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渡航移植はなぜ批判されるのか・・・・ 2022年11月07日

小さな子供が募金を集め海外へ臓器を貰いに行くと美談となりますがその一方、成人が自費で渡航すると、まるで犯罪者のような扱いを受けます。さらに、仲介する私達も悪の根源かの様な報道が繰り返されています。

帰国後の患者様からよく耳にする話ですが、通院先の病院から「海外移植した事を周囲に話さないでください」その理由を尋ねると「お金の無い人がうらみ、問題を起こすから・・」と返答されるそうです。

海外移植は経済的に余裕がある者だけが、選択できる治療方法である事から「社会悪」と位置付ける方も少なくありません。

私どもに相談に見えられる方は上場会社従事者や上級公務員など社会的地位の高い方が大多数です。特に現職医師を中心に医療関係者や、そのご家族が全体の約10%を占めます。その理由は高額所得者である事に加えて、臓器移植が根本的治療方法と承知しているからです。

渡航移植に関する報道やネット記事は事実を歪曲した意図的な記述が散見されます。
例えば・・・
Q 帰国後の患者を診てくれる病院がない。
A 移植手術(肝・心・肺)は免疫抑制剤の処方を受けなければ100%患者は命を落とされます。(医師法第19条:応召義務違反)
腎臓移植に於いても帰国後のアフターケアーは必要不可欠です。適切な診療を受けなければ体調不良から死亡に至る恐れがございます。

今日まで帰国後の診療を受けられず亡くなられた方や、診療拒否により腎不全を発症した方はネットにて様々、検索しても1例もヒットしません。確かに1度ならず診療拒否を受けるケースは皆無ではございませんが、帰国後の継続治療が受けられず体調を崩された方はネット上に見つかりません。
私達も路頭に迷っている帰国患者を17年間、聞いたことがございません。

Q 海外渡航移植は違法である。
A 法律は「子供は良いが成人は違法」「米国は良いがアジア地区は違法」「募金は良いが自費は違法」この様な区別を法令はしておりません。

具体的な進め方と現状・・・

(1)腎移植を含めて、まずは現地へ入り移植の適応検査を受けた後に待機リストへ登録します。待機期間は渡航国により1~6カ月程度です。帰国して順番を待ちますが、余命が迫っている患者様(肝・心・肺)は帰国せずに移植術を受ける場合もございます。

(2)私どもNPO法人は創設以来170名を超える多くの命を救って参りました。移植術に於いて国内外を問わず100%成功はございません。希望通りの結果が得られない場合や医療事故も生じますが、全体数から比較すると極めて稀です。

(3)渡航移植により死の淵から生還した成人に付いて報道されることはございません。その一方、不成功(医療事故)に対しては、極めて稀なケースを引き合いに、あたかも全体像であるかの様にマスコミは報道し、さらには虚偽証言(事実の誇張・歪曲)の引用を交えて意図的に報道が繰り返されています。読者の興味を引くための記述です。

(4)大金を投じ渡航したが者が不成功と終わった事例は経済弱者(渡航できない人)からすると内心、愉快な話であり、喝采の対象となるからです。お金の力で臓器を獲得する人に対し、多くの大衆は好感が持てません。むしろ苦々しく思う人が大勢と言えます。

マスコミも大衆心理を十分承知した上で、経済的弱者の視点から興味本位あるいは歪曲したり被害者の証言を誘導(誇張)したりして刺激的な報道がなされます。

15年前、私の自宅に押し寄せた新聞社とテレビ局の女性リポーターは「NPOは公益活動でありながら、お金の無い人は救わないのですか?切り捨てるのですか?」詰問(罵声)を浴びせられた経験がございます。マスメメディナの極めて感情的かつ、ヒステリックな詰問に合理性がなく、回答に苦慮した苦い記憶がございます。

(5)私どもNPO法人は顧問弁護士より、ドナー手配を含む一切の医療行為に対し、関与すべきではないと指導を受けており創設以来、この方針(法令順守)を堅持しております。時間の経過と伴に真実は見えて来ると思います。

あとがき

海外で命を救われた子供は美談として報道されます、その一方、成人の命が救われても、冷たい視線が向けられるのが現実です。実際、渡航する子供より、成人が圧倒的多数です。年齢による命の優劣はございません。等しく生きる権利を有しています。
今後も臓器移植法に精通した法学部の教授及び顧問弁護士、協力医師の指導に従い「助けられる命は助けたい」この方針の下、些かの退転をすることもなく献身的な支援活動に邁進したいと存じます。 引き続き皆様の暖かいご支援、ご理解のほど承りたく存じます。
“死にたくない・健康体に戻りたい” 人々の切ない願いに対し私達は、やみ夜の燈明であり続けたいと思うのです。ご意見や質問、要望などお寄せください。特定非営利活動法人として、私どもの進むべき方向、方針など皆様と一緒に考えたいと思います。

記;海外移植コーディネーター

当面スタッフは海外アテンド(レシピエントの付き添い)にて不在がちとなります。電話もしくはリモート面談となります。ご不便お掛けして、まことに恐縮に存じます。海外渡航移植は思いの外、身近な治療方法であり、有力な選択であることを、承知なさってください。

 令和4年11月7日 

  

写真の紹介
①肝臓・肺移植の移植センター
②滞在ホテル
③事前に移植治療の契約を交わします。(写真は私)

       



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