フィリピンの収容所にいる日本人特殊詐欺グループ、渡辺優樹容疑者、小島智信容疑者、今村磨人容疑者、藤田聖也容疑者の送還に向けた動きが大詰めを迎えている。
今回の一連の事件で注目されているのが、フィリピンのビクタン収容所。世界各国から指名手配され拘束された外国人や不法滞在で送還を待つ外国人が収容されている。
TBS「報道特集」では2020年にも、日本の常識では考えられないこの収容所の特殊な環境を取材していた。
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3年前にあった内部告発
2020年7月、報道特集に収容所の中にいる人物から、電話で内部告発が寄せられた。なぜか、収容所で自由に電話ができる時間があるという。
職員に金を払えば、携帯電話を手にいれることができるというのだ。告発してきたのは、片言の日本語も話せる韓国人の男。男は、内部の写真や映像を送信してきた上で、日本とは全く異なる収容所の様子について説明した。
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送られてきた写真には、収容者が普段過ごす公共スペースが写っていた。屋根はシートを張っただけ。冷暖房はなく、夏は裸の収容者が多い。金のない人は板の上に段ボールを敷いて眠る。共用スペースの奥には、「VIPルーム」と呼ばれる個室がある。
内部告発をしてきた韓国人によると、個室の部屋代は1か月、3万ペソ(6万円)。さらに8万ペソ(約16万円)払うと、部屋にエアコンがつく。その場合、1か月の電気代を2万ペソ(約4万円)払うことになるらしい。
内部での食事は粗末なもので、収容者が自ら運営している売店で食べ物を購入したり、職員に金を払って、外から買ってきてもらったりするという。
内部告発者は、こう心境を吐露した。
「みんな母国に帰りたがっています。ここは地獄だと話しています。帰国を待つ間、食べ物など消費するものについて、お金を払わないといけません。だから収容所内で、お金をたくさん持っている人の洗濯をしたり料理をしたりして、お金を稼ぐのです」
VIPルームで展開される特殊詐欺
続いて話し始めた内容も驚くべきものだった。