やはり原因は「あり得ない不動産価格の上昇」
実は、リーマン・ショックも日本のバブルと似ているところがあります。日本のバブル崩壊の致命的な痛手を見て、さんざん研究し、世界中が「日本みたいにはならないようにしよう」と強く思っていたにもかかわらずです。それも金融で世界最先端を行くアメリカで、です。
アメリカの不動産は、ちょうど日本のバブルが弾けてボロボロになっていたころから上昇し始めました。
プラザ合意以降、景気減速に伴いアメリカの長期金利は基本的に低下しつづけました。そこで日本と同じく、不動産は買えば上がるからどんどん買おう、高くなる前に早く買おうという状態になりました。
世界中でデフレがつづいたために、アメリカ政府は市場にお金を供給していきました。それもまた不動産が上がる要因になります。そこで銀行では、不動産を担保にお金を貸すことを始めます。
銀行はどの不動産を買ってもどうせ値上がりをすると、「返せそうにない人でもいいや」とろくな審査もしないでバンバン貸し付けてしまいます。これを「サブプライムローン」といいます。プライムの「上級」や「一流」という意味に対して「それほどじゃない」というような意味でサブプライムと呼んでいたということですが、随分と持ち上げて表現したものです。
次の図は、ケース・シラー住宅価格指数という、アメリカの住宅価格を表す代表的な指数です。図からは、主要都市の値段はサブプライム時にその前より2倍ほど上昇していることがわかります。

リーマン・ショックは日本のバブルのときから20年以上経っていますので、もちろん違う部分もあります。新しいのは「証券化」という手法を使ったことです。証券化というのは簡単に言うと、「企業が持つ資産を、投資家に小口販売する」ことです。
これをサブプライムローン(返せそうにない人が借りたローン)でつくったものがリーマン・ショックでは大量に販売されました。