「船の体育館」と呼ばれ親しまれてきた歴史的建造物が消える?

今、香川県の貴重な建築遺産が消えようとしています。それがこちら(画像参照)。世界的建築家の丹下健三が設計し、1964年に完成した旧香川県立体育館です。

屋根が独特の形をしていて、その形から地元の人からは「船の体育館」と呼ばれ長年愛されてきました。9年前に老朽化などの問題から使用中止となっても、その文化的価値からも保存を望む声があがり、活用策が模索されてきましたが、香川県はついに取り壊す方針を決めました。

どこから見ても目を引く「和船の形」の体育館

緩やかにカーブした屋根に、重力に逆らうようにそり立つ姿は「和船」のようにも見えます。通称「船の体育館」…多くの人に親しまれてきた旧香川県立体育館です。

老朽化が進み、立ち入ることもできなくなった今も高松市の建築家、河西さんは保存のため活動を続けています。

(船の体育館 再生の会 河西範幸代表)

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「シンボルだと思っている人がいると思いますよ」

ー香川県のシンボル?

「はい。これがあるから全世界的にもとても貴重な。そういう文化・歴史的にこの街にとって本当に大事なものだと思っています」

建築物として文化遺産でもある「船の体育館」が今、消えようとしています。

世界的建築家・丹下健三が設計 戦後モダニズム建築の象徴

船の体育館が完成したのは1964年。設計したのは世界的建築家・丹下健三です。同じ時期、東京五輪のために設計した国立代々木競技場と同様に、つり屋根の形を採用しました。

(丹下健三さん(当時))「鉄のひっぱりを利用するような形といいますと、ああいう吊ったような構造になる。橋で言うと、吊橋のような。それが面になっていますから、テントのように」

丹下健三による、「戦後モダニズム建築」を象徴する船の体育館。屋根を鉄のワイヤーで釣り上げることで、巨大な柱のない空間が生まれ、利用者を迎えるロビーとなりました。

「県民のスポーツの場」として利用されてきましたが、その構造の特殊性もあり、老朽化から屋根が落下する可能性が指摘され、2014年に使用中止となりました。