【累犯障害者支援基金シンポ】(4)可視化、知的障害者540件で試行

 知的障害の疑いのある人の取り調べの録音・録画(可視化)について検察庁は、2011年4月からの1年間に540事件で試行した。このほか大学教授や元保護観察官など心理・福祉の専門家の協力を求め、知的障害者の供述の特徴や質問する際に注意すべきことについて助言を受け、取り調べに同席してもらっている。少年事件の可視化の試行範囲や方法の検討も始めている。

 可視化は東京地検を皮切りに、現在は九州を含む全地検で実施。取り調べの途中にコミュニケーション能力に疑いがあると判断した事例を含む全過程の可視化は303件(約56%)だった。今秋ごろから、精神障害のある人や特捜部以外の捜査事件にも拡大させる。

 専門家による助言と立ち合いの両方を実施したのは12件。立ち合いは取調官とのやりとりを“通訳”してもらったのが10件、容疑者の供述能力を判断してもらったのが2件。

 最高検は今月「新たな時代における取り調べのあり方検討チーム」を発足させた。検察官の取り調べ能力を向上させるため、海外の取り調べを研究するなど教育や研修を調査する。

=2012/07/20付 西日本新聞朝刊=

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