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掲載期間:2008/10/03-2009/01/31
3年ぶりのNew Albumついにリリース!! 7th ALBUM 『DIG OUT YOUR SOUL』2008.10.1 Release※日本一週間先行発売!
Interview

ニューアルバムと自作の楽曲について、メンバーを個々に直撃!
日本のファンへのメッセージも語ってくれた。

Interview ■リアム・ギャラガー編 (リードボーカル)

― 『DIG OUT YOUR SOUL』は、オアシスのまさにネクスト・レヴェルを提示したと言うべき傑作だと確信しています。まずは、完成した現段階での率直な心境を聞かせてください。

リアム: 自慢のアルバムなんだ。いいアルバムだと思う。僕たちのアルバムは全部良い作品だけど、これは特に完成度が高いと僕は思っている。誇りに思っているし、早くみんなにも聴いてもらいたい。みんなが気に入ってくれたら本当にありがたいし、気に入らない人には力づくでも聴かせて好きになってもらうよ。自慢のアルバムだから、みんなに買ってもらいたい。それから、気に入ってくれてどうもありがとう。

― リアム作の「I'm Outta Time」「Ain't Got Nothin'」は、どれもが素晴らしい出来映えです。まず「I'm Outta Time」ですが、リアム・ソングとしてのみならず、オアシスとしてのベスト・チューンのひとつと言ってもいい、とんでもなく美しいバラードです。で、こんな美しい曲は、美しい心を持っている人にしか書けないと思うのです。あなたは、ラッドなイメージの陰に、純粋で汚れのない心を隠し持っているのですね?

リアム: (笑)そう、今まで本当の自分を隠して、みんなを騙していたんだ!(純粋で汚れのない心を隠し持っている?)その通りだよ!本当にその通り!誰だって純粋で汚れのない心を持っているんだ。ただそれをなかなか見せないだけでね。でも僕には二面性があるんだ。説明するのは難しいけれど、僕のなかには純粋で汚れのない魂がある。間違いなくね!でも多くの人は、ロックンローラーとしての僕の一面ばかり見ているんだ。もちろん、僕はロックンローラーとしての自分も誇りに思っている。あの部分も必要だからね。ただ僕も少し大人になって、賢くなってきたのかもしれない。

― 歌詞について。この「I'm Outta~」は、誰に対して、どんな気持ちを綴ったのか、可能な範囲でOKですので、よかったら聞かせてください。

リアム: 僕がジョン・レノンへのトリビュート曲を書いたと言われているけれど、もしも最初から僕がジョンへのトリビュート曲を意図的に作ろうとしても、僕には絶対に書けない。これは自宅のベッドの端に座って、ギターを弾きながら作った曲なんだ。テレビが全くおもしろくなくて、思い付くままに即興で演奏しているうちに、「これはかなりいいぞ!」と思ったから、電話を使って録音したんだ。最後にジョン・レノンのサンプルが出て来るから、みんな彼へのトリビュート曲とか、彼への気持ちを綴った曲のように思われるけれど、最初から意図的にそう作り込んでいったんじゃない。頭に浮かぶ言葉を素直に並べていって、それにメロディをつけたら、僕も急にリラックスできた。特定の人に対する気持ちを歌った曲ではないよ。

― 同曲では、ジョン・レノンのBBCインタヴューを引用されています。特に思い入れが強いコメントなのですか?

