EVが「若者のクルマ離れ」に加担していた? 実態は「買わない」ではなく「買えない」だった

キーワード :
, ,
自動車業界はEV化やカーシェアに新たな希望を見いだして久しいが、それでも「車離れ」という泥沼から抜け出す道筋はまだ見えていない。現状を確認し、対策を考える。

ガソリン車より高価なEV

電気自動車用の充電ステーション(画像:写真AC)
電気自動車用の充電ステーション(画像:写真AC)

 政府は、2035年に全ての新車販売において電動車(バッテリー式電気自動車のほか、ハイブリッド車なども含む)の比率100%を目標にしている。そのため、自動車メーカー各社はEV化を進めている。EV化によってユーザーにはどのような変化が訪れるのだろうか。

 EVの本体価格は現在300万~400万円、ガソリン車は新車で120万~300万円と本体価格では差が開いている。もちろんEVの供給が増えていけば価格は抑えられていくだろうが、今のガソリン車よりも安くなっていくかと言われれば、そのような予想はあまり出てきていない。この時点で、経済的にも今後厳しい環境が待っているとされる日本では、車の購入はますます敬遠されることになるだろう。

 それに加えて、EVは充電環境が必要だ。ガソリン車の給油とEVの充電コストでは、同じ距離を走るのに2.25倍EVの方が安くなるという試算が出ている。しかし、これは家で充電した場合の試算だ。先にも述べた通り、そもそも経済的に苦しくなっていっているがゆえに「車離れ」をしているという筆者の主張なので、「所有している家」で充電することは車を所有するよりも難しくなっているはずである。

 賃貸の家で充電ができるのかと言えば、もちろんそれも難しいだろう。車の所有が難しいほど経済的に困窮している中で、充電設備が整っている家を借りるのもまた難しくなると簡単に予想できるからである。

 自宅以外での充電については、車の使用頻度や利用する充電ステーションによって決まるため、一概にガソリン車とEVでどちらが安くなるかを述べることは困難だが、結局はどちらも、そこまで変わらないという結果に落ち着くと筆者は見ている。そのため、EV化をしてもやはり「車離れ」は変わらない。