえてくれるように)祈る。 tasum kur apunno e=tusare kuni sekor kamuy ne yakka sisermakuste wa… タスム クル アプンノ エトゥサレ クニ セコロ カムイ ネ ヤッカ シセレマクシテ ワ… あなたが病人をちゃんと治すようにと、 神様にも守護を祈って…。(S会話) ☞sermak セレマク。 {E: to pray to (the gods) for protection.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- siwnin
- シウニン 【自動】緑である。 siwnin nonno シウニン ノンノ 黄色い花/青い花。 siwnin sinrus シウニン シンルシ 緑の苔。 siwnin íkonpap シウニン イコンパプ [緑の・青虫や毛虫の類] 青虫(「青虫」の訳語として出た)。 ☆参考 沙流方言では草色(グリーン)を典型的な色とし、 黄から紫ぐらいまでの間に広がるいろいろな色をさす。 ただしオレンジ系の黄色は húre フレ 「赤」のほうに属する。 東や北の地方では水色(ブルー)を典型的な色とする。 サダモさんによると、 昔は緑は wenkamuy ウェンカムイ《悪神、 ばけもの》の色として嫌われていたという。 {E: to be green.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- siyante
- シヤンテ 【自動】[si-y-an-te 自分・(挿入音)・ある/いる・させる](?) 怒る、 腹立つ。 kamuy siyante koysam kuni p ne nankor na カムイ シヤンテ コイサム クニプ ネ ナンコン ナ 神様が怒ることのないようにお願いします。(W独話) {E: to be, get angry.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- siyepekare
- シイェペカレ 【他動】[si-y-e-peka-re 自分・(挿入音)・それで・…を受け取る・させる](?) (自分の願うことを人に頼むのに)…を頼りにして頼む。 páse kamuy a=siyépekare wa a=ye パセ カムイ アシイェペカレ ワ アイェ 尊い神を頼りにしてお願いする(この場合、 熊を殺して持って行き、 その熊の神を頼りにして相手の娘との結婚話をすることを言っている)。 {E: to ask someone for something; ask someone to do something.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sonkoho
- ソンコホ 【名】[所](概は sonko ソンコ)…の便り、 …の知らせ、 …の消息。 …kuni kamuy sonko/sonkoho an …クニ カムイ ソンコ/ソンコホ アン …と神様のお告げがある。 {E: news; a notice.} (出典:田村、方言:沙流)
- sonno
- ソンノ 【副】①本当に。 sonno ku=nukar ap un ソンノ クヌカラプン 本当に見たんだよ。(S) sonno arki yan hani ソンノ アラキ ヤン ハニ ぜひ来なさいよ。(S) sonno ne wa un ソンノ ネ ワ ウン そうでしょうとも。(S) sonno an a ! ソンノ アナ ! 本当にねえ。(W会話) sonno an pe [本当に・ある・こと] 本当のこと(=anpe アンペ)。 ②(連体的に使って)本当の。 sonno írutar a=ne ソンノ イルタラ アネ 私たちは本当の兄弟だ。(NK民話) kamuy or ta sonno ukor síno ukor eci=kí kus ne na カムイ オッタ ソンノ ウコロ シノ ウコロ エチキ クシ ネ ナ あなた方は神の国で本当の結婚、 まことの結婚をするのだから。(HC民話) sonno ikor ソンノ イコロ [本当の・宝物]宝入れ箱(幅15センチ長さ50センチ深さ3センチ位のふたつきの箱、 きれいに彫刻してある、 紐がついている、 中に貝や何か入れる、 「昔は大切な書き物でも入れて紐を肩にかけて持って歩いたのではないかと思う」)。(S) ☆参考 sóne ソネ 本当に、 確かに、 ちゃんと。 síno シノ まことに、 たいそう、 非常に。 {E: ① really; truly. ② real; true.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sotki
- ソッキ 【sotki】 寝床. ソッキ アサム アンパカムイ イ・イェリキクル オッケ カネ=寝床の底を支える神,私を上へ突くかのように[ユ].ウワリソッキ=産褥.アペソッキ=火の神の寝床. (出典:萱野、方言:沙流)
- soya
- ソヤ 【名】[動物] ハチ (蜂)。 ☆参考 poysoya-kamuy ポイソヤカムイ ミツバチ。 toysoya トイソヤ 土の中に巣をつくる大きくて刺すと痛いハチ(スズメバチらしい)。 sísoya シソヤ 大きくて刺すと痛いハチ、 巣は木の枝や軒から下げてつくる。 〔知分類 p.86〕 {E: a bee.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- soyene
- ソイェネ 【soyene】 外に出る. フシコ トゥシリ トゥム ア・クシ ヒ タ アナクネ ノヤ ア・エテテ ワ ホック カネ アナン(アン・アン) ワ ア・クシ ペ ネ.ウェンカムイ カ オンネプ ネ クナク ラム パ ワ エチャッケ ソモ ソイェネ プ ネ シコロ=古い墓地の中を通る場合はヨモギを杖にして腰を曲げて通るものだ.悪い化け物も年寄りだと思って汚ながって出て来ないものだそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- sumawkor
- スマウコロ 【su-maw kor】 獲物が手に入る,熊を獲る:鹿や熊を獲っても熊が死んだ,鹿が死んだなどとは言わずにスマウコロ・アン(獲物を手に入れた)という.▷ス=鍋 マウ=湯気 コロ=持つ →鍋の湯気をたてることができる→食べ物が手に入る タン ト ポン ユク ク・スマウコロ=今日小さい鹿を私は獲った.キム タ ポロ ユク スマウェヘ ク・コロ ナ カム セ クニ ウタラ アシクネン パクノ エン・トゥラ ヤン=山で大きい鹿を獲ったので,肉を背負う人たち5人ほど私と一緒に来てくれよ(スマウェ ク・コロの形もある).オキムネ ワノ アイヌ エク ハウ カリカリ ヒクス プヤラ カ ア・オシマ インカラアナクス(インカラ・アン アクス) オヤチキ キムンカムイ スマウコロ パ ワ ネ アアン=山の方から人が来る声が響いて来たので窓から体を出して見ると,知らなかったが.熊を獲って来たのであった.ナイクスン(ナイクシ ウン) アチャポ オサッ エトコホ タ スマウコロ ヤク ア・イェ アクス コタヌン(コタン ウン) ウタラ ウハウェポポ パ コロ ナイ トゥラシ アラパ ア ワ=沢の向かいのおじさんがオサツ沢の奥の方で熊を獲ったということで村人たちは大勢でがやがや騒ぎながら沢をのぼって行ったよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- sururke
- スルルケ 【sururke】 流行する. オヤコヤク タ タスム ネ マヌ プ スルルケ オルシペ ア・ヌ イシトマ・アン クス ハル アフプカラ・アシ ワ ハルエカムイノミ・アン ルスイ=あちらこちらで病気が流行したと聞き恐ろしいので供物を貰い病気の神へあげたい.ネイタカ パトゥム ネ マヌ プ スルルケ ヒ ア・ヌ コロ ウクリペ ア・ウク ワ アパ オッタ(オロ タ) プヤラ オッタ ア・エウシ ワ ア・アヌ コロ パヨカカムイ ソモ ヘノイェ プ ネ=どこかで流行病が蔓延したと聞いたらヤツメウナギを獲って来て戸とか窓に差しておくと病気の神がよらないものだ.タンパ マシキン パトゥム ネ マヌ プ スルルケ ハウェ コタン ア・エニソマプ=今年はいつも以上に病気なるもの流行するというので村の事を案じている. (出典:萱野、方言:沙流)
- tak
- タク 【tak】 玉,かたまり. カタク=糸玉.キムンカムイ アイヌ ケセアンパ ヒ タ アナクネ コイスム タク エクパ アーペコロ アン ワ ホユプ プ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊が人間を追いかける時には泡のかたまりをくわえたような格好で走るものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- takar
- タカラ 【takar】 夢をみる,夢みる. ウェンタラプ オッタ(オロ タ) ネプカ ア・イ・コタララ ワ ア・ウク ヤク ア・タカラ ネ ウェンタラプ アナクネ パヨカカムイ パヨカ ヒ ネ クス ヤイカキク・アン ペ ネ ナー=夢の中で何か伸ばされて受け取った夢をみると,その夢は流行病の神が歩いているのだから自分自身で体をはらい清めるものだよ.モコロ ヘ ネ ヤ タカラ ヘ ネ ヤ ア・コン(ア・コロ) ラム カ シッネ カネ タナク カネ=眠りなのか夢なのか私の思いももつれるように凸凹になり. (出典:萱野、方言:沙流)
- tam
- タム 【名詞語根】刀。 otam オタム (昔の警官の)サーベル。 ipetam イペタム ユーカラの中に出て来る、 空中を飛んで来て人を切る恐ろしい刀。 kamuy-ranke-tam カムイランケタム [雅]神から下されたような立派な刀。 eattamneno エアッタムネノ [雅]一太刀で。 ☆参考 合成語などの中に出てくるが、 日常語で刀を表す独立の名詞としては emus エムシ が多く使われる。 {E: a sword.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tapan 1
- タパン 【連体】[単](複は tapoká タポカ)[tap-an 今ここに・ある] ①この、 自分が手に持っている(もの)、 自分が今いる(ところ)、 まさにこの(tan タン《この》と同義で、 強調のニュアンスを伴う)。 tapan pe タパン ペ このもの=これ。 ②(韻文で) tapan te wano タパン テ ワノ [この・ここ・から]=ここから。 tapan te pakno タパン テ パクノ [この・ここ・まで]今まで(日常語では te pakno テ パクノ)。(Sユーカラ) tapan to pakno タパン ト パクノ [雅]きょうこの日まで(日常語では tanto pakno タント パクノ)。(Sユーカラ語り) tapan kamuy maw/cirikipuni タパン カムイ マウ/チリキプニ [雅]神風が吹き上がってきた。(Sユーカラ)(論理的には tapan タパン は必要ないが、 この語を入れることで一行が五音節に整うと同時に韻文らしい言い方になる。 最後の例では臨場感を出す効果を与えている。) {E: ①this; here. ②from here.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tapanna
