「シャブを打つと人の感情が全部見える」ルフィ広域強盗事件・今村磨人容疑者(38)が仲間から“化け物”と言われるワケ《収容所で金を手に入れる狡猾なカラクリ》
文春オンライン / 2023年2月7日 17時25分
フィリピンから強制送還された今村容疑者 ©文藝春秋
《ルフィ広域強盗事件》収容所にいたX氏が明かす容疑者らの“惨忍な素顔”「『娘とヤリたい』覚せい剤で“頭がぶっ飛んでいた”」「フィリピン人彼女に豪邸や高級車、盗品ロレックス…」 から続く
2月7日、ようやく「ルフィ」の逃亡劇が終わりを迎えようとしている。
全国各地で相次ぐ広域強盗事件。「ルフィ」などと名乗る指示役は複数人いるとみられることがこれまでに明らかとなっているが、このうちフィリピンの入管施設で拘束されている今村磨人容疑者(38)と藤田聖也容疑者(38)の2人がついに日本に強制送還されたのだ。
社会部記者が話す。
「警視庁は、2人のほか渡邉優樹容疑者(38)、小島智信容疑者(45)の計4人が、一連の強盗事件についてフィリピンから指示を出し、関与したとみています。4人は2019年にフィリピンで摘発された特殊詐欺グループの幹部とみられ、警視庁は2019~2021年に窃盗容疑で逮捕状を取得しています。リーダーとされているのは渡辺容疑者ですが、その実力から彼と“同格”とされ『ルフィ』のコードネームを使っていたのが、今回送還された今村容疑者です」
「今村がルフィ」X氏が断言するワケ
容疑者らと同時期にフィリピンのビクタン収容所にいたX氏は、「今村がルフィだ」と断言する。
「今村はルフィという名前でテレグラムを使っていて、このアカウントから国内の実行犯に強盗を指示していました。誰かとアカウントを共有していたというのは聞いたことがない。今村がルフィで間違いないんじゃないか」
今村容疑者が強盗事件の指示を出していたとされるのが、”金さえあれば何でもできる”と悪名高いビクタン収容所だ。
日本での強盗事件が明るみになり、フィリピン当局による管理のずさんさが改めて問題となったために、監視の目が厳しくなったという。だが、管理体制は「まだまだ甘い」のだという。X氏はこう明かす。
携帯没収後にまた入手「送還直前にぶっ壊した」
「収容所の関係者から聞いたのですが、今村は送還直前まで携帯電話を使って、何かをしていたようです。監視が厳しくなったとの話もありましたが、全然ですよ。今村も携帯電話を没収されたようですが、その後すぐにまた手に入れて使っていました。その携帯電話も、送還直前に足で踏みつけてぶっ壊していったみたいですが……」
容疑者らにとって携帯電話は、日本にいる”タタキ”の実行犯と連絡を取るための生命線であったわけだが、X氏は今村容疑者が携帯電話を使う「別の理由」についてもこう話す。
「今村はよく携帯電話で女の子が出演するエッチなライブ配信を見ていて、1日50万円くらい課金していたもんだから呆れましたよ。あと、FXにはまって、何百万単位で金を動かしていました。もっぱらセンスがなかったから、儲かってはいなかったみたいだけど……」
ライブ配信への課金やFXなどに使っていた金の出どころについて、X氏はこう続ける。
収容所内で金を手にいれるカラクリ
「日本に送還されたところで、金の一部はまだフィリピン国内にあるのは問題だと思いますよ。彼女やその家族に何百万単位の現金を預けたままになっている。彼女たちは今村が株への投資などで得た金だと信じているから、まさか強盗した金だとは思ってもみないだろうが……。
家族以外では、マニラのカジノAに金が残っているはず。日本国内の強盗で得た金は、関東地方の業者や複数の人物によってマニラにあるこのカジノに送金されていましたから。今村たちは韓国人の偽名でカジノにアカウントを持っていて、そこに多額の金が入れたままにしています」
X氏によると、カジノAを通じた”ある方法”によって、収容所内の今村容疑者らの手元に金が流れていたという。
