中国気球、過去の飛来「探知せず」と米司令官 議会で批判収まらず
産経ニュース / 2023年2月7日 19時44分
【ワシントン=渡辺浩生】米軍に4日撃墜された中国の偵察気球をめぐり、バイデン政権の説明の食い違いや後手に回る対応が浮き彫りになっている。約1週間米本土など上空の飛行を許したことに加え、過去の飛来について北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)司令官は6日、探知していなかったと明かした。議会では「国家安全保障の失態」との批判が高まり、バイデン大統領は7日の一般教書演説で説明を迫られた格好だ。
気球が落下した東海岸南部沖では米海軍や沿岸警備隊による捜索が6日も続行され、残骸の一部が回収された。連邦捜査局(FBI)が分析を行っている。
国防総省は4日以降、記者団や議会に対し、過去に中国の偵察気球の飛来は少なくともトランプ前政権時代で3回、バイデン政権で1回確認されたと説明。しかしボルトン元大統領補佐官やエスパー元国防長官ら前政権当時の高官は報告は受けていないと語り、トランプ前大統領も自身の交流サイトで「偽情報」と否定した。
北米上空の防衛を所管するNORADのバンハーク司令官は6日、記者団に過去の飛来について「われわれは探知しなかった」と説明。後に情報機関から知らされたとし「認識のギャップがあった」と答えた。
国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は6日、過去の飛来は政権移行後に把握したとし、前政権高官に事情を説明すると述べた。ボルトン氏はCNNに「飛来を知りながら上層部に報告しなかったのなら深刻な問題」と述べ、過去の飛来を公表した意図に疑問を呈した。前政権高官らは、自身が報告を受けていない過去の事例をバイデン政権が公表したのは気球飛来をめぐる世論の衝撃を和らげるためとみて不信感を強めている。
一方、バンハーク氏は今回の気球の高さは約60メートル、重量900キロ超と見積もり、太陽光パネルや電池、撮影機能を備えていたと語った。1月28日にアラスカ州近くで発見された直後に撃墜しなかったことは「敵対的な行動を示さなかったから」と釈明した。
バイデン氏は6日、記者団に「国防総省には適切な時点ですぐ撃墜してほしいと話したが、彼らは本土上空で撃墜すべきでないと結論づけた」と強調、軍部の説明と微妙なズレがある。
共和党からは「国家安全保障上の失態で、政権の弱腰の一例」(ロジャース下院議員)との批判が収まらない。バイデン氏は再出馬を模索しながら支持率低迷を続けるだけに、明確な説明責任が迫られそうだ。
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