- タパンナ 【tap-an na】 ですよ. アイヌ イタク アナクネ ウハイタ ウシケ ポロンノ オカ.ネ イタク オウペカレ ワ カムイ オルン ソンコ アンパ プ イクパスイ ネ ルウェ タパン ナ=人間の言葉は至らないところがたくさんあるものだ.その言葉を真っ直ぐにして神へ伝言を持って行くのが捧酒箸ですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- tasa
- タサ 【tasa】 向かう. レラタサ=風に向かう.ネプカ ウェンカムイ チセ オルン アフン ノイネ イキ コロ ア・コウナケ ウェンカムイ ネ ヤクン キラ ワ ソイネ ウェンカムイ ソモ ネ ヤクン ウナ タサ アフン ペ ネ=何か得体の知れない悪い神が家へ入りそうにしたら,それに向かって木灰をかけると悪い神なら逃げて出る.悪い神でなければ木灰に向かって入って来るものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- tasiro
- タシロ 【名】山刀(さんとう、 やまがたな)(短い刀で、 山を歩くとき腰にさげて歩き、 木や笹を切るのにも使い、 またクマなどを殺すのにも使う)。 tasiro ka sak nep ka sak pe ne kusu, níkaypa nínoye wa patek apekor apekur タシロ カ サク ネプ カ サク ペ ネ クス、 ニカイパ ニノイェ ワ パテク アペコロ アペクル (彼は)山刀も持っておらず何も持っていないので木を折ったり木をねじり切ったりしてばかり火をたき火にあたっていた。(W民話) tasiro etaye wa etamtarara kane タシロ エタイェ ワ エタムタララ カネ 彼は山刀を抜いて振りかざし。(W民話) kimunkamuy i=koyki yakka ne tasiro ani yaykamesu=an ranke キムンカムイ イコイキ ヤッカ ネ タシロ アニ ヤイカメスアン ランケ 熊に襲われても私はいつもその山刀で身を守っていた。(HK民話) ☆参考 「…の山刀」を言うのには、 所属形を使う言い方と kor コロ《を持つ》を使う言い方と両方ある。 ku=kor tasiro クコッタシロ 私の山刀=ku=tasiroho クタシロホ。 ☆参考 emustasiro エムシタシロ 太刀づくりの山刀、 刀のようなつくりの山刀。 {E: a machete.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tasum
- タスム 【tasum】 病気(になる). オヤコヤク タ タスム ネ マヌ プ スルルケ オルシペ ア・ヌ イシトマ・アン クス ハル アフプカラ・アシ ワ ハルエカムイノミ・アン ルスイ=あちらこちらで病気が流行したと聞き恐ろしいので供物を貰い病気の神へあげたい. (出典:萱野、方言:沙流)
- tata 2
- タタ 【tata】 ②かじる. エルム ネプカ タタ コロ コナハ(ク・オナハ) エネ ハワニ エルムカムイ ノ トノケヘ エルム ノットゥ タ アン ペ ネ ナ.エチ・コヨンヌッパ ナ シコロ ハワニ ク・ヌ アムキリ ペ ネ=ネズミが何か物をかじったら私の父が言ったのは.ネズミの神の最も偉い神は襟裳の岬にいるものだ.お前をそこへ訴えるぞ,と言っていたのを聞いたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- tawsa
- タウサ 【副】[ta-usa (強め)・いろいろ](?) (一種の強め。)keray tawsa ケライ タウサ [雅]さすがに…だけあって。 keray tawsa/kamuy kar cási/an pe ne kus ケライ タウサ/カムイ カッ チャシ/アン ペ ネ クシ さすがに神につくられた城だから。(Sユーカラ語り) nen tawsa ネン タウサ [雅]いったいだれが nen tawsa respa ciki pirka kuni ネン タウサ レシパ チキ ピリカ クニ いったいだれが育てればよいのか。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tekekar
- テケカラ 【他動】[tek-e-kar 手・で・…をつくる][雅]…をつくる。 sípase kamuy/tekekar kuni p シパセ カムイ/テケカラ クニプ [雅]尊い神が自分の手でつくったもの。(Sユーカラ) {E: to make…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tekparparu
- テクパラパル 【tek-parparu】 手招きする.*アイヌの手招きは手のひらを上へ向けて呼ぶ.そのほうが遠くからでもこちらの意思を相手に伝えることができる.肘から上を動かす程度にする. ウトゥラ・アン ワ イラマンテ・アン クス エキムネ・アン ア・ユピヒ ニセムピリ ワ イ・テクパラパル アプンノ サマ タ アラパ・アン ナイ イクスン(イクシ ウン) ヤカカ クス インカラアナクス(インカラ・アン アクス) ポロ カムイ アン ルウェ ネ=一緒に狩のために山に入った私の兄が木の陰から私に手招きをするので,静かに側へ行った,沢の向かい側を指差したので見てみると大きい熊がいた.ア・マチヒ トヨッタ(トイオロタ) アン ヒネ イ・コテクパラパル ヒクス サマタ アラパアナクス(アラパ・アン アクス) オヌマン パクノ ア・オケレ ルスイ ナ キナカラ エン・カスイ シコロ ネ ワ ア・カスイ=私の妻が畑にいて,私に手招きするので側へ行くと,夕方までに終わらせたいので草取りを手伝ってと言うので,私が手伝いをした. (出典:萱野、方言:沙流)
- teksam/teksama(ha)
- テクサム/テクサマ(ハ) 【tek-sam/-sama(ha)】 横,脇,目の前. ピリカ ヒネ イレスカムイ テクサマ タ ウウェチューサケ エチ・ク ワ ネ クス ネイタ パクノ ピリカ ウウェトゥラシトゥラシ エチ・キ プ ネ ナ アニー=縁あって火の神の目の前で夫婦の契りの酒をあなたたちは飲んだので,いつまでも仲睦まじくするのですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- teksama(ha)
- テクサマ(ハ) 【位名】[所](概は teksam テクサム) ①…の横/脇、 その横/脇。 ②[雅]…のすぐそば。 i=teksama ta/cisiruture イテクサマ タ/チシルトゥレ [雅]私のそばに寄って来た。(Sユーカラ) kamuy menoko/teksama ta カムイ メノコ/テクサマ タ [雅]女神のすぐそばに。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- teynemosir
- テイネモシリ 【teyne-mosir】 濡れた国土. イノンチリ ウェンカムイ アナクネ アッテイネモシリ ア・コキル プ ネ=人を呪う悪い神は濡れた国土へ向けてやるものだ.*アイヌが想像しているもので,この国土の裏側にあって悪いことをした神でも人間でも行かされる所.ポクナモシリ=裏側の国土ともいう. (出典:萱野、方言:沙流)
- tókapcup
- トカプチュプ 【名】太陽。 (tokap)cup a=rukí (トカプ)チュプ アルキ 日蝕になる(だんだん消えていく)。 (tokap)cup ray (トカプ)チュプ ライ 日蝕になる(皆既蝕)。 (tokap)cup kamuy (トカプ)チュプ カムイ 日の神、 お日様。 ☆参考 kunnecup クンネチュプ《月》と区別して言うときに使う。 通常簡単に言うときは太陽も月も共に cup チュプ と言う。 {E: the sun.} (出典:田村、方言:沙流)
- tokkoni
- トッコニ 【名】[動物] ヘビ(総称)。(W) ☆参考 ヘビを呼ぶのに通常は tannekamuy タンネカムイ《長い神》、 kinasut キナスッ《草の下》、 kinasutkur キナスックル《草の下の人(神)》などの呼び名を使う。 tuskorokokko トゥシコロコッコ《綱を持つばけもの》は悪口。〔知分類 p.225「マムシ」〕 {E: a snake.} (出典:田村、方言:沙流)
- tom(o) kokanu
- トム/トモ コカヌ 【連他動】[まん中/正面・をよく傾聴する]…に忠実に従う。 e=ye p tomo kokanu utar エイェプ トモ コカヌ ウタラ あなたの言うことをよく聞いてそのとおりにする人々。(W神謡語り) i=attomsama tomo kokanu kamuy patek イアットムサマ トモ コカヌ カムイ パテク 私たちの言うことにすべて忠実に従う神ばかり。(W神謡語り) {E: to leave something to…} (出典:田村、方言:沙流)
- tomikanuye sirkanuye
- トミカヌイェ シリカヌイェ 【tomi-ka-nuye sirka-nuye】 前立てを彫り刀の造りを彫り. ▷トミ=前立て カ=上,表面 ヌイェ=彫り シリカ=刀の鞘の表面 ヌイェ=彫り ポンヤウムペアネワ トミカヌイェ シリカヌイェ ネプキネアキ=私,ポンヤウムぺは,前立てを彫刻し刀の造りを彫刻し,それを仕事とした. *ユカラの常套語としてしばしば出る言葉.かつてトミを富裕と訳していたが,富裕を彫刻するとはおかしい.アイヌ民族の第一等の宝でトミカムイ(前立ての神)という物がある.それは紛れもなく兜の前立てであったので,トミを鍬形あるいは前立てとした[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- tomipe
- トミペ 【名】[tomi-pe 富(< 日本語)・水] 富の雨(=お金の雨)。 tomipe ranran/kanepe ranran トミペ ランラン/カネペ ランラン 富の雨が降る、 金(かね)の雨が降る=お金の雨が降る(kamuycikap カムイチカプ《フクロウ》の神謡の中でフクロウがこのように鳴く)。(W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
- tonpuku
- トンプク 【tonpuku】 道服:道士の着る着物.*これはウウェペケレなどで神様が着ている着物として出て来る.フレトンプク イカクシテ カムイ アン ワ(赤い道服を上から着た神が)と描写されている.トンプクとはどんな着物だろうか和人のらしいが,と私が聞くと東京の岡村吉右衛門さんが道服という着物があるからそれかも知れないと教えてくれたので.トンプク=道服とした. (出典:萱野、方言:沙流)
- tu
- トゥ 【tu】 屑. ソンノ ハルコロ カムイ ネ ワ.カム トゥー カ サクノ キリプウシ ヨヨヨ ヨヨヨ=本当に肥えた熊だ.肉の端もなく脂身ばかりだ,よかったよかった.ニペシ トゥ ネ ヤッカ エヤム ワ アヌ アニ.ク・カエカ クスネ ナ=シナ皮の屑であっても大事にして置けよ.私が糸に撚るので. (出典:萱野、方言:沙流)
