何もかも新しくなる世界に
風邪をひいた
僕はヘッセを読んでいた
子どもの精神世界を犠牲にして 世界は先を急いでいる
100年前の警告は それさえも消費され消えていくようだ
難しい顏をしていただろうか ページをめくっていた僕のそばに
のはらがやって来た
パパ風邪ひいたからかわいそう
そう言って 最近言葉の増えた3歳児は僕の布団に入り そのまま寝入ってしまった
世界を守るやさしさを ぬくぬくと布団に宿しながら
何もかも新しくなる世界に それでも変わらぬ寝息を
ただ すやすやと立てながら