ストーリーは単純。 初めて太陽系外へ進出した人類の宇宙戦艦は謎の宇宙怪獣に遭遇し 壊滅的な被害を被る。 そこで、新兵器の開発と操縦要員の育成に乗り出す。 要員としての特別な才能を持つことを見い出された主人公は 次第に自己の能力に目覚め、最後には人類を救う英雄になるというもの。 しかし、ベースにしたストーリー展開がスポコン漫画「エースをねらえ」だ というのがおかしい。 意外な転用なのだが、それなりに理屈に合っているところも見物である。
対宇宙怪獣用なので格闘戦が有効との判断から開発された新兵器が 人型のマシン兵器なのだ。 胴体部分に搭乗した操縦者がレバーやスイッチ類を巧みに操作する構造に なっているのは、ガンダムなどと同じ。 大量生産兵器でありながら、操縦者の個性を反映していると称して、 1機ずつ細部が異なっているところがSFアニメとしては目新しい。 搭乗員間の通信にも配慮してあって、 外部の様子を表示する画面に通信相手の顔が表示されるのだが、 これが必要に応じて開く小さなウィンドウになっているところが今風。 マッキントッシュのGUI画面表示をヒントに採用したのだろう (当時、Windowsは未だマイナーだったのだ)。
操縦系も格段の進歩を示す。 ジャンボーグAで採用されていた操縦者の行動をトレースするものに なっているのだ。 ここに至って、主人公がなぜ抜擢されたかに合理的な説明を与えることができる。 ユーザーインターフェースが画期的に変われば、 操作に必要な才能は変わりうるということだ。
大型化したことで戦闘能力も耐久性も大幅に向上したガンバスター。 これによって人類は初めて宇宙怪獣と互角に戦えるようになる。 ガンバスターという呼称は、銃や火器、さらにはその使い手を意味するgunと、 撲滅者・破壊者を意味するbusterとの複合語であるというのが公式見解だが、 「頑張ったー」という日本語から付けたというのは、その筋では有名な話。 サントリーとかノーリツとか、 日本の社名ネーミングと一脈通じるところがあるようだ。
現在の技術ではブラックホールを人工的に作ることはできないが、 作れるようになったら、これからエネルギーを取り出すには2つの方法が考えられる。
1つはブラックホールに物を落とすことで重力エネルギーを取り出す方法だ。 ブラックホールに物を落とすと、あらゆる物質が1点に集中するが、 穴に向かって一直線に物が落ちることは確率的に難しいので 流しの水のように渦を巻く。 この渦の内側と外側とでは回転速度が違うので、 その速度差で生じる摩擦で物質が高温になり強い光や放射線を発するのだ。 これを使うと物を落としさえすれば熱や光が入手でき、 エネルギー源にすることができる。 宇宙にあるブラックホールには、この光で発見されるものがある。
ちなみに、排水口で水が渦を巻くのは排水口の形が真円ではなく 右回りと左回りで摩擦が微妙に違うからだ。 南米に行った際に確認したが、決して地球の自転によるのではない。 自宅でも排水口の周りの様子を変えると回転方向が逆になったりするので 容易に確かめられる。
もう1つの方法は、2つのブラックホールが回転していることを用いる。 昔の乗り物のおもちゃは、手で勢いをつけると1m位は走った。 手で内蔵されている、はずみ車を回転させ、 そこに蓄積されたエネルギーを使用するのだ。 近年では、超低摩擦軸受のはずみ車を作って、 深夜電力のエネルギーを溜める研究も進んでいると聞く。 ブラックホール2個が回転している場合も、 そこには回転エネルギーが蓄えられる。 これを取り出せば、莫大なエネルギー源となる。
もっとも、独楽(コマ)や自転車の例でもわかるように 回転している重い物体は回転軸の向きを変えるのが難しい。 ガンバスターも、縮退炉を搭載しているならば、 その回転軸を変更するような急旋回が難しいはず。 設定資料集に、この記載がないのは最高機密だからなのだろうか。