リアム: 座って、これまでに考えたけど、使っていない歌詞を思い出そうとしている時に、最初に頭に浮かんだのがあのインタビューだったんだ。「ウィンストン・チャーチル」とか言っているあのインタビューが頭に浮かんだ時には、自分でもギョっとしたよ。それから「アメリカに移る」とか「アメリカにしばらく住んでいた」と誰かが言うと、必ず「イギリスのどこが悪いの?」という質問が返って来て、それに対してまた「別にイギリスが消えてなくなるわけじゃないからいいじゃないか」というように会話を進んでいく様子が頭に浮かんだ。それを曲にしていっただけなんだけど、それが音楽の持つ魔法の力なんだね! レノンの言葉を借りると、「曲に恥じない」(歌詞)であることを祈っている。それからインタビューの言葉を通じて、ジョン・レノンが僕たちの曲に参加してくれたことを、とても光栄に思っている。

― 次に「Ain't Got Nothin'」は、サイケでカオティックな演奏と、あえてポップさを抑えたようなシンプルな構成のメロディが印象的な、短いけどとても濃密なナンバーで、非常に新鮮でした。この曲はどのように出来上がっていったのでしょうか?

リアム: これはアコースティック・ギターを弾きながら、ウィーラーエンド・スタジオ(Wheeler End Studio)で作った曲だ。とってもむかついていた時だったから、「なんだ、バカ野郎!」と思いながら作った。この曲の場合も歌詞は自然に出来たもので、最初から「こういうテーマの歌詞にしよう」と、意図的に作ったのではない。歌詞のなかには、ドイツに対する英国の攻撃(戦時中)関連の言葉も出て来る。「英国空軍におれたちは倒された」みたいな歌詞があるけれど、これは今でも「英国が最初にドイツに対して戦争を仕掛けて来た」と、いまでも英国が悪いという奴がいるんだ。これは史実に反した発言だけどね! だから真ん中の部分に、「ボコボコにされた!」みたいな、コミカルな表現もいれた。この部分は自分でも気に入っている。基本的には疾走感を追求した曲なんだ。

― そして、エンディングを飾る「Soldier On」。この曲は、メロディの起伏がなんとも絶妙な、甘美でトリップ感のあるナンバーで、これもまた新機軸に思えます。この曲は、何かにインスパイアされてできたのでしょうか?

リアム: 自分でもわからないなあ……。これは僕たちのウィーラーエンド・スタジオで作った曲の一つなんだ。ある夜、僕とアンディはかなり酔っぱらっていて、その状態でイスに座って演奏をしていたら、グルーヴ感のある曲が出来ていったんだ。その過程や理由は僕にはよく説明できない。「これはXXXを歌った曲」みたいな説明が僕には出来ない。僕の曲は全て、必然的に生まれ、意図を持っている。「Soldier On」や「Don’t Anything Let You Down」が意図することはただ、「頑張れ!頑張り続けろ」ということだ。

― 最後に、日本盤ボートラの「I Believe In All」は、アップ・ビートでストレートで、ポップ感にあふれた、他の3曲とはまた違うトーンを持つ上質のロック・ナンバーです。これはたとえば、以前に書かれていて、ずっと温めていた曲?

リアム: その通り。正直に話すと、僕の曲はほとんどが、同じ時に作ったものなんだ。あれはアコースティックの曲だ。とは言っても、僕にはアコースティックの意味もよくわからないけどね。(訳注:ゲムがインタビューで触れている、ノエルの『今度のアルバムはアコースティックをやめよう!』という指示をおそらく皮肉って言ったのだと思います)。ノエルはエレクトリックを使っていた。とにかくエレクトリックなサウンドだった。最初ノエルは気に入らなかったけれど、僕はいい曲だと信じて、ずっと暖めていたんだ。ずっと前にアルバムに入っていても良かった曲だよ。

― 日本のファンについてはどう感じていますか?ちょっとおとなしいですか?

リアム: ちょっと見、おとなしそうに感じるけれど、本当は違うってことを僕は知っている。他の国のファンと同様、かなりクレージーだよ!僕は日本も日本人も大好きだ。行儀がいいし、服もオシャレだし、とてもいい人達だと思う。とってもクールだとおもう。

― この新作の到着と、毎回、大合唱大会になる来日公演を心待ちにしている日本のファンに、伝えたいことがあれば何でもどうぞ。

リアム: 特に伝えたいことはないけれど、日本ツアーで演奏するのが今から待ち切れないよ!それだけさ!素晴らしいコンサートになるから!

