E資格は日本ディープラーニング協会(JDLA)の認定資格で、データサイエンティストやAIを実装する技術者のための資格です。
機械学習・ディープラーニングについて、数式レベルの深い理解を問われるため、資格取得を通じ、機械学習エンジニアとしての仕事や学びの質も高くなるでしょう。
この記事ではE資格の試験内容、難易度についてわかりやすく紹介します。
E資格の試験内容
E資格(エンジニア資格)とは、JDLAが認定するAIエンジニア向けの資格です。
「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているか」が評価される試験となっています。
受験資格 JDLA認定プログラムの受講が必要
E資格受験のためには、JDLA認定プログラムのいずれかを試験日の2年以内に修了していることが必要です。
(ただし、2020年第2回試験中止に伴い、2022年第2回試験までは過去2年半以内まで有効となります)
JDLA認定プログラムとは、さまざまな団体が実施している深層学習についての講座です。
E資格のシラバス内容を網羅しているか等をJDLAが審査し認定しています。
受講期間は3〜6か月程度で、E資格試験の受験資格を得るためには、いずれかの認定プログラムの修了が必要になります。
試験内容
120分の会場試験にて、100問程度が出題されます。
選択式の設問で、シラバスより応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境の4科目からJDLA認定プログラム修了レベルの問題が出題されます。
E資格の試験日程・実施時期
例年、E資格は年に2回、2月中旬と8月下旬に実施されています。
試験日程は金曜日または土曜日で、受験者が任意の会場と時間を選択できます。
予約変更・キャンセルの期限は受験日時の 24 時間前まで可能です。
試験日 | 2月中旬 | 8月下旬 |
申し込み受け付け | 12月1日午前9時~ 試験前日の午後 11 時 59 分 | 6月1日午前9時~ 試験前日の午後 11 時 59 分 |
合格発表 | 3月 | 9月 |
試験の申し込み期間には余裕がありますが、試験会場が限られているため、希望の会場・時間で受験するためには早めの申し込みをお勧めします。
合格発表は試験の約3週間後にメールにて通知されます。
最新年度の試験日程、申し込み方法はJDLAのE資格試験公式HPをご確認ください。
受験費用
一般の方、学生の方、JDLAの協会会員の方の3種類があり、受験費用が異なります。
一般 | 33,000円 |
学生 | 22,000円 |
協会会員 | 27,500円 |
協会会員についてはJDLA公式HPをご確認ください。
試験時間
E資格試験の試験時間は120分です。
また、試験の前には機密保持契約への同意とアンケート(15分)が実施されるため、総試験時間は135分が予定されています。
試験開始前は余裕を持って会場に到着すると良いでしょう。
出題形式
E資格試験は複数の選択肢から正答を選ぶ多肢選択式です。
4つの選択肢からの回答式で、記述問題はありません。
試験はCBT形式で、会場のパソコン上で正解の選択肢にチェックを入れて回答します。
科目・問題数
出題数は100問強で、応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境の4科目から出題されます。
過去問が公開されておらず、詳細な問題数は明らかにされていません。
ですが、過去の受験者の点数分布およびシラバスの範囲から、深層学習科目が最も問題数が多く、問題の半数以上を占めていることが窺えます。
応用数学、機械学習、環境開発が同程度の問題数と予測されています。
E資格の合格率・合格点
E資格の合格率は例年70%前後で推移しています。
開催回 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年 | 342 | 337 | 234 | 69.44% |
2019年1回目 | 396 | 387 | 245 | 63.31% |
2019年2回目 | 718 | 696 | 472 | 67.82% |
2020年1回目 | 1,076 | 1,042 | 709 | 68.04% |
2021年1回目 | 1,723 | 1,688 | 1,324 | 78.44% |
2021年2回目 | 1,193 | 1,170 | 872 | 74.53% |
2022年1回目 | 1,357 | 1,327 | 982 | 74.00% |
2022年2月18日(金)、2月19日(土)に実施された2022年第1回試験(JDLA Deep Learning for ENGINEER 2022 #1)の合格率は74.00%とやや高い水準となりました。
ソフトウェア・情報系業種からの受験が多く、受験者の習熟度が高い合格率に影響していることが伺えます。
合格率は高いですが、けして易しい試験ではないと言えるでしょう。
合格点について、E資格の合格基準は公開されていません。
公式サイトでは毎年の合格者の割合や平均点数のみが公開されており、例年の平均得点率は各教科65%前後です。
応用数学 | 63.41% |
機械学習 | 67.59% |
深層学習 | 63.97% |
開発環境 | 66.68% |
その結果から、合格基準の目安は各科目60%程度と予想されます。
E資格の難易度
E資格試験の難易度は高いといえます。
理由としては、
- 深層学習を中心とした実践的かつ広範な知識が求められること
- 試験時間が問題数に対し厳しく、1問1分程度での回答を求められる
点にあります。
また、E資格では1~2年に一度のシラバス改定により常に最新の知識を要求されます。
過去問の公開もされていないため、試験内容の予測が難しいという点でも難易度が高くなっています。
AIの最難関資格とも言われており、難易度としては応用情報技術者試験よりやや高い水準です。
E資格試験の対策方法
2022年第2回試験からはシラバスが変更になっています。
大きな変更点としては、フレームワークの実装(PyTorchまたはTensorFlow)が組み込まれたこと、基礎研究に近い内容も大幅に追加されたことです。
内容を念入りに確認し、出題範囲の語句はきちんと理解できるようになっておく必要があります。
また、E資格では過去問を使った学習ができません。
公式で過去問が公表されていないため、JDLA認定プログラムで公開される問題や、市販の例題集で対策する必要があります。これらの問題集を繰り返し解き、内容を理解しておきましょう。