「藤沢に家裁出張所を」 弁護士会や地元首長らが協議会発足
足立朋子
離婚や相続、成年後見などで家庭裁判所が扱う事件が急増するなか、神奈川県藤沢市にも家裁を設置するよう求める協議会の設立総会が開かれた。県弁護士会の呼びかけに地元自治体や社会福祉協議会、児童相談所などが応じ、鈴木恒夫・藤沢市長が会長に就任。3月にも横浜家裁に要望書を提出することを決めた。
県内の家裁は横浜、川崎、横須賀、小田原、相模原の5カ所に本庁や支部がある。藤沢市にある藤沢簡易裁判所管内の藤沢、茅ケ崎、大和、海老名、綾瀬、寒川の6市町の住民は横浜家裁を利用している。
県弁護士会によると、横浜家庭裁判所が新規に受け付ける事件数は1年間に約4万5千件(2021年)と、20年前の2・3倍に増えた。距離が遠いうえ、混雑のため期日が入りにくい状況が慢性化しているという。
6市町の人口も増加して計120万人を超える規模となり、協議会では藤沢簡裁に家裁出張所を併設するよう求めていく。設置には最高裁の規則の改正が必要となるものの、これまでに千葉県市川市などで住民の要望により設置された例があるという。
設立総会は1月27日に藤沢市役所で開かれた。県弁護士会地域司法計画委員会の服部功志弁護士は、現状では離婚の9割が家裁を利用しない協議離婚で養育費の不払いが社会問題化していることを例に挙げ、「当事者同士の解決では立場の強い者が押し切ることも多い。司法が身近に利用できないと弱い立場の人々が不利益を受けることにつながる」と話した。(足立朋子)
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