米、謎の飛行物体を撃墜 アラスカ上空に小型車程度、国籍不明 4日には中国のスパイ気球を撃墜したばかり 世良光弘氏「やはり中国の可能性が高いのでは」
zakzak by夕刊フジ / 2023年2月11日 15時0分
米国が再び実力行使に出た。米軍戦闘機が10日午後(日本時間11日未明)、アラスカ州上空を飛行していた物体を撃墜したのだ。物体は小型車程度の大きさで、高度4万フィート(約1万2190メートル)付近を飛行していたという。ジョー・バイデン大統領が、民間機に危険が及ぶ可能性があるとして命令を下した。米軍は4日に、中国の「偵察気球(スパイ気球)」を撃墜したばかり。現時点で、物体がどこから飛来してきたかや国籍は不明。何者が米国の主権を侵害したのか。今後、さらに緊張が高まるのか。
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「(中国のスパイ気球=バス3台程度=よりも)はるかに小さい。小型車程度の大きさだ」「民間機の潜在的脅威となる危険があった」
米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は10日、記者団にこう明らかにした。物体が気球かどうかは明らかにしなかった。
米軍は9日夜、この物体の存在を確認したという。接近したパイロットの報告では、人は乗っておらず、操縦可能な状態には見えなかったという。中国には連絡しなかった。
バイデン氏は9日夜に報告を受け、10日朝に撃墜命令を出した。
国防総省のパット・ライダー報道官によると、米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」が、空対空ミサイル「サイドワインダー」で撃墜したという。
物体は、カナダとの国境に近いアラスカ沖の氷上に落下したといいい、残骸を回収して分析するという。
米軍は4日にも、中国のスバイ気球を撃墜した。
スパイ気球は1月28日にアラスカ州アリューシャン列島北方の防空識別圏に入った後、カナダや米本土の上空を飛行していた。中国政府は「民間の気象研究用飛行船」と説明したが、バイデン政権は「スパイ気球」「明白な主権侵害と国際法違反」と断定した。
2月4日にサウスカロライナ州沖の領海上で「F22ラプター」が撃墜した。スパイ気球が複数のアンテナなど通信傍受機器が搭載していたことも分かった。
バイデン政権は10日、中国のスパイ気球製造に関与したとして、中国企業6社を禁輸リストに追加すると発表した。
カービー氏は、10日に撃墜した物体について「所属」や「目的」は不明としているが、何が考えられるか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「現時点では、はっきりとは分からないが、やはり中国の可能性が高いのではないか。ロシアがこの時期に、世界の注目を集める大ごとを犯すとは考えにくい。中国だとすれば目的は前回同様、情報収集だろう。米軍が4日に撃墜したスパイ気球もアラスカ沖から米国領空に侵入している。偏西風のルートに乗って飛んできたことを考えると、今回は小型の気球ではないか」と推測する。
米国は今回、物体を発見翌日に撃墜した。
米国事情に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「中国のスパイ気球に対し、バイデン政権は領空侵入から約1週間後に撃墜した。野党・共和党から『中国に弱腰』と猛烈に批判された。今回は、その重圧が効いたのだろう。米国民も本土領空にスパイ気球が飛来したことで『中国の脅威』を身近に感じた。生物化学兵器などを積んで上空から散布できるという説も出ている。今回の物体も中国のものとなれば、米国内の『反中世論』はさらに高まり、米国政府が反中姿勢を強めることも考えられる。日本も、領海上空で撃墜できるような態勢を整えなければ抑止力にはならない」と語っている。
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