ゴミ屋敷に暮らす母子の動画に330万再生 清掃業YouTuberの想い「“ゴミ屋敷=だらしない”は想像力不足」
ORICON NEWS / 2023年2月20日 7時30分
ゴミ屋敷の片付けや不用品回収などを行う大阪市の専門業者「イーブイ」。彼らのYouTubeチャンネル「イーブイ片付けチャンネル」では、就活に失敗し片付けられなくなった女子大生やゴミ屋敷で子どもと一緒に暮らすシングルマザー、病気がちで身の回りの世話もままならず溜め込んでしまったゴミの山の中で亡くなるまで暮らした男性など、さまざまなケースでゴミ屋敷になってしまった背景が垣間見える。ただ、ゴミを片付けるだけでなく、依頼者のケアもするイーブイの従業員の姿に反響も大きい。「片付けられないのはだらしない、セルフネグレクトでまとめるのはちょっと違うなと思います」と同社・二見文直社長は話す。
【画像】病室から緊急依頼、ゴミで埋め尽くされた20代女性の汚部屋「自分が死んだら、両親にこの現状見せられない」
■2DKに足の踏み場が無いほどのゴミ…依頼者から「動画にしてほしい」と懇願したワケ
イーブイ片付けチャンネルで最も多く見られているのが「ゴミ屋敷に子ども一緒に住まれている現状【前編】」。2DKの部屋に足の踏み場がないほどのゴミ、うず高く積まれたビール缶の山、生ごみが散乱した衝撃的なゴミ屋敷の清掃に迫った動画は約330万再生されている。
「あの動画を公開してから、『実は私もなんです』という依頼が増えました。『勇気づけられた』という声もいただきました。動画を見て『私だけじゃなかったんだ』と依頼してくるのだと思います。一方で、人に言えずに悩んでいる方も多いんだなと感じました。単純に相談できる相手が少ないのかもしれません」
普段は、「孤独死、室内での自殺現場、子どもと一緒にゴミ屋敷に住んでいる家」の場合は、動画にしないのが信条。しかし、これを動画にしたのは依頼者からの「動画にしてほしい」という強い要望があったからだという。
「もともと依頼者はこの家に住む母親の友人でした。僕らは、片付けに悩んでいる人に自分ひとりではないと共感してほしいという想いから動画を撮っているのですが、母親にもその想いが伝わったようで、片付ける決意ができたそうです」
この動画については後日談がある。
「たまたまなんですが、この取材の一週間前に、あの動画の母親から連絡あったんです。『私、片付けてもらってから人生が変わって、今は社長になったんです』と。動画は今でもお子さんと一緒に見てくださっているようです」
■誹謗中傷で一度はYouTubeチャンネル停止も…再開を決めた依頼者の一言
イーブイ片付けチャンネルの動画には、ほかにも「自分が死んで親が部屋を見に行ったら悲しんでしまう」と病室から片付けを依頼する女性や、仕事で生活を「後回し」にした結果、汚部屋になってしまった男性など、汚部屋を打開しようとイーブイに駆け込む依頼者の姿が垣間見える。片付けを通して見える依頼者の在り様は、ドキュメンタリーを見ているかのようだ。
「片付けられない人は、自己犠牲をしている人が多いんです。例えば、キャパオーバーの仕事量を抱えてしまい、誰にも相談できずに自分のことを後回しにしてしまうなど。自分のことを後回しにして、なんでも聞いてしまう人がなりやすいですね」
そもそもYouTubeチャンネルをはじめたきっかけは、テレビ番組からの依頼だった。
「お笑い芸人が一緒に片付けるみたいなのをやりたいという企画での依頼が多いんです。でも依頼主さんには色々な事情があり、後ろめたい思いもあるなかで依頼してくれているのに、『うわー汚い』とか言ってテレビで放送されてしまうと、依頼主さんを傷つけてしまう。そういう懸念もあり、メディアの依頼は断ってきました。
そのうち、僕らがYouTubeで真実を配信すれば、いいんじゃないかと考えるようになりました。その人なりの捨てられない想いや背景は色々ある。そういった人たちに向けてはじめました」
片付けに悩む人に向けてはじめたチャンネルは着実にチャンネル登録者数を増やしていった。順調そうに見えるが、一度だけ心が折れて辞めることを考えた。
