デジタルとアナログの違いとは?メリット・デメリットを例も踏まえて解説
デジタルとアナログ、なんとなくコンピューターを使ったものがデジタルだと思っていませんか?本記事では、デジタルとアナログの違いと概要、それぞれのメリットとデメリットを実際の例を通して解説します。アナログとデジタルの違いを知り、特性を活かして活用しましょう。
目次
▷デジタル化の意味とは?定義や必要性が高まる背景・推進方法を徹底解説
デジタルとアナログの概要
デジタルとは「連続的なデータを段階的に切り取ったもの」です。デジタル時計の仕組みが、デジタルのわかりやすい例といえます。アナログは「連続的なデータを目に見える量で表したもの」でアナログ時計の秒針がわかりやすい例といえるでしょう。
デジタルとアナログの違いを理解するには、デジタル時計とアナログ時計の比較が有効です。ここでは、デジタルとアナログの概要について解説します。
(1)デジタルとは
デジタルとは「連続的なデータを段階的に切り取り、数値や記号で表すもの」です。ラテン語の「digitus(指)」が語源で、数えるときの指を折る動作が由来と言われています。
デジタルでわかりやすい例がデジタル時計です。デジタル時計は1分1秒ごとに数字が切り替わりますが、現実には1秒から2秒に変わるまでの間には1.99秒も存在しています。
デジタル時計は、1秒から2秒に変わる途中のデータを切り取って表しているため、1秒の次に2秒に表示されるというわけです。
この技術を使った最たる例がコンピュータです。現代ではデジタルのことをコンピュータと同義語のように指すケースも増えていますが、厳密にいえばデジタルとは表示方法のことであり、コンピュータはデジタルを使った機械を指します。
「デジタルはコンピューターを使っているとは限らない」ことを理解しておく必要があります。
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(2)アナログとは
アナログは「連続的に変化するデータを、目に見える量で表したもの」です。ラテン語の「analogy(比例)」が語源と言われています。英語でのanalogyの「類似・相似・比喩」を指している説もあるようです。
アナログの例としてわかりやすいのはアナログ時計です。アナログ時計は短針と長針、秒針で時間を表しています。秒針は止まることなく動き続けることで、時間が進んでいる様子が目に見えるように表されています。
砂が落ちる様子で時間の流れを表す「砂時計」も、アナログの代表的な例のひとつといえるでしょう。
(3)アナログ時計とデジタル時計を比べると違いが分かりやすい
アナログ時計とデジタル時計を比較するとデジタルとアナログの違いがはっきりします。デジタル時計は、1秒から2秒に進むまでの様子を表すものはありません。1秒から2秒に切り替わるときは1瞬です。
一方、アナログ時計は1秒から2秒に切り替わるまでの間も秒針が動いています。ただし、デジタル時計では今が何秒かが明確に表示されるのに対し、アナログ時計では今が何秒なのかは曖昧です。
この明確さと曖昧さが、デジタルとアナログの違いともいえるでしょう。#1: 例題1|そろばんはアナログ機器か
そろばんはデジタル機器に分類されます。アナログの定義は「連続的に変化するデータを、目に見える量で表したもの」です。それに対し、デジタルの定義は「連続的なデータを段階的に切り取り、数値や記号で表すもの」です。
そろばんは数字の切り替わりを段階的に表しています。電卓との比較で、一見アナログ機器と勘違いされやすいそろばんですが、仕組みを考えればデジタル機器であることが理解できるでしょう。
#2: 例題2|囲碁はデジタル機器か
囲碁もそろばんとおなじくデジタルに分類されます。盤面上で範囲が区切られたマスに沿って石を置いていくため、変化が段階的に表されているといえます。
そろばんと電卓のケースと同様に、コンピューターゲームとの比較でボードゲーム全般がアナログと誤解されていますが、仕組みとしては、囲碁はデジタル型のゲームです。
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デジタルとアナログの特徴的な違い
デジタルとアナログの違いには複製と伝達方法があります。デジタルは数値や指標でデータを表現するため複製が容易な一方、アナログは明確な数値や記号があるわけではないため、簡単に複製できません。
またデジタルデータはパソコンを使った伝達ができる一方、アナログデータの伝達には物理的な移動が必要です。ここでは、デジタルとアナログのデータの取り扱いに対する違いについて解説していきます。
(1)複製の可否
デジタルはデータを数値や指標で表しているため複製できます。
コンピュータとデジタルが同義語のように扱われているのも複製のしやすさが原因でしょう。デジタルデータは電子化しやすいため、データをPCへ複製できます。
結果的に、デジタルデータを電子データとしてPCで扱うことになるため、デジタルといえばコンピュータになるというわけです。一方、アナログデータの複製は基本的にはできません。アナログ時計や砂時計でわかるように、アナログデータは曖昧な性質を持っています。
