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初当選の際に退職金を廃止すると公約を掲げていたが…

 保坂世田谷区長の“別宅”近くに住む狛江市民が言う。

「私にも世田谷区役所の幹部を務めていた狛江在住の親族がいました。もちろん偉い立場だったから車の送迎があったんだけど、その親戚はちゃんと朝早くに狛江の家を出て、世田谷区内に借りた家で公用車の送迎を受けていたと言っていましたよ。お役人だからちゃんとしてるもんだと感心してただけに、今の世田谷区長が狛江の家で平気で公用車を乗り降りしてるのを見かけて、いかがなものかとは思ってたんだよね」

疑惑への問いかけには応じなかった Ⓒ文藝春秋/撮影・上田康太郎

 世田谷区議会関係者もこう語気を強める。

「保坂区長は初当選の際に、2500万円の退職金を廃止すると公約を掲げて当選したのですが、2期目の終わりには『区長の業務は大変だから』と満額受け取り、有権者を失望させています。この春で3期目が終わるのですが、そこで支給される退職金も素知らぬ顔で受け取るのでは、と噂されています。現在世田谷区は庁舎の建て換えを行っており、その関連で区長室用に1200万円分もの家具が購入されています。しかし、世間的に華やかなイメージのある世田谷区は実は赤字。火の車の財政状況の中、区長が私的に公用車やタクシーチケットを通して税金を使っていることに果たして区民の理解が得られるか……」

改装工事が行われている世田谷区役所 Ⓒ文藝春秋/撮影・上田康太郎

公用車の私物化といえる可能性は十分にある

 一連の問題について、政治家の不正に詳しい弁護士が解説する。


「公用車の使用については保坂氏が言うように『公務を車内でしていた』と主張すれば通ってしまう部分も多いです。庶民感覚では『おかしい』と思うかも知れませんが、自宅届けしていない場所を頻繁に行き来していても『やむを得ない事情』として許容される可能性はあります。しかしそれはあくまでも制度運営上の建前。選挙で選ばれた自治体の長として、有権者にしっかりと説明責任は果たすべきでしょう。ただ、政治家の応援といった政治活動については、区長としての公務にあたらないため、今回のケースの他にも使用しているのであれば、しっかりとした理由がない限り公用車の私物化といえる可能性は十分にあると考えます」

 国会議員の時代から、革新系の政治家として旧来の保守政治家の巨額の税金の無駄遣いを鋭く批判してきた保坂氏。みみっちい税金のちょろまかしで横車を押すのは、あまりにもったいない。

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