【特報】沖縄・屋那覇島の中国人買収騒動、元所有者の証言から浮かぶ“きな臭さ”

投資トラブル続き、元所有者「詐欺まがいの舞台」
  • 中国の女性起業家が沖縄の無人島を買ったと話題の騒動「続報」
  • 近年まで島の土地を所有していた男性に編集部が直撃
  • 島は以前から「トラブル続き」。男性の売却先と女性起業家の関係は?

中国の女性起業家が日本の無人島を買ったとネットに投稿した話題はここにきて、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報が日本のネット世論の警戒ぶりを取り上げるなど、波紋が広がっている。

しかし、女性が訪れた現地と見られる沖縄・伊是名村も「ネットニュースで初めて知った」(村議)という寝耳に水の事態で、信ぴょう性を疑う見方も出ている。そうした中、騒動の舞台となった同村の屋那覇島(やなはじま)を近年まで所有していたという70代男性をSAKISIRU編集部が直撃した。

屋那覇島(国土交通省「国土画像情報(カラー空中写真)」)

男性によると、男性が取締役に名を連ねる地元企業は近年まで、島の大半を占める約70万平方メートルの土地を所有していた。中国では、女性の購入時に入札した競売の開始価格は60万元(約1100万円)程度だったと報じられているようだが、地元企業は東京都内の不動産会社に3億5000万円で売却した。

SAKISIRU編集部は現在、登記簿を取り寄せ中だが、実際、この不動産会社のウェブサイトには「令和3年3月、沖縄県の屋那覇島を取得」と告知を出している。

投資トラブル続きの島

ここで気になるのは、男性が「この島はずっと詐欺まがいの舞台になってきた。今回の騒動もあの女性が騙されているのではないかと心配した」とため息まじりに話したことだ。

実は男性の企業も島の所有地の売買を巡ってトラブルに巻き込まれた経緯があるという。

数年前、シンガポールの投資企業が全部で40筆あった土地を5000万ずつ、計20億円で買い取る約束で契約を取り交わしたが、手付けの5000万円しか払われず、約3億円の抵当権が残されてしまった

困った男性の会社は新たな買い取り先を探したところ、知人から紹介された前述の不動産会社が手を挙げ、改めて売却したという。

島の土地は、男性の企業が所有する前は地元の水産関係の企業組合のものだった。しかしこの組合はトラブル続き。20年近く前には、島に養殖場を計画した際に環境への影響から反対運動が起き、村を二分する騒動に発展。その後も金銭トラブルが噴出した末に県によって解散が命じられた経緯がある。土地所有者の組合がなくなったことへの地元民の懸念に応える形で、男性の会社が引き継ぐ形で島を所有するようになった。

女性起業家と不動産会社の関係は?

時は流れ、元号は平成から令和に。島の所有権は不動産会社に移ったが、仮にこの会社が現在も島を所有し続けていたとしても、次の焦点は、話題になった中国の女性起業家の主張との整合性だ。

中国でバズった女性の投稿(中国の動画サイト「douyin.com」より)

この不動産会社は事務所は東京・港区内にあるものの、社長は中国系と見られる名前だ。女性は中国メディア、紅星新聞の取材に対し「家族の会社が買った」と述べており、やはり関係があるのだろうか。

土地を売った男性はこの社長について「台湾系の方と聞いている」と述べたため、“一件落着”かと思わせたが、編集部が同社に電話取材をしたところ、オフィスを共有するという別会社の関係者が対応。社長は不在だったが、この同居会社の関係者に、土地を買った社長が台湾系なのかを尋ねると「日本人だと聞いている」と不可解な返答をした。

紅星新聞によると、女性は「契約日は2020年12月24日で、2021年2月2日に全720回の権利証の譲渡登録が完了した」「島全体で917件の所有権証明書があり、会社は720件を購入し、残りは隣の村と民間の所有」などと契約内容についてもディテール付きで説明している。これらの情報の一部は、土地を売った男性が所有する土地の評価証明書の内容と一致しているが、謎は深まるばかりだ。

(関連記事)沖縄最大の無人島、中国人が買収?女性起業家の投稿がバズるも、日本では警戒論

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