○幼少~学生時代についてお聞かせ下さい。
姉達がいたからでしょうか、小さい頃は少しませていて大人しめの子供でした。習字やピアノ、絵画と多くの習い事に通っていました。クリエイティブなことが好きだったので絵画教室は楽しく、特に粘土や彫刻はとても面白かったのを覚えています。彫刻では小さなものですが賞を頂いたこともあるんですよ。
中学時代は体操部に所属し「床」が得意でした。高校生になると勉強が大変なのと、遠方から電車で通っていたため部活は出来ませんでしたが、仲の良い友達と京橋で寄り道したりして女子高生を満喫。大学では家政学を学びながら、父の勧めでゴルフ部に入ったり、煎茶部でお茶を飲んだり、学部一怖いとされていた教授に何故か気に入られたり(笑)と、本当に楽しい日々を過ごしました。
○社会人(サラリーマン)時代についてお聞かせ下さい。
短大を卒業後、母校で家庭科の先生として働きました。結婚までの1年という短い期間でしたが、いつも家庭科室に生徒達が相談に来たりして毎日がドラマのようでしたね。しかも、最後の日にはみんなが私の為にオリジナルソングを歌ってくれたんです。とても嬉しくて涙が出ました。
結婚後は専業主婦になり、家事や育児の合間にPTAや子供会、地域の寄り合いなどに積極的に参加していました。その時に人との付き合い方が磨かれて、今でも役立っていると思います。自分の可能性を広げるため、英会話やフラワーアレンジメントなども習いました。
起業のきっかけは夫の母親が抗がん剤治療を受けて髪が抜けたこと。私を実の娘の様に思ってくれた母の辛さを少しでも和らげたくて、手縫いで帽子を縫ったのがバンダナ帽の原点です。
○経営者としての喜びや苦労についてお聞かせ下さい。
バンダナ帽で元気を取り戻してくれた母のように、多くの患者さんに元気になっていただきたいと商品開発や営業を弛まずに続けてきました。そういった地道な努力が実を結び、お客さまから喜びの声をいただけた時は嬉しくてたまりません。会社としての姿勢が認められ、日本人で初めてスティービーアワードを受賞させていただいたのも光栄なことでした。そんな風に、いくつもの「達成感」を感じられるのが経営者としての喜びです。
苦労を感じたことはあまりありません。苦労を苦労と思わない性格ですし、逆境は試練と思って臨みます。試練は沢山ある方が強い人間になれるという信念でこれまで歩んできました。
○今後の社長自身の目標をお聞かせください。(プライベートでも構いません)
一番の夢は、副作用のない抗がん剤が開発され、患者さんから髪の悩みがなくなることです。そうなればバンダナ帽は必要なくなるかもしれません。それでも、患者さんの苦痛が少しでも和らぐことが私の最大の喜びであり、願いなんです。
○日本の構造問題として改革・改善したいことがあればお聞かせください。
国家間においても、企業間においても意志の疎通を潤滑に行なうことが、より良い発展の近道です。そのためには、日本人の語学を磨かなければなりません。日本の構造を変えるといった大きな改革も大切ですが、もっと多くの日本人が外国語を話せるように、言語に対する意識や教育の改革が必要だと思いますね。
○御社の仕事の魅力と苦労をお聞かせ下さい。
患者さん本人やご家族からの喜びの声を聞いたり、弊社社員や工場で生産に従事されている方々の弛まぬ努力を見ると、バンダナ帽を通じて皆が繋がっていると実感できます。それがこの仕事の魅力ですね。商品に付けられている「akko」も「あったかこころ」の略であり、商品を通じて私達と患者さん、そしてそのご家族に優しさがリンクしていって欲しいとの想いが込められているんです。
当初はこのような患者さんのための帽子が世の中になかったこともあり、生産や販売には大きな困難も伴いました。しかしそれを乗り越え、患者さんを笑顔にする商品を世に送り出せていることにとても満足しています。これからもパイオニアとして、バンダナ帽の可能性をとことんまで追求していきます。
○御社の強みをお聞かせ下さい。
患者さんの声を取り入れ、患者さん目線で作った商品力が強みです。患者さんの会合にも何度も足を運び、そこで意見を伺い商品作りに役立てているため、現時点でこれ以上のものはないと自負しています。
また、類似商品を販売する他社の生産拠点が人件費の安いアジアに移っていく中、国産の綿を100%使用し、国内で製造する、完全国産にこだわっています。採算を考え原価を切り詰めるような商売をせず、質のよい商品を丁寧に作り、患者さんのお財布に優しい値段で販売する「薄利少売」をずっと続けています。
○今後、どのような人材が欲しいかをお聞かせ下さい。
ありきたりな優等生タイプだと一緒にいても楽しくないので、面白い人や変わった人と一緒に働きたいですね。将来的にはバンダナ帽の販売店を順に見てまわったり、病院などから患者さんの声を広くリサーチしてくれるようなスタッフが必要になると思います。
○会社としての今後の目標を教えて下さい。
アクティアという社名は「アクティブ」と「ウェア」からなる造語で、バンダナ帽で患者さんが少しでも希望を持ち、前向きな気持ち(アクティブ)になれるようにとの願いが込められています。これからも、患者さんが本当に必要としているものに真摯に耳を傾け、「意味のあるあたたかい商品」を作っていきたいです。
○日本を背負う若者へのメッセージ
今まで多くの人を見てきましたが、思い切ったことをやる人にチャンスは多く訪れます。周りの人に合わせて無難な道を選ぶのは面白くないと思いますよ。そして、いろんな個性を認めあうような社会を築いていきましょう。