EVが「若者のクルマ離れ」に加担していた? 実態は「買わない」ではなく「買えない」だった

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自動車業界はEV化やカーシェアに新たな希望を見いだして久しいが、それでも「車離れ」という泥沼から抜け出す道筋はまだ見えていない。現状を確認し、対策を考える。

カーシェアリングが最後の手段

カーシェア用の駐車場(画像:写真AC)
カーシェア用の駐車場(画像:写真AC)

 となれば、最後の手段は「カーシェアリング」である。カーシェアリングであれば、所有するよりも負担は少なくなる。ここに車業界が流れ着くのは当然の結果である。

 カーシェアリングについては、交通エコロジー・モビリティ財団の「カーシェアリング車両台数と会員数の推移」調査結果(2022年3月調査)を見れば、伸びていることが分かる。

・車両ステーション数 2万371カ所(前年比5.3%増)
・車両台数 5万1745台(前年比19.1%増)
・会員数 263万6121人(前年比17.4%増)

 上記の通り、その数は前年(2021年)比で増加していて、それは毎年増加傾向にある。「車離れせざるを得ない人」が、やはり多く、そのような人にカーシェアは刺さっていると思われる。

 ただし、カーシェアに業界がすがれば何とかなるか、と言えばそうではない。今度は、今はやりのシェアサイクルが競合として出てきてしまう。リサーチ・コンサルティング会社のJ.D.パワー ジャパンが行った「J.D. パワー 2021年カーシェアリングサービス満足度調査SM」によれば、カーシェアの利用目的は「旅行」の次に「近隣への買い物」が多い。シナネンホールディングスなどが行った「シェアサイクルに関するアンケート」によれば、シェアサイクルの利用目的は「近隣への買い物」が最も多く、需要が大きくかぶってしまっているのだ。

 このように、そもそも経済的に困難な状況になってきた日本では、EV化をしてもカーシェアを推進しても、車離れを防ぐのは容易ではない。とはいえ、一筋の光明はカーシェアにある。今後の車業界によるカーシェア周辺事業の取り組みには、要注目である。