- tukarike
- トゥカリケ 【位名】[所](概は tukari トゥカリ) …の手前の所、 その手前の所。 too kamuy oka uske tukarike ta an poro tunpu トオ カムイ オカ ウシケ トゥカリケ タ アン ポロ トゥンプ あっちの神々がいる所(=神棚)の手前にある大きな部屋。(S) {E: a place this side of, just before…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- túki
- トゥキ 【名】[< 日本語] 酒杯。 ☆参考 通常うるしぬりで、 現代のおわんのような形をしている。 大きさも大きいおわんくらいのものが多い。 kamuynomi カムイノミ《神まつり》(神に酒を献げて祈とうする儀式)をするときだけ使う、 ふだん飲むのには茶碗やゆのみを使う。 {E: a sake cup.} (出典:田村、方言:沙流)
- tum
- トゥム 【tum】 〜の中. フシコ トゥシリ トゥム ア・クシ ヒ タ アナクネ ノヤ ア・エテテ ワ ホック カネ アナン(アン・アン) ワ ア・クシペ ネ ウェンカムイ カ オンネ プ ネ クナク ラム パ ワ エチャッケ ソモ ソイェネ プ ネ シコロ=古い墓地の中を通る場合はヨモギを杖にして腰を曲げて通るものだ,悪い化け物も年寄りだと思って汚ながって出て来ないものだそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- tumunci
- トゥムンチ 【名】戦争、 殺戮(さつりく)(?)。 tumunci kamuy トゥムンチ カムイ(悪い神の一つ。 いくさの神あるいは、 殺戮の神らしい。) {E: war; slaughter.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tumutuy
- トゥムトゥイ 【自動】[tumu-tuy 力[所]・切れる] 力が尽きる。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya urametok uwante=an kusu アシヌマ ホシキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホシキ トゥムトゥイ ヤ ウラメトク ウワンテアン クス 私が先に力が尽きるか熊が先に力尽きるか度胸比べをするために。(HK民話) {E: to run out of energy.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tunpu
- トゥンプ 【名】部屋。 kamuy oka uske tukarike ta an poro tunpu カムイ オカ ウシケ トゥカリケ タ アン ポロ トゥンプ 神棚の手前にある大きい部屋。(S) ☆参考 昔、 普通の家は部屋が分かれていなかった。 大きい家ではござをカーテンのように下げて間仕切りした。 その仕切られた所が tunpu トゥンプ。 口承文学には部屋のいくつもある大きな宮殿のような家が出てくる。 今の家の部屋を言うにも tunpu トゥンプ と言う。(S) {E: a room.} (出典:田村、方言:沙流)
- turesi 1
- トゥレシ 【名】[< turesi(hi)]妹(兄から見た妹)(「…の妹」は kor turesi コッ トレシ)。 atuyso kurka/epunkine kamuy/kor turesi アトゥイソ クルカ/エプンキネ カムイ/コッ トゥレシ [雅]海外の地を守る神の妹。(Sユーカラ) a=kor turesi アコッ トゥレシ 私の妹、 わが妹。 ☆参考 血縁の妹とはかぎらない。 いとおしく思い、 いつくしんでいる女性を「妹」と呼ぶので、 養兄(育ての兄)が養っている女子を呼ぶとか、 また恋人や妻である場合もある。 日常語で「妹」を表す matapa マタパ、 mátak マタク には、 そのような用法は未出。 ☞turesmacihi トゥレシマチヒ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- turesmacihi
- トゥレシマチヒ 【名】[所](概は未出。 macihi マチヒ の概は mat)[tures-macihi 妹・妻[所]](直訳すると)妹妻、 (次の神謡中の文脈で)妹である妻。 Okikurmi kamuy turesmacihi オキクルミ カムイ トゥレシマチヒ オキクルミ神の妹妻。(W神謡K) ☆参考 この伝承でオキクルミ神は iresu yupi イレス ユピ《育ての兄》と呼ばれ、 自叙している女性は a=kor turesi アコッ トゥレシ《私の妹》と呼ばれているが、 伝承者による結末の語りの中でその女性が turesmacihi トゥレシマチヒ と呼ばれている。 ☞tures トゥレシ、 turesi トゥレシ 1 (出典:田村、方言:沙流)
- turiri
- トゥリリ 【他動】[turi-ri …を伸ばす・(重複)] …をスーッと伸ばす、 (手)をスーッとさしのべている。 tekehe turiri テケヘ トゥリリ 手をスーツと伸ばす。 Okikurmi kamuy kor katkemat hunpe rika kisma wa puyar kari turiri hi ta オキクルミ カムイ コロ カッケマッ フンペ リカ キシマ ワ プヤラ カリ トゥリリ ヒ タ オキクルミ神の奥方が鯨の脂身をつかんで窓からさしのべたときに。(HK民話) {E: to stretch…taut.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tuskorokokko
- トゥシコロコッコ 【名】[tus-kor-okokko 綱・を持つ・ばけもの] ヘビ(呼び方の一つ、 「縄みたいだから。」 (W))。 ☆参考 tokkoni トッコニ、 kinasut キナスッ などヘビを表す語の使用を避けて言う言い方の一つ。 ☞tokkoni トッコニ、 kinasut キナスッ、 kinasutunkur キナストゥンクル、 tannekamuy タンネカムイ {E: a snake.} (出典:田村、方言:沙流)
- tusmak
- トゥシマク 【tusmak】 かいくぐる.急ぐ. カムイ シクトゥル(シク ウトゥル) アイヌ シクトゥル トゥシマク ワ アラウェントゥカプ カリ ハウェ=神の目や人間の目,そのすき間をかいくぐって化け物が徘徊しているのかい.ウウェトゥシマク=互いに先を争い.イイェトゥシマク(イ・エトゥシマク)=私よりも先にと急ぐ. (出典:萱野、方言:沙流)
- tutanu
- トゥタヌ 【後副】①…の次に。 ②(連体的に使って)…の次の。 kamuy tono tutanu sapane utar opitta ewkoramkor kor síran カムイ トノ トゥタヌ サパネ ウタラ オピッタ エウコラムコロ コロ シラン 天皇の次に主立った人たち(大臣たち)がみんなそれについて相談している。(S) {E: ①next to, after… ②the next, following…} (出典:田村、方言:沙流)
- uhayta
- ウハイタ 【u-hayta】 足りない(揃っているべきものが).至らない. アイヌ イタク アナクネ ウハイタ ウシケ ポロンノ オカ.ネ イタク オウペカレ ワ カムイ オルン ソンコ アンパ プ イクパスイ ネ ルウェ タパン ナ=人間の言葉は至らない所がたくさんあるものだ.その言葉を真っ直ぐにして神へ伝言を持って行くのが捧酒著ですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- uk
- ウク 【他動】[単](複は uyna ウイナ) ①…を取る、 …を得る、 …を受け取る、 …を奪う。 noskike ta an a suwop a=uk wa ノシキケ タ アナ スウォプ アウク ワ まん中にあった箱を私は取って。(HK民話) haru pirkapi uk rusuy kusu ハル ピリカピ ウク ルスイ クス よいみのり(食物の収穫)を得たいから。(S会話) ataye uk (その)料金を受け取る。 e=sanpehe a=uk kusu a=e=túra wa e=ek hi エサンペヘ アウク クス アエトゥラ ワ エエキ あなたの心臓を取る(奪う)ためにあなたは連れられて来たことを。(S民話) yaku uk kamuy ヤク ウク カムイ 役目を持たされている神。 ② ☞aske uk アシケ ウク、 teke uk テケ ウク ☆参考 「…を取って(人に)渡す」の意味では使われず、 「受け取る」、 「手に取る」、 「奪う」などを表す。 「そこにあるものを取って(私に渡して)下さい」と言うようなときは uk ウク ではなく ekte エクテ《よこす》が使われる。 {E: to get, receive…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ukesanpa
- ウケサンパ 【自動】[u-kesanpa (< kes-anpa) 互い・を追いかける] ①追いかけっこをする、 一方が他方を追いかける。 ②(名詞として)追いかけっこ。 aynu kimun kamuy kes anpa wa upas upun uwesinoye hi a=ye hi ukesanpa ne ruwe ne awa アイヌ キムン カムイ ケサンパ ワ ウパスプン ウウェシノイェ ヒ アイェ ヒ ウケサンパ ネ ルウェ ネ アワ 人間を熊が追いかけて雪ぼこりが渦巻くことを言うのが追いかけっこなのですが。(HK民話の中での説明) ☞kes(e) anpa ケシ/ケセ アンパ {E: ①to run after; chase; pursue (v.). ②a chase; a pursuit (n.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ukoitak
- ウコイタク 【u-ko-itak】 言葉を交わす. クチャ チセ オッタ(オロ タ) レウシアナクス(レウシ・アン アクス) カムイ メノコ ウコイタク ハウェ ア・ヌ イタククッチャマ ペケレ ワ オケレ.オヤチキ スルク トノマッ ネ アアン=狩小屋に私が泊まっていたら神の女が話をしていたのを聞いたが,話し方がとてもきれいであった,知らなかったがトリカブト姫であった.ニシパ ウタラ ラッチターラ ウコイタク コーロ オカ メノコ ク・ネ プ ク・ヌ カ ケヤイランマルイェ(ク・エヤイランマルイェ) クス ク・ソイネ=偉い人たちが静かに言葉を交わしているのに女の私が聞いているのも気がひけるので出て来た. (出典:萱野、方言:沙流)
- ukor
