Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

半世紀前のTMS1964年2月号➌

TMS1964年2月号紹介の続編です。

【同号表紙】


◆温泉電軌のりかえ
シナリーガイド著者K氏の寄稿です。 現在なら現地訪問しなくてもネット上に情報が溢れてますし、ストリートビューで疑似現場体験をする事もできます。 しかし当時の都会に住むローカル線ファンにとってK氏の記事は知らなかった/知りたかった情報の宝庫でした。

北陸本線動橋(いぶりばし)-片山津温泉間2.7Kmを結んでいた北陸鉄道片山津線が紹介されてます。 国鉄駅乗換え地方私鉄駅には2パターンあり、一つは駅舎ホーム貨物ホーム反対側に間借りするタイプ、もう一つが国鉄駅の奥に小ホームを持つこのタイプでした。

国鉄駅駅舎がある1番線から2/3番線への跨線橋が更に伸びた先を降りると、北陸鉄道片山津線のホームがあります。 単行電車2両と有蓋/無蓋貨車各1両が片山津線在籍車両の全て、この始発駅構内に収容可能です。


車体幅の狭い電車ですが軌間は1087mm、その軌間が広く見えるのは使用レールが細いからです。 発着線奥がそのまま車庫になっており、車庫脇に積まれた古枕木やレール類がローカル私鉄線の雰囲気満点です。

2.7Km、2駅で終点、改札口は空きっぱなしでホームにベンチが一つ、最初の図にある様にホーム奥に便所と駅員詰所があります。 ホームが終わるのを待てない様にカーブしてゆく線路もローカル私鉄線らしいです。

国鉄線との境界は植込みになってます。 始発動橋駅はホーム1面1線で列車交換できません、中間片山津本町駅にも交換施設がなく、終点片山津駅だけ2線駅で列車交換可能です。 この写真には2両の電車が写ってますが、多客時だけ2両編成運転したと思われます。

駅舎のある国鉄1番線ホームから2/3番線ホーム越しに片山津線ホームを望んだアングルの様です。 上屋下に並んだ小さな看板は片山津温泉旅館の看板でしょうか? この路線は1965年9月に全廃されてます。 ウィキペディアで調べると参考文献最初がこの記事でした。


◆篠原模型店広告
2-3年前に廃業のニュースが流れましたが詳細は知りません。 入手できなくなってるのは確かでネットでプレミア価格で取引されてます。 当時はレイアウト製作を目指す人の強い味方で筆者も多数所有してました。

篠原と言えばプラ道床付きレール専業メーカー(日本のPeco)と思われ勝ちですが、関連する道床も販売してました。 割高で使用者は少なかった様です。 スポーク車輪はデキが良く安価で数両分所有してました。

18インチ、22インチ、24インチ各360度所有してましたが、最終プランは18インチカーブ17m級車両、自宅建設時に全て廃却しました。 現在のNの様に分岐側がカーブの一部になる18インチポイント発売してたのは知りませんでした。 4番/6番ポイント使用の線路配置設計は非常に大変で、実感を別にしてNポイント仕様がN普及に大きく貢献しました。

篠原はダブルスリップもラインナップしてましたが発売はこの後の様です。 4番左右を7-8個、何故かレイアウトに使えない8番左右各1個所有してました。 ポイント眺めるだけでレイアウトの夢が膨らみましたが、これもカーブレールと一緒に廃却しました。


これだけの品種を真鍮レールと洋銀レール、記憶によると後年70番洋銀レールも発売しました。 ポイントマシン外付けが当り前の16番では商売になっても、内蔵道床付きが標準のNには転身できなかった様です。


◆組立式レイアウトのすべて
TMS主筆山崎喜陽氏の組立式レイアウト製作ノウハウまとめ記事です。

残念なのは連載2回目でまだ完結してない事ですが、Nのクラブレイアウトやフル編成走行には組立式もありますので、紹介します。


★ユニット間接続線路数
この号の最初はユニット間ジョイナー数上限についてです。

4線、ジョイナー8本が上限と書かれてますが、待避や留置にも使う駅構内は4線が必要で、4線に耐え得る構造が重要とも書かれてます。

その理由は以上の通り。複線レール2本でも結構大変ですからね。

ジョイナーの付け方はAの通常交互方式にこだわる事なく、Bのユニット接続篏合角材が出た側の並列設置を推奨してます、接続が容易で角材でジョイナー保護できるからです。


★4線駅事例

作例紹介の4線駅は長さ90cm強の4分割ユニットです。

ユニット3⃣と4⃣の接続部です。 篏合角材が機械的強度と位置決めを行い、ジョイナーは電気的接続だけを受け持たせてます。

上記ユニット1⃣です、斜めに分岐する5線目は別の単線ユニットが接続される様です。

上記ユニット2⃣の表裏です、ポイントがないので配線はフィーダーのみです。 図△部分の桁が広く空いてる場所が和室に敷設する際の敷居を跨ぐ部分で、この後解説のある『定点固定』用です。 駅ユニット長は90cm+で、押入収納や車輸送条件で決めた様です。

上記ユニット4⃣の表裏です、表面右下には短いフレキレールが接続してあり、ここでユニット接続誤差吸収する設計です。 ポイントマシン配線位置がどこか良く解りません。


★ユニット化の留意事項
組立式ではどの様に分割してユニット化するかが重要です。

ユニット設計で優先するのはユニット長を長くする事ではなく、並行する線路をまとめる事だと説かれてます。 具体的には。

180度カーブなら同じ4ユニットでもAよりB、駅構内ならAよりB、B下段ができればベストです。 つまり線路並行部分の相互位置関係固定が重要だと書かれてます。

ユニット長の目安は場合により50cm~1m、16番車両2-4両分と短目です。 収納や運搬の条件込みですので、スケールが異なるNにも当てはまりそうです。


★定点固定
組立式レイアウトは線形固定ですが、敷設時に歪みなく設計線形通り組み立て、同時に敷設場所障害物(柱や壁など)と干渉しない様に組立起点と線形固定の位置決めが必要です。 4線駅事例では3⃣の敷居跨ぎ部を最初に設置し、両側2⃣4⃣接続で位置決めする様にです。

線路が並行集中する駅構内線ユニット化も定点固定の1種ですが、この様な線形の場合、Aの線路間隔が狭い部分をBの様にユニット化すると、接続時のCの様な歪みを防げます。

駅構内ユニットの対角に立体交差がある線形では立体交差部をユニット化して定点固定するのが非常に有効です。 位置と角度双方が固定され設計線形敷設が容易になるからです。

しかし立体交差部をユニット化すると嵩張り収納性が悪化する場合もあります。 紹介作例ではr立体交差部にポイントマシン台で篏合部を作って嵌め込む方式で定点固定してます。

立体交差部の定点固定と収納性両立の為に、部分的組立式にする方法も紹介されてます。

【定点固定の分岐ユニット】
当社は固定式なので組立式レイアウト技法応用場面はありませんが、市販レール組合せ敷設でお座敷運転楽しんでる頃を思い起こすと、使えた技法があったと感じています。


ではまた。