「『どんだけ汚いんだよ』とか『だらしないな』とか、依頼者への誹謗中傷が多く届いたときは、もう配信するのを辞めようと1ヵ月ほど配信を停止しました。すると、動画を観てくださっている方や出演してくださった依頼者さんから連絡が来るように。『僕らに対する誹謗中傷なら我慢できるけど、依頼者さんに対するものはちょっと耐えられなので辞める』と伝えた時、ある依頼者さんに『それは間違っている』と言われたんです。『イーブイさんのYouTubeのおかげで救われている人はたくさんいるんだから、絶対に続けなきゃダメですよ』と。それを聞いて今度は僕が救われました」
■今でも忘れられない依頼者との出会い 自殺した息子の部屋を片付けられなかった母
部屋を片付けられない人には年齢や性別で大きな差はないという。ただ、男性の場合は、仕事が忙しくて家は寝るだけになってしまったことでゴミを溜め込み、女性はモノに感情移入し、捨てられなくなるケースが多い。
「『捨てるのは悪いことじゃないし、捨てるというのは思い出まで処分するわけじゃない』とよく言っていますが、それでも思い出まで捨ててしまう気がすると感じる方は多いです」
そうはいっても「思い出の踏ん切りって難しいですよね」とも話す。どうしても忘れられない依頼があるからだ。
「彼女はシングルマザーで、一人息子をちゃんと育てなきゃいけないと思ってがむしゃらにずっと働いていたそうなんです。それゆえに、自殺するまで息子さんの気持ちに気づけなかった自分をとても責めていました。
団地を退去しないといけないということで、引っ越しの依頼だったのですが、『息子の物は一切触ることができない』と。息子さんの部屋は、何から何まですべて生前当時のままになっていました。見積もりをとっている間もずっと涙を流されていて。『じゃあ、今は踏ん切りがつかないでしょうから、一旦お母さんの荷物だけを持って行きましょう。この部屋は触らずにしときましょう』と言いました。その方は、未だにそこに家賃を払い続けたまま、別の家に住んでいます」
■「みんな苦手って絶対あるはずなのに、片付けにだけ攻撃するのはおかしい」
「大切にしているのは、絶対に根底にあるのは、一番の理解者であって一番の良き相談相手じゃないといけないということです。頭ごなしに『なんで汚いの?』とか『なんで片付けられないの?』って言われちゃうと、依頼者さんも『私のことを何も知らないくせに』ってなっちゃうと思うんです。否定はせず寄り添うことを心がけています」
片付けの依頼は月に120~130件ほど。さまざまな依頼者と話していくなかで、見えてきたのは、些細なきっかけから片付けられなくなるケースが多いということ。「たとえば、近所のゴミ出しで「『分別がなってない』と注意されたことでゴミが出せなくなって溜め込んでしまうケースが1つあります」と話す。ゴミを誰かに覗かれていると思うと、怖くなり、ゴミ出し出来なくなったという人も多いのだという。
「僕らが片付けをはじめたときには、依頼者さんの悩みをここまでイメージできていませんでした。依頼者さんとお話していくうちに、彼らの背景がわかるようになってきた。でも、批判している人はそういう背景の部分とかをそこまで想像できていない、イメージ不足っていうのが圧倒的に多いと思いますね」
「ゴミ屋敷=汚い、だらしない」というイメージは必ずしもそうではないのだ。そのことについて、二見社長は、「運転ができない人や料理が苦手な人とかと何も変わらない」と話す。
「料理が苦手な人は出前を頼んだり、ご飯を食べに行ったりするように、片付けが苦手な人は清掃業者に頼むというだけです。各々みんな苦手って絶対あるはずなのに、片付けにだけ攻撃するのはおかしいんじゃないかなって思います」
だからこそ、配信を見て悩んでいる人がいたら「相談だけもいいから連絡をしてほしい」と話す。片付けられない自分を責めないでほしいとも。
そんな二見社長にこの仕事のやりがいについて聞くと、「片付けてお金をもらっている立場なのに感謝をされて喜んでもらえるって、めちゃくちゃ幸せな仕事だと思います」と笑顔で答えた。
「依頼者さんの多くは、声が暗かったりボソボソと喋ったりする方が多いんです。でも、片付けた後は、みんな表情も声もとても明るくなっている。まるでスッキリしたって感じで。それを見ると、こちらまで嬉しくなります。少しでも力になれてよかったって」
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