- ウコロ 【自動】[u-kor 互い・を持つ] ①互いを持つ sisak tokuy ne ukor=an シサク トクイ ネ ウコラン 私たちは互いをたぐいない親友として持った=私たちはたぐいない親友になった。 ②夫婦になる、 結婚する。 aynu ohaoka wa ukor eaykap kus アイヌ オハオカ ワ ウコロ エアイカプ クシ 人間同士では結婚することができないから。(S言い伝え) (動名詞として)結婚。 kamuy or ta sonno ukor síno ukor eci=ki kus ne na カムイ オッタ ソンノ ウコロ シノ ウコロ エチキ クシ ネ ナ あなた方は天の神の国で本当の結婚まことの結婚をすることになるのだから。(HC民話) {E: ①to have each other. (couples, friends, etc.) ①to get married (v).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ukoramkur-turpa
- ウコラムクルトゥルパ/ウコラムクットゥルパ 【自動】[uko-ram-kur-turpa 一緒に・心・(影/姿)・を伸ばす(複)][雅]皆で一緒に先のことまで考える。 kamuy opitta/ukoramkur/turpa kane カムイ オピッタ/ウコラムクル/トゥルパ カネ]神々はみな一緒に考えて先のことを案じていました。(Sユーカラ語り) ☆参考 他動詞は ewkoramkur-turpa エウコラムクルトゥルパ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ukotus'etaye
- ウコトゥシエタイェ 【u-ko-tus-etaye】 綱引き(する).▷ウ=互い コ=〜に対して トゥシ=綱 エタイェ=引っぱる イヨマンテ オッタ(オロ タ) メノコ オッカヨ ウコトゥシエタイェ メノコ アマケタロ コロ イマカケ タ オッカヨ カムイ ア・ウク ペ ネ ヤカイェ(ヤク ア・イェ)=熊送りの時に男と女が綱引きをして女が負けると,次に牡熊が獲れるそうだよ.イヨマンテ オッタ ヘペレトゥシ ア・ピタ オカケヘ タ ネ トゥシ アニ ウコトゥシエタイェ・アン ペ ネ=熊送りの時に熊を繋いだ綱をほどいた後にその綱で綱引きをするものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ukuripe
- ウクリペ 【ukuripe】 ヤツメウナギ. ネイタカ パトゥム ネ マヌ プ スルルケ ヒ ア・ヌ コロ ウクリペ ア・ウク ワ アパ オッタ(オロ タ) プヤラ オッタ ア・エウシ ワ ア・アヌ コロ パヨカカムイ ソモ ヘノイェ プ ネ=どこかで流行病が蔓延したと聞いたらヤツメウナギを獲って来て戸とか窓に差しておくと病気の神がよらないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- umama
- ウママ 【自動?】[雅]非常に勇猛な(?)。 kamuy ne yakka/umama kamuy/epetturasi p/sinen ka isam カムイ ネ ヤッカ/ウママ カムイ/エペットゥラシプ/シネン カ イサム [雅]神であってもこれほど勇猛な神に逆らうものは一人もいない。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- un 2
- ウン 【格助】[< un ウン 1] ①(連体句をつくる、 つまり名詞にかかる。) …にある/いる…、 …につく/ついている…、 (そこ)の、 …出身の。 Sar un kur サルン クル 沙流の人(一語のアクセントで発音される)。 atuy or un cikap アトゥヨルン チカプ 海の鳥。 te un húci テ ウン フチ ここの(=この家の)おばあさん。(S) (注 特定のおばあさんを言うときは un ウン でなく ta タ を使って te ta X húci テ タ X フチ ここの(この家の)Xおばあさん。(S) ) ②(連用句をつくる、 つまり動詞にかかる。) …へ/に(移動の方向/目的地、 心理的に向かう方向)、 …に/から(見える方向、 音や声などが聞こえる方向、 ものを取る相手やその場所)、 …で(仕事や飲食をする入れものの中や台の上などの場所)。 Tokiyo un k=arpa kusu ne トキヨ ウン カラパ クス ネ 私は東京へ行きます。(S) osmake un esirkociwe no a オシマケ ウン エシリコチウェ ノ ア 後ろへ押し分けて坐りなさい。(S) atuy or un put kor to アトゥヨルン プッ コッ ト 海へ口を持った沼。 urepeci osmake un an, kesupi kotcake un an ウレペチ オシマケ ウン アン、 ケスピ コッチャケ ウン アン 足指が後のほうにある、 かかとが前のほうにある。 ③siyoka un inkar シヨカ ウン インカラ 後ろを見る。 pínay asam un sir-kunne kane síran, rawne wa ki ピナイ アサムン シリクンネ カネ シラン、 ラウネ ワ キ 谷底の方が暗くなっている、 深くて。 to noski un háwas ト ノシキ ウン ハワシ 沼のまん中で声がする。 kamuy hayokpe/iyoykir ka un/a=uyna katu カムイ ハヨクペ/イヨイキリ カ ウン/アウイナ カトゥ [雅]立派なよろいかぶとを宝器類の上から取って下ろしたことを。(Sユーカラ) nisu or un iyuta ニス オルン イユタ 臼でヒエつきする。(W) káneya ka un ma カネヤ カ ウン マ (魚を)かなあみの上で焼く。(S) kasi un e=kanpinuye hemanta カシ ウン エカンピヌイェ ヘマンタ その上であなたが書きものするやつ(=机)。(S) {E: ①to be; exist; be from… ②to… ③from, at…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- un 4
- ウン 【副助】(強めの一種、 考慮・納得を表すことが多い。) …ね、 なあ。 siknu eaykap hawe un somo ne? シクヌ エアイカプ ハウェ ウン ソモ ネ? (そんな小さな弱い赤ん坊だったら)生きられないのじゃないのか。 kamuy i=erampokwen nen póka ne ciki un somo ki ya? カムイ イエランポクウェン ネン ポカ ネ チキ ウン ソモ キ ヤ? なんとか神様が憐れみをかけてくれないかなあ。 oroyaciki un/ona ne manu p/akor kusu オロヤチキ ウン/オナ ネ マヌプ/アコロ クス なるほどそうか、 父というものが私にはあったために。(Sユーカラ語り) ene un suy erampewtek hi? エネ ウン スイ エランペウテク ヒ? そんなに感じられないのか。(W) ikiya un …wa イキヤ ウン …ワ ひょっとすると。 ikiya un túnasno e=ek wa イキヤ ウン トゥナシノ エエク ワ ひょっとするとあなたが早く来るかもしれないなあ(注 ikiya …na イキヤ …ナ は《…しないようにね》)。 hńta un …wa フンタ ウン …ワ なあに、 ほかでもない。 hńta un, kamuy ye a wa フンタ ウン、 カムイ イェ ア ワ なに、 ほかでもない、 神様が言ったのだ=大丈夫、 神様が言ったとおりになるんだ。 {E: a particle emphasizing consideration or agreement.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- una
- ウナ 【una】 灰,木灰. ネプカ ウェンカムイ チセ オルン アフン ノイネ キ コロ ア・コウナケ ウェンカムイ ネ ヤクン キラ フ ソイネ.ウェンカムイ ソモ ネ ヤクン ウナ タサ アフン ペ ネ=何か得体の知れない悪い神が家へ入りそうにしたら,それに向かって木灰をかけると悪い神なら逃げて出る,悪い神でなければ木灰に向かって入って来るものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- uncise
- ウンチセ 【名】[概/所][un-cise 自分の・家][雅]自分の家。 kamuy nis ka ta/uncise ta/hosipi ki kor カムイ ニシ カ タ/ウンチセ タ/ホシピ キ コロ [雅]天の神の国の自分の家に帰ると。(Sユーカラ) ☆参考 日常語では uni(hi) ウニ(ヒ) と言う。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- unpirma
- ウンピリマ 【自動】[un-pirma 皆に・警告する] ①警告する、 危険を告げる。 ②(動名詞として)警告。 kamuy unpirma an カムイ ウンピリマ アン 神の警告があった。(W会話) ☆発音 ウンピルマ {E: ①to warn; alert (v, ). ②a warning (n.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- unuwapte
- ウヌワプテ 【u-nuwap-te】 お産(をする). エ・ヌ アー ウクラン コタンケシ タ ウヌワプテ アン ヤク ア・イェ プ ウェンヌワプ ネヤカイェ(ネ ヤク ア・イェ) ク・イケムヌ=聞いたかい,昨晩村の下端でお産があったそうだが死産だったそうなので哀れに思った.ウヌワプテ・アン ヒ タ アナクネ ウサルンカムイ セコロ ア・イェ ワ アペ ウサッタ(ウサラ タ) ポン アペ ア・アリ ワ ヌワプ テクサム ア・コプンキネレ プ ネ=お産の時には下座の神といって火の下座に小さい火を燃やしお産を見守る神とするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- upascironnup
- ウパシチロンヌプ 【名】[upas-cironnup 雪・キツネ][動物] エゾイタチ(?)。 「伏見のお稲荷さん、 もの知り、 忍術使い、 大きくても高さ10センチ、 体長20センチぐらい、 まっ白、 悪いのは黒白ぶちかかったのもある、 赤茶けたものもある。」 (S) upascironnup kamuy ウパシチロンヌプ カムイ 「雪狐」(エゾイタチ?)の神様。(W民話) ☆参考 『音声資料2』のテキストでは「雪狐」と直訳してあるが、 キツネではない。 エゾイタチ(オコジョ)のことらしい。 〔知分類 p.146 エゾイタチ〕〔萱ウエペケレ 第1話 白狐〕 {E: a snow fox.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- upsi
- ウプシ 【upsi】 うつ伏せになる,伏す. サラクカムイ ネ オカ ヤッカ メノコ アナクネ クットコ ノ アン オッカヨ アナクネ ウプシ ノ アン ペ ネ=水死した者は女は仰向けになっているし男はうつ伏せになっているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- urametok
