最近は時の流れというものを肌で感じるようになった。

僕が生まれて初めてバンドで演奏をしたのが14歳の時の中学の文化祭。そして15歳の時に出会った人たちと、生まれて初めてちゃんとバンドを組んで、生まれて初めてオリジナル曲を作った。当時は理論どころかコードもGしか知らなかったので、頭の中で行き場なく彷徨っていたメロディと歌詞に初めてメンバーが曲がつけてくれた時、本当に感動した。俺はこれで世界を変えるんだ!と本気で思っていた。嬉しくて仕方がなかった。僕らの焦燥と孤独はメロディとリリックを手に入れた。何年も演奏したけれど、そのバンドはそれぞれの理由で凍結している。結果、そのバンドで大きく誰かの世界が変わることはなかったかもしれないが、少なくとも片田舎のたったひとりの男の子の世界は、音楽によって大きく変わったのだ。

そして今、時は流れて満25歳。
姿形は変わっても、その世界を変えたいという一見アホ丸出しの思いは今も尚、僕の中に強く、太く、流れ続けている。

24歳、こんな未来が本当に来るなんて、日々願って生きてきたけれど、やっぱり思ってはいなかったかもな。
3枚目のアルバムをなんとか無事に出すことが出来て、そして全国をツアーで回る。ツアーファイナルは渋谷クアトロでワンマン。15の時の僕が聞いたら信じっかな?うわー。
別に身の丈に合わないと思ってるとかビビってるとか浮かれてるとかそういうことじゃない。足はしっかり地面についてるし、拳だってちゃんと握れるし、いつでもお前を殴る準備は出来てる。

んで、上京してもう6年も経つわけ、マジかよ。笑えねえ。
この6年間、もちろん楽しいことも沢山あったけれど、その道中何度もあった気が狂いそうな夜を越えた。死にそうなこともあった。死にたい夜があった。だけど生きてきた。

生きてきた確かな理由の一つはこの記事を夜な夜な読んでしまうような、そんな、あなたに会いたいから。未だ見ぬあなた達に僕は会いたいんだ。

今もしかしたら自殺寸前にこれを読んでいる人がいるかもしれない、今もしかしたら浮気をしている男が先に寝てしまってやり場のない感情の嵐のなかに立ち惚けてる人がこれを読んでいるかもしれない、今もしかしたら自分の生きていく理由のなさに絶望している人がこれを読んでいるかもしれない。

そんなあなたに会いたい。
それはCDであなたの夜に忍び込むのか、ライブハウスでぐしゃぐしゃになっている中かは分からない。

例えば君が自殺をしようと思った時、人はもしかしたら君を責め立てるかもしれない。
例えば君が相手に彼女がいることを分かっていて、それでも好きになってしまった人に抱かれて不安と自責の念で涙をこらえた時、人はもしかしたら君を叩くかもしれない。
例えば君が自分の生きてきた道に何も残っていないと分かってしまった時、人はもしかしたら君を笑うかもしれない。
例えば君が悪いことをしたら、親は見放し、友は離れ、世間は叩き、法は罰するだろ?

だけど、そんなあなたを救ってくれるのが、僕は音楽や映画や演劇、そんな表現であってほしい。
音楽でなら言える「YES」があるから、そんなあなたに僕は会いたいと思っている。
誰かの世界なんて変わらないかもしれない、でも、僕らのライブを見た後に、今日まであんまり食欲なかったけど、なんとなく少しうまいラーメンでも食べに行きたいな。とかそれくらいでいい。それくらいの何かであれば恐縮ながら僕らはあげられると思っている。
僕も救われてきたから、生意気ながら今度は僕らの番だなんて思っている。


来週の10/4にいよいよ、「もょもと」を発売する。
しもやんとアベくんと僕が文字通り魂を削り、半生の集大成で作り上げたメロディとリリックだ。
そしてツアーで全国にライブをしにいく、一本一本死ぬ気でやる。文字通り死ぬ気。

だから、是非、会いにきてほしい。
会いにきて、確かめてほしい。
15歳の少年が夢見たバンドの姿を。