明確な数値や記号があるわけではなく、同じものを再現できないため、複製できないというわけです。
(2)再現性
アナログのものをデジタルで再現することは難しいでしょう。
アナログの特徴として「細かなニュアンスを表現できること」があります。それをデジタルで再現するのは簡単ではありません。
例えば絵画であれば、カメラで撮影し画像データとして再現することは可能です。しかし、油絵やアクリル絵の凹凸による筆跡や影によるニュアンスを画像で再現することはできません。レコードの音響効果やノイズもCDでは再現できないでしょう。
逆にデジタルのものをアナログで再現するのも困難です。デジタルは断続的な情報であるため、それをアナログにするには情報が足りません。
デジタルとアナログでは、お互いを再現することが難しいということです。
(3)伝達の方法
デジタルデータの主な伝達方法はコンピュータです。日常的に使用されているコンピュータであるパソコンやスマートフォンは、2進法を使ってデジタルデータを電子化できます。
パソコンやインターネットを使用して伝達するのが、デジタルデータの主な伝達方法です。メールやチャットはデジタルの伝達方法の代表例といえるでしょう。
アナログデータの伝達は物理的な方法です。物そのものを移動させることがアナログデータの伝達といえます。郵便や宅配便はアナログの伝達方法の代表例といえるでしょう。
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デジタルのメリットとデメリット
デジタルを利用するメリットは再現性です。明確な数値や記号があるため複製が容易にできます。情報化社会といわれる現代において、デジタルデータは欠かせないものです。
一方、デジタルのデメリットは感覚的に取り扱えないことです。数値で表現されることで、イメージが掴みづらく、逆にわかりにくくなるのです。ここでは、デジタルのメリットとデメリットについて解説していきます。
(1)デジタルを利用するメリット
デジタルを利用するメリットは再現性です。明確な数値や記号があるため複製が容易にでき、情報共有に役立ちます。特に情報化社会といわれる現代において、デジタルデータは欠かせないものです。ここでは、再現性の理由について解説していきます。
#1: 正確性が高い
正確性の高さが、デジタルデータの再現性が高い理由です。
正確さはわかりやすさともいえます。デジタルデータは曖昧に感じるものがあっても、一定の数値や記号で表されているため、何を指しているかが明確です。
デジタル体温計であれば、体温が36.5度あることが数値で表示されます。体温であれば37.5度と37.4度の違いもはっきり数値でわかります。わかりやすさがデジタルデータの再現性が高い理由と言えるでしょう。
#2: データ保存・複製が容易である
データ保存や複製が容易であることも、デジタルデータの再現性が高い理由です。
デジタルは明確な数値や記号があるため、音源や画像を複製し、保存することが容易にできます。
そのため、パソコンやスマートフォンでデジタルデータを共有することもできます。保存と複製が容易にできるデジタルデータは、情報化社会において大きな役割を担っているのです。
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(2)デジタルを利用するデメリット
デジタルのデメリットは感覚的に取り扱えないことです。
数値や記号で明確に表現されることで、イメージが掴みづらく、逆にわかりにくくなるケースもあります。ここでは、デジタルデータがイメージを掴みづらい理由について解説していきます。
#1: 感覚で感知しづらい
感覚で感知しづらい点がイメージを掴みづらい理由です。デジタルでは明確な数値で表示されているため、一見わかりやすいのですが、これは頭の中で変換する必要があるのです。
時計でいえば、アナログ時計であれば30分経ったことは時計の針の場所を見ただけで感覚的にわかります。一方、デジタル時計では、数値を見て時間を認識したうえで計算する必要があります。
数値で表されているのは、感覚的に感知するのには適していないという側面もあるということです。
#2: 細かいニュアンスが伝わりづらい
細かいニュアンスが伝わりづらいことも、デジタルデータがイメージを掴みづらい原因です。
人間は本来、数値や記号で表示されたものよりも、イラストや形で表現されている方がわかりやすいのです。
道を言葉や文章だけで教えられるよりも、地図に書いてもらったほうがわかりやすいでしょう。細かいニュアンスを表現するのは、数値や文字だけでは限界があるということです。
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アナログのメリットとデメリット
アナログを利用するメリットとデメリットは、デジタルの裏返しといえます。目や耳から情報を入れる人間にとって、感覚的に利用できる点は大きなメリットです。その反面、正確性に欠けることや複製が困難であることは、情報化社会にとってはデメリットといえます。