- ウラメトク 【接頭辞+名詞】[u-rametok 互い・大胆さ](次の表現の中で) urametok uwante ウラメトク ウワンテ 互いに度胸の強さを比べ合う=度胸比べをする。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya urametok uwante=an kusu アシヌマ ホシキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホシキ トゥムトゥイ ヤ ウラメトク ウワンテアン クス 私が先に力尽きるか熊が先に力尽きるか、 「度胸比べ」(=強さ比べ)するために。(HK民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- urokte
- ウロクテ 【自動】[u-rok-te 互い・座る・させる][雅](神が)いる、 おわす、 まします。 kim un iworso/iworso ka ta/urokte kamuy キムン イウォロソ/イウォロソ カ タ/ウロクテ カムイ [雅]山の奥の地におわす神。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- urorerok
- ウロレロク 【自動】[複](単の用例はない)[u-ror-e-rok 互い・の上座・に・座る[複]](二人が)上座下座に並んで座る。 kamuy ne kus koraci an onne kur an, úturkehe ta kamuy ne noyne an rupnemat an, urorerok híne oka カムイ ネ クシ コラチ アン オンネ クル アン、 ウトゥルケヘ タ カムイ ネ ノイネ アン ルプネマッ アン、 ウロレロク ヒネ オカ 神と見まがうばかりの立派な老人がいた、 その下座に神のような立派な老女がいた、 二人は上座下座に並んで座っていた。(KC民話) {E: to sit in order from the highest to the lowest place of honour.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- usar
- ウサラ 【usar】 下座の方. ウヌワプテ・アン ヒ タ アナクネ ウサルンカムイ セコロ ア・イェ ワ アペ ウサッタ(ウサラ タ) ポンアペ ア・アリ ワ ヌワプ テクサム ア・コプンキネレ プ ネ=お産の時には下座の神といって火の下座に小さい火を燃やしお産を見守る神とするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- usi
- ウシ 【usi】 場所,所. ワッカ タ ウシ=水を汲む所.モセ ウシ=カヤを刈る所.ニナ ウシ=薪を取る所.ヘメス ウシ=登る所.ラン ウシ=下る所.ペサカラ ウシ=鹿が泥を体に擦りつける所.シニ ウシ=休む所.エアラキンネ パケトゥナシ ペ アペフチカムイ ネ ヤク ア・イェ クス イラマンテ エキムネ ウシ アペサム タ ソモ ア・イェ プ ネ ナ=とっても告げ口が好きな者が火の神だというので狩のために山へ行く場所を火の前で言わないものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- utar 1
- ウタラ 【名】[概](所は utari(hi) ウタリ(ヒ)) ①人々。 soy ta arki utar ソイ タ アラキ ウタラ 家の門口に来た人たち。 inne utar インネ ウタラ 大勢の人々。 uunukor utar ウウヌコロ ウタラ 母子。 ②(人や動物や神を表す名詞の後に置かれて)…たち。 okkaypo utar オッカイポ ウタラ 若い男たち。 kamuy utar カムイ ウタラ 神々。 ③(まれに、 物に関しても) citarpe utar チタラペ ウタラ ござたち(=複数のござ)。 ☆参考 [所]は《同族、 仲間》の意味で使われる。 ☞utari(hi) ウタリ(ヒ) {E: ①people. ②plural marker for people.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- utarorke(he)
- ウタロロケ(ヘ) 【名】[雅]人々、 …たち。 kamuy moyremat/utarorkehe カムイ モイレマッ/ウタロロケヘ [雅]女神様たち。(Sユーカラ) atuyso ka ta/urokte pito/urokte kamuy/utar orke anak アトゥイソ カ タ/ウロクテ ピト/ウロクテ カムイ/ウタロロケ アナク [雅]沖の方におわす神々は。(Sユーカラ語り) (出典:田村、方言:沙流)
- utupa
- ウトゥパ 【自動】この世とあの世とに別れている(「仏になった人に言う、 そのほかには言わない」)。(S) utupa=an na ウトゥパアン ナ 「あんたはもうこの世の人ではない、 私はしゃばの人だ、 てんで(=まるっきり)違うんだろう、 あんたはほとけの国へおさまってちょうだいよ」。(S) tane utupa=an na, kamuy e=ne na, apunno iteki hosari no kamuy or un arpa タネ ウトゥパアン ナ、 カムイ エネ ナ、 アプンノ イテキ ホサリ ノ カムイ オルン アラパ 「妻でもなければ子でもないんだ、 あんたはもうこの世の人ではないんだぞ、 妻いることもいると思わないで極楽へ歩め。 」 (S) {E: for this world and heaven to be separated.} (出典:田村、方言:沙流)
- útur(u)ke(he) 2
- ウトゥルケ(ヘ)/ウトゥルケ(ヘ) 【位名】[所](概は útur ウトゥル)[utur-u-ke …の下座・(所属語尾)・(よりはっきりさせる所属語尾)…の所] その下座(その西側/入口側)の所。 osisoun kamuy ekasi a wa an, úturuke ta kamuy ne noyne an húci a wa an オシソウン カムイ エカシ ア ワ アン、 ウトゥルケ タ カムイ ネ ノイネ アン フチ ア ワ アン 右座(いろりの北側、 主人の席)に、 神なる老人が座っていた、 その下座側(西側、 入口側)に、 神のような老女が座っていた。(W神謡語り) ☆参考 úturu ウトゥル の形は未出。 {E: the lower seat of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uusa
- ウウサ 【副】[u-usa 互い・いろいろ/別々に] めいめいいろいろ。 (次のように二語重ねて使う。) uusa uusa ウウサ ウウサ (皆)めいめいいろいろ。 tan a=kor mosir ne yakka, uusa uusa, mosir epunkine kamuy kar híne タン アコロ モシリ ネ ヤッカ、 ウウサ ウウサ、 モシリ エプンキネ カムイ カラ ヒネ 国づくりの神はこの私たちの国(北海道)も、 それぞれ国を守る神をつくって。(S言い伝え) mosir kor kamuy utar uusa uusa ewkoramu-osmaosmapa híne モシリ コロ カムイ ウタラ ウウサ ウウサ エウコラムオシマオシマパ ヒネ 国を守る神々はめいめいそうだそうだと言って賛成した。(S言い伝え) {E: various; each.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwante
- ウワンテ 【自動】[u-w-an-te 互い・(挿入音)・ある・させる](?) 比べ合う(?)。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya, urametok uwante=an kusu kimun kamuy a=sikésanpare awa アシヌマ ホシキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホシキ トゥムトゥイ ヤ、 ウラメトク ウワンテアン クス キムン カムイ アシケサンパレ アワ 私が先に力尽きるか熊が先に力尽きるか、 度胸比べをするために熊に後を追いかけさせたのに。(HK民話) {E: to mutually compare.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwari
- ウワリ 【u-ari】 産む. ウサルンカムイ ウワリカムイ タヌクラン ウヌワプテ ウワリ アン ナ ピリカノ ウネプンキネ(ウン・エプンキネ) ワ ウン・コレ ヤン=下座の神,お産を司る神,今夜はお産が,産むことがあるのでよく私どもを守ってください.*普通の言い方ではウヌワプテ(うなり声,お産)と言うが,ウワリカムイというのは囲炉裏の中で日頃燃やしている火の入り口に近い方にもうひとつ小さい火を燃やし,この火の神にお産を見守ってもらうものと考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- uwastere
- ウワシテレ 【他動】[自動使役][uwaste-re 殖える・させる] 子や孫が生まれてふえるようにさせる、 子孫をつくらせる。 na ewsayne ewsayne oka kamuy oro wa a=uwástere p aynu ne wa kusu ナ エウサイネ エウサイネ オカ カムイ オロ ワ アウワシテレプ アイヌ ネ ワ クス 人間は、 まだほかにもいろいろ違った神によってふやされたものだから。(S言い伝え) {E: to make produce children and grandchildren (descendants).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uweinkar
- ウウェインカラ 【自動】[u-w-e-inkar 互い・(挿入音)・と一緒に・見る](?) 透視/予見する、 見通す、 そこにないものや未来のことがらが見えてわかる。 aynuramat ne an pe tane a=ne kusu, kamuy siri ne uweinkar koraci inkar=an katu ene an hi アイヌラマッ ネ アン ペ タネ アネ クス、 カムイ シリ ネ ウウェインカラ コラチ インカラン カトゥ エネ アニ 私はもう人の魂になっているので、 神さながらに、 見えないことを見通すみたいに、 次のようなことが見えます。(W民話) poro a=yupi uweinkar nupur pe ne kusu siyeye utar oka kor motoho ye ポロ アユピ ウウェインカラ ヌプル ペ ネ クス シイェイェ ウタラ オカ コロ モトホ イェ 私の長兄は見えないことを見通す霊力のある人なので病気の人々がいるとその原因を言い当てる。(NK民話) {E: to see through; foresee.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwekari
