ある時期、通常装備はこうで
あった。
これはベトナム戦が終わった
数年後の環太平洋戦線でもこう
だった。
ナイフの携行方法は肩のサスペンダー
に装着したやり方もあった。
これはハンドルを上にしているが、
この向きについては各人の好みだ
った。
私などはこの人がやっているような
グリップハンドル下向きが使い勝手
が良かったので、一時期そうしてい
た。
これは明らかに戦闘用のコンバット
ナイフの携帯の仕方であり、一般的
なアウトドア(特に国内)での携行
法としては対外的に問題もある。
私の場合、アウトドアのキャン
ピングなどでは、通常はジャン
パーやブルゾンで見えないように
覆っている。
使う時には出して使う。
このように。
右側に吊る場合は、こうして
いる。
一般的にキャンプやナイフの使い
方の解説書などで書かれている
このような保持方法は私は採用
していない。
理由は邪魔になるからである。
これは、やってみればすぐに
わかる。
なので、右に吊る場合はこうし
ている。正面からは見えない。
かがもうがしゃがもうが座ろう
が、一切邪魔にならない。
スーツでこういうのは無い(笑)
バックサイド保持はよく実銃ピス
トルなどでも行われるようだ。
こういう感じ。
ただ、これは私はあまりやらない。
理由は明白。
ストラップ装着と同じく、戦闘用
携行であるように思えるからだ。
そうしたナイフ保持携行方法は、
私は国内ではやらない。
ナイフをストラップに装着して
実動してもよいのは、銃も銃剣
も所持して仕事をしている自衛
隊員等の法執行機関に属する人
間が職務上行なうことだけが許
されると、私は解釈している。
というか、関連法令がそうなっ
ている。彼ら法執行官の場合は
「正当な理由」により常備携行
していても法的には何ら問題が
ない。
一般民間人も「正当な理由」が
あればナイフを携帯しても構わ
ないのだが、それは釣りの現場
や、キャンプ場でのことだ。
まして、キャンプなどでも、己
一人のソロキャンプやブッシュ
クラフトでない
場合には、ナイフは戦闘ポジション
などに装着すべきではないと私
は考える。
これは対外的な対人コミュニ
ケーションの問題として。
かといって、ポケットナイフだけ
ではアウトドアでは用が足りない。
どうしても10センチ前後のブレード
長さの物が必要となってくる。
特にこのようなミリタリータイプ
のコンバットナイフの携行には
必要以上に気配りが大切だと思う。
ただ、ナイフの場合、「隠し持つ」
ということが一般的シーンでは
犯罪性を帯びる法規定となって
いるので、常に見せておく必要
が法解釈としては成り立つが、
このような使い勝手の良い状態
で保持して人の多いキャンプ場
をウロウロするのはよろしくは
ないと思われる。
こうなると、まるで西部開拓時代
のサロンにいるギャンブラーだ。
となると、少し大きめのフォール
ディングナイフが汎用性が高くな
る。
特にクリップが付いているタイプ
は非常に便利だ。
しかし、固定式のフィクスドナイフ
=シースナイフは、フォールディング
ナイフには無い頑丈さを備えている。
これは何ものにも替えがたい。
となると、究極は、ちょっと短めの
シースナイフがいいんじゃない?