■ノエル・ギャラガー編 (ギター、ボーカル)

― 『DIG OUT YOUR SOUL』は傑作だと確信しています。このアルバムに対する率直な気持ちを教えて下さい。

ノエル:その手の質問はリアムに聞いてもらうのが一番だと思うね。だって僕は新しいアルバムに関しては、何も言うことがないから。「新作は傑作か?」って聞かれても、僕にはわからない。僕は答える立場にないからね。ただアルバムを作っている間はみんな楽しかったし、あの時点では最高の出来のアルバムだ。ただ僕は自分のアルバムについて話すことが苦手なんだ。どうしても主観が入ってしまって、公平に批評できないし……。多分君が僕たちのアルバムを聞くのとは、まったく違った聞き方をしていると思う。でも、傑作だと思ってもらえたのなら、本当にありがとう!

― 一聴して誰もが感じるであろうことは、オアシスがまさにネクスト・レヴェルに達したということです。どんな目的やヴィジョン、イメージをもって、このアルバム作りに臨んでいたのでしょうか?

ノエル: (笑)僕だってわからないよ。実は前作のレコーディングをした時、アルバムからもれた曲がたくさん残っていたんだ。でもそれ以後、みんなで集まって、バンドとしてどんな活動をしていくか、次はどんなアルバムを作ろうか、そして、これまで通りの音作りでいいのか、などについて話しあったことは一度もなかった。ただ集まって、その時に僕たちが「ベストだ」と感じた曲を録音して、そのなかでも一番のサウンドだと思ったものだけを選んでアルバムに入れたんだ。オアシスはコンセプト・アルバムを作らない。その時に、「これだ!」と感じた曲を演奏してアルバムを作るのがオアシス流なんだ。今回のアルバムの場合、スタジオ入りする前に書き上げて録音した曲もいくつかあったけれど、結局一曲もアルバムには残らなかった。スタジオの中で、僕がとても多くの曲を新たに作ったのが原因なんだ。ただ事前の目的やヴィジョンでこれまでと唯一違っていたのは、「また新しいアルバムを作り、それを持ってツアーに出よう。そしてたくさん笑って、思いっきり酔っぱらおう!」という考えがあったことだね。自分でも良くわからないけどね……(笑)。

― 全編通してサイケデリックなサウンドスケープが作り上げられていて、聴き手はそれに包まれて陶酔するような感覚を覚えることと思います。今作のキー・ワードのひとつが“サイケデリック”だったのでしょうか?それとも、ごく自然にこうなった?

ノエル: そう……。意図的ではなかったけど、いろんなことを試していくうちに、プロデューサーのデイヴが“サイケデリック”なサウンドを求めていることがわかってきたんだ。多分、プロデューサーのデイヴ・サーディ(Dave Sardy)はサイケデリックなサウンド指向が一番強くて、その方向にみんなを引っ張っていったんだと思う。でも半々(プロデューサーの意図が半分、バンドの意図が半分)だよ。

― そのサウンド感はもちろん、アート・ワークや、意味が深そうなタイトルを含め、これはいわゆるコンセプト・アルバムなのかなとも思えるのですが、どうでしょう?

ノエル: :違う(コンセプト・アルバムではない)ね。つまり、コンセプト・アルバムとして理解するのは間違っている。理由は、僕たちはコンセプト・アルバムを作らないからだ。まずコンセプト・アルバムってやつが僕には理解できないから、それがどんなものを意味するのかもわからない。The WhoやColdplayはコンセプト・アルバムを作るけれど、僕にはアルバムのコンセプトにこだわっている暇はないんだ。サッカーのシーズンが始まったし、コンセプトなんかにこだわってはいられないんだ。だから一番良いと思った曲だけをアルバムに収めた。アルバムに収めた曲の裏にあるコンセプトを誰かが後から見つけてくれるのであれば、それはそれでまた良し。ただ僕たちは、先にコンセプトありきでアルバムは作っていない。

― アルバム・タイトルには、実際どんな意味や想いが込められているのでしょう?