- ウウェカリ 【自動/副】[u-w-ekari 互い・(挿入音)・の方に向かって] ①[自動][単](複は uwekarpa ウウェカラパ)(他の語の構成部分として)互いの方に向かって寄って来る(独立の自動詞としての用例はない)。 ②[副]両方から。 uwekari arki ウウェカリ アラキ (たとえば二人の人が)両方から来る(バッタリ行き合う)。 néa pínay uwekari soske híne ネア ピナイ ウウェカリ ソシケ ヒネ その谷の崖が両方からくずれて。(W言い伝え) uwekari uwekari ウウェカリ ウウェカリ あっちからもこっちからも、 代わるがわる、 入れかわり立ちかわり。 uwekari uwekari am us hemanta kikiri ウウェカリ ウウェカリ アムシ ヘマンタ キキリ 左右両側にたくさんのつめが生えているへんな虫(「ムカデ」の訳語として出た)。 uwekari uwekari kamuy opitta i=tomoytak hi ora ウウェカリ ウウェカリ カムイ オピッタ イトモイタキ オラ 代わるがわる神々が皆私のところに来てなだめてくれてから。(W神謡語り) {E: ① ②from both.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwepeker
- ウウェペケレ 【自動/名】[u-w-e-peker 互い・(挿入音)・で/と一緒に・明るくなる] ①[自動]民話(昔話)を語る。 k=úwepeker ciki nu yan クウェペケッ チキ ヌ ヤン 民話を語るから(昔話をしてあげるから)聞きなさい。(S独話) ②[名]民話(昔話)。 uwepeker ye ウウェペケレ イェ 民話を語る。 pirka uwepeker ku=ye kusu ne na ピリカ ウウェペケレ クイェ クス ネ ナ よい(すてきな/美しい)お話をしてあげるからね。(S独話) ☆参考 昔話の中に、 素性や先祖の話、 歴史的な出来事など、 子孫に教え伝える話と、 ただ楽しみのために話したり聞いたりする話とある。 前者を upaskuma ウパシクマ と言い、 これを《言い伝え》と訳す。 後者を uwepeker ウウェペケレ と言い、 これを《民話》と訳す。 アイヌ民話 uwepeker ウウェペケレ には二種類あり、 一つは日本民話にもよくあるようないわゆる「隣の爺型」の昔話、 もう一つは一人の人が自分の身に起こったことを語るという「身の上話型」の物語である。 「隣の爺型」の昔話では、 川下男と川上男、 うちの貧乏和人と隣の貧乏和人などの対(つい)が登場し、 一人が成功して裕福になったのをもう一人が見てまねをして失敗し、 死んでしまう。 だから人まねをしてはいけないという教訓が最後につく。 通常3人称で語られ、 長さは数分から十数分程度である。 「身の上話型」の物語では、 主人公の自己紹介に始まり、 自分の身に起こった出来事を次々に語っていく。 多くの場合、 最後に「…と、 どこそこの村おさが(村おさの妻が/立派な奥様が、 等々)言いながら亡くなりました、 とさ」というような結語がつく。 主人公の話したことを語り手が引用するという形で語られるので、 「私」と訳される人称は引用文の自称の形、 すなわち不定人称形である。 長さも数十分から長いのになると1時間以上かかる場合もある。 どちらの型のものもアイヌ語では同じく uwepeker ウウェペケレ と呼ばれるので、 日本語訳でも同じ「民話」という語に訳しておく。 これら二種類の型の民話のほかに、 内容から見ると upaskuma ウパシクマ《言い伝え》だと思われる話が uwepeker ウウェペケレ として語られることもある。 昔の先祖のことを子孫に伝えるために語るのではなく、 単に昔話として語るからであろう。 また、 人間の話である「民話」に対して神の話「神話」はどうかというと、 アイヌ神話は原則として節をつけて歌われるものであった。 これの多くは「神謡」(kamuyyukar カムイユカラ または menokoyukar メノコユカラ)と呼ばれる。 ところが昔神謡として歌われたものが散文で語られ、 それが uwepekere ウウェペケレ として伝えられる、 というようなことも最近は起こっている。 このように伝承のジャンル名もいまは昔とはだいぶ変わってきている。 ☞upaskuma ウパシクマ、 kamuyyukar カムイユカラ、 menokoyukar メノコユカラ yukar ユカラ、 oyna オイナ {E: ①to tell a folktale. ②a folktale.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwesopki
- ウウェソプキ 【自動】[u-w-e-sopki 互い・(挿入音)・と一緒に・(?)] 向き合って座る。 kamuy utarpa hancikiki/uwesopki na hancikiki カムイ ウタラパ ハンチキキ/ウウェソプキ ナ ハンチキキ 位の高い神が/向き合って座った。(HC神謡) 〔金ユーカラ 1〕 相対して座した、 対座する。 ☆参考 酒宴のときは招待者側の家の主人と祭司長として招かれた長老が横座に置かれた酒びつをはさんで向き合って座り、 他の男たちもこの二人に並んで壁際まで何列にもなって向き合って座る女や子どもたちは右座、 左座からずっと下座のほうまで座る。 {E: to sit facing one another.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uweturasiturasi
- ウウェトゥラシトゥラシ 【u-e-turasi-turasi】 仲睦まじい,仲がよい:子犬がじゃれて立ち上がり立ち上がりしているように仲がよい. ピリカ ヒネ イレスカムイ テクサマ タ ウウェチューサケ エチ・ク ワ ネ クス ネイタ パクノ ピリカ ウウェトゥラシトゥラシ エチ・キ プ ネ ナ アニー=縁あって火の神の目の前で夫婦の契りの酒をあなたたちは飲んだので,いつまでも仲睦まじくするのですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- wa 1
- ワ 【格助】①(位置名詞の後に置かれて、 移動の起点を示す。)…から(場所を示す)。 Mosirpasari wa ek モシリパサリ ワ エク 斜里(しゃり)から来た。(W民話) osmake wa kotcake wa terke=an オシマケ ワ コッチャケ ワ テレケアン 私は(寝ている彼の)後ろから前へ前から後ろへと跳びはねてまたいだ。(W民話) kanto or wa kemram kamuy ran カント オロ ワ ケムラム カムイ ラン 天から飢饉の神が降りて来た。(W民話) oro wa karkarse オロ ワ カラカラセ そこからころがった。(S会話) ②(《…に》と訳される場合もある。 その場合、 ta タ や un ウン を使った言い方とはニュアンスが異なる。 wa ワ はこの場合も、 動作の起点を示す。) te wa mono a テ ワ モノ ア 「ここから座れ」=ここに来て座りなさい。 (注 te ta mono a テ タ モノ ア (近くにいる人に)ここに座りなさい。 te un mono a テ ウン モノ ア ここへ座りなさい。) ③(受け身の行為者を示す。)or wa/oro wa オロ ワ/オロ ワ (人)から。 kamuy or wa okamkir ene a=e=yáynure wa カムイ オロ ワ オカムキリ エネ アエヤイヌレ ワ あなたは神からわざとそのように思わされて。(W民話) ④(連体的に使われて) onnayke wa asamaha オンナイケ ワ アサマハ 内側の底。 soynake wa asamaha ソイナケ ワ アサマハ 外側の底。 {E: ①from…(place). ②… ③from…(people). ④…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wen 1
- ウェン 【自動】①悪い、 粗末である、 だめである、 だめになる。 wen cise ウェン チセ 粗末な家。 wen itak ウェン イタク(発音は ウェヌ イタク)悪い言葉。 wen kewtum ウェン ケウトゥム 悪い心/根性。 wen kamuy ウェン カムイ ☞wenkamuy ウェンカムイ。 kewtumu wen ケウトゥム ウェン 心/気立て/根性が悪い。 …yak wen …ヤク ウェン …するといけない。 …yakka wen …ヤッカ ウェン …してもだめである(効果がない)。 …tú ray wen ray ki トゥ ライ ウェン ライ キ ひどい死に方で死んでしまった(川上男と川下男の民話の結末によく出てくる表現)。(S民話) sir-wen シリウェン(発音は シルウェン)天気が悪い。 ②亡くなる(婉曲表現)。 wen oruspe ek ウェノルシペ エク 死んだという便りが来た。(S) wen nisa ruwe ne sekor haw as ウェン ニサ ルウェ ネ セコロ ハワシ いけなかった(=もう死んだ)という話だ。 (注 「捨てことば(ぞんざいな言葉)ではない。」 (S) ☆参考 直接的に「死ぬ」という語は ray ライ、 ほかに婉曲表現として isam イサム《亡くなる》、 mosiroppa モシロッパ《世を去る》など。) ③[自動詞語根](限られた語の構成要素として)貧しい。 wenkur ウェンクル 貧乏人。 weysisam ウェイシサム[< wen-sisam]貧しい和人。 (注 wenaynu ウェナイヌ は《悪人、 悪党》。) (注 「貧しいおばあさん」は wenkur húci ウェンクル フチ。) ☆対語 pirka ピリカ よい。 {E: ①to be, become bad, no good; ②to pass away; ③…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- weninaw
- ウェニナウ 【wen-inaw】 悪い御幣.▷ウェン=悪い イナウ=御幣 セタ ネ ヤ チロンヌプ ネ ヤ ソンノ ウェンカムイ ア・イワクテ ヒ タ アナクネ ソコニ ネヤ パセニ ネヤ ウェニナウ ネ ア・カラ ペ ネ=犬とか狐とか本当に悪い神を神の国へ送り返す時にはニワトコやサワシバなどを悪い御幣として作るものだ.*犬とか狐とか蛇とかが人間に取り憑いて崇る場合がある.その時に呪術者の託宣に従っておはらいをするが.その時に作られるのがウェニナウである. (出典:萱野、方言:沙流)
- wenkasu
- ウェンカス 【副】[wen-kasu 悪い/ひどく・…しすぎる] あまり…、 あまりにも。 Iskar etokoho enukor kamuy matnepoho wenkasu menoko pirka ruwe イシカラ エトコホ エヌコロ カムイ マッネポホ ウェンカス メノコ ピリカ ルウェ 石狩川の水源地を守る神の娘があまりにもいい女であるのを。(W神謡語り) ☆参考 似た意味を表すのに eytasa エイタサ《あまり…》、 kaspa カシパ《…しすぎる》も使われる。 wenkasu ウェンカス は意味が強く、 「あまりにも…だったためにこのようなことをした」と説明するようなニュアンスで使われている。 {E: too, over.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wenkatcamkor
