フィリップ モリス ジャパンの加熱式タバコデバイス「アイコス」などの専用スティックの代わりに使用できる“茶葉スティック”は、タバコ葉の代わりに茶葉を使用することで、ニコチンゼロを実現するスティックだ。通常のタバコ葉スティックの合間に使用して、ニコチンを減らしたい人も多いはず。そこで今回は、その最新版「ザ・サード・イズミ」4種類を「アイコス イルマ」で使用してみたい。
Future Technology「The Third IZUMI(ザ・サード・イズミ)」。フレーバーは、写真上段左から「ブラックメンソール」「エメラルドミント」。下段左から「リッチレギュラー」「ブライトブルーベリー」。20本入り各440円(税込)
ニコチンゼロの茶葉スティックは、「今度こそやめる」「本数を減らしたい」と考える加熱式タバコユーザーの間で広まっている。タバコ葉の代わりに紅茶などの茶葉を使うことで、吸い応えはありつつもニコチンゼロを実現したアイデア商品である。
その元祖は2019年発売の「ニコレス」。そこからもう4年。当然のごとく、加熱式タバコデバイスも進化した。そのため、従来のニコチンゼロスティックを愛用していたとしても、デバイスの買い換えをきっかけに対応しなくなり、せっかくの減ニコチン習慣を失ってしまったという人も少なくないはずだ。
そんな需要に応えるのが、最新の誘導加熱式デバイスに対応したニコチンゼロ茶葉スティック「ザ・サード・イズミ」である。Future Technologyは、これまでも緑茶感がおいしい「ザ・サード カテキン」や、近年ブームのヘルシー成分を配合した「CBD HEAL」のヒット作を出している鹿児島のメーカーだ。
新作「ザ・サード・イズミ」は、中国・福建省産紅茶茶葉と鹿児島県産の紅茶をブレンドし、同県の「出水工場」で製造している国産スティック。4種類すべて、フィルター内にカプセルが仕込まれており、指や歯でつぶすことで“味変”できるのが特徴だ。
では「ザ・サード・イズミ」は、先述の「アイコス イルマ」シリーズで使えるのだろうか。実際に「アイコス イルマ」「アイコス イルマ プライム」「アイコス イルマ ワン」にスティックを差し込んでみたが、多少ゆるめだがスポッとはまり込んだ。インターネット上には「自動起動しない」「エラーを起こす」という意見も散見したが、筆者の場合は問題なし。個体差かもしれないが、「アイコス イルマ ワン」がいちばんフィットした印象だ。
スティックが少々ゆるめに収まっているので、使用時は抜けないように注意する必要がある
スティック内部の様子。左からカプセルが包み込まれたフィルター、活性炭系のフィルター、紙巻きされたシート状紅茶葉(内部に金属片)、とじブタ
それでは実際に、「ザ・サード・イズミ」各種を「アイコス イルマ」にセットして、どんなテイストか試してみた。
全体的に蒸気少なめだったのが惜しい
「マールボロ」ファンに人気の高いカプセル強メンソール
箱を開けた瞬間は、かすかな苦みを含んだクールな“ブラックメンソール臭”がするが、ちょっと弱め。実際に吸ってみても、そのままでは清涼感も弱めだ。ただ、味としてはシンプルで、メンソールも自然なおいしさ。これでは少し物足りないなと思いつつ、カプセルをつぶしたら、苦さこそ控えめだが、深みと重みのあるメンソールタバコ味に変身。これはウマい。鼻の奥まで冷感が広がり、シャープなキック感も出てくるので、それを1度味わった人は、2本目は最初からカプセルをつぶしてしまうようになるだろう。それほどウマさが段違いだ。
本家ブラックメンソールとは別物のライトさだが、茶葉使用時の宿命とも言うべき、紅茶葉のクセが最後までほぼ出てこないのに驚いた。いっぽうで蒸気は少なめで、目に寂しく物足りなさはある。そこら辺が今後の課題だろう。
スペアミント系カプセルメンソール
箱を開けると、スペアミントタイプの香りがうっすら漂う「エメラルドミント」。カプセルをつぶす前は、ほぼ個性のない細身でスーパーライトなメンソールタバコ味。ただカプセルをつぶすと一転、深みと甘みがワイドに広がってウマくなった。こちらも最初からカプセルをつぶすのがおすすめだ。
メンソールが控えめな分、終わりかけに紅茶葉特有のクセが出てくるが、強くはない。後半にかけて味が早めに抜けていくのが惜しい。
唯一のレギュラー系。カプセル入り
ノンニコチンスティックにおいては、レギュラータイプをおいしく仕上げるのがいちばん難しい。メンソールタイプなら、清涼感がそのままノドへのキック感につながるが、レギュラータイプはそうはいかない。紅茶特有のクセも出やすく、吸いにくくなることがほとんどだ。
「リッチレギュラー」の箱を開けると、「ベイプ」リキッドのレギュラーフレーバーのナッツのような甘い香りがした。しかし加熱して吸ってみると、意外に甘さは感じない。カプセルをつぶす前は、バニラの着香料により、ふんわりとしたウルトラライトタバコの印象を受けた。当然ノンニコチンなのでキック感がほぼない。これは微妙。
カプセルをつぶしたあとも、思ったほどのインパクトはなく、少々甘みが際立った程度だ。ただ、軽いバニラタバコとして、ふんわりとおいしく吸える。よくよく考えれば、レギュラータイプなのに紅茶のクセをほぼ感じないで済むというのは、高い技術力によるものだと思う。
フルーツ系メンソール
箱を開けると、バブルガム系の甘酸っぱいフレーバーが香った。吸ってみると実に地味。ベリー風味の紅茶という感じだ。メンソールもライトで物足りず、早々にカプセルをつぶしてみる。すると、しっかりとしたパープルメンソールの風味が広がった。わずかに苦い果皮を感じるブルーベリー風味だが、甘酸っぱいというわけでもない。酸味を抜いた甘みの部分が目立つ味仕立てで、人を選ぶ味わいだと感じた。
「アイコス イルマ」シリーズという最新モデルを使いつつも、ニコチン量を減らしたいという人にとって、強い味方となるのが「ザ・サード・イズミ」シリーズだ。特筆すべきは、その紅茶葉独特のクセを見事に排除したこと。最初はよくても中盤からクセが強くなり、ニオイもキツくなりがちだった茶葉スティックを、ここまで吸いやすく進化させていたのことに感動した。
もちろん、全体的に喫味は弱めだし、スロートキックも弱いという面はある。しかし、茶葉独特のクセを極限まで抑えた「ザ・サード・イズミ」は、通常の専用タバコスティック「テリア」などと取り混ぜて使用したときの違和感を、格段に減らしてくれると思う。
元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!