日本の名目GDP、ドイツが肉薄 世界3位危うく
日本が維持してきた国内総生産(GDP)で世界3位という地位が危うくなってきている。長引くデフレに足元の急激な円安・ドル高が加わり、ドル換算した名目GDPで世界4位のドイツとの差が急速に縮まっている。世界最大の人口大国になったもようのインドも猛追しており、世界経済で日本の存在感はしぼみつつある。
2022年の日独の名目GDPに年平均の為替レートをかけあわせて比較した。日本のドル建てGDPは4兆23...
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(更新)- 滝沢美帆学習院大学経済学部 教授ひとこと解説
ドイツと日本の人口はそれぞれ8300万人、1億2600万人ですから、GDPが両国で同レベルであるとすると、日本における一人当たり付加価値額(労働生産性)はドイツの三分の二ということになります。両国とも少子高齢化が進んでおり、企業数の99%以上は中小企業である点などが類似しているにも関わらず、生産性格差が存在する理由の一つとして、ドイツの中小企業の生産性が日本に比して高いことが挙げられるでしょう。地の利を生かして20%程のドイツの中小企業は輸出をしています(日本は3%程度)。品質の良いプロダクトを生産している日本の中小企業に対する輸出支援は、今後の日本経済にとって重要な政策の一つとなりそうです。
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(更新) - 永浜利広第一生命経済研究所 首席エコノミストひとこと解説
バブル崩壊後の経済が長期停滞したことにより、需要急減に伴い労働力や設備・R&D投資、起業等が減少した結果、供給力が棄損し、長期にわたって成長力が低下したことが主因かと思います。 こうした履歴効果があるため、金融・財政政策等の需要刺激策は、短期のみならず長期の成長戦略としても重要ということがわかります。 このため、人的資本の蓄積やインフラ整備、R&D強化、温暖化防止面等での財政需要より長期の成長力を確保するといった財政政策を伴う成長戦略が世界の潮流となっています。
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(更新) - 今村卓丸紅 執行役員 経済研究所長分析・考察
ドイツもこの先は厳しいと思います。かつては割安なロシア産のエネルギーへの依存がドイツの輸出産業の高い競争力を下支えしましたが、ロシアのウクライナ侵略以降はエネルギーの脱ロシア依存を余儀なくされコストが増えています。その削減は今後再生可能エネルギーの投資が加速しても困難でしょう。輸出産業の競争力も削がれると思います。同じくエネルギーからインフレが残りそうなEU全体、EUとの関係悪化が顕著な中国など、地域面でもドイツの輸出は伸び悩みそうです。ドイツのEU拡大を主導し経済発展に活用した成果と今直面する課題の多さ、その両方を同じくエネルギーの輸入依存が高い先進国として日本は認識すべきだと思います。
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(更新) - 梶原誠日本経済新聞社 本社コメンテーターひとこと解説
世界のGDPに占める日本の比率は1994年に18%でした。今は4%しかありません。世界の多国籍企業はこの値を目安に経営資源の配分を決めますので、日本には優秀な人材や資本が来なくなり、成長力がもっと落ちる悪循環に陥りかねません。企業が稼ぐ力を取り戻す必要があります。「(夢も冒険心もなければ)老いたる発展途上国になる」。1999年度の経済白書で堺屋太一・経済企画庁(現内閣府)長官が警告しました。残念ながらその道を歩んでいます。
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