- ウェンカッチャムコロ 【wen-katcam-kor】 悪いことをする,悪い性質(を持つ). ネユン ア・イェ ヤッカ ウェンカッチャムコロ ペ アナクネ オウェヌシ カムイ コイパクペ ネ ワー=どのように意見されようとも悪いことをする者は運が悪くなって神から罰をあてられるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- wentarap
- ウェンタラプ 【wentarap】 夢(をみる). ウェンタラプ オッタ(オロ タ) ネプ カ ア・イ・コタララ ワ ア・ウク ヤク ア・タカラ ネ ウェンタラプ アナクネ パヨカカムイ パヨカ ヒ ネ クス ヤイカキク・アン ペ ネ ナー=夢の中で何か伸ばされて受け取った夢をみるとその夢は流行病の神が歩いているのだから自分自身で体をはらい清めるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- wentarapte
- ウェンタラプテ 【wentarap-te】 夢をみさせる.▷ウェンタラプ=夢をみる テ=させる →神様が夢をみさせる チセコロカムイ ア・ネ,トパットゥミ エク ノイネ シリキ クス チセコロクル ア・ウェンタラプテ=私は家の守護神であって,夜盗が来る様子なので家主に夢をみさせた.カムイ オロワ アイヌ ア・ウェンタラプテ クスケライポ アイヌ アナクネ ネプ ネプ アン ペ エラムオカ シコロ ウウェペケレ オルシペ タ アン ペ ネ ワ=神からアイヌたちが夢をみせてもらえるお陰で,アイヌたちはいろいろなことを知ることができると昔話の中にあるものだ.*道東のアイヌは夢のことをチニタ(夢)と言う. (出典:萱野、方言:沙流)
- wose
- ウォセ 【wo-se】 遠吠え(する):狼や大の遠吠えする声. テエ一タ ナ ク・ポン ラポク タ アナクネ セタ ウォセ コロ パヨカカムイ ホトゥイパ シリ ネ セコロ ネ ワ イシムネト タ ア・イワクテ パ シリ ク・ヌカラ アムキリ=ずーっと昔,私が少年時代は犬が遠吠えをすると病気の神を呼んでいるといって翌日神の国へ送るために殺していたのを見たものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- yaani
- ヤアニ 【yaani】 危なく〜しそうになる. キム タ ヤアニ カムイ エン・ライケ ヒ タ ク・アキヒ アン クスケライポ ク・シクヌ=山で危なく熊に殺されそうになった時,私の弟がいたお陰で私は生きた. (出典:萱野、方言:沙流)
- yak 3
- ヤク 【接助】①…すれば、 …すると(帰結としては「よい」「悪い」「望ましいことが起こる」「ありがたい」「困ったこと/恐ろしいことが起こる」などを表す表現がくる)。 hoskino mukar ani tuye wa ora noko ani hóse, yak horak kusu ne na ホシキノ ムカラ アニ トゥイェ ワ オラ ノコ アニ ホセ、 ヤク ホラク クス ネ ナ 初めにまさかりで切ってそれからのこぎりでひきなさい、 そうすれば倒れるから。 sekor an menoko ta kamuy menoko ne yak a=kor oka! セコラン メノコ タ カムイ メノコ ネ ヤク アコロ オカ! あのような女が女神であれば結婚するのになあ。(S言い伝え) eytasa e=cis yak/wenkamuy patek/e=eramasu エイタサ エチシ ヤク/ウェンカムイ パテク/エエラマス あなたがあまり泣くと悪い神ばかりがお前を好きになる。(S子守歌) yak pirka ヤク ピリカ …するとよい、 …するほうがよい、 …するがよい(上の人から下の人への命令表現の一種)。 tono e=sak pe ne ciki i=or ta e=henoye yak pirka トノ エサク ペ ネ チキ イオッタ エヘノイェ ヤク ピリカ 和人のお得意様がないのならわれわれの所に立ち寄るがよい。(S民話) yak pirka p ヤク ピリカプ …すればいいのに/…すればよかったのに。 yak wen ヤク ウェン …するといけない/よくない。 yak easir pirka ヤク エアシリ ピリカ …しなければいけない。 sekor icarpa=an yak easir pirka セコロ イチャラパアン ヤク エアシリ ピリカ …と言って供物まき(供養)をしなければいけない。(W民話) ②(帰結に願望「…したい」や提案「…しよう」が来るとき)…して。 nen ka ta a=kar yak a=rayke oka! ネン カ タ アカラ ヤク アライケ オカ! なんとかして殺したいものだなあ! (S民話) a=o yak a=seske ro アオ ヤク アセシケ ロ (土を)入れてうめよう。(S) ☆参考 yakne ヤクネ と同義。 yakne ヤクネ と yak ヤク の使い分けは、 リズムによる。 ゆっくり話し、 条件の部分を言って一呼吸おくようなときは yakne ヤクネ を使い、 早い調子でどんどんしゃべっているときは yak ヤク を使う。 また、 歌などの韻文では音節数の都合でどちらかが選ばれることもある。 {E: ①if, when ②…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yakaka
- ヤカカ 【yakaka】 指さす. ウトゥラ・アン ワ イラマンテ・アン クス エキムネ・アン ア・ユピヒ ニセンピリ ワ イ・テクパラパル アプンノ サマ タ アラパ・アン. ナイ イクシ ウン ヤカカ クス インカラ・アン アクス ポロ カムイ アン ルウェ ネ=一緒に狩のために山に入った私の兄が木の陰から私に手招きをするので.静かに側へ行った.沢の向かい側を指さしたので見てみると大きい熊がいた. (出典:萱野、方言:沙流)
- yani
- ヤニ 【yani】 危なく. レポイラマンテ・アン クス チプ ア・オ ワ アラパ・アン アクス アッコロカムイ シプステクテク ヤニ ア・イ・ライケ=沖漁をすると思って舟に乗って沖へ出ると,タコがさっと浮き上がってきて危なく私は殺されそうになった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- yaro
- ヤロ 【yaro】 たてがます:ニシン粕を入れるかます. テエタ アイヌ ウタラ ウェンヤトイネ ヒ タ ヌカラ ワ エク ペ ヤロ シコロ ア・イェ シンヌラッパ アン ヒ タ アイヌ オロ タ シプイネ ペコロ ア・ヌカラ ヤッカ カムイ モシリ タ シレパ ヒ タ ヤロ シンネ シレパ ナンコロ=ずうっと昔にアイヌたちが強制徴用された時,見て来た物がたてがますといった.先祖供養の時に(言う言葉の中に)アイヌの所でわずかのように見えるけれど神の国へ着いた時はたてがますのような量になり届くであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
- yayemaka kayairuke
- ヤイェマカ カヤイルケ 【yay-e-maka kaya-iruke】 体をのけ反らせる,自分の体を後ろへのけ反らせて驚く. ▷ヤイェ=自分 マカ=開く,のけ反る,後へ反り返る カヤ=帆,舟の帆 イルケ(ウイルケ)=のように→カヤイルケ=舟の帆のように *大きさが5寸か6寸の白狐に,鯨を1頭丸のまま持って空を飛ぶフリという大きい鳥が騙されて鯨を横取りされ,それを知ったフリが体を満帆のようにのけ反らせている様子(『カムイユカラと昔話』420頁より).(補遺編)▷ヤイェ=自分 マカ=開く,のけ反る,後へ反り返る カヤ=帆,舟の帆 イルケ(ウイルケ)=のように→カヤイルケ=舟の帆のように *大きさが寸か寸の自狐に,鯨を頭丸のまま持って空を飛ぶフリという大きい鳥が騙されて鯨を横取りされ,それを知ったフリが体を満帆のようにのけ反らせている様子(『カムイユカラと昔話』頁より). (出典:萱野、方言:沙流)
- yayeyukar
- ヤイェユカラ 【自動】[yay-e-yúkar 自分・のことを・歌う/ものまねする](神が)自分のことを(神謡として)歌う。 kakkok kamuy yayeyukar kamuyukar カッコク カムイ ヤイェユカラ カムユカラ カッコウの神が自分のことを歌った神謡。 ☆参考 yúkar ユカラ は《ユーカラ(を歌う)》、 eyukar エユカラ は《…を(言葉の言い方や仕草を)ものまねする》。 yayeyukar ヤイェユカラ の原義は《(神が)自分のことを所作しながら歌った》ということだろうという知里真志保の説が正しいだろう。 それがおそらく神謡 kamuyyukar カムイユカラ の起源でもあるだろう。 しかし、 現代では神謡を歌う人は所作はつけず、 歌うだけである。 yayeyukar ヤイェユカラ という語も「所作しながら」という意味まで含んでとらえられているわけではない。 (出典:田村、方言:沙流)
- yaykakik
- ヤイカキク 【yay-ka-kik】 自分の体をはらい清める:化け物を見た時などに自分の体をはらい清める. ウェンタラプ オロ タ ネプカ ア・イ・コタララ ワ ア・ウク ヤク ア・タカラ ネ ウェンタラプ アナクネ パヨカカムイ パヨカ ヒ ネ クス ヤイカキク・アン ペ ネ ナ=夢の中で何か伸ばされて受け取った夢を見ると,その夢は流行病の神が歩いているのだから自分自身で体をはらい清めるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- yaykimuykanomi
- ヤイキムイカノミ 【yay-kimuy-ka-nomi】 自分自身の守り神に願いごとを念じる.▷ヤイ=自身 キムイ=頭 カ=上 ノミ=祭る,拝む.礼拝 *カムイノミ(神に祈る)時に棒酒箸の先へおみきをつけ,左肩,右肩,次に頭へつける,このやり方をヤイキムイカノミという. (出典:萱野、方言:沙流)
- yaykokomo
- ヤイココモ 【他動】[yay-ko-komo 自分・に・…を折り曲げる](用例の文脈では)(子ども)を自分の手もとに離さずに置いておく。 páse kamuy póho ne ruwe ne híne ora wen menoko a=ne híne a=yaykokomo wa án=an ka eaykap パセ カムイ ポホ ネ ルウェ ネ ヒネ オラ ウェン メノコ アネ ヒネ アヤイココモ ワ アナン カ エアイカプ (子どもは)尊い神の御子であり、 悪い女の私が手もとに離さず置いておくことはできない。(W神謡語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaykotomka
