平日は職場の近く、休日は家族とともに郊外へ。保坂区長の場合はそれほど離れた場所に居を構えているわけではないが、セカンドハウスを持つ生活様式自体はいまや珍しいものではないし、緊急事態への備えさえ万全であるならば、自治体の首長が2拠点生活を送っていても問題はないだろう。
だが、ある世田谷区在住の男性はこう指摘する。世田谷区と狛江市を行き来する保坂区長の2拠点生活は、公用車に支えられている、と。
月単位で自宅に宿泊したと思われるのは10~16回程度
「区長はほぼ毎日、公用車を利用するのですが、公用車の使用基準の第一に『自宅と公務を行う場所の間の移動』とあります。保坂区長が自宅として届けている代沢の出入りは問題ありませんが、狛江の出入りは別問題。別宅と公務先を公用車で行き来することはルール違反になるのではないでしょうか。自宅でも公務の場所でもない狛江への移動に、税金でまかなわれている公用車を使うことは問題があると考えています」
区長の公用車運行記録を記者が確認した。たとえば2021年度は、公用車の使用は282日を数える。そのうち、狛江市に迎えに行き、狛江市に送った日は75日。さらに、狛江市の迎えか狛江市に送りだけの日を合わせると約150日になり、優に282日の半数を超える。
2022年度も同様のペースで公用車は狛江市を行き来している。なお、月単位で自宅として届け出ている代沢に宿泊したと思われるのは10~16回程度。つまり、自宅として届のある代沢のマンションには、月の半分ほどしか泊まっていない。ただ、公用車使用基準には「公務の遂行又は区政に係る事務の進行に支障が出るおそれがあるなど、やむを得ない事由がある」場合には使用は認められている。
税金が原資のタクシーチケットを使用し、別宅に帰宅
世田谷区在住の男性が続ける。
「やむを得ない事情は、こんなに何度も何度もあるものでしょうか。狛江は近いし、区長からしてみると『これくらい見逃して』という思いかもしれません。ただ区長もやましさがあるんじゃないでしょうか」
と言って男性が示したのは、区長が利用したタクシーチケットの使用報告だ。2021年12月19日(日)22時34分に「喜多見」という場所で降りていることが分かる。喜多見は、狛江の戸建てから徒歩圏、至近といってもいい場所にある世田谷区内の地名だ。