ノエル: タイトル曲にはいろんな意味や想いが込められているけれど、それはあの曲を作ったゲムに聞いてくれ。僕には答えられないから。ただ『DIG OUT YOUR SOUL』というのはとてもいいフレーズだと思ったし、みんなも同意見だった。君はアルバム・タイトルの『DIG OUT YOUR SOUL』とはどんな意味だと捉えているのな? 意味がわかる人はいる? 君はどう解釈しているの?

― 自らの魂を掘り起こす…ですか?

ノエル: その通り!自分が感じたように解釈してくれればいいんだよ。正解は一つじゃないし……。ゲムに聞くといいよ。どんな意味か、きっと説明してくれるから。

― 先にネクスト・レヴェルと言いましたが、曲の作り方そのものから変わったと思います。今回は、いわゆるヴァース→ブリッジ→コーラスという基本フォーマットを、あえて避けているのではないですか? だとしたら、かねてから自分たちの型のようなものを壊してみたいと考えていたのでしょうか?

ノエル: 全くの偶然でそうなってしまっただけなんだ。今回アルバムに入っている曲の多くが、ある特定の音、具体的にはD(レの音)をベースにして作られていることが、(これまでとは変わった)原因だと思う。特定の音が複数の曲のベースになってしまった場合、リスナーに飽きずに全ての曲を聞いてもらうためには、音の層(レイヤー)を重ねたり、いろんな違った工夫をする必要が生じる。そのために、これまでにないサウンドが出来たのだと思う。こうした偶然の重なりがマジックのような効果を生むと思うんだけど、実は全部僕が書いた曲なんだ。だから全くの偶然でそうなってしまったんだけど、それを一番喜んだのはプロデューサーのデイヴ・サーディだった。彼が一番喜んで聞いてくれて、それでこのアルバムが出来上がったというわけさ。

― 日本でもオアシスはファンがたくさんいますが、日本のファンについての印象・感想を教えて下さい。

ノエル: こんなことを聞いて来るのは、日本人だけなんだよね!世界中で日本人だけが、相手がどういう印象を持っているかを聞いてくる。アメリカ人もドイツ人もベルギー人もそんなこと気にもしないし、フランス人も、アイルランド人も、スペイン人も全く気にしない。なぜか日本人だけが「私たち、日本人についてどう思いますか?」って聞いてくる!なんでそんな質問をするんだろう?! どうしてそんなに自分達に自信が持てないの?大体、僕が日本人に対してどんな印象を持っていたとしても、そんなこと、たいしたことじゃないし、気にする必要はないんだよ!もしも僕が「日本人はみんな間抜けだ!」と仮に言ったとしたらどうするの?もちろん僕はそう思っていたとしても、正直にそれを口にするわけないし!「日本人? 大嫌いだ!」と思っていても、口には出さないよ!だからそんな質問、意味ないよ!
でも、正直な印象は、日本人はとても優しくて親切だと思っている。

― これが最後の質問です。この新作の到着と、毎回、大合唱大会になる来日公演を心待ちにしている日本のファンに、伝えたいことがあれば何でもどうぞ。

ノエル: それから日本人はいつも、ファンへのメッセージを求めて来る! なぜなのか、僕にはわからない。新作のアルバムについて僕が言いたいことは、とにかく最高のアルバムだから、みんな買って欲しい!ってこと。年輩の人にも若い人にも買ってもらいたい。人生が変わるから! それから日本のファンには……日本のファンへのメッセージはあるかなぁ……わからない。難しい質問だよ。日本のファンから僕へのメッセージはあるの?

ノエル: 日本ツアーはいつだっけ?

― 来年です。

ノエル: 来年、会いましょう!! これしか言うことはないよ!

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(取材・文/鈴木宏和)
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