浜田省吾の『悲しみは雪のように』…ドラマ主題歌起用が当時“意外”だったワケ

国民的大スターになったきっかけ
週刊現代 プロフィール

何かが始まる期待感を持たせてくれる「イントロ」

 楽曲を提供すると決めた時点で、浜田君のなかでは明確なサウンドのイメージが出来ていたようです。彼はアメリカのロックアーティスト、ジュード・コールの曲を聴かせてくれて、「こんなサウンドにしてもらえたら嬉しい」と言われた記憶があります。

スージー '92年は通信カラオケが広まった年で、カラオケで好まれるデジタル感のあるサウンドの曲が人気を集めていました。この曲は、そうした時代の流れにもマッチしていましたね。

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大多 特に印象的なのはイントロです。たとえば小田和正さんの『ラブ・ストーリーは突然に』の「♪チャカチャーン」もそうですが、出だし数秒で何かが始まる期待感を持たせてくれるイントロは、ドラマの主題歌にぴったりなんです。

 雪がモチーフになっている歌詞だから、寒さや厳しさをアレンジで表現したいと考えました。イントロに入れたシンセサイザーの音も、冬の厳しさを表現したものなんです。

僕はもともとギタリストなので、ギターサウンドにもこだわりました。この時は、ギターに「安全地帯」の武沢豊(侑昂)君を起用した。北海道・大雪山の麓で生まれ育った武沢君なら、ギターで冬のイメージを表現できるはず、と考えてのことです。

大多 そこまで計算していたんですね。

不器用で実直な性格がファンを魅了してきた「ハマショー」。商売下手ともいえる彼が一躍国民的スターとなったのが、この『悲しみは雪のように』だった。イントロだけじゃない、この曲の魅力を3人が存分に語りつくす。後編記事「『悲しみは雪のように』の170万枚大ヒットは必然…浜田省吾の「歌唱力」は圧倒的だった)」で引き続き紹介する。

「週刊現代」2023年2月11・18日合併号より

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