セクハラ事件で逮捕
高塚氏が事業再生請負人の人生を全うできなかったのは、選手とファンを敵に回したことが原因だ。ホテルの再生では凄腕を発揮したが、野球そのものにはまったく興味がなかった。選手になぜ、あれほどの高給を支払うのかわからず、高いコストの要因としか考えなかった。そのため、有名選手の年俸カットに大鉈を振るった。
1999年、日本シリーズでMVPを獲得するなどキャプテンとして日本一に貢献した人気選手の秋山幸二氏(前福岡ソフトバンクホークス監督)を減俸。同年、工藤公康氏(現福岡ソフトバンクホークス監督)との年俸交渉の際に、「君の登板する火曜日には観客の入りが悪い」と言い放ち、読売ジャイアンツ(巨人)へのFA移籍を決定的にした。
03年に「小久保事件」が起きた。小久保裕紀氏(前野球日本代表監督)の巨人への無償トレードだ。右膝の故障で03年シーズンを棒に振ったとはいえ、生え抜きでチームの顔であった小久保選手の突然のトレードは、優勝パレードの翌日に発表された。これにチームメイトやダイエーファンが激怒し、チームは優勝旅行をボイコットした。
小久保事件の真相は高塚氏の小久保選手に対する報復といわれている。高塚氏のセクハラに球団の女子職員やマスコットガールは泣かされていたとの情報が広まり、主将の小久保選手が高塚氏にこれをやめるよう直言したことから両者の関係は険悪になったようだ。小久保選手は右膝の怪我を公傷扱いとして認めてもらいたいと主張したが、高塚氏がこれを拒否。米国での治療費や渡航費2000万円は小久保選手が自分で払った。
高塚氏との感情的対立もあって小久保選手は青山学院大学の先輩であるオーナーの正氏にメジャー移籍を申し入れた。入団以来、後ろ盾となってきた正氏は条件付きで小久保氏にOKを出していたが、高塚氏は小久保選手を自由契約にすると強硬に主張した。高塚氏は小久保選手を「2億円の不良債権」と決めつけたのだ。
窮地に立たされた正氏が泣きついたのが巨人の渡邉恒雄オーナー(当時)だ。これで小久保選手の巨人への無償トレードが決まった。有力選手の無償トレードは前代未聞のことだった。
一連の騒動に選手やファンが激怒。高塚氏追放の運動が盛り上がり、高塚氏はセクハラを告発され失脚する原因となった。
さらに、親会社のダイエーに内緒でダイヤモンド社の社長に就任していたことが発覚。ホークスタウンに高塚氏の書籍1万冊を「営業用消耗品」の名目で購入させたことなど、さまざまな不祥事が噴出した。04年9月、運営会社社長を解任され、オーナー代行も辞任した。
同時に、ホークス球団はソフトバンクに身売りした。ほかの福岡事業は米投資ファンド、コロニー・キャピタルが買収した。
高塚氏が解任された直後の04年10月、高塚氏は女性社員らにセクハラ行為があったとして強制わいせつ容疑で逮捕・起訴され、05年10月に懲役3年・執行猶予5年の有罪が確定した。高塚氏は自著で「普通はセクハラになるところだが、そうならないのが高塚マジックだ」と自慢するほどのセクハラ魔だったことも、判明した。
高塚氏はリゾートホテル再生のスーパーマンだったが、球団経営で墓穴を掘った。ちなみに、同氏が追放された後、巨人にトレードに出されていた小久保氏はホークスに再移籍し、ファンの歓呼の声に迎えられた。
(文=編集部)


















