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はつらつ健康指南

健康・ダイエット・エクササイズ

ニラと誤認、スイセン食中毒相次ぐ

刺激臭の有無で判別可能

ニラ(上)とスイセン。そっくりに見える(東京都薬用植物園提供)

スイセン(右)の茎はニラより太い

 ニラと間違えてスイセンを食べてしまう食中毒が全国で相次いでいるため、公益財団法人「日本中毒情報センター」(本部・茨城県つくば市)などが注意を呼びかけている。

 スイセンは、地中海沿岸からアフリカ北部が原産の多年草で、ニホンスイセンやラッパスイセンなど様々な種類がある。葉はニラや山菜のノビルに、球根はタマネギに似ている。開花時期は西洋種で3~4月頃、日本種で12~2月頃。

 葉や球根には有毒成分のアルカロイドが含まれており、誤って食べると、30分程度で 嘔吐おうと や下痢などの症状を引き起こす。

 最近では、兵庫県の障害者支援施設で3月4日、プランターで育てていたスイセンの葉を中華丼に入れて食べた職員と通所者計10人が、食中毒の症状を訴えた。30日には、山形県鶴岡市で70代女性が自宅庭に生えていたスイセンの葉を卵とじにして食べ40分後に嘔吐し、病院を受診したケースがあった。

 厚生労働省によると、スイセンによる食中毒は、2006~15年の10年間に37件発生しており、患者数は149人に上った。一時入院した人もいた。

 ニラを栽培していると勘違いしたり、確証がないまま軽い気持ちで食べてしまったりするケースが多い。日本中毒情報センターは「花が散ったこれからの季節は、間違いやすくなる」と注意を促す。

 東京都薬用植物園によると、スイセンとニラは臭いの有無で判別できる。スイセンにはニラのような刺激臭がない。スイセンは全体的にニラより大きく、葉の幅は広めで厚みがある。茎も太い。

 同園主任研究員の中村 こう さんは「もし、家庭でニラやスイセンを育てるなら場所を離す。危ないと思ったら食べないこと」とアドバイスする。

他の植物も注意必要

 有毒植物による食中毒はスイセン以外でも起きている。

 バイケイソウは、山菜採りのシーズンにオオバギボウシやギョウジャニンニクと間違われやすい。厚労省によると、2015年までの10年間で65人の食中毒事例が報告されている。オオバギボウシと同じ場所に生えることもあり、特に若芽の時期は区別が難しいという。

 チョウセンアサガオでは55人。根がゴボウ、つぼみはオクラに似ている。根は、ゴボウに比べてもろく折れやすい。

 イヌサフランでは16人で、うち4人が死亡している。球根をジャガイモやタマネギと、葉をギボウシやギョウジャニンニクと間違いやすいという。球根は皮が茶色く、葉はニンニクのような臭いがしないなどの特徴がある。

 このほかトリカブトとグロリオサでも、それぞれ2人が亡くなっている。

 実は、ジャガイモによる食中毒も多く、症状を訴えた事例は411人に上る。光に当たって皮が黄緑や緑に変色した部分や、芽に有毒成分が含まれており、嘔吐や下痢を引き起こす。同省は、ジャガイモは冷暗所で保存し、芽やその周辺部分は確実に取り除くよう注意を促している。(斉藤保)

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