というところに落ち着く。
このモーラナイフは売れに売れて
いるが、売れに売れているだけの
理由はある。
非常に「良い」ナイフだからだ。
これは使ってみればすぐに判明す
る。
私も食わず嫌いでモーラを使う
前は「モーラかぁ」と思っていた。
評判などは当てにならないと
思っていたからだ。
だが、モーラについて、使いも
しないでとやかく言ったり思っ
たりすることはできないと思った。
買った。
使った。
金額からしたら、史上最強最高の
ナイフであると強烈に感じた。
モーラはそうしたナイフだった。
この優れたナイフが2000円未満
で購入できるとは驚きだ。
モーラは、コンバットナイフとの
共通性がある。
それは「ハンドルが太い」という
ことだ。
細目のグリップは操作性が向上す
るが、力技でナイフを使う時に
手の中で不安定になる。細目の
ハンドルグリップは、細かい作業
を行なう場合には非常に適してい
るのだが、グイと力を入れて截ち
割るような作業には向いていない。
これも実際にフィールドで使って
みれば即座に判明する。
ハンドルが細いモデルは、フェザー
ひとつ作る上でも非常に使い勝手
が悪いのである。
細い部分と太い部分を併せ持つ
このタイプなどは、そのあたり
が非常によく考えられている。
大きくも小さくも長くも短くも
使える。(これ刀法の業界表現
なのでよくお分かりにくいかと
思うが、要するにどうにでも使
い手によって使えるということ)
スキニングホールディング。
チョッピングという使用法でも
手の内がビタリと決まるハンドル
の形状。
刃筋はビタリと立って決まる。
細かい作業にもバッチリ対応する。
見た目は良くないが、私が今まで
ナイフを57年間(ナイフは5歳の
時から使っている)使い続けて来て、
一番汎用性の高さで優れているのは
この形状のナイフだと私自身は感じ
る。単なるスキナーではない。
このブローニングとハットリの
二つは、非常にブレードが美し
いラインでセミケーパーのポイ
ントがドロップしているところ
も使い易いのだが、ハンドルが
細すぎるのがアウトドアでは難
点となる。
しかし、この形状でハンドルグ
リップを腹膨らみで太くしたら、
もろにモーラのシルエットにな
る、というこの現実(笑)
モーラナイフはよく考えられている。
今のところ汎用性カテゴリーでは
トップクラスでは。
ただし、モーラには最大の欠点
がある。
それは、ソングホールが不存在
であるので、ストラップが付け
られないということである。
実はこのストラップは、ランヤ
ードとして、アウトドア活動で
はとても重要な役割を果たすの
だ。
従って、アウトドアナイフで紐穴
が無いナイフは、それだけでガク
ンと利用利便性、紛失防止、脱落
防止等の対策が欠如してしまう事
になるのである。たった穴一つで。
アウトドアナイフにソングホール
は絶対に必要だ。
歴史的な名品のガーバーにして
も、唯一にして最大の欠点は、
ランヤードを通す穴が無かった
ということだ。
その後の現代ナイフであるG.サカイ
などは、そのあたりをよく研究して
オリジナルナイフのデザインを起こ
している。(真ん中がG.サカイ)
いずれもブレードは3.75インチ。
私にとってはこれがベスト・オブ・
ベスト長だ。
(上:オールドガーバー 下:G.サカイ)
しかし、サカイのこのモデルは
とうに廃番・・・・。
あちらを立てればこちらが立た
ず。ナイフ選びはむつかしい。
「取りあえず」というのだった
ら、断然モーラナイフをお薦め
する。激安であるし。
北欧の本物、本格派。紐穴がな
いことだけが欠点だが、かなり
良い。
「物凄く良い」というのは別物
のナイフになるが、使い倒しの
実用ナイフとしては、私はモー
ラをお薦めする。
G.サカイのこのモデルよかったん
だけどねえ・・・。標準でスタッ
グだったというのがアダになった
か。スタッグをまだインド政府が
輸出許可していた頃の製品だから
なぁ。
このブレードでもう少しフクラを
ふっくらと丸くラインを取って、
そして片刃ではなく両刃にして、
ホローグラインドではなくフラッ
トにしたら、史上最強ナイフにな
るように思えるのだけど。
ハンドルも適度に太くて非常に
使い易い。
G.サカイのナイフはファクトリー
メイドの量産工場物なのに、と
ても使える。
こうしたカスタムナイフ並みの
品質の製品も時々出すが、すぐ
に売り切れる。
これも廃番もの。
美し過ぎるバード&トラウトの
フィッシング用だ。
フライ・フィッシングなどに
とても似合いそうだ。
このトラウト&バードのように
手の込んだカスタムナイフと同質
のファクトリーナイフは、今の時
代もう作り得ないかもしれない。
80年代の品質の良さは、ナイフ
だけではなく、バイクでも同様の
ことがいえる。技術の進化云々で
はない。1980年代はすべての日本
製品が極めて高品質だったのだ。
このトラウト&バードの携行
スタイルはこうである。