ここでは、アナログを利用するメリットとデメリットについて解説していきます。
(1)アナログを利用するメリット
アナログを利用するメリットは感覚的に利用できるところでしょう。目や耳から情報を入れる人間にとって、アナログは自然に取り扱えるデータといえます。
曖昧さを残すことで、イメージで理解することができるのです。ここでは、アナログを利用するメリットについて解説していきます。
#1: 細かいニュアンスを伝えられる
細かいニュアンスを伝えられる点がアナログを利用するメリットといえます。
アナログは連続性や曖昧さを残したものであり、変動している状態をそのまま表現できます。
例えば、デジタル媒体であるCDとアナログ媒体であるレコードを比較した場合、レコードの方が音に深みがあったり微妙な音の違いが生じたりと、本来の音に近い状態で表現できます。
アナログ時計であれば、秒と秒のスピード感も理解できるでしょう。本来の情報のイメージを伝えられることがメリットといえます。
#2: 複製が容易でないため秘匿性が高い
アナログは複製が容易でないため、秘匿性が高くなることもメリットです。アナログデータは明確な数値や記号がないため、複製できません。複製できないこと自体はデメリットですが、複製できないことは秘匿性の高さにつながります。
秘匿性が高いことはメリットです。例えば、暗号資産のウォレットシードフレーズは「紙に書いて保存するように」と指示があります。これはアナログデータは複製できずセキュリティも高いことを活かした指示です。
デメリットである複製の難しさも、裏を返せばメリットにつながるというわけです。
#3: 感覚で理解しやすい
感覚で理解しやすいこともメリットです。絵や音楽はアナログなデータです。
絵や音楽を使えば、理論ではなく感覚的に表現することができます。言葉や数値では表現できないものを表現できるため、頭ではなく感情に訴えるようなこともできるでしょう。
曖昧さがある分、その表現方法には限界がないこともメリットといえるでしょう。
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(2)アナログを利用するデメリット
アナログを利用するデメリットは、デジタルのデメリットの裏返しです。
明確に数値で表すわけではないため、正確性に欠けます。複製できないことも情報化社会にとってはデメリットといえます。ここでは、アナログを利用するデメリットについて解説していきます。
#1: 正確さに欠ける
アナログは数値で明確に表現するわけではないため、正確性はありません。
時計がいい例でしょう。デジタル時計が明確に数値が表示されている一方、アナログ時計は秒針が常に動いているため、何秒かどうかは曖昧にしかわかりません。
水銀体温計も、0.1度単位の温度の違いは曖昧です。同じものを見ても、37.1度とする人と37.2度と答える人がいるでしょう。このように、正確ではない点はデメリットであるといえるでしょう。
#2: データの複製・保存がしづらい
データの複製と保存がしづらい点もデメリットです。アナログデータは細かいニュアンスまで表現できる反面、その細かいニュアンスを完璧に複製することはできません。
また、保存しづらいこともデメリットです。音楽でいえば、レコードは音の再現性が高い反面、劣化するという欠点があります。アナログデータをデジタルにした場合は、保存はできる一方で、細かいニュアンスは失われます。
ニュアンスや曖昧さといった情報量の多さがデータの複製や保存を難しくしている要因といえるでしょう。
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アナログとデジタルの特性を理解して使い分けましょう
デジタルとは「連続的なデータを段階的に切り取ったもの」で、アナログは「連続的なデータを目に見える量で表したもの」です。
デジタル時計の仕組みとアナログ時計の仕組みは、デジタルとアナログの違いをわかりやすく表した例といえます。
デジタルとアナログの違いは、複製と伝達方法です。デジタルは数値や指標でデータを表現するため複製が容易な一方、アナログは明確な数値や記号があるわけではないため、簡単には複製できません。デジタルデータはパソコンを使った伝達ができる一方、アナログデータの伝達には物理的な移動が必要です。
デジタルを利用するメリットは再現性でしょう。複製が容易にできることから情報共有が簡単になるため、情報化社会といわれる現代において欠かせないものになっています。一方、イメージが掴みづらく感覚的に取り扱えない点はデジタルのデメリットといえるでしょう。
アナログを利用するメリットとデメリットは、デジタルの裏返しです。目や耳から情報を入れる人間にとって、感覚的に利用できる点は大きなメリットですが、正確性に欠けることや複製が困難であることは、情報化社会にとってはデメリットといえます。
デジタルとアナログの特性を理解し、正しく把握することが今後のデジタル社会においても重要なリテラシーとなるでしょう。
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