ブロックが差別で違法な理由

SNS/topic
概要

先日投稿した「#fedibirdはトランス差別している人をBANしてください ハッシュタグデモ騒動 | GNU social JP」で、SNSでの差別と反差別が問題になりました。

この記事をまとめる中で、差別とは何なのかという点が気になり、以下の投稿をしました。

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ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jp
基本的にブロックは差別ですからね… 反差別を掲げながらやることは差別。自由を掲げて保守。民主主義を掲げて共産主義。 意味不明ですね… GNU socialには、ドメインブロックという差別のための機能はそもそもありませんし、いりません。
差別 - Wikipedia

このことについて考察します。

差別

まず、差別の定義です。字面上は、「差をつけて別れる」というような意味です。分かれるではなく、「別れる」の漢字からわかるように、人が念頭に置かれています。英語では「Discrimination」となります。

Wikipediaでは以下の定義となっています。

差別さべつ)とは、特定の集団に所属する個人や、ある属性を有する個人に対して、その所属や属性を理由にして不当に取り扱う行為である[1]国際連合は、「差別には複数の形態が存在するが、その全ては何らかの除外行為や拒否行為である。」としている[2]

差別 – Wikipedia

集団・個人に対して、所属や属性を理由に不当に取り扱う行為」とあります。概ねこの認識で日常との相違・異論はないと思います。

差別対象は項目ごとに以下のような分類になるようです。

差別の種類
  • 身分: 部落
  • 階級・職業: 学歴、性風俗産業
  • 人種・民族・文化: 人種、民族、宗教
  • 言語・地域: 国籍、外国人、差別用語・差別表現 (ヘイトスピーチ)
  • 性別: 男性者別、女性差別、LGBT
  • 能力: 障害者
  • 病気: 感染者
  • その他: 年齢、思想、用紙、血液型

どれも、所属や属性がベースになっており、定義と合致しています。

ただし、「不当に取り扱う行為」という差別の内容は告発者と受け手の完成に寄るところが大きく、客観的事実として差別の存在の証明はケースバイケースになるようです。

日本では、憲法14条1項の「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」の規定で、差別は禁止されています。この法律を元に、男女雇用機会均等法、ヘイトスピーチ解消法、障害者差別解消法、部落差別解消法、アイヌセ策推進法などの法令が制定されているようです (人権にかかわる4つの法律の施行について|品川区)。

ただし、これらの法律自体は禁止規定も罰則もない理念法のため、罰則は個別の地方自治体の条例に依存するようです (全国初、罰則付きルールによって、ようやく差別と向き合い始めた行政 | 論文 | 自治体問題研究所(自治体研究社))。

ブロック

差別とは、「集団・個人に対して、所属や属性を理由に不当に取り扱う行為」ということで、SNSでのブロックがまさにこの定義に合致するように感じました。

SNSでのブロックは、一般的にブロック先がブロック元に対して、フォロー、投稿閲覧、メンション通知ができない機能です。ログアウトすれば公開投稿は閲覧できますが、基本的に会話は不能になります。

まず、一番差別の定義で難しい差別内容は、ブロックという行為自体が会話からつまはじきにする、言論自由妨害という「不当に取り扱う行為」にみなせると思います。後はブロック理由です。ブロック理由が所属や属性であれば、差別の定義に合致します。

したがって、所属や属性を理由としたブロックは差別になるでしょう。

例えば、先日のハッシュタグデモはトランス差別者を糾弾するものでした。しかし、反差別を掲げて、トランス差別という思想に関する属性でブロックするならば差別に該当してしまうでしょう。

相手が犯罪者だからといって、相手への犯罪行為が合法になるわけではないのと同じ論理です (正当防衛などの例外以外)。

なお、SNSでのブロックに関しては、過去にドナルド・トランプ元大統領が行ったTwitterでのブロックに対して、言論の自由に対する憲法違反の判決が出ています。

トランプの判決

2審判決までなされ、その後上告がなかったようなので、判決が確定したようです。大統領という公人で、市民の声を聴く必要のある立場という点でのブロックへの判断です。一般人とは性質が異なりますが、SNSのブロックによる違法例にはなります。

日本国憲法では、「憲法21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」への違反相当と思われます。

なお、ユーザーによる通常ブロックが、理由次第で差別にあたることから、分散SNSのドメインブロックはドメイン・サーバーという所属を理由とするブロックなので差別に該当するでしょう。

反差別を掲げておきながら、差別を理由にドメインブロックを行うことは、自分自身が差別を行うことになります。

そもそもユーザー単位のブロックで通常は十分で、ドメインブロックはいりません。ドメインブロックは差別のための機能に思います。これを考えて、冒頭の投稿をしました。

反差別を掲げるならば、所属や属性を理由としたドメインブロック・ブロックを一切行っていないサーバーのユーザーにだけ資格があると思います。自分が差別しておいて反差別を掲げるのは筋が通りません

Mastodonも反差別を前面に掲げるならば、ドメインブロックという差別のための機能を一刻も早く廃止すべきだと思います。

結論

所属や属性を理由としたSNSのブロックが差別で違法行為に該当するという話でした。

ブロックで違法になる法律を整理すると以下となります。

SNSでのブロック違法の法的根拠
  • 日本国憲法14条1項: すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
  • 日本国憲法21条: 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する

反差別や「差別は良くないね」というのは聞こえのいいフレーズです。しかし、実際はもはやわざわざ意識しないレベルで日常的に、自分の気に入らない属性の人物に対してブロックを行う差別者でSNSは溢れています。

日本では差別は違法であっても罰則がありません。せいぜい、名誉棄損、誹謗中傷、業務妨害などで訴訟したり取り締まるしかありません。逆に、言論の自由が広く認められていることでもあります。

認知の有無は別にしても、ブロックのように差別は日常に存在します、根絶は現実的ではありませんので、わかったうえでできることをするしかないと思います。差別者に対する一番の復讐は自身の幸福の実現でしょう。結局、差別があろうがなかろうが、自分自身の幸福、目標実現に向けて精進するしかありません。

分散SNSで反差別を掲げて実現するのであれば、ドメインブロック機能の存在しない実装を使うか、ドメインブロックが0件のサーバーを使うしかありません

Friendica/Mastodon/Misskey/Pleromaにはドメインブロック機能が存在します。ドメインブロックの存在しない実装は、私の知る限りGNU social/Nextcloud Social/WordPressが該当します。

ドメインブロックの有無は「ドメインブロック確認サイトfedi-block-api | GNU social JP」で紹介したサイトで確認できます。

反差別を掲げながらブロックという差別を行う人物は、平気でダブルスタンダード (相手は駄目だが自分はいいという二重基準) を適用するので厄介です。

そういう意味で、ドメインブロックの存在しないGNU socialユーザーは反差別の実現に近い立場です。私自身もドメインブロックのようなあからさまな差別には嫌悪感・抵抗感がありますので、反差別の意思を示していきたいと思います。

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