「日本からカジノに送金された金は、今村の指示で仲間が引き出しに行っていました。『何時何分に誰々が来ます』とカジノの店員に伝え、仲間をカジノに出向かせる。店員は、カジノに来た人の顔写真を今村に送り、そこで仲間だと本人確認が取れたら、現金を手渡すんです。この方法で収容所にいる今村に現金が流れ込んでいました。今村はその金で和牛の最上ランクを10キロ仕入れ、収容所内で食べていたこともあったね」
元をたどれば、今村容疑者らは60億円以上の被害が出た特殊詐欺グループの幹部としてビクタン収容所で拘束されていたわけだが、フィリピンに渡った理由は何だったのだろうか。
北海道出身の今村容疑者は、札幌市内の小中学校では札付きの不良として地元で恐れられる存在で、地元の暴走族でトップになるなど“ワルの道”を進み、渡邉容疑者とも地元仲間で親交があったという。
今村容疑者と札幌で親交があった男性はこう明かす。
「3桁万円を着服し“めくれた”ため海外逃亡」
「今村は5年ほど前にコールセンターの会社で勤めていましたが、3桁万円の金を着服していたことが会社にバレたのです。今村は数字を操作して会社の業績を良く見せていましたが、それがめくれてしまい、返済する金もない。それがきっかけで、すでに仲間がいたフィリピンに渡ることになりました」
着服が発覚する前は、社内での今村容疑者に対する評価は高く、尊敬のまなざしを浴びていた一面もあったようだ。男性は続ける。
「シャブを打つと『人の感情が全部見える』と言って…」
「今村はほぼ毎日シャブを打ってましたが、打つと本当に覚醒しちゃう滅多にいないタイプでした。打って1週間ぐらい仕事に没頭すると、それまでできなかったExcelを完璧に使いこなせるようになっていたりとか、かなり正確な売り上げの予測値を出してきたりしてました。本人は『打つと人の感情が全部見えるようになる』なんて、恐ろしいことも言ってました。
会社幹部のミスをうまくつつき、『こいつが上にいるからこうなるんだよ?』と蹴落とすこともありました。従業員の心を掴んで『キヨトさん、キヨトさん!』と頼りにされていました」
今村容疑者はコミュニケーション能力が高く、先輩などの顔を立てて尽くし気に入られるタイプでもあったという。別の知人男性はこう話す。
「先輩の財布を使うのが上手かったですね。キャバクラなど夜の店でも先輩をたてる代わりに一切金は払いませんでした。一方、会社の内外で後輩ににらみをきかせ、言うことを聞かせるのが抜群に上手い。今村は同年代では喧嘩が1番強いと有名で、シャブもやってるからか、オーラがヤバいんです。
直接手をあげるわけではないんですが、『指示に従わなければとんでもないことになる』と思わせる、無言の圧がすごかった。今村に『打たねえと金やんねえからな』などと言われ、注射器で無理矢理シャブを打たれた後輩もいたようです」
ビクタン収容所でも今村容疑者は立場が上の人を取り込むのに長けていたようだ。収容所で働くフィリピン人の男性職員は、今村容疑者についてこう語る。
収容所職員を懐柔「今村は化け物」
「2021年ごろの話ですが、今村が腹痛を訴えたので病院に連れて行ったことがあります。健康に特段問題はありませんでした。その後は特に付き合いはありませんが、彼は私の友人だと当時は思っていました。塀の外では悪い人だったかもしれませんが、職員に対してはとてもフレンドリーで優しかったのです」
今村容疑者は立場をわきまえて人を使うのが得意だった様子が垣間見える。前出の知人男性はこう語る。
「渡邉も頭の回転は速いのですが、今村はそれ以上の化け物。確実に自分より渡邉を下に見ていました。仕事の面倒は全てトップに押し付け、フィクサーとして立ち回る性格だったので、便宜的に渡邉をグループのトップに据えていたのかもしれません」
死者まで出すことになった、全国で相次ぐグループの連続強盗事件。帰国した今村容疑者らは何を語るのだろうか。
◆◆◆
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