実は40年前に誕生していた自撮り棒。「日本の無駄な発売品」と海外で嘲笑されるも
日刊SPA! / 2023年2月15日 8時52分
「HIROMIXさんというフォトグラファーがいます。まだ自撮りが一般的ではなかったどころかまだフィルムだった90年代に、コニカの『BIG mini』というフィルムカメラを使って自撮り写真をアートとして撮っていました。そして木村伊兵衛賞という賞まで獲っています。先鋭的な例ですが、日本で自撮り写真が世間の目に触れはじめた先例かもしれません」
◆自撮り棒の今と未来
1983年に誕生し、不遇の時代を過ごしながらも自撮り棒が広まったのが2010年代前半。2014年にはアメリカのTIME誌にも「優れた発明品』として紹介されている。
2015年に「爆買い」という言葉が流行語大賞にノミネートされたように、当時、中国人観光客が大挙して押し寄せていた。筆者の印象では、彼らの多くが自撮り棒を片手に街を行き交っていたように思う。これらから鑑みると、自撮り棒の人気は日本より先に海外で広まったのではないだろうか。
「肌感覚ではありますが、私も同様の印象ですね。中国の方が自撮り棒を持って、日本で買い物をしていたのと同じ頃に、欧米でアップされるYouTubeなどをみても自撮り棒を使っているのが増えていました。実際、製品も中国産のものが多く出ていましたね」(山本氏)
◆自撮り棒がなくても“自撮り”は消えない
この後、日本国内でも人気を博した自撮り棒だが、最近めっきり見る機会が減っているように感じる。そこにはカメラ性能の向上があると山本氏。
「タップ一つで背景まで広角に写せるものが増えましたよね。そんなに遠くにカメラを置かなくても、手を伸ばす範囲で満足のいく写真が撮れるようになったということです。また、広角にしたことで被写体がゆがんだりしても、アプリやソフトで簡単に直せるようになりました。その為、自撮り棒を使う人が減っているんだと思います」
誕生直後、歴史の表舞台に出ることがなかった自撮り棒が、カメラの性能の向上によって人気を博した。それが、カメラの性能のさらなる向上によって需要が下がっているのは皮肉なことだ。
「今は、自撮りもできる小さなドローンなども出ています。ドローンは高さや距離が自由自在になる超高性能の三脚ともいえます。最初の自撮り棒を展示していますし、いずれ博物館でも、ドローンも過去のものとして展示する時がくるかもしれませんね」(山本氏)
意外にも深かった自撮り棒と自撮り文化の歴史。もしかすると自撮り棒は、今後消えるかもしれないが、自撮りの新たな時代はそこまで来ているようだ。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
―[ヒット商品&サービス「はじまりの物語」]―
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