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医療現場からの声 2022年08月12日

折角、海外へ渡航したのに望んでいた結果が得られず、現地にて亡くなられた方、ご本人ご家族の無念さに想いを馳せると心苦しい限りです。深くお詫びいたします。

また移植はしたが臓器は生着せず短期間にて廃絶した方、手術が中断し止むなき帰国を強いられた2名の方へ、心より深くお詫び申し上げます。2度と同様な事案が生じない対策を早急に整えたいと存じます。

この度の反省から、今後、渡航先病院はより厳しい基準に照らし選択したいと思います。活動を始めて17年余り、麻酔事故により手術が中断したこと。移植した腎臓が短期間で廃絶したことは初めての経験です。

私ども「難病患者支援の会」は今日まで約170例前後の海外移植を案内して参りましたが、患者様とのトラブルがネット上に記載されたケースは1例もございません。
また、実際のトラブルも1例もございません。

もちろん、今日まで移植手術がすべて成功した訳ではございません。 異国の地で命を落とされた方、帰国後ほどなく帰らぬ人となった方もいます。

誠心誠意対応しても、移植医療と言う性格上、結果の優劣を事前にお約束できるものではございません。

私どもは、創設以来1件の訴訟もトラブルも生じておりません。それが私達の誇りでもあり自慢でした。そして胸を張って今日を迎えていました。

本件の麻酔事故は想定外の事であり、まったく予期していませんでした。 現実問題として患者様及びご家族に対して、心身ともに多大なご負担お掛けしたことは事実であり、お詫びすると共に可能な限りのリカバリーに努めたいと思います。

また、一連の報道に関して、臓器売買の疑いを持たれたことは事実であり、今後は改善すべく、最大限の努力をしたいと思います。

私達の活動を簡略に説明いたします。

臓器移植を実施している世界中の医療機関へ日本人患者の受け入れの打診をする事から始まります。

それは、とても根気を要する業務となります。移植コーディネーターまで話を繋いで頂けるケースは20~30件に一回、程度の割合です。

受け入れの協議へと進む割合が数件に1度、さらに現地を訪問し、諸条件の交渉まで辿り着けるケースは極めて少数となります。これが現在の渡航移植事情の姿です。

もちろん、海外移植をお考えの個人の方でも外国語に精通した方であれば交渉は可能です。但し、病院側からする「一見の客」なので費用等も含め好条件を引き出すことは難しく、継続的に患者を案内する私達より、厳しい条件が提示される様です。

移植医療の現場は病院側が強力な主導権を有しており、私達が懇願してもドナー待機が数カ月に及ぶ事も稀ではございません。

一連の報道では私達が主体となって、あたかも臓器を買っているかのように報じていますが事実は大きく異なります。

海外に於いて、医療に関することは、私達が意見や要望を病院側へ申しても、満足する対応や返事すら得られないことは日常茶飯事です。増しては、ドナーに関する手配は私達が関与したくとも手出しが、できない分野なのです。

ドナーは病院側あるいは医療機関に所属するコーディネーターが手配いたします。その時々により事故死ドナー、脳死ドナー、死刑囚(2015年まで、現在はございません)生体ドナー(過去に5例のみで極めて稀です)と様々です。

私達NPO法人が死体と生体の分け隔てなく「若くて健康な人のドナーください」と言える立場にございません。また、意見することも、その余地はございません。
しかし、今回の反省から今後は生体移植に関して、拒否する方針と致しました。

報道ではドナーは困窮したウクライナ人女性と記述してあります。
私達の職員がウクライナへ行き、この女性から腎臓を買う約束をし、キリギスへ連れて来て「この女性から腎臓を取ってください」と病院へ頼んだ事実はございません。
また、彼女がウクライナからキリギスへ来て私達に「腎臓を買って欲しい」と頼まれ、私達が買った事実もございません。
いずれにしても到底、考えらない話であり、移植医療の現場を知っている者でしたら、この様な事はまず、あり得ないと話されるでしょう。

本件の報道は内部告発として報じられています。普段の日常会話や雑談等を部分的に引用されたかと察しますが、下記の二つの事案が関与していると思われます。

一つは、キリギスにて移植手術が順調に進まない事に対し、強い不満を持った渡航患者から預かり金額を大幅に上回る損害賠償を求められています。トラブルは現在も続いています。(不当な要求に対しては、例えマスコミを利用して脅されても応じません)

もう一つは、私どもNPO内部にて多額の使途不明金並び当団体の法人カードの不正使用(個人的な買い物)の問題が発生し現在、従事者と激しく、かつ深刻なトラブルを抱えています。
そして2名の方が先月退職されました。この両名は今後、移植の仲介・斡旋業を始めると聞き及んでいます。(私達の競争相手となる見込みです)

関係法令に付いて述べたいと思います。

非親族(血縁及び婚姻族、以外)に対する臓器移植を制限する法律は国内及び渡航、当事国に存在しません。臓器移植法11条「臓器を受け取る対価として経済的利益を与えてはならない」と規定しているのみです。
日本移植学会の倫理指針に於いて非親族間の臓器移植は制限されていますが、親睦団体の内規と法令が衝突した場合、法令が優先される事は説明するまでもありません。

非親族間の臓器移植は欧米を中心に年間数万例が実施されている現実があります。非親族が臓器を提供する場合は商業的な要素の有無を倫理委員会(第三者委員会)が審査し承認を得なければなりません。

倫理委員会の裁定に関して私どもNPO法人は一切、関与できません。
キリギスに於いての移植術は上記のプロセスを踏まえ実施されました。従ってイスラエル人死亡事故に於いて捜査当局及びイスラエル大使館は不法行為の有無を確認し、「麻酔事故」との捜査結果に至り終結したと聞いております。ネットで検索しても臓器売買に関連する報道は見当たりません。

私達の活動方針(HP掲示)及び渡航ガイドブック(移植希望者に配布済み)に記述してありますが、当団体の創設以来、ドナーの出処、選択もしくは手配に関しては、病院側あるいは現地の移植コーディネーターもしくは臓器の配分をする公的機関(日本移植ネットワーク同様な公的機関)が選択、手配しており、NPOが関与する事は絶対にございません。一貫とした方針です。

但し、この度の反省から、今後ドナーの出処に関して厳しく精査し臓器売買の疑いがある場合は移植術のキャンセルを含め厳しく対応する方針としました。

臓器移植法12条(臓器あっせんの許認可)に対する見解

私どもは海外医療機関へレシピエント(移植希望者)を案内する活動であり、臓器の仲介、斡旋等は一切行っていません。従って12条に抵触しないと私どもは考えます。

あとがき

繰り返しとなりますが、この度のキリギスに於ける移植術は臓器売買の疑いがあるのも事実です。
私どもの知らない時に臓器売買が行われていたかも知れません。今後は疑念が生じない様に、あらゆる対策を講じたいと思います。私達は、これからも臓器移植を必要とし、国内にて機会が得られない患者の方々の支援活動を続けて参る所存です。

本件、報道事案を深く反省し、今後は国立病院もしくは移植実績を確認し、自信を持ってご紹介できる医療機関に厳選し、案内したい思います。何卒、ご理解とご支援を承りたく存じます。

令和4年8月12日  医療現場からの声

①心臓移植チーム
②NPOと調印  
③腎臓移植チーム



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