○幼少~学生時代についてお聞かせ下さい。
小さい頃は一人で遊ぶことが全く苦にならない、物静かな子供でした。本を読んだり、お人形の洋服をつくったり、お料理をしたりと、自分の興味のあることにひたすら没頭していましたね。父母は家業で忙しく、小学校4年生ごろには兄弟で家事を分担。私は夕飯係をしていました。中学校では美術部に入って油絵などを描く一方、デッサン教室や習字教室にも通っていました。
高校では、それまでと全く考え方の違う友達と出会い、さまざまな刺激を受けました。マルクス・レーニン主義を研究する社会思想に感動し、社会科学研究部というクラブに入部。アンチ社会、アンチ学歴、アンチ常識と、さまざまなものに反抗し、アウトロー的な学生時代を過ごし、遂には学校を自主退学してしまいました。
○社会人(サラリーマン)時代についてお聞かせ下さい。
高校退学後、和田勝に入社しました。最初は両親について1から仕事を覚え、接客、仕入、帳簿など、さまざまな仕事に携わりました。それが今の仕事の基礎となっています。
私が生まれた時、創業者の曾祖母から「この子が後継ぎだ」と指名されたそうです。以来、後継ぎと言われ続け、反発もしたこともありましたが、「これが天から与えられた使命」と受け入れ、継ぐことを決めました。なんと、本気でそう思ったのは、10年ぐらい前ですが・・・。
○経営者としての喜びや苦労についてお聞かせ下さい。
私たちが取扱う商品で、多くの方々の暮らしが豊かになってもらうことが嬉しいですね。また、教室で私が提案した料理を作っていただき、多くの人が健康になっていただけたらいいなと思います。
苦労と言えば、店頭での販売、仕入、チラシの制作、教室の運営と、仕事が多岐にわたり、新しい事業を創作し、取り組んでいくための時間がとれないことです。
○今後の社長自身の目標をお聞かせください。(プライベートでも構いません)
1、小売専門店、「新おばんざい塾」お料理は、箱をつくり、どんどんスタッフに任せる。
2、メキキの会と、BBM京都藩(志から自分の仕事を天職として、世の中に貢献することを目的のしている活動)今、東京と京都で開催しています。メキキの会とBBM京都藩を発展させる。
3、「ヒューマン・センサー」の公認オペレーターになる。
○日本の構造問題として改革・改善したいことがあればお聞かせください。
日本の構造すべてです。このままでは、日本や世界に未来はありません。また、日本はこんなに豊かな国なのに、多くの人が豊かだと実感していないことも問題です。そんなシステムはおかしいと思います。そんな今の日本の現状を革命して、みんなが豊かさを実感できる世の中にしたいですね。今の社会構造は、リセットするしか、道はないと知るべし。
○御社の仕事の魅力と苦労をお聞かせ下さい。
当社は昔で言う荒物・金物屋として創業し、現在では調理道具や生活雑貨品の小売販売と、圧力鍋を使ったお料理教室「新おばんざい塾」を経営しています。その取り扱い品種は多種多様、作業の種類も多岐に渡ります。商品知識を覚え、仕事をマスターするためには時間がかかりますが、商品を通じてさまざまな知識が得られ、人と出会えることが魅力かもしれません。お料理教室の方は、生徒さんが「お料理の腕が上がった」「健康診断の数値が、良くなった」という声を聞いた時は嬉しいですね。
○御社の強みをお聞かせ下さい。
当社は明治の中ごろに創業し、私が4代目になります。強みのひとつは、120年の歴史です。それが地元での信頼感につながっていると思います。私は顔なじみの方々から「おとみさん」と呼ばれ、すっかり町に馴染んでいますしね(笑)。また、経営者の私が店頭に立って、接客していることも強みかもしれません。さらに、お客様の要望に合わせて、売れるものなら何でも取り扱うという柔軟性と行動力もセールスポイントです。他店では取り扱っていない商品も取り扱っており、遠方からの問合せも数多く頂戴しています。
お料理教室の方は、私がすべてデモンストレーションして、レシピを覚えていただくスタイルをとっています。グループでの体験型教室では作業分担制になりますが、「新おばんざい塾」ではすべての作業やポイントを逃さずに観察できます。お家で、自分のペースで復習することで、確実に腕が上がります。
○今後、どのような人材が欲しいかをお聞かせ下さい。
お料理教室の講師と、ECサイトを管理できる人材を採用したいと考えています。
求める人材は明るく、失敗を恐れないことが必須条件です。もうひとつ注文するとすれば、失敗しても他人や事象のせいにしない自立した大人であること。頼まれた仕事や上司のアドバイスを素直に受け入れ、自分なりに工夫してやってくれる、創造的な仕事ができる人が、いいですね。
○会社としての今後の目標を教えて下さい。
お料理教室「新おばんざい塾」の生徒数拡大と講師の育成が目標です。また、ECサイトを充実していきたと考えています。
さらに店内作業の効率化も大きな課題です。適正な在庫と豊富な品揃え、専門知識を持ったスタッフにより、お客様に、豊かでたのしい毎日をお届けしていきたいと思います。
○日本を背負う若者へのメッセージ
豊かな日本に生まれたことを感謝してください。そして急速に変化する世の中のスピードに乗り遅れないように勉強してください。特に読書をすすめます。書店にはさまざまな分野の本が並んでいます。ありえないような自分の価値観と全く違った本もあるでしょう。そんな本を読んで、さまざまな考えを学んでほしいと思います。研修会などの勉強会にも、参加してみてください。
人間は誰しも、この世に使命を持って生まれてきています。その使命は何であるかを自分に問いかけ、自分が楽しいと思う魂が喜ぶ生き方、仕事を選んでほしいと思います。そして、10年先、20年先を考えて生きてほしいと思います。