「足を踏み出すと、大軍拡への怒りがものすごい。どこに行っても、大軍拡の話でかみ合い、『共産党しかない』となる」

「党の事務所に自ら日曜版購読を申し込んだ人が、『自民党は右に寄りすぎて危ない。共産党を応援したい』と語って、その後入党した」

 こういう話もあったのだろう。だったらなぜ活動参加の党員が少なく、党員拡大に特別に力を入れているはずなのに党員も新聞も減ってしまうのか。これには何も答えず、ただ「もっと頑張れ」というのが小池氏の報告なのだ。そして誰からも文句も出ないのである。

「専従者」の党の限界

 共産党は、党首公選を求め立候補を宣言している党員、松竹伸幸氏の「除名」処分を決定したという。松竹氏の著書『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)については、前回紹介した。

 前回の記事で本のタイトルと著者略歴だけを紹介した『志位和夫委員長への手紙:日本共産党の新生を願って』(鈴木元著、かもがわ出版)が手に入った。鈴木氏は党歴60年の古参党員だが、大変興味深く読んだ。松竹氏の著書と違うのは、党首公選を求めるだけではなく、志位委員長の辞任を強く求めていることだ。こういう書籍が現役の共産党員から出版されたことは初めてのことだろう。

 鈴木氏の主張には共感するところがいくつもあるのだが、その1つが、専従(昔は「職業革命家」と呼んだ)活動家が党の中枢を占めているという問題点の指摘だ。