サウナの熱波、投資にも 貸し切り個室、本場に近い環境… 県内の旅館で新設や拡充の動き活発【動画あり】

二つのサウナを設けたよろづやのプライベートスパ「梵」

 漫画やドラマをきっかけに火が付いた「サウナブーム」。県内の旅館では今年に入っても、集客のきっかけにしようとサウナ施設を新設、拡充する動きが活発だ。プライベートサウナや屋外サウナを設けたり、本場・フィンランドのような環境を整えたり。特色を出してサウナファンのニーズをつかもうとする投資熱は、冷めていない。

 下高井郡山ノ内町の湯田中温泉にある老舗旅館「よろづや」は7日、プライベートスパ「梵(ぼん)」を館内に開業した。蒸気で室内を暖める「ロウリュ」ができるサウナと、源泉を使った蒸気の出るスチームサウナの2種類を備える。脱衣所も含めて67平方メートル。掛け流しの温泉や水風呂、外気浴スペースも用意した。

 新型コロナ下で使わなくなったカラオケルームを改装した。旅館を経営する萬屋傳蔵(よろづやでんぞう)(山ノ内町)の小野誠社長は「温泉街の周遊につながる施設を造りたかった。サウナが良い切り口になると考えた」と話す。日帰り利用もでき、若い女性らに顧客層を広げる考え。個室での入浴を求める訪日客の需要にも対応した。料金は利用人数で変わり、日帰りは4人利用で90分1人税込み4400円。

 小諸市の温泉旅館「薬師館」は1月下旬、屋外サウナ「Sauna Space TOJIBA(サウナスペーストウジバ)」をオープン。近くにある系列旅館「常盤館」から登山電車に乗って訪れるのが売りだ。広さ10平方メートルほどのサウナ小屋は、標高1050メートルに立地。フィンランドの「スモークサウナ」をイメージし、焼いたスギ材を内装に使った。

 TOJIBAの名称は、一帯がかつて湯治場だったことに由来する。料金は1回120分で、1人税込み4400円。貸し切りもできる。ストーブに地元産のまきを使用する他、今後、水分補給を兼ねて地元産のフルーツなどを提供する予定。薬師館の花岡隆太代表は「新しいコンテンツを通じて地元を宣伝したい」とする。

 ホテル五龍館(北安曇郡白馬村)は、フィンランドのサウナ文化を形にしようと25年以上前に屋外にサウナ小屋を設置。近年、サウナを目当てにした日帰り入浴客が増加したたため、男女計三つの水風呂を整備し、サウナストーブを新装した。運営する五龍館(同)の中村実彦会長は「ブームでサウナの入り方が浸透し、長い時を経てヒットした」と話している。

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■コアなファンが人気を支える

 国内のサウナ市場などについて調査している一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所(千葉県船橋市)によると、2021年12月の調査で、年に1回以上サウナに入る人は推計で1573万人。このうち、月に4回以上入る「ヘビー」層は255万人で、月に1~3回の「ミドル」層も521万人に上る。

 サウナ人気は、19年にドラマ化された漫画などのシリーズ「サ道」で一気に高まった。熱気浴や蒸気浴と冷水浴、外気浴を繰り返す入浴方法が「ととのう(整う)」という言葉とともに浸透。ととのうは21年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされた。

 新型コロナ下の行動制限で県外宿泊客が減少したことなどから、県内では地元客や日帰り客を取り込もうと、サウナ関連の設備投資が続く。

 21年3月に完全個室のサウナを設けたゲストハウス「tabi―shiro(タビシロ)」(松本市)。地元の人を呼び込みたいと始めたが、全国のサウナをまとめたサイトやSNS(交流サイト)の情報を頼りに、県外からも利用者が訪れている。

 ブームの開始から時間が経過し、初めての利用者よりもリピーターの数が圧倒的に多い。タビシロの小沢清和代表は「ブームの『入り口』は終わったが、コアなファン層が増えて(人気を)支えている印象」とする。一時的な熱狂が成熟期に移行し、「風呂文化のようにサウナも文化になって、各施設にあって当たり前になるのではないか」と見通した。

(木暮有紀子)

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