
絶滅の恐れのある種を示すレッドリストは「作成すれば終わり」でなく、いかに生物の保全につなげていくかが重要だ。客観的に評価されたリストがあれば、それを根拠に開発側に保全策の必要性を提案できる。
筆者が関わった事例から、横浜の固有種で鶴見川河川敷にのみ生息する昆虫ヨコハマナガゴミムシを挙げる。護岸工事が計画されたのは後翅(こうし)が退化し飛べない彼らの最後の生息地だった。20年ほど前、国のリストでは未掲載だったが、神奈川県のリストで絶滅危惧種I類であることを根拠に交渉。護岸をやめ自然の草地を残すなど保全対策を実施できた。
他にも全国的には普通に見られても県内では非常に危機的なサラサヤンマのような種もあり、地域のリストが保護活動に活用されてきた。
国のリストはまとめるまで“時差”が生じがちだ。きめ細かい評価がなされた地域のレッドリストの担う役割は大きい。
県立生命の星・地球博物館(小田原市)では企画展「レッドデータの生物~知って守ろう神奈川の生き物たち」を2月25日まで開催。問い合わせは電話0465(21)1515。