- ヤイコトムカ 【他動】[yay-kotom-ka 自分・にふさわしい・(他動詞化)と思う][雅]…を自分の結婚相手としてふさわしいと思う、 …と結婚したい。 Kotan-sitcire/Mosir-sitcire/…/Kamuy ne an kur/ne yak easir/a=yaykotomka コタンシッチレ/モシリシッチレ/…/カムイ ネ アン クル/ネ ヤク エアシリ/アヤイコトムカ [雅]「村焼き国焼き(中略)神になる人」とでなければ私は結婚しません。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaykotomkap
- ヤイコトムカプ 【yay-kotomka-p】 自分に似合うもの.▷ヤイ=自身 コトムカ=似合う プ=者 カムイ モシリ タ ア・ヤイコトムカプ ア・フナラ ヤッカ イサム=神の国で自分に似合いの者を(私は)探したがいなかった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- yaynupa
- ヤイヌパ 【yay-nupa】 生き返る:意識が戻る. チュプ ライ コロ ノヤ アニ イナウ アニ チュプカムイ コワッカケ パ コロ "チュプカムイ ヤイヌパ ヤイヌパ" セコロ カネ ハウェオカ プ ネ ヤク ア・イェ=太陽が死ぬ(日食)とヨモギとかイナウとかで太陽に水をかけながら.「太陽の神生き返って生き返って」と言ったものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- yaynure
- ヤイヌレ 【他動】[自動使役][yaynu-re 思う・させる] …に(…と)思わせる。 kamuy or wa okamkir ene a=e=yáynure カムイ オロ ワ オカムキリ エネ アエヤイヌレ あなたは神様からわざとそのように思わされた。(W民話) {E: to make…think…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yayotuasi
- ヤヨトゥアシ 【自動】[yay-o-tuasi 自分・の尻が(?)・安心である(=tuyasi)(?)] 自信がある。 kimunkamuy ne yakka yayotuasi hike i=kesanpa hi ne nankor キムンカムイ ネ ヤッカ ヤヨトゥアシ ヒケ イケサンパ ヒ ネ ナンコロ 熊でも自信のあるやつが私を追いかけたのでしょう。(HK民話) {E: to be confident.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yayruka ehosipi
- ヤイルカ エホシピ 【yay-ru ka e-hosipi】 自分の足跡を迂回する. キムンカムイ アナクネ ア・シトマ プ ネ. ア・クイラ ヒ パシテ コロ ヤイルカ エホシピ ニ センピリ タ イ・エトコウシ ペ ネ=熊は恐ろしいものだ.後をつけられたことに気づくと自分の足跡を迂回して木の陰で待ち伏せをするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- yaysarama
- ヤイサラマ 【他動】(受け身の形、 つまり主語不定人称形で) a=i=yáysarama アイヤイサラマ すべてをまかされている。(KSg) asinuma tap/a=iyáysarama/cup kamuy menoko/a=ne wa taptap アシヌマ タプ/アイヤイサラマ/チュプ カムイ メノコ/アネ ワ タプタプ 私はすべてをまかされている日月の女神ですが。(Sユーカラ語り) ☆参考 歌い手のサダモさんには意味を聞いてなかった。 「すべてをまかされている」は萱野茂氏の訳。 久保寺『辞典稿』には chinosarama に「選ばれる、 選定される」という訳がついている。 バチラー辞典には sarama に「擇(えら)ぶ. vt. To choose」とある。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaysittekka
- ヤイシッテッカ 【自動】[yay-sittek-ka 自分・落ち着く・(他動詞化)] 自分を落ち着かせる、 自制する、 がまんする。 yaysittekka wa té wano kamuy ewak sir un hosippa wa i=kore yan ヤイシッテッカ ワ テ ワノ カムイ エワク シリ ウン ホシッパ ワ イコレ ヤン どうかご自分を押えて、 今から神様の住む山へおもどり下さい。(W神謡語り) {E: to calm oneself; be patient; control oneself.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yoko
- ヨコ 【yoko】 構える,待ち構える,待ち伏せ,狙う. キムンカムイ ピウキ ワ エク ヒクス ア・コロ タシロ ア・オサウテッカ ワ ヨコ・アン=クマが襲いかかって来たので,私は自分の山刀をさっと抜いて身構えた.タント ク・エキムネ ニセンピリ タ ク・ヨコ ワ ク・アン アクス モマンペ ネ ヤ アプカ ネ ヤ ウオスオシ サン ペ ネ クス ポロンノ スマウェヘ ク・コロ=今日山へ行って木の陰に待ち構えていると雌鹿や雄鹿が次から次と出て来たのでたくさんの猟があった.ウパシ トゥム タ ヨコ・アン ワ アン・アプ シネ ユク シトゥ カリ ラン ヒクス クワ アニ ホラホチュウェ・アン イイェトゥシマク・アン=雪の中で待ち構えていたら1頭の鹿が峰から下りたので杖で滑り下りて先回りをした. (出典:萱野、方言:沙流)
- yomne
- ヨムネ 【yomne】 懲りる. ソモ ヨムネ ノ オトゥ スイ レ スイ ウェン プリ コロ ヒ ネ クス タンペ オロ タ アナクネ カムイ オロ ワ ア・パラコアッテ プ ネ ナンコロ ワ=懲りもせず2回も3回も悪いことをするのだから今回の場合は神様から罰を与えられるでありましょう.ネウン ア・キキク ヤッカ ヨムネ カ ソモ キ ノ オトゥ スイ レ スイ イッカ ハウェ ク・オクンヌレ=どのように殴られても懲りもしないで2回も3回も盗っ人をしているとは,私はあきれてしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
- yoyoyo
- ヨヨヨ 【yoyoyo】 よかったよかった. ソンノ ハルコロ カムイ ネ ワ カム トゥ カ サク ノ キリプウシ ヨヨヨ ヨヨヨ=本当に肥えた熊だ,肉の端もなく脂身ばかりだ,よかったよかった. (出典:萱野、方言:沙流)
- yuk
- ユク 【名】[動物] シカ(鹿)。 pon yuk ポン ユク (川下の人は poyyuk ポイユク と発音する。)小さい鹿、 子鹿。 yuk cikoykip ユク チコイキプ [鹿・けもの] 鹿 (kamuy cikoykip カムイ チコイキプ [熊・けもの] との対句表現で用いられる)。 yuk ne ciki kamuy ne ciki ユク ネ チキ カムイ ネ チキ 鹿でも熊でも(たくさんとれて…)。 ☆参考 単独では鹿を表すが、 合成語の中では síyuk シユク《雄の熊》のように熊を表すことがあり、 昔の言葉を反映しているものと思われる。 ☆参考 pinneraw ピンネラウ 雄の鹿。 matneraw マッネラウ 雌の鹿。 símomanpe シモマンペ 雄でも雌でも大きい鹿。(S)〔知分類 p.171〕 {E: a deer.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yúkar
- ユカラ 【自動/名】①[自動]ユーカラ(英雄叙事詩)を歌う。 ②[名]ユーカラ、 英雄叙事詩。 ③(語構成要素として)[自動](1)ものまねする(人の言った言葉も仕草もそっくりにまねする)。 (2)[< (1)]叙事詩を歌う。 ☆発音 沙流川の川下のほうや鵡川のほうでは、 r ラリルレロ に終わる他の語の場合と同様、 語末の r ラ は ラ のようには発音せず、 むしろ ル に近い音色に発音する。 ワテケさんはこの語を日本語として言うときでも、 「ユーカラ」とは言わず「ユカル」と言っていた。 ☆参考 ユーカラ(英雄叙事詩)は口承文学のジャンルの一つで、 この地方では、 Poyyaunpe ポイヤウンペ《小さい陸の人》と呼ばれるみなしごの少年が自叙する形の叙事詩をいう。 昔は主に男が歌ったという。 昔、 oyna オイナ 「聖伝、 神伝、 聖典」と呼ばれて区別されたジャンルも、 この時代の歌い手には yúkar ユカラ と呼ばれる。 女子が主人公で女子が歌う叙事詩を menokoyukar メノコユカラ 「女の叙事詩」と呼び、 これと区別して男が主人公で主に男が歌う英雄叙事詩を okkayoyukar オッカヨユカラ 「男の叙事詩」と呼ぶこともある。 一方、 主に鳥やけものなどの神が主人公で自叙する、 折り返しを入れて歌われる「神謡」は、 下流で kamuyyukar/kamuyukar カムイユカラ/カムユカラ[< kamuy-yukar 神・叙事詩]と呼ばれ、 中流では menokoyukar メノコユカラ[menoko-yukar 女・叙事詩]と呼ばれる。 この地方でただ yúkar ユカラ というときは、 上述の、 みなし子の少年が主人公でこれが自叙する英雄叙事詩を指す。 これは、 日常会話や昔話、 即興歌などでは通常使われない独特の語句や、 古風な美文調の言い回しや複雑に入り組んだ文法を含んでいる。 通常木の棒(たきぎの一本)で炉ぶちをたたいて拍子をとりながら歌い、 聞き手はときどき hot ! ホッ! という合の手を入れる。通常のユーカラのほかに、 おもしろおかしい言葉や内容を中にはさんで笑い楽しむユーカラを sinot yúkar シノッ ユカラ《遊びのユーカラ》と言う。 ☆参考 eyukar エユカラ …をものまねする(言葉や仕事をそっくりに)。 koeyukar コエユカラ …(人)の…をものまねする。 yayeyukar ヤイェユカラ 自分のことを(神謡として)歌う。 ☆参考 樺太方言では yuukara ユーカラ が歌うことを言い、 北海道南部の yúkar ユカラ に似た口承文学に hawki ハウキ というものがある。 ☞kamuyyukar カムイユカラ、 menokoyukar メノコユカラ {E: ①to recite yukar (v.). ②yukar; epic folktales(n.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yuksapaunni
- ユクサパウンニ 【名】[yuk-sapa-un-ni 鹿・頭・が…にある・木] 鹿の頭が置かれる木、 鹿の頭をのせる木。 ☆参考 木の枝分かれした所に、 殺した鹿の頭蓋骨をのせて家の東の祭壇に立ててまつっておく、 その木を言う。 ☆参考 kamuysapaunni カムイサパウンニ は熊の頭をのせる木。 {E: a tree on which the head of a deer is placed.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
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萱野 茂『萱野茂のアイヌ語辞典』1996年 ©萱野れい子
田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』1996年 ©田村洋一