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魚が獲れない日本「養殖でいい」は甘すぎるワケ 世界人口80億人、供給が追いつかない水産資源

東洋経済オンライン / 2023年2月9日 8時0分

食用にならない小サバ(写真:筆者提供)

人口減少を続ける日本とは対照的に、世界の人口は2022年11月に80億人に達しました。今後、世界全体ではさらに人口増加が続き、2030年には85億人に達すると予想されています。人口が増えれば、必要な食糧は増えます。

水産物についても必要とされる量が増加傾向にあります。日本では「魚離れ」が進んでいると言われますが、世界では1人当たり消費量は増え続けています。このため、世界全体での水産物供給量が、需要に対して足りなくなり、水産物の価格を押し上げています。

水産物が足りなくなってきているにもかかわらず、日本では魚が大きく成長する前に漁獲してしまい、「非食用」(エサ等)にしている現実があります。例えばサバの場合、ノルウェーでは99%が食用となっているのに対し、日本はサバの41%が非食用(2020年)となり、非常にもったいない仕組みになっています。

2030年までに追加で1400万トンの水産物が必要

上の表は、国連食糧農業機関(FAO)のデータを基に、2030年までに世界で必要となる食用水産物の供給量を試算したものです。2020年の1人当たりの年間消費量である20.2kgで計算しただけでも、2030年までの10年間で1400万トンも供給量が追加で必要となります。

(外部配信先では図表・グラフや画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

2030年までに追加で必要とされる1400万トンという数字は、世界各国の漁獲量(生産量)と見比べるとその大きさがわかります。2020年の数字で日本421万トン(生産量世界第10位)+アメリカ470万トン(同7位)+ロシア537万トン(同6位)の3カ国全量(1428万トン)とほぼ同じ莫大な数字なのです。

さらに2030年には、世界の1人当たり水産物の年間消費量が21.5kgに増加するという見通し(FAO)もあり、その場合はさらに約900万トンの供給量が必要になります。

天然と養殖の水産物生産量の推移

「天然の魚が減っているのであれば、養殖の水産物を増やせばよいのではないか」と思う人がいるかもしれません。次のグラフは、世界の水産物の生産量推移を表しています。青色の実線の折れ線グラフが天然、紫色は養殖物の推移です。そして水色の点線はその合計値を示しています。2020年時点で天然物は9142万トン、養殖物は1億2258万トンとなっています。

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