COCOA、6割が「良いことなかった」 政府が総括報告書を公表
新型コロナウイルス対策の接触確認アプリ「COCOA(ココア)」について、政府は17日、課題を総括した報告書を公表した。ココアは迅速な導入が優先され、「開発・保守運用などの体制整備が十分になされなかった」などと指摘。感染症のたびに新たなシステムを作るのではなく、平時から有効なツールを用意しておくべきだとしている。
ココアは2020年6月に政府が導入したが、接触が通知されないなどの不具合が多発。ダウンロード数は約4千万件にとどまり、効果を上げるために必要とされた「国民の6割近く」には届かなかった。政府は昨年9月にココアの機能を終了すると発表し、デジタル庁と厚生労働省が連携して利用実態や今後の課題を調べていた。
約6千人の利用者にアンケートをしたところ、陽性者との接触通知を受け取ったことがある人は約2割。うち約7割の人が在宅勤務に切り替えたり外出を控えたりと「普段と異なる行動を取った」と答えた。政府はココアが行動変容を促したとして「一定の効果はあった」と結論づけた。
一方で、ココアを「利用して良かったと感じたことは特になかった」という回答が約6割に上ったほか、2割弱の人がココアの利用に「やや大きな負担感または大きな負担感を感じていた」と答えるなど、改めて課題も浮き彫りになった。
ココアを巡っては、そもそも接触通知を受けた場合の対応は本人に委ねられ、どう活用するのかの位置づけもあいまいだった。報告書では「保健所業務からも不十分な仕組みであるという評価を受けた」と指摘した。
次の新たな感染症の流行を見すえて、感染症対策の専門家を交えた開発や、緊急時に迅速に使えるように平時から同様のアプリを国として提供しておくことなどを提言した。
報告書によると、ココアの開発・運用に要した費用は契約額で約13億円。ココアは今年3月にはシステム全体の運用が終了する。(女屋泰之 渡辺淳基)
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