“共闘型”の受託開発で収益を確保。デザインに強いスタートアップ
SEREAL株式会社は、デザインに強みを持つスタートアップスタジオである。スタートアップや新規事業におけるデジタルプロダクトの戦略策定からUI/ UXデザイン、MVP実装、初期マーケティング等、0から1を作り出すことを得意とする。拠点を置く福岡市を中心に、全国規模でビジネスを展開中だ。
事業やプロダクトの生み出し方は様々だが、同社では大きくスタートアップ事業、“共闘型”デザインパートナー事業、コラボ開発事業の三つに分類して展開している。
スタートアップ事業では、自社サービスを企画から開発、運営に至るまで、全て自社内で開発を行う。現在は2021年9月にファーストプロダクトとしてリリースしたデザイナー特化型のクラウドソーシング『1Design』の運営に注力。
“共闘型”デザインパートナー事業では、クライアントから引き合いが来たら、まずはオーダーを受けるかどうかの判断から始める。判断基準は世の中を変える可能性があるかどうか。イノベーティブであること、事業主体が世の中を変え得る素質があるかどうか、継続することができるかといった面を徹底的に検証し、可能性があると感じたものだけを受託する。その上で、開発の主導権を発注者に任せるのではなく、業界の勉強をして、ゼロから関わり、一緒に作って行くスタイルをとる。それが“共闘型”と謳う所以である。
「デジタルプロダクトに関しては、クライアントよりも我々の方がナレッジを持っていますので、ビジネスをデジタル化する上でより良いと思われる提言をし、議論しながら作っていきます。それによりクライアントと我々、双方のナレッジが融合したプロダクトが生まれます」(CEO・安達誠寛氏)
コラボ開発事業は、この共闘型の開発スタイルをさらに推し進めた共同サービス開発である。受託開発とは異なり、同社も事業主体の一部としてプロダクト創出により深く関わる。
誰と組むか、いかに組むかで、関わり方は多岐にわたる。事業実績のある中小企業や大企業と協業して事業を作って行くケースもあれば、スタートアップ企業や起業家を支援する形で作るケースもある。マーケティングや企画、デザイン、プログラミングといったスキルの提供だけではなく、共同出資の形で自己資金を投入し事業化していくケースもある。デザインパートナー事業が、作ったものに対して対価を得るのに対し、コラボ開発事業の場合は、収益化しなければ同社の利益は生まれない。リスクは高いが、その分、成功すれば大きなリターンが得られるのが大きな特徴である。
「これまでは世の中のニーズが明確だったため解決方法も明快で、簡単にプロダクトを作ることができました。しかし今は普通に作っているだけでは、既にあるものと同じようなものが生まれるだけです。VUCAの時代といわれる世の中において新しいものを作ろうとすると、従来型の制作スタイルでは対応できません。そこで今、弊社への引き合いが増えているという状況です」(安達氏)