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裁量労働制で過労死ライン超え、労組も頼りにならない職場…対処法は? 労働弁護士が徹底解説

弁護士ドットコムニュース / 2023年2月13日 9時59分

労使委員会では、月の時間外労働が80時間超の部署があることや、多くの部署で企画業務型裁量労働制が適用される労働者が一日平均11時間の長時間労働をしていることが認識されていましたが、福岡銀行は「裁量労働制を適用するプロセスや、運用は適切に行われていた」と説明したとのことです。

裁量労働制は、仕事における時間の使い方を労働者の裁量に委ねる制度ですが、その裁量のもとで、労働者が任意に過労死ラインを超える労働をするとは通常考え難いです。

過労死ラインを超える残業があったのであれば、労使委員会においてその原因が何なのか、どうしたら改善できるのかなどについて検討がされなければならないと思いますが、これがされた形跡はうかがえませんでした。そうであれば、法が労使委員会(とりわけ労働者側の委員)に期待した役割を果たしていないと言わざるを得ず、極めて残念な事態です。

●労働者はどうやって「定額働かせ放題」から身を守ればいいの?

労働者の利益を代表するはずの労働組合が労働者を守ってくれない場合、労働者はどのようにして身を守ればいいのでしょうか。

その方法として「裁量労働制の適用に同意しない」という方法が考えられます。

しかし、同じ職場で、裁量労働制の適用に同意した人が20時間の残業代で100時間残業をしているのに、自分は裁量労働制の適用に同意せず100時間分の残業代をもらいます、と言えるでしょうか。

そんなことしたら職場の同僚とうまく仕事をできないのではないか、昇進できないのではないか、という感覚になってもまったく不思議なことではなく、渋々、裁量労働制の適用に同意せざるを得ないという状況になる可能性が高いのではないでしょうか。

そうすると、同意しないという方法は労働者が「定額働かせ放題」から身を守る有効な手段があるとはいえないことになるでしょう。

なお、企画業務型裁量労働制の適用範囲は不明確ではあるものの、明らかにこれに該当しないのに適用されている場合もみられます。また、適用対象業務のようにみえても業務量が過大であったり期限の設定が不適切であったりすれば適用対象業務から外れると考えられます。

少しでも働き方に疑問があれば、裁量労働制に詳しい日本労働弁護団の弁護士に相談されるのがいいでしょう。

●「労働者一人ひとりが行動し、まとまる必要がある」

それでは、裁量労働制に対して労働者はどう対処したらいいでしょうか。

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