2020年7月29日Windows 10 のDISMとは?利用場面や使い方を解説
Windows 10 のDISMとは何なのでしょうか?SFCは聞いたことがあっても、両者の違いまで詳しく知っている方はそう多くないかもしれません。
パソコンに不具合があるとWindowsの復元や再インストールが必要とイメージされがちですが、実はそこまでしなくても解消されることもあります。そこで今回は、「Windows 10 の動作がおかしいな」と思ったときに活用したい、DISMの使用場面や使用方法を解説します。
Windows 10 のDISMとは?SFCとの違い
DISMとはWindowsのシステムイメージのエラーを確認して、修復してくれるコマンドラインツールです。Windows 10 のDISMは「C:\Windows\System32」(デフォルトでは隠しフォルダー)にあり、コマンドプロンプトやWindows PowerShellの管理者権限で実行できます。
SFCコマンドとの違い
SFCは「システムファイルチェッカー」の略で、システムファイルの損傷や整合性をチェックして、問題が見つかったファイルを自動的に置き換えるツールです。
Windows PowerShellかコマンドプロンプトで「sfc /scannow」を実行すると、システムファイルをチェックします。スキャンによりファイルの破損が確認されると、Cドライブにバックアップされたファイルのコピーから復元してくれます。
どのような場面でWindows 10 にDISMを使用するのか?
DISMはどのような場合に実行すべきなのでしょうか?その利用場面を紹介します。
Windows 10 の修復が必要なとき
Windows 10 の動作が不安定な場合や起動に問題があると、修復が必要です。修復と言えばWindowsのリカバリーや再インストールを想像する方が多いかもしれませんが、ファイルやイメージを修復するだけで解決する場合もあります。
DISMとSFCは役割が異なり、DISM はシステムイメージのチェックや修復を行い、SFCコマンドはシステムファイルのチェックと修復を担当します。Windowsのリカバリーや再インストールを行う前に、まずDISM とSFCのセットを試してみましょう。
アップデートに失敗したとき
Microsoft®では、Windows Updateのインストールが上手くいかない場合の解決方法として、DISMを紹介しています。
参考サイト:
DISM またはシステム更新準備ツールを使用して Windows Update のエラーを解決する
※DISMを使ったWindows Updateのトラブルシューティングは、専門知識が必要です。Microsoft®は一般的なユーザー向けに、Windows 10 のアップデートに関する対処法も紹介しています。
参考サイト:
Windows 10 の更新に関する問題のトラブルシューティング
上記のサイトに掲載されたトラブルシューティングを試しても問題が解決しない場合は、Microsoft®またはパソコンのメーカーのサポート窓口に問い合わせることをおすすめします。
Windowsのイメージファイルを作成するとき
DISMを使えば、ハードディスクのイメージをWindows 10 のイメージファイル(wimファイル)として保存できます。
参考サイト:
DISM を使用してデータイメージを作成する
DISMを使用したWindows 10 の修復方法
Windows 10 の修復は、必ずしもWindowsの復元などが必要でないケースもあります。ここでは、DISMとSFCでシステムをチェック・修復する手順を説明します。
- ①Windows PowerShellの起動
Windowsキーを右クリックして、一覧からWindows PowerShell(管理者)を選択します。
「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」で「はい」を選択してください。 - ②修復用コマンドを入力
コマンドラインに「DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth」をコピー&ペーストして、Enterキーで実行します。
※コマンドを直接入力する場合は、スラッシュ(/)の前にスペースの入力が必要です。スペースが入っていないと、エラーで処理が実行されません。
・「DISM /」
・「Online /」
・「Cleanup-Image /」 - ③イメージ修復の開始
※DISMを実行すると通常は数十分程度かかります。Windows PowerShell上でステータスが100%になり、チェック・修復が完了するまで、操作せずに待機してください。「復元操作は正常に完了しました。」と表示されたら、修復は完了です。 - ④SFCを実行
「sfc /scannow」をコマンドラインにコピー&ペーストして、Enterキーでスキャンを開始します。
※スラッシュ(/)の前にスペースを入力してください。スペースがないとエラーが返されます。
※システムのスキャンに時間がかかるため、「検証 100%」になるまで待機します。途中でWindows PowerShellを閉じないよう、注意してください。
SFC完了後のメッセージによって、処理結果が異なります。
・「Windows リソース保護は、整合性違反を検出しませんでした。」と表示されれば、問題ない。
・「破損したファイルを検出し、正常に修復しました。」の場合は、システムファイルに問題が見つかったが、修復によって解決されている。
・「破損したファイルを検出しましたが、その一部を修復できませんでした。」というメッセージが表示される場合、修復に失敗している。下記ページの「詳細情報」を参照。
参考サイト:
システム ファイル チェッカー ツールを使用して不足または破損しているシステム ファイルを修復する
※上記ページの手順では、破損したファイルを正常なファイルのコピーに手動で置き換える必要があります。この方法でも解決できない場合は、ハードウエアの破損が考えられるほか、Windowsの再インストールが必要になることもあります。 - ⑤「exit」を入力→EnterキーでWindows PowerShellを終了
- ⑥パソコンを再起動
※再起動時にWindows 10 が起動しない場合、ブートセクタの破損が考えられます。修復方法は下記ページを参照してください。
参考サイト:
Windows の起動の問題の高度なトラブルシューティング
DISMコマンドの解説
DISMの代表的なコマンドは下記の通りです。
/Cleanup-Image /RestoreHealth:チェックから修復操作までを行うコマンド
/Cleanup-Image /CheckHealth:イメージのスキャンと修復可否のチェックのみ
/Cleanup-Image /ScanHealth:修復可否のチェックなし、スキャンのみ
システムイメージの修復以外にも、DISMは活用できます。
/Cleanup-Image /StartComponentCleanup:未使用のコンポーネントをクリーンアップして、ストレージの空き容量を増やすコマンド
まとめ
DISMを使えば、システムイメージのチェックや修復が可能です。Windowsのリカバリーや再インストールが必要ない程度の不具合でしたら、DISMとSFCだけで解決できるケースもあります。Windowsが不安定だと感じたり、調子がおかしいと思うことがあったら、まずはDISMでイメージの修復を試してみてください。